きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者 作:伝説の超三毛猫
…ランプの日記帳(後の聖典・きららファンタジア)より抜粋
2021/4/19:本文の一部を補足しました。
「こ、これは……!?」
「うわ…予想はしてたけど、これは中々だな」
「神殿の中って、こうじゃないの?」
「おそらく『オーダー』の影響だ。僕たちが出ていった時はここまでぐちゃぐちゃな迷路じゃなかった」
「も、申し訳ありません…神殿なら、案内できると思ったのに…」
「いや、流石にこればっかりは仕方ないだろう」
神殿の中は、上下左右に入り組んでいました。
わたしが出ていく前とは全然違う。これでは、わたしもマッチも神殿の中を案内することができません。
これでは千矢様に合わせる顔がありません。セサミを倒した直後に紺様を攫われるという痛恨のミスを犯してしまった分、神殿の案内で挽回しようと思ったのに………!!
「こうなったら……みんなの匂いを辿るしかないね!」
「えっ!!? で、できるんですかそんな事!」
「えーっとね……こっちだよ!ついてきて!」
「さすが千矢様です!!」
しかし、こちらにはきららさんがいますし、山育ちの千矢様はどうやら他のうららの皆様を嗅ぎ分けることができるんです!!クリエメイトが見つからないで迷子になるってことはまずないですね!!
「くんくん………こっちだね!」
「す、すごいです!だんだんとパスが近づいてきています!!」
千矢様の鼻ときららさんのパス探知によって、クリエメイトの皆さんに近づいていきます。
ソラ様の封印もありますが、クリエメイトの皆様が優先です。そうしなければ、きっとわたしはソラ様に怒られてしまいますから。
千矢様の嗅覚を頼りに、きららさんがパスを読んだ辿り着いた先で―――八賢者ときららさんの戦いが、再び幕を開けました。
小梅様を捕らえていたのはシュガーとソルトで、二人は息の合ったコンビネーションできららさんを攻め立ててきました。
シュガーからソルトの攻撃が来たり、ソルトからそのままソルトの攻撃が来る……みたいな攪乱の戦法は、わたしなんかじゃ到底読み切れませんでした。こちらは戦える人がきららさん一人しかいないから、きららさんの集中する隙を作ることができれば、という時に千矢様が囮になると言ったのです。わたしは正直気が引けましたが、その結果きららさんは見た目に惑わされずに戦えるようになり―――そして、小梅様を取り戻すことに成功しました。
ノノ様を捕らえていたカルダモンは、小梅様の振り子・ユレールによる振り子占いで見つけた、のですが…
「―――きらら、あたしはね。君と本気で戦いたいんだ。」
「……それなら、千矢さん達を巻き込む必要はないはずです!」
「いや、あるよ。そうした方が君は確実に本気で戦ってくれるだろう?」
「―――ッ!!?」
「……君がここまで来たのは、誰かを守るためだ。生まれ育った村、出会ったクリエメイト、そしてそこにいるランプ………誰かを、何かを救うためにここにいる。君は救うため・守るためにこそ、本気を出すことが出来る。
さぁ、きらら。本気で戦おう。……クリエメイトを守るんだろう?」
カルダモンは、これまでにない身のこなしでクリエメイトの皆様全員を捕らえ、きららさんを挑発したのです。
……そこから始まったのは目には見えない高速のやりとりでした。手元どころか、姿そのものもブレて見え、第三者からは何が起こっているのか分からない始末。そこで出来たことは、マッチと一緒にきららさんの勝ちを祈ることだけでした。
…やがて、スピードが落ちてきて、お互いの姿を確認できるくらいに失速すると、不意にカルダモンが膝を付き、仰向けにひっくり返りました。
「きらら…確かに君の力、見せてもらったよ。
あたしを上回るとはね……すごく、面白かった。」
「「「……………。」」」
どうやら、きららさんが勝ったみたい。それは良かったんだけど、戦いの様子が速すぎて全く見えなかったわたし達からすると、何がなんだかなんだけどね……
「……どうして、カルダモンさんはここまでして私と本気で戦おうとしたんですか?」
「……あたしにとって、正義とは面白さだ。
八賢者になったのも、その方が面白いものが見られると思ったからだ。
アルシーヴ様もきららも、クリエメイトもローリエも、面白かった。」
「ローリエ先生も、ですか?」
「気になるかい?」
「えっと……それは…」
「あたしも気になったんだ。ローリエについてはね」
「!」
カルダモンとの会話の中に、ローリエ先生が出てきたことに私はビックリする。カルダモンが面白いもの好きなのは知ってたけれど………
「ローリエね、何かを隠してるみたいなんだ。
きらら達を敵対視してないし、何より作り出す発明品が面白い。いつ見ても飽きないんだ。アルシーヴに従ったのも……まぁ、面白いから。
そんな中きららの事を知ってね。砂漠で戦ってからというもの、どっちが面白いのかなってずっと思ってた。それで、本気で戦おうと思った」
カルダモンが本気での戦いを望んだ理由についてを聞きながらわたしが考えてた事は、やはりローリエ先生のことでした。
カルダモンがそこまで興味を引かれるローリエ先生が、神殿の入口までやってきて、不意打ちで紺様を攫った理由が、どうしても良くわからないままなんです。
「……でも、ローリエさんは紺様を誘拐しました。
許されることではないと思います。」
「え、そうなの? おかしいな………てっきり、ローリエはきらら達の事を敵として見ていないと思ったんだけど」
「それは……相手にするまでもないってことですか?」
「分かんない。今回の敵は誰って質問に、ドリアーテだとしか言ってなかったからな……そういう意味はないのかもしれない。詳しくは本人に訊きなよ。
あたしはここで休むとするよ。しばらくぶりに面白い戦いができたしね………………」
カルダモンはそこまで言うと、目を閉じて寝息をたてはじめました。これで、クリエメイトを捕らえることもわたし達の邪魔をする事はもうできなくなりました。
「まったく……勝手に満足してくれちゃって。」
「きららさん。千矢様達を迎えに行きましょう」
マッチがカルダモンの勝手さにため息をつく。わたしは、きららさんにそう言うと、カルダモンに捕らえられた皆様を迎えに駆け出しました。
◇◆◇◆◇
「これで、あとは二人か。」
「うん……それも、二人同じ場所にいるみたい。」
「紺様はローリエ先生に捕まっています。そして、返してほしければ部屋まで来い、とも言っていました。
だからきっと……二人揃って部屋にいるのかもしれません。」
「コッチヨ」
「ありがと、マツコさん」
助け出したノノ様によるマツコ様の占いときららさんのパス探知を頼りに、ローリエ先生の部屋まで近づいてきています。
あと少し……あと少しで、皆様が合流できます!
「…! 見て、あそこ…!」
「? 人がいるわね……」
「アリサさんです。八賢者ローリエさんの助手、ということなんですが………!」
茶色のおさげに黒いローブ、そして金色の装飾品……何より、ジンジャーの街で綾様と陽子様といた顔ぶれ。間違いない。あれが、アリサさんですね。
セレウスとの戦いでは、風や高火力な炎できららさんやクリエメイトをサポートしましたが……いざ戦うとなると、厄介になるでしょうね―――
「……きららさん。お待ちしておりました」
「えっ……?」
そう思ったのもつかの間、アリサさんからまさかの歓迎の言葉をかけられました。今までの八賢者とは戦ってばかりでしたし、カルダモンに至っては本気のぶつかり合いだったから、この対応は予想していませんでした。
「クリエメイトが待っています。部屋にお入りください」
「あれっ、扉が開いて―――千矢!小梅!ノノ!」
「あーーっ、紺だ!臣もいる!」
「良かったわ……!」
「……どうして、通してくれたんですか?」
「このお部屋に、見せたいものがあるそうです」
クリエメイトを部屋の中で再会させてくれたアリサさんによると、どうやら……ローリエ先生がわたし達に見せたいものがあるそうでして。確実にここに来てもらう為に紺様を攫ったのだそうです。
「見せたいもの?」
「臣さんが今持っているものです」
よくよく見てみると……確かに、臣様が本を持っていました。アレに一体何が書かれているのでしょうか?
と、とりあえず今は……
「臣様!!紺様!!」
「はいっ!?」
「うわっ!? な、何かな?」
「はうぁぁぁ〜〜〜〜〜〜、本物です……!
占ってください!お代ならいくらでも出すので!!!」
「……………………えと、まず貴方の事を聞かせてくれる?」
「臣、どうして今の答えに間があったの?」
臣様のお金にどん欲なところも素敵です!!
わたしのアピールがマッチに流される事もありましたが、その後自己紹介等も終わり、本題だという臣様が持ってた本についての話になります。
「それで……この本が、見せたいものだってことでしたが……」
「はい。ローリエさんからは、その本の中身を皆さんに見せろと言われております」
「……鍵かかってるんだけど」
臣様が持っていた、アリサさん曰く「わたし達に見せたい本」は、頑丈なカギがかかっているようで、このままでは開いて中を見ることができません。鍵穴らしき場所も見た限りありませんし……
「…あ、ここに何かの文字盤があるよ!」
きららさんが声をあげる。
皆できららさんが見つけたものを見てみると、確かに…五十音の文字盤のようなものが本の重厚なカギについていました。
「これは……
「でも、なんで鍵にこんなものがついてるの?」
「ま、まさか……」
「どうしたの、マッチ?」
「…ひょっとしてアリサ。君は、この鍵は『合言葉』を入力しないと開かないとか……
そういうタイプの鍵だ………なんて言うんじゃあないだろうな?」
「はい。その通りです」
「「「「「「「「!!!!?」」」」」」」」
小梅様とマッチによって、五十音の文字盤の意味が分かると同時に、わたし達は………軽く絶望しました。
つ、つまり……聖典でいうところの『パスワード』のシステムですよね!? 決まった言葉を入力しない限り、鍵が開かないという、あの!!?
「ぱ、パスワードですって!?そんなの…無茶苦茶です!!
わたし達はこの鍵のパスワードなんて知りませんよ! 開けられるはずがありません!!」
「た、確かに…『
ローリエ先生はいったい、何を考えているんでしょう!?
わたしは転移陣の前に魔道具で伝言したり、紺様を攫ってまで教えたいことがあるというから、皆でここまで来たって言うのに……
そこまで来て、ようやくの手がかりが「鍵がかかっていて読めません」なんて…そんなのあんまりです!
「ローリエさん曰く…忘れた時の為のヒントが裏に書かれてるみたいです」
「あの……アリサ、さん? 貴方が教えるんじゃあダメなのかしら?」
「ごめんなさい……私はヒントをもってしてもパスワードが分かりませんでした」
「……?? どういうこと?」
「見れば分かると思います」
紺様の質問に対するアリサさんの答えの意味を分かりかねないまま、きららさんが鍵のかかった本をひっくり返します。すると…そこには、こんな文が書かれていました。
『ヒント:初代総理大臣』
単純明快にソレがヒントだと書かれている文を読んで。
それを、何度も読み返す。 ―――その、
「……あの、そうりだいじんって何ですか?」
わたしが聞こうと思っていた事を、きららさんが口にしました。
アリサさんは、その言葉に目を見開きます。
「……知らないんですか?」
「はい…初めて見ました。」
「聖典でも見たことのない単語ですね…」
「『大臣』ってあるくらいだから、何らかの役職で、『初代』だからそれに最初についた人間なんだろうけど…」
「つ、つまり……コレを開ける『
臣様の言葉に、わたし達は困り果ててしまいました。
だって……真実が書かれているものには鍵がかかっていて、しかもそれを開けるのに人の名前のパスワードが必要だなんて………
暗証番号だったら、時間はかかるけど何種類か入力していけば、いずれは開けることができるかもしれません。でも、パスワードではその方法は使えません。ヒントでパスワードが『人の名前』だという事は分かりましたが、それでも殆ど何も絞れていませんよ……
「ねぇ、アリサさん。この本のパスワードや中身について、ローリエさんから他に何か聞いていないんですか?」
「そうですね………まず中身ですが、今までの日誌だと聞いています」
「日誌? …え、なんか、もっと重大なものだとばっかし思ってましたけど……」
「それと、パスワードについてですが……
「……私、ですか?」
「でも、『初代総理大臣』に心当たりはないんですよね?」
「はい……」
…ローリエ先生ときららさんにしか分からないパスワード?
ローリエ先生はパスワードを設定した人だからともかく、きららさんなら分かるってどういう意味なんでしょう?
きららさん本人は、『初代総理大臣』について心当たりはないと言っていますが……
「……ひょっとして、クリエメイト関連の言葉なんでしょうか?」
「え、でも……私達は知らないよ?」
「千矢達に限った話じゃあないんだ。きららは、クリエメイトを召喚する事もできる。
シュガーとソルトと戦った時にも見ただろう?」
「……あ! あの子たちの!!」
「きらら、『コール』で誰か呼び出してみてくれ!!もしかしたらパスワードが分かるかもしれない!!」
「はい!」
きららさんが杖を振り、『コール』を使う。
すると、天井が光りだし、そこから一人のクリエメイトが降りてきました。
言ノ葉の都市で出会った、綾様です!!
「きらら、どうしたの? 急に呼び出すなんて」
「すみません、綾さん、少し聞きたいことができまして……」
呼びかけに応じて現れた綾様にきららさんが事のなりゆきを話します。とはいえ、『本のパスワードを解いて欲しい』なんて、ちょっと難しい気もしますが…
そして、綾様に件の鍵のかかった本とパスワードを見せれば、少し不安そうだった綾様の表情が晴れました。
「あぁ、なるほどね。これなら行けるわ」
明るい声の綾様が、すぐに文字盤を打ち始めました。全員で綾様のしなやかな指先を目で追っていきます。
ふぉぉぉぉ………なんだか、声が出そうです……!
「……………あの、ランプ?」
「…あ、はい!なんでしょう?」
「そんなにマジマジと見ないで!」
「ご、ごめんなさい!!!」
そんなやりとりもしながら、綾様が打ち出した合言葉は…………
い…とう…ひ…ろ…ふ…゛…み……
いとう、ひろぶみ?
「綾様、いとうひろぶみ、とは……?」
「伊藤博文ね。日本で、初めて総理大臣になった人の名前よ。ヒントが正しいなら、これで開くはず……」
綾様がエンターキーを押す。すると、どうでしょう!
『パスワードヲ確認シマシタ』という文字が浮かび上がり、ガチャっという音と共に、これまでしっかり本を開かせまいとしていた重厚な鍵が、見事に開いたではありませんか!!
「すごいです! さすが綾様……!」
「そ、そんな事ないわよ! こんなの、歴史の授業で習ったものだし…」
「その知識がとても助かりました。ありがとうございます」
「そ…そう、かしら? まぁ…また何かあったら呼んでね?」
「本当にありがとうございました!!」
わたし達の心からの感謝に頬を赤くしてそう呟くと、綾様は光の粒子に包まれて帰っていきました。
これで、ようやくローリエ先生の本の中身を確認することができます!
紺様を誘拐してまでここに誘導してきて、何を見せたがっていたのか。それがようやく分かります!
「やれやれ。どうなるかと思ったけど、本が読めるようで良かった。
綾が鍵を開けられなかったら、ここに来た意味が半分無くなってしまうからね」
「それで……なんて書いてあるんですか、きららさん!」
本を開いたきららさんに声をかけますが……返事がありません。
集中して読んでいるんだな………最初はそう思いました。
でも…なんだか、様子がおかしいことに気づきました。
ローリエさんの本を読んでいたきららさんの顔色が―――だんだんと、悪くなっていったんです。
「……きらら、さん?」
「ら、ランプ……マッチ……これ……!!!」
「一体何が書いてあったというんだい?」
きららさんの手から力なく渡された本を受け取ってマッチと一緒に読んでいきます。どれどれ…
◆◇◆◇◆
〇月×日
ソラちゃんが呪われた。下手人は全身をローブに包んだ男だ。
俺とハッカちゃんで追いかけるも、逃げられてしまった。
アルシーヴちゃんが封印してくれたお陰で即死はしていないが、
エトワリア創史以来の未曽有の危機だ。
〇月△日
アルシーヴちゃんは、ソラちゃんを救うためにクリエを集め始めた。
ソラちゃんの呪いの解呪には、大量のクリエが必要だからだ。
フェンネルやカルダモンの出張が多くなり、俺にも仕事が回ってきた。
それは『犯人捜査』。大切な幼馴染を呪った奴だ、必ず見つけてやる。
★月〇日
犯人捜査の任務に失敗した。容疑者のソウマ氏が口封じされた。
オレンジの長髪が目立つ、俺の銃すら物ともしない不死鳥のような女に。
ソウマ氏の妹であるアリサという少女は保護に成功したが……
ここから先どうしたものか。
★月●日
オーダーによって『イモルト・ドーロ』が現れた。
俺はすぐそこに突入し、つい今しがた夏帆ちゃんを保護した。
だがクロモンがクリエメイトを殺しに来てたぞ?
神殿では絶対出さない指示だ。マジでどうなってんだ?
□月▽日
ビブリオを操っていた奴はドリアーテという名の女のようだ。
亡きソウマ氏を脅していたのもコイツだという裏付けもアリ。
これで、俺が事を構える相手を見つけることはできた。
あとは、どうやってこの女を表舞台に出すか、だ。
□月☆日
ドリアーテについて分かったことを書いていく。
・かつては神殿に所属していた(神官か女神候補生か?)
・神殿より先の詳細な記録がない(行方不明扱い?)
→『不燃の魂術』行使で追放?
・追放後、身を潜めながら仲間・駒集めか
→サルモネラ、ビブリオ、セレウス、暗殺者の少年など
・エイダを人質に、神殿側ときらら達排除をナットに依頼
◆◇◆◇◆
「………………………うそ」
言葉が、それしか出ませんでした。
他にも真実が、ページをめくるたびに次々と出てくる。
―――わたし達がハッカの世界に囚われている間に、先生はドリアーテの刺客と戦っていたこと。
―――先生がナットさんを送り届けた後に、ユニ様の幽霊にお会いしたこと。
―――セレウスを無力化して、都市から霧を晴らしたこと。
―――先生がソラ様を呪った呪術師を探していたこと。
―――そもそも、ソラ様は呪いをかけられ、封印しなければ命がなかったこと。
今まで信じていたものが崩れ去っていく。アルシーヴは…アルシーヴ先生はつまり……
―――ソラ様を、助けるために『オーダー』を使っていた……?
「…………これ、本当なのかい?」
「……はい。すべて、私の兄が……いえ。
私が人質になるくらいに弱かったからです」
「それは違います!! アリサさんは悪くありません!!!」
マッチと、きららさんと、アリサさんの声が遠い、です。
内容は……耳に入ってきません。
「ソラ様を呪うように言ったのはドリアーテです!
ソウマさんとアリサさんは利用されただけじゃあないですか!」
わたしがいままでしんじてきたものはなんだったの?
だってわたしは、ソラ様が、のろわれるのをみて―――
―――それで、アルシーヴがまちがっているっておもって、とび出して。
きららさんと出会って、いろんなクリエメイトと出会って、ここまできて……
………それがぜんぶ、ムダだったってこと……?
「そう思うよね、ランプ?」
「………」
「……ランプ?」
「――――――ぁ?」
いきなり話を振られてきて、驚いたわたしがもう一回言うようにきららさんに言おうとした時。
身の異変に気が付きました。
「―――っ! ―――ぇっ!! ―――ぁっ!!!」
…嘘!? どうして…!?
―――声が、出ない……!!!
「だ、大丈夫!? どうしたの、ランプっ!!!」
「しっかりするんだ、ランプ!!!」
喉をおさえ、丸くなってしゃがみ込むわたしに、マッチが駆け寄りきららさんは背中を撫でる。
でも、心にぽっかり穴が開いたような気分はぜんぜんおさまらなくって。
周りがだんだん真っ暗になっていく。
とても悲しくって……なみだがとまらなくって……
あるはずのない視線が、突き刺さるのを感じる。
……やがて、聞こえないはずの非難の声が………聞こえるようになる。
『ほ~ら、やっぱりランプはダメダメのへっぽこじゃん!』
『アルシーヴ様に従っていれば良かったものを。』
『この程度なんだ。なんだか、思ったよりもつまんないね』
『やはりランプごときではどだい無理な話だったのです』
『おいおい…私をどこまでガッカリさせる気だ?』
『やはり、正しいのはアルシーヴ様なのです!』
『聖典を読むしか能のないランプにはお似合いの末路。』
『英雄ごっこは仕舞いだ、ランプ。』
「(ち…ちがう! おしまいなんかじゃない! 諦めたくない!)」
心がそう叫んでいるはずなのに、身体がまったく言うことを聞いてくれない。
みんなみんな……わたしをみつめてくる。『オマエハムリョクダ』っていって、私の中のあったかい何かを奪おうとしてくる。
―――その時でした。
「ランプちゃん!!!」
「―――ッ!!?」
「―――ちょっとここで、占っていかない?」
臣様が、千矢様が、紺様が、小梅様が、ノノ様が。
何かを決めたような瞳でこちらにそう呼びかけてきたのは。
キャラクター紹介&解説
きらら&マッチ
八賢者を数々退けてきた召喚士の原作主人公とマスコット。ローリエの衝撃的な事実に比較的耐えることができた。きらら達はここでアリサの正体を知る。彼女たちからすれば、アリサは『エイダと同じように、巻き込まれただけの人』と認識している。実際、エイダ&ナットとアリサ&ソウマがドリアーテからされた仕打ちは、結末こそ違えどよく似ている。
ランプ
ローリエの真実を目の当たりにして、折れかかっている女神候補生。あまりのストレスと喪失感から、一時的に声を失うショック症状を患ってしまった。
千矢&巽紺&雪見小梅&棗ノノ&二条臣
きららに救出されたクリエメイト達。ローリエの本に書かれた真実には当然ビックリしたが、ランプの並々ならぬ異常に気付いたことをきっかけに、彼女たちなりの方法でランプを導こうと決意する。詳細は次回にて。
シュガー&ソルト&カルダモン
きららとの戦闘シーンが軽くキンクリされた人たち。詳しい違いこそ生まれているものの、大体は同じなので泣く泣くカットに。最終章は拙作らしくオリジナリティ多めにいきたいと思ったが故の犠牲である。
アリサ・ジャグランテ
ローリエの部屋の前でスタンバり、きららを部屋内に入れるよう頼まれていた呪術師。兄・ソウマが大罪を犯した挙句口封じに殺されたことをきららとマッチに話し、協力を取り付けようとするも、ランプの異常事態にそれどころではなくなった。
小路綾
きららの呼びかけに応じ、パスワードを解くためだけにやってきたもえぎ高校女子高生。彼女が来たのは単なる偶然で、もしこのタイミングで勉強(特に歴史)が苦手な陽子や忍、ココアあたりが来ていたらそれはそれで面白い事態になっていたが、確実にグダっていただろう。
伊藤博文
日本・明治時代の政治家にして、元内閣総理大臣(初代)。大日本帝国憲法の制定を中心に、日本に立憲政治を定着させることに大きく貢献した人物である。拙作では、ローリエのパスワードとして名前のみ登場。
うらら迷路帖
はり○も氏によって連載されていた漫画。2014年連載開始、2019年完結。女性の花型職業であり、女の子の憧れともいえる占い師「うらら」が治める町である迷路町にやってきた見習いうららの千矢が、同志である巽紺、雪見小梅、棗ノノ、二条臣と共に、最高のうらら・一番占を目指していくというストーリー。2017年にはアニメ化され、クセのあるOPテーマで話題となった。
迷路帖のうらら達が総理大臣を知らない理由
そもそも、『うらら迷路帖』の世界観(特に迷路帖の外)や時代設定が非常に曖昧で、フランスなどという単語から国関係は明治・大正初期とほぼ同じと思われるが、原作コミック1巻にては○かも氏が「明治・大正初期の町で占い冒険活劇だったがあえなくボツになった」旨の発言をしていることから、日本とよく似ているが別のファンタジー時空と推測できる。
拙作では、多少の矛盾は覚悟の上で「うらら迷路帖の世界は日本によく似てるがちょこっと違う」という設定にした。まぁ、山育ちの千矢は仮に総理大臣という役職が存在したとしても知らなそうではあるが。
きららとローリエだけが開けられるパスワード
ローリエは、己ときららにしか分からないパスワードを設定し、その中に女神呪殺未遂事件の資料を封印した。その際に何をパスワードにしたかといえば……『現実世界(つまり我々が生きている世界)で通っている常識(できれば義務教育範囲内)で、なおかつ聖典に記されていない事象』である。
この条件でパスワードを設定すれば、現実世界で生きてきたローリエやクリエメイトを『コール』で呼び出し知恵を借りることができるきらら以外には破られないだろうと考えたのである。
△▼△▼△▼
ランプ「―――っ!!」
臣「無理しないで。よく分からないけど、本の内容がそれほどショックだったみたいね」
紺「分かるわ、その気持ち……私も、不安になることはあるもの」
小梅「なら、占えばいいのよ!うららって、そういう仕事なんだから!」
千矢「よ~~し、やってみよう!」
次回『予知夢とくろう、時々信念』
臣「次回もお楽しみに!」
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コレで最後DA!きらファン登場作品の中で、最も好きな作品は次のうちどれ?
-
きんいろモザイク
-
夢喰いメリー
-
ゆるキャン△
-
まちカドまぞく
-
ご注文はうさぎですか?
-
その他(コメントにて!)