仮面ライダー ~影を裂く刃~   作:チョコレー党

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第二話 -仮面ライダーという存在-

「仮面ライダーマティス。現場に到着したぜ。これより敵の殲滅を開始する!」

 

 

 

突如目の前に現れた仮面ライダーはそう言い放つ。

 

 

 

彼の目線の先には先程マティスに吹き飛ばせれた後、ノロノロと立ち上がろうとしていた。

 

 

 

「...といってもザコだけかよ...こっちは外れだったな...」

 

 

 

マスクで表情は見えないが、残念がっている様子を隠そうともしない。

 

 

 

「まぁいいや...ささっと終わらせるか...ライダースライス!」

 

 

 

そういったマティスはバックルについているカマキリロボットの背中のボタンを押し込む。

 

 

 

<<Rider Slice>>

 

 

 

機械音声が鳴り響き、バックルから発生した稲妻がバチバチと音を立て、両手首の鎌に集まっていく。

 

 

 

「一瞬で決めるっ! クロックアップ!」

 

 

 

<<CLOCK UP>>

 

 

 

ベルトの右側面のボタンをたたきつける様に押した瞬間、マティスの姿は勇気と香澄の視界から消え失せる。

 

 

 

そして再び青い閃光 - 今度はさっきよりも激しく目に焼き付くような閃光が怪人の前を走り抜ける。

 

 

 

一瞬で上半身と下半身が真っ二つになった怪人は受けたエネルギーに耐え切れないように爆発四散した。

 

 

 

状況についていけず茫然とする勇気と香澄。

 

 

 

「よし...怪人11体を撃破。任務かんりょ....いや、もう一体いたか...」

 

 

 

マティスの視線は怪人のものとなった香澄の両腕に注がれていた。

 

 

 

「まっまって下さい!...香澄は...違うんです!」

 

 

 

慌てて香澄とマティスの間に入る勇気。

 

 

 

「違う? 何が? そいつは怪人だ...今回の一件の犯人かもしれない..そこをどけ!」

 

 

 

「嫌ですっ! 香澄は僕を助けようとしてくれました! こんなことも絶対にしません!」

 

 

 

凄むように怒鳴りつけるマティスに一歩も引かない勇気。

 

 

 

「はぁ...ったく!めんどくせぇ!」

 

 

 

マティスは勇気の肩をつかむと、ぬいぐるみを扱うかのように軽々と勇気を投げ飛ばす。

 

 

 

「うわっ! いっっつぅ!」

 

 

 

「勇気ぃー! 止めて! 勇気に乱暴なことしないでよ!」

 

 

 

投げ飛ばされ床に叩きつけられた勇気は再び襲い掛かる全身の痛みに苦悶の声を上げる。

 

 

 

勇気の苦しそうな表情に、悲鳴を上げマティスに抗議する香澄。

 

 

 

「はんっ! 怪人のくせに人間を庇うとはな...いい加減に善良な人間の振りなど止めたらどうだ?」

 

 

 

「私はどうなっても構いません。勇気は無事にここから出してあげてください!」

 

 

 

まっすぐにマティスと目を合わせそう言い放つ香澄。

 

 

 

「か...か..す...みぃ......に..げ...」

 

 

 

痛みに苦しむ中、必死に香澄に呼びかける勇気。

 

 

 

「お願いします! 勇気だけはっ...」

 

 

 

「化け物のお願いを聞いてやる義理はねぇんだよっ!」

 

 

 

大きく右腕の鎌を振り上げるマティス。同時に左腕はバックルへと向かう。

 

 

 

「香澄ぃっ! にげろぉぉ!」

 

 

 

<<Rider Slice>>

 

 

 

稲妻が走る。 鎌が振り下ろされる様子がスローモーションのように見える。

 

 

 

(立つんだ! 行かないとっ! 香澄の元に!)

 

 

 

力を振り絞り立ち上がった勢いのまま走る。

 

 

 

「香澄ぃーーー!!!」

 

 

 

スローモーションの世界で香澄と目が合ったような気がした。

 

ゆっくりと香澄の唇が動く。

 

 

 

  「あ・・と・」

 

 

 

閃光を纏った鎌は香澄の右肩から左わき腹にかけてを切り裂いた。

 

 

 

「...やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

伸ばした手は遠く届かない。

 

真っ赤な鮮血が香澄の体から噴き出し、目の前にいたマティスの青いボディをも真っ赤に染める。

 

 

 

「あぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

勢いのまま勇気はマティスを突飛ばそうとするが

 

 

 

「ちっ! スーツが汚れちまったぜっっと!」

 

 

 

マティスが軽く突き出した拳が顔面に当たり、再度地面を転がる勇気。

 

 

 

「感謝しろよ。本気で殴ってりゃ首が吹っ飛んでたんだからなぁ。」

 

 

 

「がっ!ぐぅ...あぁぁ!」

 

 

 

鼻血を出し、痛みに耐えながらもさらに立ち上がろうとする勇気。

 

 

 

「はいはい。もうお開きだって、この血まみれのカッコじゃ司令に問い詰められそうだ...

 

適当に言い訳考え...」

 

 

 

「....ィダァァァァァァ!キィィィィック!」

 

 

 

バキィッ!

 

 

 

突如として天井が突き破られたかと思うと一人の男が飛び蹴りの恰好のまま凄まじい勢いで降ってきた。

 

 

 

男の蹴りはマティスに直撃するとそのまま10m程吹き飛ばし、マティスはショーウィンドウに頭から突っ込む。

 

 

 

またも現れた乱入者、その男は赤い仮面ライダーのお面をかぶっていた。

 

 

 

そう、ただのお面。祭りの夜店で売っているようなプラスチックで作られたお面を被り、顔を隠している。

 

 

 

首から下は白いシャツに黒のズボン、羽織っている黒いコートには"EoS"の文字とナイフの刃のような

 

マークが描かれていた。

 

 

 

だが、勇気にはそんなことを気にしている余裕はなかった。

 

 

 

マティスが吹っ飛んだのを幸いとばかりに勇気は真っ直ぐ香澄へと駆け寄り、そして抱き寄せる。

 

 

 

「香澄!! 大丈夫だから!すぐ病院にっ!」

 

 

 

「ゆう...き....これ.....」

 

 

 

香澄は首元から何かを引っ張り出すと勇気に手渡す。

 

 

 

「これ...去年の誕生日の..」

 

 

 

それは去年の香澄の誕生日に勇気がプレゼントしたネックレスだった。

 

 

 

香澄はそれをとても気に入り、本当は校則違反だがいつも制服の下に隠して身に着けていることは勇気も

 

 

 

知っていた。

 

 

 

香澄はそれを勇気に手渡すと安心したように何かを囁く

 

 

 

「..し......ったよ...」

 

 

 

「えっ? 何? 香澄? よく聞こえないよ..」

 

 

 

しかし香澄はカクンと首を落とたかと思うとそれっきり何の反応も返さない。

 

 

 

「ねぇってば...香澄? 香澄っ!」

 

 

 

勇気は香澄の体を揺さぶるが首が力なく揺れるだけで香澄がもう一度言葉を発することはない。

 

 

 

「香澄....お願いだ...香澄っ! 香澄ぃぃぃ!.......あぁ.....あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

勇気の慟哭がデパートに響く。

 

 

 

仮面を被った男は何も言わなかったがその雰囲気からは静かな怒りが感じられる。

 

 

 

「くそがぁっ! やってくれたな! そのコートのマークは"影の刃"とか名乗ってるやつらだろ...

 

何が目的だ!」

 

 

 

吹っ飛ばされていたマティスが立ち上がり、足に絡まった商品のアクセサリーを振り払いながら

 

 

 

仮面の男の前に立ちふさがる。

 

 

 

「知る必要があるのか?」

 

 

 

「不意打ちとは卑怯な真似してくれるじゃねえか...さてはその女怪人の仲間だな! お前がこの事件の

 

真犯人ってわけだ」

 

 

 

マティスは臨戦態勢を取り、じりじりと仮面の男との距離を詰める。

 

 

 

「無抵抗の相手を痛めつけることしか能がない奴が卑怯とはな....それから今回の襲撃のボスは屋上にいたんで

 

倒しておいたよ。」

 

 

 

「はっ! 適当なこと言ってんじゃねぇ! それになぁ! 怪人の存在を隠蔽したり守ったりすることは犯罪

 

なんだよ!」

 

 

 

「...人々を守る仮面ライダーが子供に一方的に手を出すとはな...」

 

 

 

マティスに対し心底失望したように言葉を返す仮面の男。

 

 

 

「怪人の仲間に言われたくねぇんだよ! いい加減その胡散臭い仮面取りやがれ!」

 

 

 

仮面の男にダッシュで向かっていくマティス。

 

 

 

男が被っている仮面に手を伸ばすが、男はその手をするりと躱すとマティスの腹部に膝蹴りを叩き込む。

 

 

 

「うっっっ!? ぐっ! 手加減してたら調子に乗りやがってぇ!」

 

 

 

「手加減してくれてたのか? それはどうも」

 

 

 

マティスは数歩後ろに下がるとベルト右側面のスイッチへと右手を動かす。

 

 

 

「クロックアップ!」

 

 

 

<<CLOCK UP>>

 

 

 

機械音声が鳴り響いた次の瞬間には青い閃光は仮面の男の背後にいた。

 

 

 

全力のパンチを叩き込もうと突き出した右腕の拳が仮面の男の後頭部に迫る。

 

 

 

(もらった!)

 

 

 

マティスは勝利を確信する。

 

 

 

だが仮面の男は素早く頭を低くするとマティスの拳を躱し、そのまま前方に突き出た右腕を掴むと、

 

背負い投げの要領でマティスを床に叩きつけた。

 

 

 

「かはっっ!?」

 

 

 

肺の空気をすべてたたき出されるような衝撃を背中に受けるマティス。

 

意識が飛びそうになるがギリギリのところで繫ぎ止める

 

 

 

「あっ...がぁっ.....」

 

 

 

息が詰まり、立ち上がることもできずに床で呻き声を漏らすしかない。

 

 

 

「馬鹿正直に全力ダッシュで真後ろに回り込み、突っ込む..そのあと躱されることを考えてもいない。

 

それに、今投げられた時だってそれなりに基礎を学んだ奴なら受け身をとれたはずだ。

 

そうすればそんな風に床でのたうちまわる羽目にもならなかった....」

 

 

 

仮面の男はただ静かに諭すようにマティスに告げる。

 

 

 

「うる..っせぇ....うぐぅ...」

 

 

 

「お前は人として、戦士として....そしてヒーローとしても...三流以下だな」

 

 

 

そういうと仮面の男はをゆっくりと右腕を振り上げる。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

マティスは顔を庇うように両腕を顔の前で交差して防御の構えをとる。

 

 

 

バキンッ!

 

 

 

だが頭に攻撃は来ず、仮面の男はバックルを掴み引きちぎるようにして奪い取る。

 

バックルを取られたことでマティスのライダーアーマーは空気中に溶けるように消え去り、装着していた

 

二十歳前半くらいの見た目の男の姿が現れる。

 

 

 

「おいっ! それを....返せっ....」

 

 

 

必死に手を伸ばしバックルを取り返そうとするマティス。

 

 

 

「.......」

 

 

 

仮面の男はマティスの言葉を無視してそのまま右手に力を籠める。

 

 

 

バキィッ!

 

 

 

バックルはあっけなく破壊され、破片が床に散らばる。

 

 

 

「なっ!.....あぁ......」

 

 

 

ばらばらになって転がるバックルの破片を茫然と見つめるマティス。

 

 

 

仮面の男は興味を失くしたように勇気の方を振り返る。

 

 

 

勇気は今だ香澄を強く抱き締め茫然としていた。。

 

 

 

「大丈夫...じゃあないな。だがここから出た方がいいぞ。」

 

 

 

「香澄....どうして....」

 

 

 

勇気には仮面の男の言葉は届いていないようだった。

 

 

 

「おい、坊主。 辛いだろうが....」

 

 

 

「お面野郎っ! てめぇぇぇぇ!」

 

 

 

仮面の男の後ろでフラフラと立ち上がったマティスは仮面の男に殴りかかる。

 

 

 

「ふんっ!」

 

 

 

しかしマティスの渾身の攻撃はまたしても躱され、代わりに仮面の男の右拳がマティスの右頬にめり込む。

 

 

 

「ぐべぇっ!」

 

 

 

仮面の男の拳をもろに喰らったマティスは大きく吹っ飛び今度こそ気を失った。

 

 

 

「....感謝しろよ...本気で殴ってれば首が吹っ飛んでたぞ....」

 

 

 

マティスが勇気に向かってゆったセリフをなぜか仮面の男がマティスへと返す。

 

 

 

気を失っているマティスには当然届かないが。

 

 

 

「こちらオリジン。任務は完了だ。 フリーズ、迎えに来てくれ」

 

 

 

耳に着けていたインカムに指を当て、誰かに話しかける仮面の男 -オリジン- はそう言うと

 

 

 

もう一度勇気の方をちらりと振り返る。

 

 

 

「えっ? もう来てる?....あぁ~じゃあ飛び込むからドア開けといて...あぁ..もう開けてる...

 

りっ了解...今から飛ぶ...飛びます..ハイ。」

 

 

 

目に見えて勢いが落ちるオリジンだったが、自分が開けた天井の穴の下に移動して膝を曲げジャンプの

 

姿勢をとる。

 

 

 

「...僕を連れて行ってください...」

 

 

 

勇気の言葉にピタリと動きを止めるオリジン。

 

 

 

「...どういう意味で言いっている?」

 

 

 

「そのままの意味です。僕も一緒に連れて行ってください!」

 

 

 

「....普通の生活には戻れなくなるぞ。」

 

 

 

「覚悟はしてます。」

 

 

 

しばし、無言で目を合わせる2人だったが....

 

 

 

「来い..」

 

 

 

オリジンはそう言って右手を差し出す。

 

 

 

「はいっ!」

 

 

 

香澄をゆっくりと床に寝かせ、オリジンの元へと歩き出す。

 

 

 

数歩歩いたところで香澄の方を振り返る。

 

 

 

「香澄..ごめん...でも」

 

(やらなきゃいけないことが...知らなきゃいけないことが、ある気がするんだ..)

 

 

 

心の中でそう呟きオリジンの元へと急ぎ、その手を取る。

 

 

 

 

 

 

 

「よし..しっかり摑まっていろよ!」

 

 

 

「あの...これはさすがに...」

 

 

 

勇気はいわゆるお姫様抱っこの恰好でオリジンに抱きかかえられていた。

 

 

 

「これが一番飛びやすいんだよ! 一瞬だから気にするな!」

 

 

 

「はっ..はい!」

 

 

 

勇気は覚悟を決め、しっかりとオリジンに摑まる。

 

 

 

「口閉じて、息も止めておけ...行くぞっ!」

 

 

 

バンッッ!

 

 

 

そう言った瞬間にオリジンは強く地面を蹴って飛び上がる。

 

大きな衝撃に床にヒビが入る。

 

 

 

そのままものすごいスピードで床と天井をすり抜けていく二人。

 

 

 

(どうなるかはわからない...けど、香澄に救われた命..のうのうと生きていくだけの道を選んでしまえば

 

一生自分を許せない!)

 

 

 

勇気が選んだ道がどのような結末に向かうのか、まだ誰にもわからない。




ここまでが本当のプロローグみたいになってしまいました。

書き溜めはここまでなので早く次の話を書き終わって投稿します。
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