デート・ア・ライブ Assassino's Bizzare Adventure 作:キミと永久にただ堕ちていく
ジョルノ&ミスタVSギアッチョの動画を何度も見返していたもので……。
今回、ついに士道が運命と出会います。
『これは訓練ではありません。これは訓練ではありません。空間震の発生が予測されます。近隣住民の皆さんは速やかに、最寄りのシェルターに避難してください。繰り返します———』
その声の内容を頭の中で数回反芻して、生徒たちはようやく予感が現実になったことを理解する。
————空間震警報。
このあたり一帯が吹き飛ぶということに他ならないのだ。
「おいおい……マジかよ」
殿町が乾いた声を発する。
だが、士道たちは比較的落ち着いていた。空間震が起きた場合を想定する避難訓練を幼児のころから繰り返しさせられていたからだ。さらに、この学校には最新鋭の地下シェルターがある。
彼らが空間震に脅かされる可能性は皆無だった。
「シェルターはすぐそこだ。問題じゃあない」
「そ、そうだな」
士道の言葉にうなずく殿町。
廊下には既に生徒たちがシェルターへの列を作っていた。
だが————
「ん?」
そんな中、士道は一つだけ皆と違う行動をしている影に気が付く。
「あれは……鳶一……?」
彼女は一人だけ列に混じらず、正反対の方向の昇降口の方に走っていく。
「おい鳶一! 何やってんだ! シェルターはそっちじゃ———」
「大丈夫」
「大丈夫、って何が……」
しかし、折紙はそれだけを言い残し再び駆け出していってしまった。
後を追いかけようか迷ったが、忘れ物を取りに戻っただけなのかもしれないと思い、士道はそのまま列に並んだ。
「お、落ち着いてくださぁーい! だ、大丈夫ですから、ゆっくりぃー! おかしですよ、おーかーしー! おさない・かけない・しゃれこうべーッ!」
「先生が落ち着いてください」
生徒を誘導している珠恵の慌てふためいた声とそれに対する一人の生徒のツッコミに周りからくすくすという笑い声が聞こえてくる。
自分よりも焦っている人間がいるとなんか落ち着いてくるなー、と士道は殿町と顔を見合わせて苦笑する。
気持ちが落ち着いてくると、士道はふと思い出す。
「ん、どうしたよ五河」
「いや、ちょっとな」
急に携帯電話を取り出す士道に殿町が問いかけるが、適当に言葉を濁す。
携帯電話に登録してある連絡先から『五河琴里』の名前を選択し電話をかける。
———が、つながらない。無機質なコール音がするだけだ。
(……)
琴里の通っている中学校にももちろんシェルターはある。しかし今は昼、今日が始業式である中学校も当然放課後だ。既に学校を出ていたとしても何ら不自然ではないだろう。仮に外に出ていたとしても公共シェルターがある以上問題はないはずなのだが……。
(絶対の絶対、約束だぞ! 空間震が起きても絶対だぞ!)
思い起こすのは、別れ際のあの一言。
士道は琴里の携帯がGPS位置確認サービスに対応していたことを思い出す。
(大丈夫だよな……避難でバタバタしてて気づかないだけだよな……?)
携帯を操作すると街の地図が表示され、琴里の現在位置を示す赤いアイコンが点灯する。
「……ッ!」
その位置は———
「あの馬鹿……ッ!」
士道は生徒の列から抜け出し、列を逆走して昇降口へと駆け出した。
琴里のアイコンが約束していたファミレスの真ん中で停止していたのだ。
「……っ、なんで馬鹿正直に残ってるんだよォ~~!!」
車が走らない交差点、人気のない街並み。ついさっきまで人がいたはずのそこは、さながらメアリーセレスト号の中とでもいうべきだろうか……。
士道はそのゴーストタウンと化した街並みをただ一人走っていた。
手のかかる妹ではあった、やんちゃで、おこちゃまで、付き合わされる方は疲れがたまってしょうがなかった。
でも、でも、それでも。
(琴里……琴里……琴里……ッ!!)
士道にとってはかけがえのない大事な妹だったのだ……ッ!
携帯を開いて位置情報を確認する。
以前ファミレスから動いてはいなかった。
喉が痛いほどに乾燥している。眩暈がして足がおぼつかなくなる。
だが士道は止まらない。琴里のもとへ、琴里のもとへ、ただひたすらに足を運び続ける。
視界の端に何か動くものが見えたのはそんな時だった。
「……?」
三つ……四つか?何やら人影のようなものが浮いている。
「なんだ……あれ?」
だが、それを気にする余裕は士道には残されていなかった。
何故なら—————
「うわ……ッ!!?」
突然進行方向からまばゆい光とともに耳をつんざく爆音とすさまじい衝撃音が士道を勢いよく殴りつけてきたからだ。
ジャンボジェットのエンジンが噴射するそばにいたかのように、士道の体は後方へ吹っ飛ぶ。
「っ痛え……!」
ちかちかする目をこすり、あたりを見回す、が。
「———は?」
間の抜けた声を漏らすことしか出来なかった。
それはそうだろう。
だって、今まで目の前にあった街並が……。
「なんだよ……なんだってんだよォ~こいつはッ!」
それはあまりにも異質で恐ろしい光景だった。
昔、ピンクダークの少年に「周りの物質を暗黒空間に引きずり込んでしまう能力」や「手でつかんだものならばなんでも削り取ってしまう能力」が描いてあったのを連想させるような感じですり鉢状にきれいさっぱりなくなってしまっていたのだから。
そして、その消えてしまった場所の中心。そこには代わりに金属の塊のようなものが聳え立っていた。
「な、なんだァ~?」
それはRPGでよくみる玉座のようなフォルムをしている。遠くからなのでよくはわからないのだが。
しかし、それよりも重要なことがあるのだ。
その玉座に足をかけるようにした奇妙なドレスをまとった少女が一人立っていたのである。
「あの子は……一体」
長い黒髪と不思議な輝きを放つスカート。女の子であることは間違いなかった。
その少女は士道を一瞥すると、その玉座から生えた柄のようなものを握り、引き抜いた。
引き抜いたそれは幅広の巨大な剣だった。
そして、少女は星のような、虹のような幻想的なそれを————
こちらにめがけて横薙ぎに振り抜いてきた。
「いっ……!?」
士道と少女の間隔は距離にして約50メートル。いくら数メートルの巨大な剣をふるったところで届くものではないだろう。しかし士道は本能的にその仕草に危機を感じ、咄嗟に身を伏せた。
すると……。
「嘘…だろ……」
首を後ろに振り向かせた士道が見た物は、家屋や店舗、道路標識がみな同じ高さに切りそろえられた光景だった。
「なんで……こんな……」
「———おまえも……か」
凛としたその声に士道は首を戻して、息を詰まらせる。
先程まで確かに遠くにいた少女が……
「おまえも———」
自分の目の前にいて、
「私を、殺しに来たのか」
首元へ剣を突き付けていたのだから。
「あ—————」
自分の意志とは関係なく漏れ出る声。
年は士道とはさほどかけ離れていないように思えるが、士道はこのような少女を生まれてこの方見たことはなかった。
膝まではあろうかという黒髪、可愛らしさと凛々しさを兼ね備えた貌。
布なのか金属なのかわからない素材で作られたお姫様のドレスのような装い。
その手に握られた身の丈ほどの巨大な剣。
それは、士道の目を奪うのには十分すぎるほどだった。
「あ————」
何か言葉を発そうにしても、その宝石のような双眸に吸い込まれるように言葉が頭から抜けていき、うまくいかない。
いつまでも止まったような時間、しかし実際は数秒にも満たない時間は———
「おいおい、なんだァ~~こいつは~~~」
その声によって打ち破られた。
「……!」
士道が発したものではない。
「……」
無論目の前の少女もだ。
では一体……。
「どういうことだぁ~~~~ッ? こいつは!」
士道と少女は、目だけを横にやる。
するとそこには。
「な、何だ!? い、一体どうなっていやがるッ!?」
「おいおいおいおいィ!」
「こいつは……」
「あ、兄貴ッ! プロシュート兄貴ですかい!?」
「どういうことだこれはッ!? 幻覚でも見ているのか!?」
「何だァァァァアアア?」
「……」
7人の男たちがいた。
見た感じ明らかに日本人とは思えなかったが、彼らは日本語を話していた。というよりは、明らかに外国語で話しているであろう彼らの言葉がなぜか日本語で士道の頭の中に入ってくるのだ。まるで翻訳機でもつけているみたいにだ。
そして、彼らの外見はあまりに独創的で特徴的だったが、二つほど共通していることがあった。
一つ目は彼らの体から放たれる、ピリピリとした威圧感だった。明らかに堅気のものとは思えない。戦場で何か月も過ごしたかのような、死と隣り合わせの闇の社会で暗躍しているかのような、そのようなものが彼らにはあったのだ。
そして、もう一つは。
「なんで、俺はこんなところにいるんだァ~~ッ!?」
誰もがまるで『
ギアッチョキターーーーーーー! この時をどれだけ待ったことか!!
ミスタとジョルノに付け入るスキを与えずに繰り広げた戦闘は圧巻の一言でした。
根掘り葉掘りやベニスの話、『静かに泣く』が出てきたときの絶望感。最後の『なんだってエエエエェェェェ!』のボイスも最高でした。岡本さん、ディモールト・グラッツェ!!
次週からあとがきでなにか茶番みたいなものしてみようかなぁ、と。
余計なことしない方がいいかな……?