ただ今回と次回はキャラ紹介と補足になります。
早くバトルが書きたい...
真っ暗闇の空間
勇気は一人で立っていた
辺りを見回しても何も見えない
「ここは...?」
途方に暮れていた勇気だったが突如小さな光が差し込み、人影を浮かび上がらせる
勇気はその人影へと近づいていく
「か...香澄..?」
そこには静かにこちらに笑いかける香澄がいた
「香澄っ!」
思わず走り出す勇気
--急がなきゃ!
必死に手を伸ばし、必死の思いで香澄の元へ向かう
--届くっ!
そう思った瞬間、鋭い刃が香澄の腹部を突き破る
「え.....?」
真っ赤な血が香澄の体から吹き出し勇気に降り注ぐ
『ゆう...き.....どうして...?』
その言葉を最後にすべてが赤に染まった
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
勇気はベットから飛び起きる。
急いで自分の体を見るが真っ赤な血はどこにも付いていない。
「はぁ.....夢.....」
酷い夢を見たせいか体が重い。
勇気はゆっくりと周囲を見回すと自分が知らない場所にいることに気付く。
一瞬慌てるが、壁に掛けられたコートに描かれているマークを見て記憶が蘇ってくる。
(....そっか..僕は..."影の刃"に...)
勇気はベットにころんと寝転ぶと昨日のことを思い出す。
~一日前~
「おかえりなさいオリジン。すぐに出発します」
オリジンに抱えられてデパートから飛び出した勇気は屋上の数メートル上に
浮遊していた飛行艇に空いていたドアから直接飛び込んだ。
中に入ると、眼鏡をかけた仏頂面の女性が素早く飛行艇の操作し、
飛行艇は移動を開始した。
「悪いなフリーズ、ちょっと遅くなった」
「全くです...作戦終了かと思ったらサンプルを投げ渡して、『一旦離れて、あとで迎えに来てくれ!』
だなんて...」
オリジンにフリーズと呼ばれた女性は冷静に言葉を返す。
「ところでその方は?」
「あぁ....現場にいたんで保護した。」
こっちを一切見ることなく問いかけるフリーズにオリジンもあっさりした様子で返答する。
「そうですか....本部、聞こえますか。こちらフリーズ、作戦完了です。
これよりオリジンと保護した一般人を連れて帰投します。」
『...保護した一般人..?』
無線の向こう側から困惑した女性の声が聞こえる。
「オリジンが説明してくれるそうです。」
『...きちんと理由はあるんでしょうね?』
「あぁ..ちゃんと説明するよ。」
『そう..なら良いわ...気を付けて帰ってきて。通信終了。』
あっさりとしたやり取りを交わすと通信は切れた。
「そういえば名前を聞いてなかったな坊主」
唐突にオリジンは勇気に話しかける。
「えっ...と..勇気..本間 勇気です。」
「勇気か..良い名前だな」
そう言うとオリジンはいまだに被っていたお面をようやく外す。
「..っ!? あなたは!.....」
「やっぱり有名人になっちまったなぁ...黒城 勇吾(こくじょう ゆうご)だ。
知っての通りかつては仮面ライダー0号として戦っていた。現在はオリジンって名乗ってるが..」
教科書で何度も習う英雄であり世界の敵とされた人物がそこにはいた。
「核で..死んだって...」
「俺もそう思ったが...自分で思うより俺の体は丈夫だったらしい...
といっても瀕死だったけどな! 次は耐えきれる自信はねぇよ!」
笑いながらそう言う勇吾に勇気はいまだに信じられないという顔をしていた。
「えっ....と...勇吾さんは何であそこに?..そのお面は?」
気を取り直して勇気はそう問いかける。
「あぁ...お面に関しては単に正体を隠すためだ。俺の顔は知られてるし、
変身してしまえば正体を隠すどころじゃないだろう?」
勇吾は説明を続ける
「次にあの場にいた理由だが、俺たちは怪人の細胞サンプルを入手する為に今回の事件のボスを倒そうと
あのデパートに向かった。
屋上で見つけたボスはすぐに倒した。
そのあと怪人が残っていないか、聴覚の範囲を広げたら勇気とあのマティスのやり取りが聞こえたんで
天井ぶち破って駆け付けたんだが...」
「いえ...助けてくれてありがとうございます....」
そのあとを言い淀む勇吾に勇気は頭を下げてお礼を言う。
二人の間に少し重い空気が流れる。
「....それとそこにいるのが九条 氷華(くじょう ひょうか)だ。主に作戦のサポート
をしてくれている。」
重い空気を断ち切る様に運転席にいた女性を紹介する勇吾。
「作戦行動中はコードネームで...まぁ良いです...よろしくお願いします。本間さん。」
氷華はちらりと勇気の方を振り返ると淡々と挨拶する。
「あぁ..いえ..こちらこそ(クールな人だなぁ...)」
「フリーズってゆうコードネームもピッタリだろ?」
勇吾は心を読んだように勇気にそう耳打ちする。
「...しかしロギアスもインフェルノも戦闘不能だからと言ってオリジン一人で出撃...
しかも変身禁止だなんて隊長も無茶を言いますね。」
「ははっ まぁしょうがないだろ。レイナも信用してくれてるしな。」
「なるほど..伝説の仮面ライダーはドMと...」
「ちょっと待て..それはおかしい」
軽快に言葉を交わす勇吾と氷華。
話について行けず混乱する勇気。
「俺たち影の刃の仲間だ。あとで紹介するよ。」
勇気の様子に気付いた勇吾はそう言葉をかけた。
「そろそろ到着ですよ...」
氷華の言葉に勇気は前方のモニターを見るが空と海が映っているだけで目的地らしきものは
何処にも見えない。
「こちらフリーズ。本部、ハッチを開けてください!」
すると唐突に何もなかった空間に四角い入口が現れる。
飛行艇はその入り口に向かってゆっくり前進し、中に入っていく。
「空中にそのままプカプカ浮いてたらあっという間に見つかっちまう..外からは見えないようにする
ステルスモードがあるんだ。」
驚く勇気に勇吾はそう説明した。
そうこうしている間に飛行艇はエンジンを停止し、飛行艇の出口へと向かう勇吾と氷華に
勇気も慌ててついていく。
外に出ると数人の女性と一人の男性が勇吾と氷華を待っていた。
「勇吾。 サンプルは...」
「氷華に渡してあるよ」
「こちらです隊長。」
氷華は小さなビンを懐から取り出すと隊長 - 先程、レイナと呼ばれていた女性に渡す。
「それよりも勇吾さんっ! 私のクリムゾン・ライダーのお面は無事なんでしょうね!?
もう売ってないプレミア物なんですよ!」
「あぁ..大丈夫大丈夫 この通り無傷だよ。」
「何で持って行っちゃうんですかぁ!」
唐突に勇吾に迫る女性に、勇吾は先程まで被っていたお面を手渡す。
女性はひったくるようにお面を奪うと熱心にチャックし始める。
「悪かったよ..正体隠せって言われたからちょうどそこにあったそのお面を持っていっちまった。」
「うぅ..まぁ机の上に放り投げてた自分も悪いですけど...」
「雑には扱ってないから無傷なはずだぞ。」
「......いえ、見てください! ゴム紐が1mm程伸びてます!」
女性はそう言って勇吾の目の前にお面を突き出す。
「いや..誤差だろ!」
勇吾はそう否定するが頬を目一杯膨らませて抗議の意を示す女性に諦めたようにため息をつく。
「分かった...俺が悪かったよ。なんでも好きなものご馳走してやる。」
「ほんとですかぁ! じゃあ焼肉食べ放題で!」
勇吾の言葉に途端に笑顔になる女性は飛び上がらんばかりに喜ぶ。
「では私は高級イタリアン フルコースで」
「じゃ、あたしうな重!」
「...ケーキバイキング....」
「夜景の見えるレストランでシャンパンでいいわよ」
「いや!後ろのお前たちは関係ないだろっ!」
流れるようなやり取りを勇気は後ろで茫然と眺めていた。
そのやり取りは世間や勇気の中で恐ろしいテロ集団とされている"影の刃"の
イメージとは大きく異なっていた。
「ちょっと、あなた達がふざけてるから少年君が困ってるじゃない!」
「一緒にふざけてたやつが何を言ってる。」
先程から黙っていた勇気と勇吾を除けばこの場にいる唯一の男性が冷静に突っ込む。
彼の眼鏡を掛け、白衣を身にまとった姿は知的な雰囲気を纏っていた。
「少年君。私はこの影の刃のリーダーをやっている影町(かげまち) レイナよ。」
レイナは男性の言葉を無視して勇気に向かって手を差し出す。
顔立ちは整っており、20台前半くらいに見える。こんなにも若い、しかも女性が
影の刃のリーダーだということに勇気は驚いていた。
「..本間...勇気です....」
そう言ってレイナの手を取るため一歩踏み出そうとしたが、不意にガクンと足の力が抜ける。
「おっと! 大丈夫か勇気?」
素早く勇気を抱き留めた勇吾はそう問いかける。
「あ..はい..すみません..」
「だいぶ疲れてるみたいね...治療してお風呂に入って今日は寝た方がいいわね。勇吾、案内してあげて。」
「よし! じゃあ行くぞ勇気!」
そう言うとさっと勇気を担ぎ上げて運び出す勇吾。
「えっ..ちょ..自分で歩けます!」
「まぁ遠慮するな! ケガ人は黙って運ばれとけ。」
そしてその後はあっという間だった。
治療室で簡単に治療を受け(幸い擦り傷や打撲だけで骨折などは無かった)、
勇吾にお風呂に放り込まれ(何故か一緒に入った勇吾に背中を洗われた)、
最終的にベットに寝かしつけられる(子守歌はさすがに遠慮した)。
「ゆっくり休めよ勇気。おやすみ」
「...おやすみなさい...」
その後、勇気は疲れから一瞬で眠りに落ちた。
(そろそろ起きよう....ところで起きたら何処に行けばいいんだろう?)
しかし寝ているだけでは何も変わらない。
勇気は体を起こすと用意されていた着替えに袖を通し、部屋の扉を開けて廊下に出る。
「おはようございます勇気さん。」
「うわっ!」
へやを出た瞬間にすぐ横から声を掛けられ驚きの声を上げる勇気。
「すみません驚かせましたか?」
「いっ..いえ..おはようございます九条さん」
そこにいたのは氷華だった。昨日と全く同じ表情で扉の横に立っている。
「隊長から案内を任されました。まずは朝食ですね。」
そう言うとスタスタと歩き始める氷華。
「あっ..はい」
勇気はそのあとを慌ててついていった。
ついていった先は食堂だった。
人がまばらなのは勇気が起きたのが遅かった為か、
いつもこれくらいなのか勇気には分からない。
食堂の端の方の席には昨日少しだけ顔を合わせた3人の女性がいた。
それが目に入ったのか氷華はその席の方へと向かう。
「おっ! 氷華、昨日の子連れてきたの?」
「えぇ、一応紹介しておこうと思いまして..」
「...一応....」
「勇気さん。左から鳴島(なるしま) みりあ、サターシャ・イルベルグ、飯田 沙貴子(いいだ さきこ)です。
私を含めて主に作戦のサポートを担当しています。覚えておいてください。」
そう言って前の女性を紹介する氷華。
「あはっ!鳴島みりあだよ。よろしくねぇ~ 年齢は乙女の秘密ってことで!」
茶髪のショートカットで活発な印象を与える女性が自己紹介をする。年齢は秘密とのことだが
見た目は20歳前半に見える。
「サターシャ...アーレンス...です...17歳....」
真ん中に座っていた黒の長髪の女性も後に続く。前髪が左目の辺りを覆っており、少し緊張した
様子で挨拶する。
「昨日はお見苦しい所をお見せしました...飯田 沙貴子ですっ! 仮面ライダー大好きの22歳ですっ!」
昨日勇吾とお面の一件で揉めていた女性は勇気に向かって深々と頭を下げる。
茶色の長髪はポニーテールにまとめられており、丸い眼鏡をかけている。
「では私も改めて...九条 氷華です。歳は24です。」
氷華も軽く頭を下げる。
「本間 勇気です。17歳です。よろしくお願いします。」
「...一緒...」
勇気が自己紹介して同い年だと分かったサターシャはすこし嬉しそうだった。
「では行きましょうか勇気さん。」
自己紹介が終わるとすぐに勇気を連れて歩き出そうとする氷華。
「ちょっ!? 早すぎでしょ! もうちょっと喋ろうよ~」
「ここに来たのはあそこにいる隊長のところに連れていくためです。そもそも勇気さん
はまだ朝食を摂っていないのですから。」
みりあが抗議の声を上げるが氷華はその言葉をバッサリと切り捨てると勇気を連れて歩き始める。
「ちぇー じゃあまたあとでね!」
みりあを含めた三人は小さく手を振って勇気を送り出す。
「あら、せっかく女性に囲まれる状況なのにもういいの?」
「えーっと...」
「隊長。からかう暇があるなら早く話を進めてください。」
返答に窮する勇気をみて氷華はレイナを諫める
「ごめんごめん...氷華は彼の朝食を取ってきてあげてくれない?」
「あっ..いえ自分で...」
「了解しました。」
勇気に立ち上がらせる暇を与えず氷華は立ち去る。
「さて勇気君...大体の事情は勇吾から聞いたわ。あなたは何を求めて此処に来たのかしら?」
「......」
真剣な顔つきで勇気に問いかけるレイナの言葉に勇気は少し考え込む。
「...正直なことを言うと何をすればいいのか分からないんです。大事な人を守る力も知識も
無くて...ただあの場に留まることだけは許せなかったんです。香澄のことも世界のことも
何も知らなくて...だから知らないと..って」
「そう....影の刃に居れば犯罪者扱いよ。今ならまだ攫われたことにしてあちら側に帰してあげられる。
取り調べは受けるだろうけどそれが終われば普通の生活に戻れるわ。」
「もう普通の生活なんてないんですっ! 香澄が居ない世界にっ!!....」
思わず立ち上がり大声を出す勇気。
その声が食堂に響き、食堂にいた人々の目線が集まる。
先程の三人も心配そうに様子を伺っており、シーンとした空気が食堂に流れた。
「ごっ...ごめんなさいっ!...僕...」
「いえ..わたしも不適切な発言だったわ。」
勇気は慌ててレイナに頭を下げる。レイナは勇気の大声にも動じることはなく勇気に謝り、
椅子に座らせる。
「あなたの願いは私たちの目的と通じるところがある。
私たちの目的はこの世界の影で蠢いてる悪を日の下にさらけ出して葬り去ること。
あなたの知りたいという気持ちを私は歓迎するわ。
でもここに居れば隠されてきたこの世界の汚い部分を直に目撃することになる。
大事なものをまた失ってしまうかも知れないわ。それでも進む覚悟はある?」
一息にそう語ると勇気に向かって手を差し出すレイナ。
「.....」
一瞬の躊躇の後、勇気はレイナの手をしっかりと握る。
「改めてようこそ"影の刃"へ。そしてその本部"月影(つきかげ)号"へ。」
手を握ったままレイナと勇気はしっかりと目を合わせる。
「お待たせしました。朝食です。」
様子を見守っていたのだろう。
ちょうど話が終わったタイミングで現れた氷華はパンと目玉焼き、サラダが乗ったお盆を
勇気の前に置く。
「それじゃあ後はごゆっくり...氷華は船を案内してあげて。」
「了解です。」
レイナは話を終えると席を立つ
案内を任された氷華は食事を始める勇気の後ろで待機している。
「あの..気になるので座って待っててください」
「そうですか...ではコーヒーを取ってきます。」
あまり食欲はなかったが、待たせるのも悪いと思い
勇気は詰め込むように朝食を食べ始めた。
(不甲斐ない僕にできること...ここで見つける...そうじゃないと..)
朝食を食べながらも勇気の胸中にはそんな思いが渦巻いていた。
以上です。
次回はオリジン以外の影の刃のライダー紹介と影の刃についての補足です。