仮面ライダー ~影を裂く刃~   作:チョコレー党

6 / 7
第四話です。

前話に続いてキャラ紹介と補足説明です。








第四話 -語られる闇-

氷華と共に朝食を終えた勇気は船内を案内されていた。

 

大きなモニターが並ぶ指令室兼船の操縦室、倉庫、医務室、トレーニングルーム

 

談話室、昨日利用した浴場、お酒が沢山置いてあるバーのような場所など他にも

 

空に浮かぶ船の上とは思えない部屋があった。

 

途中で会う人に自己紹介しながら歩いていたので気付けば2時間近くが経っていた。

 

「すみません。思ったよりだいぶ時間が掛かってしまいました。さすがに疲れたでしょう?」

 

「少しだけ...この船って結構大きいんですね。」

 

「そうですね。いろいろ揃っていますので空の上でもあまり苦労はしません。

 あと1か所案内したいのですが先に休憩しますか?」

 

「いえ、このままで大丈夫です。」

 

「...そうですか。ではこちらです。」

 

氷華に案内された先には"研究・開発室"と書かれたドアがあった。

 

「研究・開発室ですか?...」

 

「えぇ。ここには"博士"が居ます。昨日会ったと思いますが、彼は武器や道具の開発や、

この船の設備管理など多岐にわたって尽力してくれている方です。」

 

氷華の言葉に昨日の白衣を着た眼鏡の男性が勇気の脳裏に思い浮かぶ。

 

「彼はとても頭の良い方です。...気になることがあれば聞いてみるのが良いと思いますよ。」

 

「気になること?...」

 

「はい...ずっと何かを考えていたでしょう?。隊長もとても頭が良いのですが必要以上のことは語らないタイプです。その点博士は説明したがりなので。」

 

「はぁ...」(全部ばれてたんだ...)

 

実際考え事をして集中できていなかった勇気は氷華の言葉に曖昧に返事する。

 

「では入りましょうか。」

 

勇気の考えがまとまらないうちに氷華はさっさとドアを開けて部屋の中に入ってしまう。

 

「博士!...新人を連れてきました。」

 

部屋に入ると氷華は白衣の男性に声を掛ける。

 

部屋には他に二人の男性がいた。

 

一人は部屋の隅で椅子に腰かけており黒のフードを深々と被ってその表情はよく見えない。

 

もう一人はガラスで区切られた部屋の向こう側にいた。

 

(えっ!? あっあれ燃えてる?...)

 

勇気の見間違いでなければ...見間違えるような距離でもないがガラスの向こう側の男性は

体から炎を発していた。

 

「ん...来たか。ガエン! とりあえずここまでだ。」

 

「りょーかいだ博士。まだまだいけるけどな!」

 

驚く勇気を他所に博士は机の上にあったマイクに向かって話しかけると

ガラスの向こうの男性が反応し、男性から発生していた炎が消え去る。

 

「昨日は名乗らずにすまなかったな。冴羽 正人(さえば まさと)だ。よろしく頼む。」

 

そう言い勇気に向かって手を差し出してくる正人。

 

「あ..いえ..本間 勇気です。」

 

昨日から驚くことの連続で気の休まる暇がない。

勇気は茫然としたまま差し出された手を握り返した。

 

「正式に此処に居ることを選択したようだな。いろいろと思うことはあるだろうが...」

 

「おぉっ! そいつが新人かぁ!」

 

突如として部屋に響きわたるような大声が正人の言葉を遮る。

 

「昨日の作戦から入ったんだってな! 俺はガエン! 牙の炎と書いて牙炎だ!」

 

先程までガラスで区切られた向こう側にいた男性が声の主だった。

区切られた空間を繋ぐドアを通ってこちら側の部屋にやってきたようだ。

 

短くザックリと切られた黒髪。堀の深い男らしい顔立ち。

体格が良く、背は180以上はありそうだ。

体からは白い煙を発していた。

 

「またの名を仮面ライダーインフェルノ! これからよろしく頼むぜ!

本当なら握手したいところだが今俺に触れると火傷しちまうから勘弁してくれ!」

 

「よろしくお願いします...」

(すごく熱い人だ...心も...体も)

 

牙炎の言葉と体から未だに発せられている煙を見ると先程の光景はやはり見間違いではなかったようだ。

 

「あの....」

 

「あっはいっ」

 

牙炎を観察していた勇気は不意に横から声を掛けられる。

 

「あっ..ごめん...その...ラルク・アークライトです...または仮面ライダーロギアス」

 

いつの間にか傍にいたフードを被った男性は勇気にそう名乗る。

近くに寄ると隠れて見えなかった顔が良く見えた。

 

少し長めの黒髪には白のメッシュが入っており、中性的な顔立ちだったが、顔の左半分は赤黒く

変色し左目の黒目は白に、白目は黒色に逆転していた。

 

「えーっと....よろしくお願いします。」

 

ラルクと名乗った男性の異常な顔に少し言葉に詰まってしまう勇気。

 

「...よろしく..」

 

それだけ告げるとラルクはふいっと顔を逸らし勇気から離れていく。

 

「これでうちに所属する仮面ライダーの紹介は済みましたね。」

 

(そっか。オリジン...勇吾さん以外に二人いるみたいなことを昨日...)

 

勇気は昨日の氷華の言葉を思い出して納得する。

 

「挨拶が済んだなら医務室に戻るんだ牙炎、ラルク。」

 

「いや! もう大丈夫だ博士! 何も問題はない!」

 

正人の言葉に大声で反対する牙炎。

 

「一ヵ月は安静にしろと言ったはずだ。まだ2週間しかたっていないぞ

さっきの調整も本当ならもっと後にやるはずだったんだ。」

 

「さっきの調整で大丈夫だってのは分かったろ!」

 

「はぁ...あのな牙炎。私はお前が早く本調子に戻れるようにこう言ってるんだ。

私の計算では医務室で大人しくしていれば1.3倍早く回復できるんだがな。」

 

「なにぃっ! それを早く言ってくれよ! 良し行くぞラルク!!」

 

「もう少しゆっくりいこうよ...失礼します..博士」

 

牙炎は急いで部屋から飛び出し、ラルクも後をゆっくりとと追いかけていく。

 

「...あぁゆうところは素直で扱いやすいんだがな。」

 

「さすがですね博士。」

 

呆れた様子で呟く正人に静かな賞賛を送る氷華。

 

「騒がしくてすまないな。だがこんなのは序の口だ。此処にいるなら覚悟しておく方が良い。」

 

呆れた表情のまま勇気にそう告げる正人。

 

「それはそれとして博士。彼がいろいろ聞きたいことがありそうです。」

 

「ふむ..そうなのか?..ならばそこに座るがいい。お茶でも淹れてこよう。」

 

そう言って部屋にある流し台に向かう正人。

 

(気になることは聞いておいた方が良いですよ。隊長はほとんど説明してなかったようですから。)

 

氷華は勇気の耳元でそう囁き、その言葉に勇気も小さく頷く。

 

 

 

「待たせたな...で、何を聞きたいんだ?」

 

「えっと、影の刃の具体的な目的って何なんですか?」

 

「レイナめ...私が説明すると思ってほとんど説明しなかったようだな。

まぁ良い...君の事情は勇吾から大体聞いているが、質問に答える前に君にも

一つ答えてもらいたい。

君は"怪人"という存在をどう考えている?」

 

正人は真剣な表情で勇気にそう問いかける。

 

「....分からないです...ちょっと前までは怖い存在で...でも怪人なんて遠い世界の話

みたいに感じていたんです...でも怪人に襲われて、今まで一緒にいた大切な友達も

実は怪人で...でも友達の..香澄のことは怖いとは思わなかったです。

僕を守ろうとしてくれたのに...香澄まで殺されなくちゃいけないなんて間違ってる!」

 

話し出すと徐々に勇気の言葉に熱が籠もり、痛みに耐える様に手を力強く握りしめる。

 

「...我々は怪人には主に2種類いると考えている。一つは昔からこの地球に住んでいる、もしくは

宇宙からこの地球にやってきた種族、香澄さんはおそらくこの種族の子孫だろうな。

あまり力が強くなかったのは怪人の血が薄かったからだと考えられる。

両親のどちらか、もしくはもっと前の祖先に怪人がいたのかもしれないな...」

 

「香澄は施設で育ったんです...物心つくまえに親に捨てられたって...」

 

香澄からこのことを聞いた日のことが勇気の脳裏に浮かぶ。

あの日の香澄の悲痛な表情を思い出すと、暗い影が勇気の表情によぎる。

 

「そうか...いや、すまない、辛いことを聞いたな。

...それで怪人のもう一つの種類は人間によって造られた怪人だ。」

 

正人の言葉に勇気は目を見開く。

 

「造られたって...つまりかつてのショッカーみたいな組織が怪人を作り出して

人々を襲わせているってことですか!?」

 

「察しが良いが、事態はもっと複雑だと我々は考えている。怪人の製造に関わっているのは

ゼクト社やスマートブレイン社をはじめとした名だたるライダーシステムメーカーだ。」

 

「は?」

 

正人の話に理解が追い付けず勇気の口からは間の抜けた声が出る。

 

「そしてそれを指示、もしくは知っていながら隠蔽している政府の権力者がいる。」

 

「ちょっと待ってください! それが真実だとしてどんな意味が...」

 

あまりにも突拍子のない話に正人を制止して勇気は尋ねる。

 

「意味か...真相は黒幕にしかわからんが分かりやすい意味の一つは金だな。

怪人が出現する限りライダーシステムの需要はなくならない上に、世界を守る企業として名声も手に入る。

そして事実を隠蔽する権力者には金が渡される...それだけではないだろうがな。」

 

「そんな!?...証拠はあるんですか?」

 

信じられない様子で勇気は呟く。

 

「既にゼクト社及びスマートブレイン社が管理している研究所で怪人が造られていた

証拠は入手済みだ

もちろん表立って管理しているわけではなくダミーカンパニーを通していたがな。

政府との繋がりを示す証拠ははっきりとしたものはまだ無いが、既に死亡した政府の

役人が関わっていたらしい証拠はある。

それに怪人事件に関して各国の政府内で疑わしい動きをしている役人がいることは

分かっている。そしてその役人に多額の金が振り込まれている事実も掴んでいる。」

 

「....」

 

「さらに、かつてのショッカーもそうだったが怪人を造りだす材料として人間を使用している。

ショッカーは"改造人間"と呼んでいたがな。

今でも戦争孤児や怪人に襲撃させて住む場所を失った人を攫い、同じことが繰り返されている。」

 

衝撃的な事実に勇気は言葉も出ない。

 

「言い方は悪いが今世界中で起こっている怪人との戦いは誰かが仕組んだ茶番のようなものだ。

我々の一番の目的はその茶番の裏側を暴いて世界の人々の目を覚めさせることというわけだ。」

 

「仮面ライダーはそのことを知って?...」

 

「いや...知らないだろうな。もしかしたら知っている奴もいるかもしれないが...

私はかつて対怪人司令部...今は仮面ライダー管理局だったか、そこに勤めていたが

自分たちが平和の為に戦っていると信じていた。」

 

仮面ライダー管理局は日本の防衛省直属の組織だ。

元々は対怪人司令部という名称だったが、3年ほど前に仮面ライダー管理局に変更された。

そこは怪人が現れればその情報を掴んで仮面ライダーを現場に向かわせる作戦本部のような役割をしている。

他の国にも似たような組織が存在し、所属する仮面ライダーを管理している。

 

「司令部の頃にいたんですか?冴羽さんってすごく若く見えますけど...」

 

「私は今28歳だ。司令部に研究・開発人員として入ったのは17の時だ。

その後、司令部を辞めてレイナと共に"影の刃"を立ち上げたのは5年前だな。」

 

(17歳...九条さんが"頭が良い"って言ってたのは控えめな表現だったのかも)

 

国民の安全を守る管理局に入るにはかなり難しい試験を突破しないといけないと聞く。

そこに17歳から勤めていたというのはかなり異例だ。

思いがけず正人の過去を聞いた勇気は感心していた。

 

「.....そこまで掴んでいるのに世間には公表しないんですか?」

 

思考が少し脱線しかけていたが勇気は気を取り直して正人に問う。

 

「それはもうすぐだ。5年近くかけてかなりの情報を集めたからな...ただ世間的にはテロ集団

とされている私たちの言葉を信じてもらうのは困難だろう。しかるべき場を考えなくてはな。」

 

難しそうな顔をして正人はそう話す。

 

「管理局に情報を渡して対処してもらうことは出来ないんですか?」

 

「....私が司令部を辞めた..いや正確には辞めたわけではないのだが、それは追々話そう。

ともかく管理局にも裏でこの茶番に手を貸しているものがいると思われる。

迂闊に動くことができないんだ。」

 

「だから影の刃を作ったわけですか....」

 

「そうゆうことだ...まぁこのまま隠れてばかりではない。昨日の作戦で次の目標も見付かった。

勇吾と...お前のお陰だ。」

 

「僕は何も...」

 

「これだ。」

 

正人は懐から小さな箱を取り出して勇気に差し出す。

勇気がそれを受け取って開くと...

 

「これ!....香澄のネックレス...」

 

大切なものだったはずなのにすっかり衝撃的な事が多すぎて忘れていた。

血まみれでチェーンが切れていたはずのネックレスはきれいに修理されて装飾品用の箱に収められていた。

 

「昨日の作戦が怪人の細胞サンプルを狙ったものであったことは聞いたな?

人間から造り出された怪人はそのほとんどが細胞に何らかの情報が刻まれている。

その細胞の情報を調べてその怪人が造られた場所を絞り込むことが目的だったわけだが

勇吾が持ち帰ったサンプルだけでは絞り込む情報が少し足りなかった。

そこでお前が持っていたそのネックレスを調べたんだ。そして香澄さん以外のものと思われる

血液がそこに付着していた。」

 

香澄がその腕で蟻怪人を切り裂いたことを思い出す。

たしかに蟻怪人は腹部から緑色の血を流していた。

そして香澄はその腕でネックレスを勇気に手渡した。

 

「そっか...あの時...」

 

「解析を急ぐためとはいえ本来なら許可を取るべきことだ。すまない。」

 

そう言って正人は勇気に頭を下げる。

 

「いえ!...これ直してきれいにしてくれたんですよね。ありがとうございます。」

 

勇気も頭を下げると正人はふっと小さく笑った。

 

「よろこんでもらえて何よりだ。ともかくそのおかげであの怪人が造られた場所が分かった。

そろそろレイナから次の作戦の説明があるだろう。」

 

「...昨日作戦があったばかりですが休む暇はなさそうということですね」

 

静かに話を聞いていた氷華がそう言った瞬間...

 

『招集連絡です! 今から名前を呼ばれた人は作戦室に集合してくださーい!』

 

部屋のスピーカーから鳴島みりあの声が響く。

 

『えーっと...ラルク・アークライト、九条 氷華、冴羽 正人、本間 勇気 以上の方は作戦室に

集合!....以上です!!』

 

ガチャンと音がして放送は終了した。

 

「みりあ...また放送を2回繰り返すのを忘れてますね。」

 

呆れた顔でそう呟く氷華

 

「勇気も呼ばれたか...とにかく作戦室に向かうとしよう。」

 

(まだ全部納得したわけじゃない...でもこれが本当ならますますじっとしてられない)

 

自分も呼ばれるとは思っていなかった勇気だが氷華と正人の後について部屋から出る。

 

勇気の胸中にはいまだ不安が残っていたが、それと共に新たな決意も生まれていた。




この物語の基本的な世界観みたいな部分は説明できたかなと思います。

ペース的に2話に分けることになりそうですが、次から念願の変身とバトルシーンを
書いていきたいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。