吸血鬼で魔法使いの少女は遊びたい   作: 夕凪

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次の話を上げるのに時間が掛かってしまいました……
待っていた方、申し訳ありません!



チルノ、手助けする

「誰だー!湖にいたずらした奴はー!!」

 

 湖に氷の槍を発射して盛大に爆発させたおかげか、目的の妖精、チルノを呼び出すことに成功した。

 まあ、妖精の正しい呼び出し方なんて知らないし、住んでいる所も曖昧過ぎてあてにならない。

 何なら本人たちもその日の気分で住処を移動するらしいので、呼び出すにはその妖精に合った方法で呼び出すしかないのだ。

 

「チルノー、私だよー!」

「あ!フランじゃん!お久しぶりー!」

 

 チルノは私の姿を見つけると、いたずらされた事も忘れて近寄ってくる。

 いつまで経っても頭の方はそこまで良くはならないようだ。

 

「どうしたの?こんなところで」

「ん?ああ、少しチルノに用があったからね、来たんだよ」

 

 私はチルノに今回の冬が長くないかを尋ねた。

 

 結果、チルノはそんなことは微塵も考えておらず、むしろ寒さを堪能していた。

 まあそんなことだろうとは思っていたけど。

 

 氷の妖精が寒いのが長いとか関係ないよね。

 むしろ寒さがこのまま続いてくれれば良い、とか考える方だろう。

 

 かと言って、チルノがこの現象を起こしている首謀者かと言われれば、多分違う。

 チルノにそこまで考えて、実際に実行できるような力は無い。

 

 たとえあったとしても、上手く使いこなせず暴走するだけだろう。

 

「そっか、チルノは今の方が過ごしやすいんだもんね」

「うん、もう少し続いてくれるといいなぁ!」

 

 チルノに聞こうと思った私が間違っていた。

 チルノじゃないと確信を得れたのは良かったけど、結局のところは振り出しに戻っただけだ。

 もう少し冷静に考えて行動しよう。

 

「それじゃあチルノ!また遊ぼうね!」

「うん!じゃあな、フラン!」

 

 チルノは別れの挨拶をすると、勢いよく湖の方へと飛んで行った。

 私を名前呼びの呼び捨てにできるのは、チルノぐらいである。

 

 ふと視線を感じてその方向を見てみると、木の陰に大妖精が隠れてこちらを見ているのが確認できる。

 そんなに気になるのなら、こっちに一緒に来たら良かったのだが、そういうわけではないのだろう。

 

 私は自身が危険に侵される前に、素早くその場を去ることにする。

 大妖精もそうだが、ここは紅魔館に近い場所だ。もし私が外にいることが紅魔館の住人にバレたら、お姉様に怒られるだけでなく、外出も当分させてもらえなくなる。

 

 それだけは面倒だ。

 

 お姉さまに気づかれたとなると、確実に邪魔をしてくる。それは避けなければならない。

 

「となると……、やっぱりあそこかな?」

 

 私は妖怪の山に向け、飛行を開始する。

 

 なぜ妖怪の山に向かうのかと聞かれれば、それはとある情報屋が住んでいるからである。

 

 かつては人間達を恐怖に陥れた種族の烏天狗でありながら、人間の日常を面白おかしく脚色して新聞を作る者。

 幻想郷最速を語り、新聞作りのネタ集めと称して、いろいろな人物や妖怪を構わず盗撮し、しつこく話を聞くために迫るその者の名は、射命丸(しゃめいまる) (あや)

 

 そのやり方としては決して褒められる方法ばかりでは無いが、情報収集においては天下一品と言っても過言ではないほどの収集能力を持つ。

 彼女に話を伺えば、何かと異変の解決に一歩進めるだろう。

 

 因みに、射命丸の存在を知ったのはお姉様が異変で負けた一週間後で、屋敷のことについて取材に来ていたところにたまたま遭遇し、軽く世間話をしたぐらい。

 まあその世間話の中に、少しだけお姉様に対する愚痴などが含まれていたわけで、後になってそのことが新聞に載っていたことを知り、激怒していたのは言うまでもない。

 

 私に直接怒ってくるような度胸は無かったようだけど。

 

「さて、行きますか。彼女の本拠地、()()()()に」

 

 私は思いっ切り羽を広げ、魔力を通し、素早く飛翔を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チルノちゃん、フランちゃんと何のお話をしていたの?」

 

 フランが居なくなると、草むらに隠れてこちらの様子を伺っていた大妖精の大ちゃんが出てくる。

 

「今度また遊ぼうっていう約束をしただけだよ」

 

 私は大ちゃんに、フランから今回起きている異変について尋ねられたことは伏せて、約束だけしたことを伝えた。

 

 これは私の知っている友人が起こしている異変であり、私はその首謀者の居場所を知っている。

 バレた時は私が痛い目に合うかもしれない。

 

 だけど大親友である大ちゃんまで巻き込みたくはない。

 

「……そっか、じゃあまた今度フランちゃんとゆっくり話してみよっと!」

 

 そう言って大ちゃんはおもむろに私の手を握り、空へと飛び始める。

 

 突然の動作に驚き、少し体制を崩しそうになったが、何とか羽に力を通して立て直した。

 

「大ちゃん!突然引っ張るのは危ないよ!」

「あ!ごめんね!チルノちゃん!私、早くチルノちゃんと遊びたくて、つい!」

 

 嘘だ。

 

 そう言っている大ちゃんの目には、一切光が宿っていない。

 多分、フランちゃんに興味を持っていることに嫉妬してるのだろう。

 

 大ちゃんは、少し私に対して、友達以上の特別な感情を抱いているようだ。

 

(馬鹿なふりをして生きていくのも、一苦労だねこれは……)

 

 私はそんなことを思いながら、大ちゃんの後に続く。

 私が話さなくても、フランちゃんはいずれ首謀者を突き止め、今回の異変を終わらせてくれるだろう。

 

 私は親友を裏切ることはしないが、新しく出来た友達のことも興味を持っている。

 

 今回の異変では少し介入してみるつもりだったが、気が変わった。

 

 フランちゃんがどのようにして今回の異変を解決するかを見てみたくなった。

 

「ねえ、大ちゃん」

「ん?どうしたのチルノちゃん」

 

 私は大ちゃんへ話しかける。

 一応フランの行動を見るつもりでいるが、解決までに動き出す強者たちがいるだろう。

 

 それだと、簡単に異変を解決されてしまって面白くない。

 

 だから、今回は裏からフランが自分で解決できるように、手助けをしようと思ったのだ。

 

「紅魔館に言って、美鈴と遊ぼうよ!」

「ええー、また行くの?あのお城にー」

 

 私にできること。それはフランが少しでも長く外に入れるように仕向けること。

 

 勝負でもするのかって?いやいや、それでは確実に勝てないし。それにお互いに怪我をすることはフランが望んでいないだろう。

 私がすることは、紅魔館で遊ぶこと。たったそれだけ。

 

「いいじゃん!今度は他の妖精も呼んで、ド派手に行こうよ!」

「うーん……、まあいいっか!」

 

 よし、これで私の時間稼ぎ作戦は実行できる。

 

 フラン、動けない私の代わりに親友を友人を止めてくれ。

 私が動けるようになってしまったら、それこそ()()()()が落ちることとなってしまう。

 

「チルノちゃーん!行こうよ!皆も既に紅魔館に向かったよ?」

「うん!行こう!」

 

 私は馬鹿だからさ、こうすること以外思いつかなかったんだ。

 

 私は今日も、大ちゃんと遊びに出かける。

 

 

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