仮面ライダー ~影を裂く刃~   作:チョコレー党

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第5話です。

戦闘シーンまで書くつもりでしたが長くなってしまいそうなのと時間が
掛かりそうだったので変身までで一旦切りました。


第五話 - 初任務・前編 -

「どうだ勇気、何か見えるか?」

 

「人が二人...銃のようなものを持っています」

 

隣にいる正人からの問いかけに双眼鏡を除きながらそう答える勇気。

勇気の視線の先には大きな銃を持ち、全身鋼鉄のスーツを身に纏い、

フルフェイスのヘルメットを被った見張りと思われる兵士が立っていた。

 

「二人なら問題ないな。オタコ...そっちはどうだ?」

 

正人はインカムで月影号の沙貴子 - コードネーム オタコに呼びかける。

ちなみにコードネームはライダーオタクのサキコの略らしい。

ライダーが一文字も入ってないがそれでいいのかと勇気は思ったが本人は満足そうだった。

 

『こっちも問題ありませんよ! 合図でいつでも開始できますよ博士!』

 

正人のコードネームは"博士"となっている。

特に決めた覚えはないがいつのまにかこうなっていた

と正人は苦笑しながら勇気に語った。

 

「よし...ロギアスも問題ないな?」

 

「...うん...」

 

正人の言葉に後ろで静かに佇んでいたロギアス(ラルク・アークライト)は

小さく反応する。

 

(...うまくできるのかな...)

 

勇気は緊張した面持ちで双眼鏡を握りしめている。

 

勇気と正人、そしてラルクはロシア東部のとある町...正確には怪人に襲われて

無人となった町だった場所に来ていた。

 

なぜ彼らがここにいるかというと、話は10時間程前に遡る。

 

 

----

 

「怪人を造りだしていると思われる研究所を発見したわ。次はここに

潜入して研究情報を頂くとしましょう」

 

勇気たちが作戦室に到着するなりレイナはそう言い放つ。

 

「...レイナ、もう少し詳しく頼む」

 

レイナの言動はいつものことらしく静かに正人が詳しい説明を求める。

 

「分かってるわよ。

正人、ラルクそして勇気には現場に向かって研究所に潜入してもらうわ」 

 

「えっ! 僕もですか?」

 

「えぇ、そうよ」

 

いきなりのことに驚きを隠せない勇気に事も無げに言い放つレイナ。

 

「潜入の段取りはついてるのか?」

 

「えぇ、現場にはいくつもの監視カメラがあるわ。まずは沙貴子にハッキングで

セキュリティシステムを乗っ取ってもらって潜入に気付かれないようにするわ」

 

勇気の困惑を他所に話はどんどんと進んでいく。

 

「でも外部からだと30分が限界です。その30分の間にまずは監視室に向かって内部から

セキュリティシステムを完全に乗っ取ってしまいます。

そのあとは人にばれないように情報を頂戴するだけです。」

 

レイナの言葉を引き継いで沙貴子が残りの作戦を説明する。

 

「氷華は三人の送り迎えと現地のナビゲータよ。万が一見つかった時に

素早く皆を回収できる合流ポイントは擦り合わせておきなさい」

 

「了解です」

 

「じゃあ三人の出発は9時間後よ! しっかり準備しておいてね。 では解散!」

 

勇気が終始話についていけないまま作戦会議は終了した。

 

-------

 

そして気付けばすでに目的の研究所の入り口らしき場所は目前だった。

結局自分が何をすればいいのかわからないまま現場に来てしまった勇気は

誰が見てもはっきりわかるほど緊張していた。

 

「よし、接近するぞ。 ロギアス、見張りは任せる。

勇気...そう緊張するなとにかく落ち着いて私の指示に従えばいい」

 

「わかった...」 「はっ...はい!」

 

正人の言葉に二人は同時に頷く。

 

ラルクは大きく飛び上がると廃墟となった建物の屋根を飛んで見張りの

視界に入らない様に近づいていく。

 

「...準備完了したよ...」

 

「オタコ、頼む」

 

『オッケーです!.....はい!これで監視カメラの映像には30分間映りませんよ。

思いっきりやっちゃってください!』

 

タンッ!!

 

インカムから元気な返答が聞こえた瞬間にラルクは再び大きく飛び上がっていた。

そのまま二人の見張りの方に急降下し、一人の胸に飛び蹴りを喰らわせる

 

「がふっ!....」

 

「ぐわぁっ!!!」

 

そのままラルクは胸を蹴った反動を使ってもう一人に回し蹴りを命中させ、綺麗に

地面に着地する。

 

「....はぁ...」

 

何事も無かったかのようにずれたフードを直すラルクと、華麗な動きに言葉も

でない勇気。

 

「それじゃ行くか。勇気、付いてこい」

 

「あ、はい...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは監視室に向かうぞ」

 

見張りを倒した後、作戦通り三人は潜入した研究所の監視室に向かっていた。

 

「...で、どうして僕はこの格好何ですか?」

 

正人とラルクの二人は先程の見張りから奪ったヘルメットとスーツを着ているのに対し

勇気は両手に手錠を掛けられ、正人に連行されるような格好になっていた。

 

「二人分しかないから仕方ないだろう。それにラルクの顔は目立ってしまうし、

このスーツは体格的にも勇気には少し大きいだろう」

 

確かにラルクの左側が赤黒く変色した顔は目立つだろう。

体格の問題も確かにその通りだ。

 

「...頑張って...」

 

ラルクのフォロー(?)が虚しく感じる。

結局勇気は任務に集中しようと気持ちを切り替えるしかなかった。

 

『入手したマップによると監視室は一階の廊下の突き当りです。』

 

「ありがとうフリーズ。意外と近いな....こっちか」

 

インカムから聞こえてきた氷華の言葉に正人は目的地の場所を再確認する。

 

 

そのまま三人は監視室があると思われる方向に進んでいった。

途中で何度か人とすれ違ったものの、皆手錠で繋がれた勇気を一瞥して忙しそうに

去っていった。

 

(うぅ...ばれませんように...)

 

15分にも満たない時間だったが勇気にとってはかなり長い時間に感じられる。

 

「ここだ」

 

正人は一つの部屋の前で立ち止まる。部屋の扉には確かに"Security Room"と

表示されていた。

 

「失礼します。侵入者を捕まえたのですが...所長は何処に?」

 

そのまま正人は躊躇なく部屋のノブに手を掛けると扉を開ける。

 

「あ?、侵入者だと?...その子供がか?、なんで無線で連絡しなかった?」

 

部屋には男が四人おり、そのうちの一人が勇気たちの方に近づいてくる。

 

「無線が使えませんでした。このタイミングで妙だと思ったので調べてもらおうと...」

 

正人は手に持った無線を見せながらそう説明し、自然に部屋の中に入っていく。

 

「確かに妙だな...分かった、調べてみる」

 

そう言って男が三人から目を離した瞬間、正人はちらっと首を動かしラルクに合図する。

 

「ぐぁっ!!」 バキッ!!

 

「なっ!動くな...かはっ!」 ドゴォッ!

 

ラルクは後ろから男を殴りつけて気絶させると銃を抜こうとしたもう一人の腹部

にも素早く拳を叩き込む。

 

「くっ...応援をっ!」 「あぁっ...」

 

バシュッ! バシュッ!

 

正人も腰から銃を抜くと残った二人に向けて発射する。

 

「がっ....あぁ...」 「うっ!...」

 

無線を取ろうとした二人は連絡を取る前に正人の放った弾が命中し、

床に転がる。

 

「安心しろ眠ってもらうだけだ...監視室は制圧完了...これからセキュリティシステムを

完全にこちらのコントロール下に置く」

 

そう言うと正人は部屋にあったPCで何やら作業を始める。

 

 

 

「よし、これで大丈夫だ」

 

「あの...じゃあこれを外してもらってもいいですか?」

 

正人の作業が終わったタイミングで両手にかけられた手錠を見せながら

そう問いかける勇気。

 

「何を言っている? 監視カメラは気にしなくていいがここの奴らに正体がばれると

意味がない。このまま行くぞ」

 

「えぇ...」

 

「より正確なマップも手に入った。研究データがあるとすればこのメインサーバールーム

だろう。この部屋がある地下に向かうぞ!」

 

あっさりと言い放つ正人に勇気はもはや反論する気力も出なかった。

ラルクは優しく勇気の肩に手を置いて慰めた。

 

 

 

 

「ふぅ...やっと自由だ」

 

ようやく研究データなどが保存されているメインのサーバールームにたどり着き、

勇気の手錠が外された。

 

「帰り道もあるからまた着けてもらうぞ。ずっと拘束されたままは可哀そう

だから一時的に外しただけだ」

 

正人の言葉に勇気はげんなりとした顔をしながらも実際に

無事にここまでこれたことに安心していた。

 

「ロギアスは見張っていてくれ。勇気、このコードをあっちの端末に繋ぐんだ」

 

「分かりました!」

 

正人の指示に従って勇気も作業に入る。

暫くの間は正人の指示する声と端末を操作する音だけが部屋に響いていた。

 

 

「終わった....が...これは...」

 

作業が終わったらしい正人は難しげな顔でモニターを睨んでいる。

 

「どうかしたんですか?」

 

勇気がそう問いかけた瞬間。

 

ブゥン!

 

モニターの画面が一斉に切り替わり一人の男性の顔が映し出される。

 

「残念だったな! 影の刃の諸君。既に研究データは持ち出させてもらった!」

 

「...お前がここの責任者か?」

 

得意げに喋る画面の男に正人は落ち着いて問いかける。

 

「そうゆうことだ! 貴様らがいずれここに来ることは分かっていたからな!

抜け道はとっくに造ってあったのさ!」

 

画面の男はさらに喋り続ける。自動車のようなものに載っているらしく

エンジンの音が聞こえ、時々大きく体が揺れている。

 

「もうすぐそこも爆破される! せいぜい最後の時間を嘆いて過ごすがいい!」

 

「そうか.......ひとつ忠告しよう。車の運転をするときはカメラではなく

前をきちんと見て安全に注意することだな」

 

「はんっ! 何を言ってっ.....(ガシャァァァン!!!)....なんっ!!!!......(ブツンッ!).....」

 

突如として大きな衝撃音が聞こえたかと思うと画面が大きく揺れて画面が消え、真っ暗になる。

 

「一体何が...」

 

事態が飲み込めず困惑する勇気。

 

「レイナはこの事態を読んでいたということだ。我々は敵を炙り出す為の煙。

研究データを丸ごともって逃げていく敵を捕まえるための作戦だ」

 

「...聞いてないんだけど...」

 

ラルクも聞いていなかったようで静かに驚きの声を漏らす。

 

「そうだろうな、私も聞いていない。今のは現状から導いた私の考えだ。

だが間違っていないだろう。レイナの凄いところであり、悪い癖でもある。

必要と考えたこと以外は伝えない...いい加減に直してほしいものだ。」

 

「...とにかく早く逃げた方が良いんじゃないですか! さっき爆破って!」

 

正人の説明にただ感心していた勇気は男の言った言葉を思い出して二人に脱出

を促す。

 

「そこも恐らく大丈夫だろう...フリーズ、応答しろ」

 

『呼びましたか博士?』

 

正人の呼びかけにインカムの向こうから氷華が応える。

 

「...爆弾はどうなっている?」

 

『やっぱり隊長の読み通り気付いたのですね。さすがです。完全停止はできない様に

 なっていましたが、時間は伸ばせました。今すぐ爆発することはありません』

 

「やはりな...ナビゲータの割に静かすぎると思ったが独自に動いていたわけか」

 

感心したような呆れたような雰囲気で正人は呟いた。

 

「...とにかく用はなくなったよね...ここから出た方が良いかも...」

 

「そうだな我々の侵入はばれている様だ、急いで出口に向かうぞ」

 

『私もそこで合流します』

 

勇気たちは気を取り直してサーバールームを出ると出口に向かって走り出す。

 

「いたぞ! あそこだ!」 「侵入者をとらえろ!」

 

出口へ向かう三人を侵入するときに倒した見張りと同じ格好をした兵士たちが続々と

追ってくる。

 

「...危ない...」

 

バシュン!

 

「うわっ!!」

 

ラルクが勇気の腕を引っ張り引き寄せると勇気の体のギリギリのところを光線が

掠めていく。

 

「怪我はない?...」

 

「あ..ありがとうございます」

 

お礼を言う勇気にどうということはないという風に首を振るラルク。

 

「出口は近い..急ぐぞ!」

 

後方に向かって威嚇の発砲を続けながら正人が後ろから二人を急かす。

 

 

 

追ってくる兵士から何とか逃れつつ三人はようやく出口から研究所の外に出る。

だがそこには...

 

「グォァァァァァァ!!」 「グルァァァァ!!」

 

十数体の怪人が待ち構えていた。それぞれが獲物を追い求める様にふらふら

とこちらに近寄ってくる。

しかし一体だけ雰囲気が違う怪人が勇気たちの正面に佇んでいた。

 

「おかしいですねぇ..とっくにここは爆破されているはずですが。

まぁここから出てくる奴は皆殺してしまうのですから関係ありませんか」

 

他の怪人と違いはっきりと言葉を話す(英語だったため、勇気には伝わらなかったが)

その怪人は二本足で歩く馬のような見た目で長細い顔とたてがみがあり、

蹄を持つ足はかなり強靭に思える。

 

「敵も口封じは用意していたようだな...ロギアス、頼む」

 

「...わかった...」

 

シュィィィィン!!

 

頷いたラルクが一歩前に出ると腰の辺りに赤い光が一瞬だけ輝き、

光が消えた時にはラルクの腰には特徴的なベルトが巻かれていた。

 

バックルの中央には大きな歯車、そして右側には小さな歯車が大きな歯車と

少し間を空けて配置されている。

そしてバックルの上面には5個のボタンが配置されていた。

 

そしてラルクは左手で右側の小さな歯車に手を掛ける

 

「....変身っ!....」

 

そう小さく叫ぶと、歯車を勢いよく左側にずらす。

 

ギュイィィィィィィィン!!

 

すると小さな歯車と大きな歯車が嚙み合い、甲高い音を立てて

回転を始める。

 

赤い光がラルクの周りを取り囲むように回転しながら体を覆っていき、

光が消えると完全にラルクの姿は変わっていた。

 

黒色のボディに胸の中心には赤黒い光を放つ円形のパーツがありそこから

広がっていくように赤黒いラインが体中に走っている。

腕や足の関節部分などにはベルトと同じような歯車が付いていた。

 

「仮面ライダーロギアス...始動」

 

細い目が赤い光を放ち、周囲に風が吹き荒れ、変身しても纏ったままの

フード付きのコートをはためかせる。

 

「ふん...影の刃のライダー...各地で暴れまわっているその力

見せてもらいましょう!!」

 

馬の怪人がその右腕を振るうとその手には大きな剣が握られていた。

 

「なるべく早く決める...」

 

ラルクも静かに拳を握って構える。

 

戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

 

 

 

 




変身シーンにたどり着くために大分駆け足になってしまいました。

戦闘シーンはもっと力入れられるように頑張ります。
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