きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者 作:伝説の超三毛猫
オススメBGMはコチラ『血戦 身命を賭して』です。世界樹の迷宮が多い?気にするな!大切なのは、ローリエの「大切な人の為に己の身を張る」という精神が伝わる事なのだからな!
サブタイトルの元ネタは「ソードアート・オンライン アリシゼーション」より「ぼくの英雄」。
“信じるべきは自分自身。頼るべきは己の記憶。”
…元女神ユニドリアーテ
“大事なモンのためならば……この古びた魂、いくらでも使ってやらァ!!!!”
…ローリエ・ベルベット
―――目の前の光景が、信じられなかった。
それは、あっという間のことだった。
「―――ロー、リエ?」
「――――――ぇ、――ぁ…!!
――せ…先生ッッ!!!!!!」
さっきまでデトリア様だったドリアーテが、ローリエ先生のお腹に、剣を突き刺して―――っ!!
いや、ちがう。わたし達を庇ってくれた………!?
「おにーちゃんっ!!! ソルト!」
「ええ、分かってますッ! しかし…!!」
「ローリエッ! この、邪魔しないで…っ!」
他の賢者達は…シュガーも、ソルトも、フェンネルもカルダモンもアルシーヴ先生も、ドリアーテが出してきた炎の鷹やおっきな牛に邪魔されて、こっちに来れる気配じゃない。
「無駄だ。アイツらは助けに来れない。
コイツは死ぬ。私の邪魔を散々したんだ。それくらい当然だよなァァァーーーーッ!!!」
「そんな……!」
そこで呟いたことで気づく。声が出るようになった事を。……全然、安心してる場合じゃないけど。
声が出たことに驚いていると、ドリアーテが先生に突き刺した剣をグリグリ回し始める。
「やめなさいドリアーテ! 先生が…死んでしまいます!!」
「愚かな……『やめて』の一言で殺し合いが止まると思っているのか?」
「―――っ!! デトリア様の姿で言っていた事は嘘だったんですかっ! 『わたしの味方だ』って…『応援する』って言ったのは……全部ウソだったんですかッ!!!」
戻ったばかりの声を張り上げて、ドリアーテをきっと見ると、ドリアーテの手が止まった。…よし。きっと心に届いているんだ。このまま―――
「……ウソじゃありませんよ」
「えっ?」
意外な答えに驚く。見ると、とてつもなく若かったドリアーテが、どんどん背が縮み、シワが増えて、わたし達のよく知るデトリア様のお姿になったではありませんか!
「わたしがランプちゃんを応援しているのは、本当でしたよ。現に、ランプちゃんはよく動いてくれました。」
「で…デトリア様?」
「行く先々で『オーダー』を止めてくれた。それが、アルシーヴの命を無駄に削る行為とは知らずにね。
『信じるべきは自分自身。頼るべきは己の記憶』。この信念のまま動いて、私の為になってくれたわ。」
「え…? えっ………??」
そして、デトリア様の声で語り始める……ローリエ先生に、剣を突き刺したまま。
それがなんだか怖くて、止めたかった。でも、足が動かない。
「それ…ユニ様の座右の銘……」
「…ふふふ。ランプちゃんは単純で助かるわ。ユニにそんな座右の銘ないのにね。ソレは私の座右の銘よ。」
「うそ…」
「ホントよ。でも、ランプちゃんの味方なのも応援してるのもホント。なんなら、エトワリアには貴方のような子が必要ってのも貴方が正しいって言ったのもホントだわ。……本当に助かったのよ? 貴方がいて良かったわ。
―――貴方みたいな、単純脳ミソでとてつもなく騙しやすい馬鹿がね……!!!」
「う……うぅぅ………!」
「ありがとうね、ランプちゃん。お陰でアルシーヴちゃんもソラちゃんも、賢者共も召喚士も、気兼ねなく始末できそうよ。エトワリアの滅亡だって、少しだけラクになったわ」
ユニ様の座右の銘も、私の味方だってのも、ウソだった。全部に嘘をつかれた訳じゃなかったけど、騙されたことに変わりはない。
「ふざけるな、ドリアーテ! それは…お前の都合の良いようにランプを利用しただけだろっ!!
お前はランプの味方でもなんでもない!! ランプは……お前の操り人形なんかじゃないっ!!!」
「フンッッ!!」
「ぐああああっ!!?」
「マッチ!!?」
「子守り動物風情が……人間の言葉を使うな。烏滸がましい……」
そんな…マッチが……ドリアーテの放った炎に当たって、爆発して吹き飛ばされた!!
許せない。信じていたのに……裏切るなんて。それに、こんな…アルシーヴ先生の覚悟も、きららさんの優しさも、全部踏みにじるなんて………!!
今度はデトリア様がどんどん若返っていく。そして、きららさん達と戦っていた、ドリアーテの姿に戻った。そこで、嫌でも分かってしまった。
デトリア様がくれた言葉は……全部、私を利用する為だったってことに。
「……っと。ランプ。お前は本当に使いやすい
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーっ!!!!」
悔しくて、悲しくて、許せなくって。
ドリアーテの笑い声に、全力で声を張り上げて聞こえないようにするしか、なかった。
◇◆◇◆◇
「弁明は終わりましたか、ドリアーテ」
「ソラ、様……?」
自分でもゾッとするような、冷たい声が出た。
久しぶりに目が覚めたと思ったら、目の前で色んな事が起こったからだ。
アルシーヴから呪いを解く方法を聞かされて、ランプから聖典を受け取って、かと思ったら賢者のみんなが炎の動物に襲われ―――そして、炎を纏った見知らぬ女性に、ローリエが刺されて。
まだ混乱しているけど……ランプと目の前のオレンジの長い髪の女――デトリア様とかドリアーテって呼ばれてた上に急速に老けるようにデトリア様に変身したからデトリア様=ドリアーテだと思うけど――との会話で、色々なことが判明した。
アルシーヴの『オーダー』を「クリエメイトには危険だから」ってランプが止めていた事。
でもドリアーテはその事実を「アルシーヴの命を削るために」利用したこと。
そして、この人こそ、エトワリアを滅ぼそうとしていること。
ドリアーテがランプの心を抉っているのに気付いた私は、すぐにランプの前に立った。これ以上、子供に対する身勝手な大人のいじめをさせないために。
「貴方のしでかした事は、もはや永遠の命をもってしても償えるものではありません」
「お前は頭脳がマヌケか? 死にぞこないの女神ソラ。
裁かれるべきは私ではない。私を追い回した異常者共……ひいてはそれを指示した神殿。見て見ぬふりをした愚民共だ。」
封印解きたてな上に呪いで痛む体にムチを打って立ち上がり、そう言い放てば、ドリアーテは不敵にもそんなことを言い返してきた。自分は悪くない、裁かれるべきは自分じゃないって……ここまでのことを招いておいて…エトワリアを滅ぼそうとしているのに、本気で言っているの?
「貴様らに数える罪があっても、私にそれはない。なぜなら私は不死だから。貴様らとは違う、特別なのだよ。
法、道徳、誇り、優しさ……そんなくだらぬものに縛られている馬鹿や異常者に、私は裁けん。私を好きにできるのは私のみ!! 私が裁くと言ったら裁かれよ!私が死ねと言ったら死に絶えろ!私が支配すると言ったらそれに従え!! この世界のルールはただ一人……このドリアーテだっ!!!」
それは、まるで自身の考えに一点の曇りもない、間違いなんてないと言わんばかりの態度。宇宙の真理を語っているかのような口ぶり。
でも……肝心の中身は、自分本位。この一言に尽きる。自分は特別だから、何をしても許される―――理解できない。到底、許すわけにはいかない暴論だ。
アルシーヴは、苦しそうな顔で、私を生かすために、私を封印した。
ローリエは、私を呪ってきた襲撃者に大怪我をさせてでも、私を守ろうとした。
二人の覚悟を、目の前のこの女は侮辱し、否定した。それに、エトワリア滅亡が目的ということは、エトワリアに住むすべての人を巻き込むことと同義。看過するわけにはいかない。
「……なんという大逆無道。もはや慈悲はありません」
「くだらなくなんかない! ここまでの旅路も、きららさんやクリエメイトの皆様との絆も!
わたしはたくさんのものを貰ってきた! あなたみたいな……“なにもない人”に負けません!」
ドリアーテ、私は貴方を許すわけにはいきません。
女神らしく威厳たっぷりにそう言うと、ランプも立ち上がって決意の籠った目で、ドリアーテを見据える。
良い目ね、ランプ。貴方が堂々とそう言えるようになった……その理由であろう、「ここまでの旅路」を見てみたかったわ。
「負け惜しみか、女神ソラに虫ケラのランプ。悲しくなってくるねぇ。
―――貴様らも所詮はあの男の後を追うしかないというのにな!!」
どれだけ強がっても、呪われた私とまだ女神候補生のランプに変わりはない。
そんな現実を突きつけたドリアーテが、燃え上がった。
「……………よく…言った、二人とも」
「「「!!!!」」」
え!!?―――い、いまローリエの声が…!?
ローリエを見れば、剣をお腹に突き刺したまま、私達の前に立っている!!
ち、血がポタポタ垂れているのに……!! 痛そうなんてレベルじゃあない! 見てるこっちが痛いくらいだわ!!
「さっきっから、黙って聞いていれば……コイツの言っていることは全部…“
法や誇り…優しさ……『それに縛られるのは馬鹿だ』と言っていたが……
自分以外の誰も信じず、人を利用することばかり考える……ゆえに、ヤツの手には何も残らない。オマケにそれに気付かないまま、自分以外のすべてが“異常”に見えるんだ。
………怒りを通り越して、最早哀れだな」
その言葉は、胸にすとん、と落ちたかのように妙に説得力がある言葉だった。
哀れ、か。言われてみれば………そうかもしれない。法やルールならともかく、誇りや優しさを『縛るもの』って言ってくるドリアーテには、なにか違和感を覚えたもの。
ローリエの言葉を聞いたドリアーテは、青筋を立てて、歯を食いしばり……まさに「怒り心頭」って感じだった。
「哀れ………だと…!? ふざけるんじゃあないぞ…!
哀れっていうのは…貴様のことだッ!! 今にも死にそうな……貴様のことを言うんだッ!!!」
「お前に理解できるとは思っていない……特に、自分だけが正常だと勘違いしている、お前のようなヤツにはな…」
「黙れ貴様ァァァァ!!!!」
「危ないっ!!!」
ローリエにさっきの炎の剣が迫ってくる!
これ以上、この人に怪我を負わせたら…本当に死んでしまうかもしれない!!
そう思って、なかなか言う事を聞かない足を動かしてローリエを庇おうとした………その時。
「……ま、間に合った…!」
「アリサ、さん…!?」
黒いローブを纏って金色の首飾りをした茶髪の女の子が、襲ってきた炎を吹き飛ばした。
ランプの言葉とこの行動から考えるに、味方っぽいけど………?
「ナイス、タイミングだ………!」
「無茶はやめてください!! 重傷ですよ、それ!」
アリサって呼ばれた子が、ローリエを叱りつける。
けど、ローリエは今も尚血が止まらないくらいの大怪我を気にしていないような口ぶりを笑みで、こう言った。
「悪いが…それは聞けないな………なぜなら、ここの皆は……俺の命よりも、大切なものだからだ」
「ローリエ……」
「賢者のみんなも…ランプも…きららちゃん達も…ソラちゃんやアルシーヴちゃんも……みんな、俺が守りたい人だ!!
大事なモンのためならば……この古びた魂、いくらでも使ってやらァ!!!!」
痛いでしょうに、まだ戦うみたいだ、私の幼馴染は。
現に、ローリエが作った拳銃に、弾を装填しているのが見えた。
「ソラちゃん、ランプの日記帳を……いや、『聖典』を読むんだ」
突然、私に出された指示。その内容に驚いた。ら、ランプが聖典を書いたってこと?………それに、ランプの日記帳から聖典って言い直した意味は……?
「読めば分かる。時間は俺が――俺達が稼ぐから、早く」
真っ直ぐこっちを見てからの「読めば分かる」を信じて頷くと、すぐにランプが渡してくれた日記帳を読んでみる。
「させると思うなよ…!『プロミネント―――」
「『
「『アイスジャベリン』!」
「ぬっ!?」
その様子を見て、私に手を向け何かを放とうとしたドリアーテに、氷の槍の数々と大きな滝のような流水が、魔方陣から襲いかかった。
「ハッカ、参上。ソラ様を守護する」
「ソラには指一本触れさせん!」
「先生! ハッカも…!」
ハッカとアルシーヴだ。私達を守るように並び立っている。
「貴様ら……『ルーヴェンボルケーノ』を当てたはずだ……3体も! なのに、何故……」
「私をそこまで低く見積もるとは…悲しいですね、デトリア様。それとも、長生きのしすぎで耄碌したか? この私にはあの程度……造作もないッ!!
……ソラ様! 速やかに聖典を!!」
再び氷の槍をドリアーテに降らせながら、アルシーヴは私に言う。ハッカも、こっちを見てこくりと頷いて、かと思えばドリアーテに水属性魔法を放っていた。
「……ありがとう、みんな!」
一言、感謝を告げてから、ランプの日記帳を開いてみる。
――今日は海がみえる町にいきました。風がちょっとしょっぱかったです。
――今日はさばくにいきました。みわたすかぎりすなだらけで、とてもあつかったです。水とうの水も、あっという間になくなりました。
――今日はすずしいところにいきました。この間のさばくより、ずっとあつくないと思いました。
「……なんだか、かわいい文章ね」
「そ、ソラ様の聖典に比べたら、非常につたないですので、なんだか申し訳無いです……」
「い、いえ、その…別に悪くないと思―――んん??」
「ど、どうしました?」
「なんだか、急に文章が難しくなった場所があったような………あ、これ……」
――それは太陽の光を跳ね返す、艶やかで鮮やかな黒髪を持った女性だった。
「……うん。」
――そのシャベルは、女王を守る近衛の盾のように、ゆき様を狙った不届きな矢を弾き飛ばした。そして、振り返った姿はまさしく戦乙女のそれであり、わたしは心のどこかで必ず助かるという確信をこの時、得ていた。
――都市に舞い降りたのは二人の天使。金髪をたくわえた二人は、街中の人々をあっという間に魅了していった。
「これは……!」
――お星様かと思った。どれだけ暗くとも、離れていても、わたしに突き刺さる芯の強いまたたきにわたしはときめいていた。わたしはいつまでもついていくと誓った。闇を照らす星のような人――きららさんに
「すごい……!」
日記帳を通して…ランプの熱意が、クリエメイトや聖典への愛が、伝わってくる……!!
「えっ―――に、日記帳から、光が!!?」
ランプの言葉と同時に、日記帳の開いたページから、光が溢れ出す。
眩しくて、目も開けられなかったけど、とっても暖かい光だった。
光を浴びる感覚を覚えるのと同時に、身体の中の何か…とても悪いものや、身体の怠さや痛みが、全て吹き飛んでいくのを感じた。
「ば…バカな。本当に……聖典に――ぐあああああああああああああああッ!?!?!?」
それは、アルシーヴの元へ行って嫌な予感を相談した、運命のあの夜にかけられた呪いが。
あの日から始まった、私を蝕み続け、おそらくアルシーヴ達に無理をさせた、忌まわしき因縁が。
この瞬間に、消え去っていくことを意味していた。
◇◆◇◆◇
新たな聖典の光が、この場に満ちた。
そして、ソラちゃんの呪いがその身からかき消されたのを確認した俺は、すぐにドリアーテに銃口を向ける。
そのドリアーテだが、聖典の光をモロに浴びたからなのか、未だに苦しんでおり、軽い錯乱状態に陥っている。
「あらゆる傷を再生していたドリアーテが苦しんでいる……!?」
「やはり……聖典が弱点だったのか。不燃の魂術」
「…詳細求む。」
たまたま俺の近くにいたハッカちゃんが俺の言葉を拾ったので、この際だからと説明する。
「不燃の魂術………いままで、弱点が不明だった。だがそのリアクションで確信できたぜ。
ドリアーテ…お前、俺達のように『聖典を読んでクリエを回復すること』ができないんだろ?」
「!!!!」
ドリアーテの動揺っぷりは、今の質問の答えを語らずに、如実に語っていた。
やはりな。オッサン・フェンネル・きららちゃんの四人で戦った時、俺は見ていたのだ―――周囲の土や植物、空気からクリエを奪って、身体を再生するさまを。
一見、絶望的な光景に見えるだろう。だが、ぶっちゃけ俺はそんな事をする必要性が分からなかった。基本、クリエは聖典でしか回復できないからだ。魔力回復薬みたいなのがあるとはいえ、魔力の大本・クリエまでは回復できない。だから俺は考えた。………聖典で回復しないんじゃなくって、
本来、聖典は人々の減ったクリエを回復するものだ。だが、『不燃の魂術』を使って永遠の命を手に入れてしまうと、体内のクリエが変質して、聖典の純粋なクリエでは回復が出来なくなっちゃうんじゃないだろうか? それどころか、あの苦しみようなら、むしろ
つまり、ソラちゃんとランプが日記帳のやりとりを見て襲い掛かったのは、新たな聖典がワンチャン誕生してソラちゃんの呪いが解ける事だけじゃあなくって、自分自身の弱点が生まれかねなかったから、燃やそうとしていたんだな。
「『不燃の魂術』は、不死身の身体を手に入れる事ができる代わりに、今まで聖典を綴ってきた女神達から見放される禁忌だったんだ。
聖典を読むと、クリエが回復するどころか、自身のクリエが減ってっちゃうんだよ………きっとな」
さて、不死身のドリアーテとも散々戦ってきたが、そろそろ幕引きといこうか。
作戦の最終段階に突入して、ドリアーテをこのまま
銃口の照準をピッタリ合わせて―――
「――っとと……マズい…!」
ふらっとした。銃口がブレるし、全身の力がいま一瞬抜けた気がする。
さっきの一撃で血を流し過ぎたな………ヤバいぞコレ。
前世の死にざまよりかは痛くないけど、身体が冷えてく感じがなんかやだな。
くたばる前にとっとと決めちゃおう―――と思ったところで、温かい感触が俺に伝わってきた。
「無茶をするな、ローリエ」
「己一人で背負い込むべからず」
「大丈夫ですか、先生?」
温もりの正体は、アルシーヴちゃんとハッカちゃんとランプだった。
アルシーヴちゃんとハッカちゃんが、俺の両脇で支えてくれ、銃を持つ手にそれぞれの手を添えてくれた。
ランプはランプで、俺の足…特に膝ががくっといかないようにしてくれてるみたいだ。
「……悪い、正直超助かった。愛してるぜ」
「無駄口は良い。弾は入ってるんだろうな?」
「おう、超・特別製のヤツだぜ。ソラちゃん!呪いが解けたなら、転送魔法の準備だ!!」
「えっ? あっ、わかった!」
三人で狙いを定める。そしてそれが、まだ聖典のクリエにやられてまだ立ち直れないドリアーテに向けて―――
「
―――放たれた。
最終決戦直前で出来上がった、至高の一発。賢者のみんなに魔力を分けてもらった結果完成した、必殺の弾丸。
「なっ―――グあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
真っ白な軌跡を通って、咄嗟にドリアーテが出してきた炎の壁や鷹を自ら回避して、レーザービームのように戦場を突き抜けた弾丸は、寸分違わずドリアーテのどてっ腹に命中した。
とっておきを食らわせ、ドリアーテの全てを封じた……今が好機ッ!!
「ソラちゃん!!」
「できたわ! でも…行き先はどうすれば…!!?」
「俺が決める!!」
「あっ、おい!!」
支えてくれた三人には悪いけど、それを振り切ってソラちゃんに歩み寄る。
「ドリアーテ……そんなに、別世界に行きたいなら…行かせてやる……!」
「は……?」
「――だが!! 絶対地球には送ってやらねえからな!!」
ソラちゃんの転送魔法にドリアーテの行き先を書き込む。
行き先は……俺が木月だった頃の世界…でも、惑星レベル…いや、宇宙レベルで位置を指定しない。
これで…どの惑星に……いや、全宇宙のどこに送られるか分からなくなった。半ば暴走みたいなモンだが、問題ナシ。
「ま…待て!どういう意味だ!? 私は…どこに送られるというのだ!!?」
「そんな事―――俺が知るかッッ!!!」
「私は…支配者だぞッ!! こんなこと、あっていいはずが――」
「違うな。お前は支配者じゃあない。
死にたくないだけの、ただの臆病者だッ!!!」
まぁ、地球に送られちゃう可能性もまったくのゼロではないが………
「私が何を…何をしたというんだァ!! やめろ…私を…私を……!
私を一人にするなァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
そんな確率は、80年連続で宝くじ一等を引く確率よりも遥かに低いからな。
ドリアーテは、最後に涙目になり、そんなことを喚きながら消えていった。転移魔法が成功した証だ。
しっかし、自分以外を信用せず、利用することしか考えてなかった老害が、別世界(宇宙)に追放される直前の最後の言葉が「一人にするな」はだいぶ皮肉が効いてるぜ。
―――まぁ、とにかくだ。
「………勝った……」
見事全員生き残り、ドリアーテも作戦通り、別世界の宇宙に追放することに成功した。
ソラちゃんは呪いから解放された。アルシーヴちゃんもすぐに聖典を読めば『オーダー』の反動に苦しむこともない。
これでようやく―――俺達の戦いは終わった。終わったんだ……!!!
「―――っしゃーー! 勝っ――」
勝った!!! と叫ぶ直前、視界がぐるりと回った。
「―――あららら?」
皆が駆け寄ってきて、全員の必死な顔が見えた瞬間。
―――プツン、と。まるでテレビの電源を切るかのように、俺の意識は途絶えた。
キャラクター紹介&解説
ローリエ
腹を刺され出血が止まらない重傷の中でも、闘志を燃やして切り札の弾丸をドリアーテにブチ込み、彼女を別世界の宇宙に追放することに成功した主人公。『不燃の魂術』対策には
ソラ
完・全・復・活!!!したゆかな…じゃなくて女神様。復活したての段階でなかなか混沌的な状況に戸惑っていたが、ドリアーテのネタバラシ&ランプいじめで頭が冷える。その後、ドリアーテを転送する魔法を展開して勝ちへの最後の一手を担った。
ランプ
老害にいじめられていた可哀想な子。しかし、ソラの厳格な姿に落ち着きを取り戻し、自身の行いが無駄ではないと啖呵を切った。そして、やはりその言葉は正しかった。
ドリアーテ
己の欲望のままに生き、エトワリアを滅ぼそうとした黒幕。だが己の身に施した『不燃の魂術』の弱点を思い切り突かれ最大HPMP減少ダメージを食らった上、ローリエのリーサル・ウェポンを食らい、抵抗できないまま別世界のどこか(銀河・宇宙的な意味で)へ転送されることで、エトワリアから追い出されてしまった。最早、誰もドリアーテがどこにいるかを把握するのは不可能になった。
そんな迷惑なヤツの最後には、『ジョジョの奇妙な冒険・戦闘潮流』のカーズの最期に近しい何かを感じる。
アルシーヴ&ハッカ&アリサ
ケガの治療ゆえに遅れた八賢者&助手と炎の牛を最速突破してきた筆頭神官。ローリエ達死に体+非戦闘員を守り、ローリエの切り札を決める手助けを行った。
ローリエがドリアーテ用に最後の最後まで温めていた最後の切り札。全属性の力が籠もっている上に自動追尾&障害物回避性能が備わっており、当たった敵の魔法を全て封じるというチート万歳な能力。ドリアーテ戦直前に完成したこともあり、効果は絶大。特に不死身かつ一旦死ねば魔力が最大回復する『不燃の魂術』にはぶっ刺さった。
ドリアーテ戦の転送魔法
ソラが発動し、ローリエが行き先を設定して、ドリアーテを追放した魔法。ソラ自身が転送魔法を使える事が「NEW GAME!」のクリエイターズクエストで判明している。ローリエはこの転送魔法の行き先を『木月桂一が生きていた世界の、宇宙のどこか』と設定したため、ドリアーテがどこに行ったか、マジで誰にも分からなくなった。宇宙の広大さからして、太陽系付近に送られる確率さえ怪しい。しかも、『木月が生きていた世界』には、エトワリアにはあって当然の『あるもの』が存在しない。
△▼△▼△▼
木月桂一「―――戦いは終わった。女神ソラの呪いは解け、ドリアーテは宇宙の彼方に消え去り、きらら達とアルシーヴの誤解も解けた。……だが、これでめでたしめでたしとはいかないな。前世で人気を誇った『きららファンタジア』だ。私の知らぬストーリーモードが更新されててもおかしくない……」
木月「………おっと失礼。やや先の展開まで読み過ぎたね」
次回『星と予感と新たな日常』
木月「次回もお楽しみに」
▲▽▲▽▲▽
一番印象に残ったオリジナルキャラは誰ですか?(ローリエは主人公なので除く)
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コリアンダー
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アリサ
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ローズ&リリィ
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サルモネラ
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ソウマ
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ビブリオ
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セレウス
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ナット
-
エイダ
-
01型57号
-
ドリアーテ(デトリア)
-
その他