きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者   作:伝説の超三毛猫

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イベントストーリー「サマーナイトレディオ」「サマーナイトリゾート」の2つの内容を頭に叩き込んだ上で、表題曲「フィクション/sumika」のご用意のほどをお願いします。


フェンネル編 フィクション

「ふっ、はぁっ!!」

 

「でりゃあ!!」

 

 

 剣がぶつかり、火花が散る。

 世界がゆっくり動いているかのような感覚を研ぎ澄まし、目の前の男を倒すことに全力を注ぐ。

 相手は何をしてくるかわからない。奴になにもさせない、短期決戦が望ましい!!

 

 

「ムーンライトファント!!」

 

 

 月の魔力をまとった、強烈な突き。

 それに対して彼は、持っている銅剣を傾けて突きを受け―――受け流すかのように我が剣をやり過ごそうとする。

 しかし、その程度の防御などとうに想定済みです!

 

「たあっ!!」

 

「うおっ!!?」

 

 レイピアを持っている手とは逆の手で相手の腕を力強く引っ張る。

 意識の外から行われたそれは、容易に彼の体幹を崩すことに成功し、ローリエは地面に転がる。

 すぐさま受け身を取ることに成功したようですが、それはこの私にとっては十分な隙になり得る―――

 

 

「?……そ、それはっ!!!」

 

 

 転がる時、ローリエの手が何かを持っていることに気付く。

 その赤色と一本の突出した角のようなものの意味を察して、それを取り上げる前に、それは起動した。

 

Start Up

 

 瞬きひとつ。

 そのほんの一瞬で、目の前で転がっていた筈のローリエが消えた。

 そして、頭にゴツリと硬い感触。

 

 

「はい俺の勝ちー。コレで俺の459勝だな。」

 

「ぐっ……」

 

 

 感触の正体がローリエのケンジュウだと分かっていた私は、ため息をついて膝から崩れ落ちる。

 やられた。あれほど警戒していたはずなのに!

 ローリエの作成した魔道具『ソニックビートル』。使用すればカルダモンさえ凌駕するスピードを発揮する代物は、十分に脅威だから、使わせたくはなかったのに……!

 しかし、今回は油断していたお陰で、私とローリエの戦績が457勝459敗と勝敗記録がひっくり返ってしまいました………なんたる失態。

 

 そもそも、この男はいつもこうです。

 何かしらの魔道具を忍ばせ、褒められた手段はほぼ使わない。私に勝った459回の戦いだって、G型魔道具に襲わせるだの私の能力を半減させる魔道具だの罠に嵌めるだのして勝ってきたようなものです。いくら対策しても手を変え品を変え仕掛けてくるので今になっては何がくるのか分からない状態になってしまいました。

 

 この人は、どうして…こう、正々堂々戦うことをしないのでしょうか?

 

 

「……ローリエ。貴方、毎回このような形で勝って嬉しいのですか?

 もっとこう……正々堂々ということをしないのですか?」

 

「………騎士道精神で長生きできるなら、俺も立派な騎士とやらになってやるさ」

 

「しかし…!」

 

「ドリアーテの一件だってそうだぞ? 軒並み卑怯な奴しかいなかったからなアイツら?

 非戦闘員を狙うサルモネラに、『サブジェクト』でクリエメイトを操ったビブリオに、安全な場所から一方的に襲撃してきたセレウス。不意打ち暗殺特化の少年もいたな。そんで極めつけはアリサやエイダを人質にソウマ氏やオッサンを操ったドリアーテだ」

 

 

 確かに、あの事件ではドリアーテの卑劣な手に悩まされたものです。

 特に大地の神兵・ナットに私達の討伐依頼をされた時は正直厳しかった。ドリアーテの人質作戦だったのが幸いして機転を使ってエイダさんを救出したことで事なきを得ましたが、そうでなかったらどうなっていたか分かりません。

 でも、それが誇り高き騎士道精神を捨てる理由にはならないでしょうに…!

 

 

「そうであってもこれは決闘ですよ! そういう手は自重して……」

 

「勝つためにあらゆる方法を模索してるだけだ。それの何が悪い?」

 

 

 ~~~~ッ!!! この男はッ!!

 

「勝てればそれで良いのッ!? たとえ勝てても…そんな薄汚れた手段で得た勝利に価値なんてありませんのよ!!!」

 

「薄汚れたとは失礼な。フェンネル、お前が何に拘ってるのかは知らないけど、結果は何より雄弁だと思うんだ。」

 

 

 ドリアーテ襲撃の際は色々功績を立ててソラ様達を救った立役者だから少しは見直したのに……やっぱり意見がとことん合わない!!

 

 

「…失礼しますッ!!!」

 

「…………」

 

 

 怒りに任せて立ち去った自分自身の背中に、視線が注いでくるのさえ、とても不快でした。

 しかし、この後あんなことが起こるなど、わたくしでも想像できませんでした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「クリエメイトが行方不明?」

 

 きららの里からそのような連絡が入り、アルシーヴ様の元に招集された八賢者達。シュガーとソルト、カルダモンにセサミは別の任務中のため集まることが出来ていないので人数は半分ですが。

 

 

「現在行方が分かっていないのは、丈槍(たけや)由紀(ゆき)櫟井(いちい)(ゆい)天王寺(てんのうじ)(なぎさ)小野坂(おのさか)こはる・なずな・舘島(たてじま)虎徹(こてつ)の6人。合流次第手分けして情報の収集と共有を行うぞ」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

 里に着いた私達は、アルシーヴ様の指示通りに情報を集め始める。

 ジンジャーは街の人々へ聞き込みを始め、ローリエは捜索本部になっている甘兎庵へ赴き、わたくしはハッカとアルシーヴ様と共にきららのいる海岸へ行きました。

 

 

「捜索の状況はどうだ?」

 

「あ、アルシーヴさん。それが……パスは感じ取ることができるのに、姿が見えないんです。いなくなった皆さんのパスは全員ここにあるのに…」

 

「なんですって?」

 

「奇々怪々なり。」

 

 

 きららの発言だと、まるで行方不明のクリエメイトがここにいるかのようではありませんか。

 当然ながら周りの海岸一帯にはそのクリエメイトは誰一人いません。しかし、きららのパス探知能力は本物です。それは、言ノ葉の樹の一件でこの眼で確かに知っている。ということは……

 

 

「きらら、そのパスですが、偽物という線はございますか?」

 

「…いいえ。それはないと思います。そもそもパスはその人の絆や生命力、健康状態などが大きく関係しています。真似ようと思って真似できるものではありません」

 

「そうですか………」

 

 

 思いついた偽物説も違うとなれば、わたくしにはお手上げですわ。

 途方に暮れている矢先、ローリエさんが幼い少女を連れてやって参りました。

 

 

「みんな!! 拉致してる奴の目途が立った。この子―――良ちゃんに協力してくれないか?」

 

「皆さん、聞いて下さい。実は―――」

 

 

 良子さんの話によりますと、シャロさんとぼたんさんがラジオと会話したらしいのです。

 また、千夜さんがランプのラジオで「帰れなくなる遊園地」の怪談を聞き、それらを繋げてできた推理というのが、「遊園地のような怪異がラジオを通して人を招待し、行方不明の人をさらったのではないか」というものでした。

 

 シャロさんとぼたんさんを囮にしてこちらの最大戦力をつぎ込んで鎮圧する、という作戦を聞き、全員がそれに賛同しました。お二人に危険が及ぶかも知れませんが、あっちが招待するタイミングを逃せば接敵するチャンスを逃すため、実行するしかありませんね。

 

 

 

 ―――怪談情報によれば、迎えは夜に来るとのこと。

 日が沈んだ頃、シャロさんとぼたんさんには住宅の入口で待ってていただき、我々は陰に隠れ彼女達が動いたら尾行する役目を賜りました。

 行方不明になったクリエメイトの友人とシャロさんぼたんさんの友達も合わせてかなりの大所帯です。

 

 

「…! 動き出しました。行きましょう!」

 

 良子さんの号令で、私達も進軍を開始します。

 シャロさんとぼたんさんにはミカンさんが誘導弾用のビーコンをつけてるようで、万が一見失っても大丈夫のようです。

 ぞろぞろと尾行する我々の中で、ローリエだけが妙に周囲を気にしているようでした。

 

 

「ローリエ」

 

「ん?」

 

「どうしたのです、そのようにキョロキョロして。」

 

「えっとな、今日この辺霧の予報が出てたかなぁって思ってさ」

 

「霧?」

 

「ちょっとシャロとぼたんちゃんが見えにくくなってねぇか?」

 

 

 ……! 確かに。

 言われてみれば、尾行前は霧など一切なかったのに、少し、視界が悪くなってきて言うような……

 

 

「何なんだ、この霧は。位置関係が見えづらい。」

 

「この視界不良は想定外。危険かも。良はまだまだ勉強が足りない……」

 

「ねえ、この霧だいぶおかしいわよ? 気象は専門外なんだけど。」

 

 

 いや……違う!! もう異変は起きているッ!!!

 クリエメイトの中にも異変を察知している人が何人もいる。どうやら、皆で固まる動きのようですが………って! どんどん霧が濃くなって、周りが何も見えないではありませんか!!!

 

 

「「「うっきーーーーーーー!」」」

 

「猿!? お猿の群れが~~!!」

 

「見えない! 霧の中で何が起きてるっていうのよ~~!?」

 

「いや~~~~~っ!」

 

「「「うきーーーっ! ほっほっほっほっほ!!」」」

 

 

 なんと、どういうわけか猿の群れの鳴き声とクリエメイトの悲鳴が聞こえてきます。しかも、ドドドドと、何かが大量にやってくる……! まさか、猿の―――

 

「うわあああっ! な、何をするのです!!」

 

 体に飛びかかってきた猿たちが、わたくしの鎧や服の隙間に手を突っ込んだり、ひっぱがそうとしてくる! 気持ち悪いったらないですわ! すぐさま猿を振り落とそうとする。

 

 

「きゃあああ!たくさんのお猿さんがっ!」

 

「ダメだよ! そんなに服を引っ張らないでっ!」

 

「このっ、さわるな!! エロ猿ども!」

 

「猿過剰。対処不能。」

 

 

 他の人々も、猿に襲われているようで、抵抗したりしているようですが……

 

「くうっ…! そんなところに、手をっ、入れるな……!」

 

 

 敬愛する方の声を聞いて、ぷっつんと切れました。

 

 

「おのれ~~~~! アルシーヴ様に不敬を働くエロ猿共め!!

 全て吹き飛ばしてやりますわ!! ルナティック―――」

 

 

 アルシーヴ様にまとわりつくエロ猿共を吹き飛ばすべく、わたくしの最大を必殺技を使って猿共を消し炭にでも変えてやろうかと思ったその時でした。

 

 

総員! 耳を塞げーーーーッ!!

BOSS(ボス)! MAXIMUM(マキシマム) DRIVE(ドライブ)!!

 

 

 ローリエの妙に通る声と、聞きなれない誰かの音声が響き渡った。

 急なその大声に困惑しながら、レイピアを持ったまま咄嗟に耳を塞いだ。

 その次の瞬間です。

 

 

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

「「「「「「「!?!?!?」」」」」」」

 

 

 霧の中、響き渡ったのは雄たけびでした。

 男の声からしてローリエのものでしょうけど……み、耳が壊れそうですわ!!

 あまりに咄嗟に耳を塞ぐことができてないから、手と顔の肌の隙間から、耳を直接攻撃するかのような雄たけびが響く…!!

 

 そうして……雄たけびが止んだその時、わたくしは自身の身の異変に気付きました。

 ―――先ほどから、鎧や服の中をまさぐる猿どもの手が止まっていることに。猿共が心なしか震えていることに。

 

 

「う……き………」

「きゃあーーーーーーーーーっ!?」

「きっ………きぃーーーー!!」

「きぃぃぃえーーーーー!?」

 

「猿共が…逃げていく……!?」

 

 

 中には耳を抑えて苦しんでいる猿や、泡を吹いてひっくりかえっている猿もいますが、さっきまでの興奮状態のエロ猿共とは大違いですわ。

 おそらく原因はさっきのローリエの雄たけびなのでしょうけど、全くもって意味がわかりません。

 霧がどんどん晴れていきます。すると、割と近くにローリエがいたことに気付きました。

 

 

「ローリエ…」

 

フェンネル、大丈夫か?

 

「ええ…しかし、先ほどの雄たけびは一体……」

 

BOSS(ボス)』の魔導メモリを使ったんだ。さっきの猿共には、ボス猿の怒りの威嚇に聞こえたろうさ

 

「魔導メモリ?」

 

ホントはガイアメモリなんだけど…地球の記憶ってほど大層な魔力は込められてないからね。道具を介さないと使えない未完成品だけども

 

 ローリエが見せてきたのは、細長く小さい長方形の何かと、何の変哲もないメガホンでした。どうしてメガホンなんて持ってたんですか……それと。

 

「……ノド、大丈夫ですか?」

 

ぶっちゃけ、水が欲しい……

 

 さっきのでローリエは喉に少なくないダメージを負っていた。

 何やってるんですか、まったく。ボス猿の威嚇攻撃は正直助かりましたけれど、それで自分の喉を痛めては皆さんが心配するでしょうに。

 「水持ってない?」と弱々しく聞くローリエに、水筒なんて都合の良いもの持ってませんわよと言おうとした時。

 

 

「ローリエ、これを飲むと良い」

 

あぁ、アルシーヴちゃん。助かる………?

 

 

 アルシーヴ様がワイングラスを差し出して……

 ―――()()()()()()

 

「え、いつの間に、アルシーヴさ……ま………?」

 

 

 差し出されたものに違和感を覚えたわたくしは、目を凝らして声の主を見る。

 

 ―――それは、アルシーヴ様だった。しかし、わたくしの知るアルシーヴ様ではなかった。

 いつもの筆頭神官の服を着ていない。いつの間に着替えたのか、漆黒のビキニだけという過激な格好で―――

 

 

「なっ――あ、あああああアルシーヴ様!?!?!?」

 

 

 な、なぜ……そのような格好を!?

 豊かな胸元とか、引き締まったくびれやら、おみあしやらがま、ま、丸見えではありませんか!!!?

 わ、わたくしは、幻覚を見ているのでしょうか!!? いや、しかし………

 

 

「? どうした、フェンネル? 皆が待っているぞ。

 ローリエも……こっちに来ないか?」

 

「あ…アルシーヴ様? なぜ……そのようなはしたない格好を?」

 

フェンネル………鼻血出てるぞ

 

 

 変態は黙ってなさい。平常心が乱れるでしょう。

 そもそも、アルシーヴ様がこんな格好でいる事がおかしいのです。先程まで普段通りの神官服でしたのよ? しかも、ワイングラスなど何処から持ってきたというのです。水筒よりあり得ないですわ。

 

 しかし……その時、不思議な声が響いた。

 

 

『おや…なにをおっしゃいます、お客様。

 お客様は、皆様を連れて最初からこのリゾートにやってきていましたし、貴女はこれから水着に着替えるところだったではありませんか』

 

「フェンネル、行くぞ。ソラ様がフェンネルを着飾りたくて待ちきれそうにない」

 

「なっ―――ななななな!?!?!?!?」

 

 

 み、み、水着のアルシーヴ様が、更に近づいてきたー!?

 わ、わたくし、幸せすぎる……

 

ちょっ!!? フェンネル!起きろこのバカ!!フェンネル!フェンネルーーー!!!?

 

 倒れる直前、周囲をちょっと見たのですが、明らかに森ではありませんでした。

 そして、意識が飛ぶ前に、ローリエがなにか言っていましたが、ほぼ聞き取れませんでした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「―――ネル、フ……ネル…………フェンネル!」

 

「……?」

 

 

 目が覚めると、わたくしは海の見えるリゾートの、サマーベンチに寝転んでいました。

 声に呼ばれて体を起こすと、ソラ様と目があって……ソラ様!!?

 

 

「ソラ様……なぜ、ここに?」

 

「あら、何を言っているの? 皆で来る事にしたじゃない。このリゾートに。」

 

「…そうでしたわね!」

 

 違和感が一瞬だけ顔を出したけど、すぐにそんな気がしてきましたわ。

 

「アルシーヴ様達はどちらに?」

 

「あっちよ」

 

 ソラ様の示した方向へ歩いていく。

 そこには、レストランのテラス席があって。

 

 

「おかわり。ストレートで」

「は〜〜い」

「ローリエ、強豪」

「えぇ、本当にすごいですね」

 

 

 ………地獄が広がっていました。

 まず、ローリエがパーカーらしき上着を前全開にした海パン姿で飲み干した飲み物をおかわりし。シュガーとソルトがそれにおかわりをつぎ。ハッカとセサミがローリエの両隣に座って、ローリエを褒め称えています。

 幸い、アルシーヴ様はセサミの反対側の隣に座っていたためローリエの隣にはいませんが………目を疑いたくなる光景なのは確かです。

 

 

「な…何やってるのですかローリエ!! そんなに女性に囲まれて……」

 

「ん? フェンネルか。俺はこのリゾートを満喫してるんだ。見ての通りにな」

 

「不埒です! せめて、一人と付き合いなさいっ!!!」

 

「ハーレムは男の夢なんだぞ!」

 

「秒で諦めなさいよそんな夢!!」

 

 本当にハレンチな男です!

 そのような男女のお付き合いは一対一でするものでしょう! それをあの子もこの子もと……どちらも選べない優柔不断か、欲張りなバカくらいですよ、こんなこと考えるの……!

 

 

「おーおー、何やってんだよお前ら。

 そんな事よりビーチバレーに行かねぇか?」

 

 

 そこに、ジンジャーがビーチボールを持って現れる。

 遊びの誘いに、アルシーヴ様を始め賢者のみなさんもその誘いに乗りだしました。

 

 

「フェンネル、ローリエ! お前らも行くぞ!付いてこい!」

 

「分かりました。行きましょう!」

 

「オッケー! 本気でやってやろうじゃん!!」

 

 

「オラァ!!」

「くっ……凄まじいサーブだ…」

「フェンネル!」

「はい! せやぁっ!」

「いよっと!」

「はい! ジンジャー!」

「任せろォォッ!!」

 

 

 しばらく、ビーチバレーに興じました。

 当然、わたくしはアルシーヴ様のチームで、ローリエとは別のチームです。あのムカつく顔にスパイクを叩き込んでやろうとも思ったのですが、その機会に恵まれる事なく、ビーチバレーの楽しい時間は過ぎていきました。

 

 やがて、ビーチバレーが終わり。

 わたくしは、どういう訳かローリエと二人で海を眺めていました。

 本当はアルシーヴ様とご一緒が良かったのですが、アルシーヴ様ご自身が一人にしてくれと仰るものですから。

 ローリエもローリエで付き添いの買い物を待っているのだとか。

 

 

「……いい海だな」

「……そうですわね」

 

 さっそく途切れる会話。あぁもう、じれったいですわね。わたくしから何か話しかけたほうがよろしいのでしょうか……?

 

「こうやって、美女と一緒に見るのも良いモンだな」

 

「また、そうやって口説こうとして……満足しようと思わないのですか?」

 

「複数の女の人を笑顔にするのは男の甲斐性だって父さんから教わってな」

 

 ローリエさんのお父さん……ガリックさんですか。まったく、オリーブさんとの文通で知ってましたケド、親子そろってどうしようもないですわね。アルシーヴ様がこの人の毒牙にかけられてはたまりませんわ。

 

「…そのような考えを持つ男に、アルシーヴ様は似合いませんわ。」

 

「ほう?」

 

「その強欲を改めて、一人で満足できれば、恋人の一人や二人、できるでしょうに。

 ローリエ、貴方は…その。見た目だけは良いのですから……」

 

 

 言ってやった。ローリエがなぜそこまでハーレムなどというものに拘るのか知りませんが、そんなもの不誠実ですから。

 しかし、ローリエさんはまっすぐこっちを見ます。その表情にふざけた雰囲気はありません。

 常にわたくしをおちょくっている彼の、こんな顔初めて見た気がします。

 

 

「誰でもいいワケじゃあないんだ。一緒にいて、楽しい人が良いんだ。

 …ここじゃあ、たまたまそういう人がいっぱいいただけでさ」

 

「……その中から一人を選んでくださいと言っているのです」

 

「それじゃあ……そうだな。

 フェンネル。君にしようかな?」

 

 

 そう言われた時に、頭が真っ白になりました。

 何故? 一体、どうしてわたくしを? 出会ってから喧嘩しかしてなかったのに?

 

 

「……冗談もそこまでくると―――」

 

「冗談だと思ってるんだ?

 ……俺は、フェンネルと毎回戦うの、悪くないと思ってるよ。同じ手は何度も通じないし、毎回正面から戦ってくれるしな。

 というか、毎回どうやってフェンネルに勝つか考えるの好きだけどな。」

 

「え……」

 

「だって、フェンネルの剣技スゲーもん。真正面から戦ってちゃ1000%勝てないもん。工夫を凝らすのは当然だろ?」

 

「…………」

 

 

 …そんな風に考えてらしたのね。

 わたくしは、姑息な手ばかり使ってくると思って嫌っていたのに。

 てっきり、ローリエの方もわたくしを嫌っているとばかり思っていたのに、そこまで考えていたのですか。

 なんというか、不思議な気分です。まさか、わたくしをライバルのように見ていたとは。悪くないですわ。

 

 

「……わたくし、堅実で一途な方が好みなのですけど」

 

「はっはっは。そっか。じゃあ、そーゆーことにしとくわ。

 じゃあ、行くぞ。そろそろ皆も買い物終わるだろ?」

 

「あ、ちょっと、待ってください!!」

 

 

 ローリエは、心地よさそうな笑顔で意味深な事を言いながら、他の皆さんと歩きだしました。

 行き先は、遠目に見えるホテルでしょうか。ローリエについていくように、他の皆に遅れないように歩き出しました。

 必然的にわたくしが最後尾になり、その前をローリエが歩き、他の全員がその前を歩く形です。

 だから、でしょうか。

 

 

「………ぐっ!」

 

「!!?」

 

 

 屋外ステージを横切ろうとした時に、ローリエが膝をついたのに、わたくしが真っ先に気付いたのは。

 

 

「あ……がぁ……っ!! ハァ……ハァ………!!」

 

「ローリエ!? どうしたのです、ローリエッ!!!!」

 

 

 すぐに駆け寄ってローリエを看ます。

 ……息が乱れている。顔には脂汗が浮かび、左胸を抑えて、浅い呼吸をしながら苦しんでいる…!

 こんな症状、今まで見たことがありません。ましてや、ローリエがこんな事になったのも……! 一体、彼の身に何が起こっているというのです!!

 わたくしの声に反応して、アルシーヴ様を始めた皆が駆け付けます。

 

 

「フェンネル! 何があったんだ?」

 

「わかりません!ローリエが急に苦しみだして…!」

 

「見せてみろ」

 

 アルシーヴ様達がローリエに近づく。そうして、何かを観察したかと思うと―――全員が、穏やかな笑顔を浮かべました。

 それを見て……ゾッとしました。なぜ、そんな表情ができるのです。ローリエが苦しんでいるのですか?

 いくら、日頃からセクハラされているとはいえ、その仕返しにしてもあまりにおかしい。

 

 

「ローリエ、大丈夫だ。ここでは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ」

「えぇ。息を整えたら立ってください。まだまだ遊びましょう?」

「おにーちゃん、安心して。シュガー達が守るからね?」

「もう()()()()()()()()()()()()よ、ローリエさん」

「ローリエ、お前は大丈夫だ。()()()()()()()()()()

「心配無用」

 

 

 各々の言う事に、耳を疑った。

 殺される? 暗殺? 撃たれる? みんな、何のことを言っているのですか?

 ローリエは生きているではありませんか。生きている以上そんなのあり得ないじゃあないですか。

 そもそも、なんで全員そんなことを知っているのですか? 知らないわたくしの方がおかしいのですか??

 

 目の前の状況が整理できないまま混乱していると、ローリエがゆっくりと立ち上がった。

 顔は頭ごとうなだれるかのように地面を見ているので、表情は読めません。

 

 

「………みんな、ありがとう。心配かけたな。

 心配かけたついでに………確信できたことがあるから、聞いてくれないか?」

 

 

 ローリエが顔をあげましたが…この時の彼の表情に、今度は目を疑った。そして、全身の肌が粟立った。

 なぜなら彼は、この時……底なしの憎悪を煮詰めたような、逆鱗に触れた竜のような…そんな恐ろしい表情をしていたのですから。

 

 

「―――お前らは偽物だ。消えろ!!!」

 

 

 即座にケンジュウの破裂音が響き渡る。

 弾は……その場のわたくしとローリエ以外の全員に、風穴を空けていた。

 

 

「ろ、ローリエ!! な、な…なんてことを…!」

 

「落ち着け、フェンネル。見ろ」

 

「見ろって、何を―――!!?」

 

「「「「「「ギャアーーー…………ッ」」」」」」

 

 

 なんと、風穴を開けられたアルシーヴ様達の姿が崩れて、全く違う姿に……魔物になっているではありませんか!!

 姿が元に戻った魔物たちは、全てがどこかに手を伸ばし、力尽きて崩れ落ちると、そのまま消滅した。

 その一部始終を見た途端、頭の中がすっきりして、今までの事を全て思い出した。

 

 ―――そうだった!! わたくしは、行方不明のクリエメイトを探すべく、シャロさんとぼたんさんの囮作戦に参加して……猿に襲われて…………それからは…!!

 

 

「ローリエ!! この遊園地は一体…!?」

 

「幻覚…っぽい何かだろうな。多分、ここにクリエメイトが囚われて……」

 

『あぁ、なんてことでしょう。どうやらあなた方はお客様ではなくなってしまったようだ。』

 

「!! フェンネル!」

「えぇ、言われずとも分かっています!!」

 

 

 ……聞き覚えのある声!! 確か、偽アルシーヴ様に迫られた時に聞いた……! この声の主が、クリエメイトを攫った元凶ですか!!

 姿なき声に剣を抜いて敵の姿を捉えるべく周囲を見渡す………が。

 

 

『お帰りはあちらでございます。』

 

「「は?」」

 

 

 何かがブレたと思った瞬間、霧に包まれ―――きららの里のビーチ…その海岸に戻されていました。

 

 

「……フェンネル。今のって……」

 

「えぇ。クリエメイトの誘拐犯だと思われます…が……」

 

「あっ! あんなところにローリエさんとフェンネルさんが!」

「なにっ……!!? 急に現れたというのか!?」

 

「…とりあえず、皆に無事を知らせよう」

 

「ですわね」

 

 

 何が起こったのかよく分かりませんでしたが、きららさん達が駆け寄ってきたので、こちらの事も知らせておかなければなりませんわね。

 しかし、わたくしはそれとは別にローリエが苦しんだ理由が未だに頭から離れませんでした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 わたくしとローリエは、アルシーヴ様達の心配の声に驚きました。

 つい先ほどまで、わたくしとローリエは、行方不明者ということになっていたからです。

 そこで二人で自分たちの身に起こったことを懇切丁寧に説明すれば、皆さん納得のいったご様子でした。エンギさんとミカンさんも「敵に追い出された」と言ってくれましたし。

 

 

「それと…『みんなには遊園地が見えていて、外の人には遊園地もそこで遊ぶみんなも見えていない』と、めぐみ殿にも言われたな…」

 

「成程……フェンネル、ローリエ、二人とも、よく帰ってきてくれた。

 ハッカ、どういうことだか分かるか?」

 

「委細把握。幻覚に非ず、夢幻世界でも別世界でも非ず、規模は大なれど単純なる視界操作の法なり。」

 

「どういうこと?」

 

「テレビやラジオのチャンネルみたいなモンで、本当に見えていないだけってことか?」

 

「然り」

 

「それが分かれば後は造作もない。

 …ハッカ、この魔法の周波数に合わせて、同じ視覚操作の魔法を我々全員にかけろ。」

 

「了解」

 

 

 エンギさんとミカンさんの体験談、そして私達の話によって敵の魔法の手口がわかり、ハッカの視覚操作の魔法がこの身に降りかかります。

 すると、目の前の海岸が、先ほどまで私達がいた、豪華絢爛なビーチリゾートの遊園地に変化していくではありませんか!

 

 

「よーしっ! つまりここが敵の本拠地だな!! お前ら!こっからが本番だ!!

 夏らしく―――ド派手に殴り込んでやろうじゃねえか!!!」

 

「「「「「「「おーーーーーーー!!!」」」」」」」

 

 

 ジンジャーを含め、先ほどはぐれてしまった仲間たちもいます! これなら……クリエメイトを救いだせるかもしれません!!

 

 

『あなたたちはお客様ではございません。お帰りはあちらでございます―――』

 

 

 ―――!! やはり、この声の主が邪魔しに来るか! しかし……!!

 

 

「お生憎様、ですわね。またわたくし達を追い出すつもりでしたか?」

 

「視界操作。把握済み。」

 

「残念だったな! 同じ手は二度と食わないぜ!」

 

 

 今回は、こちらにハッカがいます! 彼女がいる限り、強制的にこの遊園地から追い出されたりはしません!

 こうしている間にも、クリエメイトが次々と、囚われたお友達を救出しています! この遊園地を生み出す幽霊か魔物だか知りませんが、奴もここまでです!!

 

 

『残念でございます。残念でございます。』

 

 しかし……その声は、まったく動揺していませんでした。

 

『当リゾートは本日をもって閉園いたします。ご愛顧どうもありがとうございました。』

 

 それは、普通の遊園地やらテーマパークやらの営業終了のアナウンスのようで。

 

『ですが、ここは「どこにもない遊園地」。皆様におかれましては、私ども同様―――どこにもなくなっていただきます。』

 

 

 その宣言ののち、地響きが起こり……

 

 

「え…なにこれ…」

「何かが、こっちに来るよ!」

「遊園地の置物やら、ピエロの飾りとか……」

「自分で動き出して、こっち来る……」

 

 

 成る程。ここまで追い詰められたから、口封じをしてしまおうという訳ですか。

 ですが………そう簡単にいくと思わない事です!!

 

 

「でも…みんな来てくれた。あとはやっつけるだけ!!」

 

 

 良子さんの号令により、私達と遊園地の置物共がぶつかり、大乱闘が始まりました。

 クリエメイトは、ある人は敵を斬り倒し、ある人は魔法でまとめて吹き飛ばし、またある人はケガ人を集めて回復に専念しています。

 わたくし達も負けてはいません。わたくしはアルシーヴ様の盾。戦闘においては、前線に斬りこんで、敵を攪乱する!

 

「やあぁっ!!」

「オラオラァ!!」

「夢幻土纏符!!」

「この程度の敵…造作もない!」

「えーいっ」

 

 ジンジャーやハッカ、アルシーヴ様やきららの里にいた人々もまた、一騎当千といわんばかりの快進撃です!

 でも……一体一体が口ほどにもない分、数で攻めてきますわね!

 

 

「ったく…どんだけいるんだ、コリャ?」

 

「ローリエ…もうへばったのですか?」

 

「馬鹿言え。欠伸が出るわ。……でもまぁ、そろそろ終わりにしたいからさ…」

 

 

 わたくしの元へやってきていたローリエは、わたくしに何かを見せる。

 それは、エロ猿どもを追い払った時に持っていた『魔導メモリ』…とやらでした。

 

 

「ちょっと手を貸してくれない?」

 

「……『ボス』でどうするのです?」

 

「大丈夫。今回使うのは『BOSS』じゃないよ」

ICEAGE(アイスエイジ)!

 

 

 確かに、手に持っていたのは、あの時の黒い長方形ではなく、青色をしています。

 アイスっていうくらいですから、氷系の何かと思われますが……

 

 

「…わたくしは、どうすれば良いですか?」

 

「俺を、信じてくれ」

 

「わかりました」

 

 

 ローリエは、任務や戦場でふざけたりはしない男です。そのことを踏まえて信用することにします。

 わたくしの了承を得たローリエは、青い長方形の何かを、なんとわたくしの持つレイピアの鍔に突き刺したのです!

 

ICEAGE(アイスエイジ)! MAXIMUM(マキシマム) DRIVE(ドライブ)!!

 

 しかも、挿した瞬間にそう音声が鳴りました。あの時のボス猿の威嚇もこうしたのかと思いつつ、目の前のあり得ない現象に、どうすればいいか分かりません。

 

「切っ先を、敵軍団のボスっぽいヤツに向けて」

 

 ローリエが察してくれたのか、そう指示します。

 何も分からないままレイピアを言う通り敵の中の大将らしき禍々しいワラバカシに向けると……その時、不思議な事が起こりました。

 

 

「うわぁ、なにこれ!?」

「敵が、どんどん凍っていくわ!」

「一体誰がこれを…!?」

 

 

 なんと、眼前に迫っていた敵が氷漬けになりました。更に、敵を凍らせた冷気はどんどん広がり、次から次へと敵を凍らせていきます!

 

「こ、これは一体…!!?」

 

「『ICEAGE(アイスエイジ)』は氷河時代をモチーフにした魔導メモリだ。コイツにかかりゃあ敵を凍らせることなど容易い」

 

 やがて、敵を凍らせる冷気が、波のようにワラバカシを包めば、宙を舞うはずのワラバカシも、霜が降り、霜が走り……あっという間に氷像のひとつにしてしまいました。

 

 

『な…こ、これは……!? う、動けないッ!! なんだコレは! これでは、脱出することが―――』

 

「!! あのワラバカシから声が…!!」

 

「どうやら、アイツが親玉だな。動けない内に三枚おろしにしちまおうぜ」

REQUIEM(レクイエム)! MAXIMUM(マキシマム) DRIVE(ドライブ)!!

 

 

 ローリエが持っていた銅剣の柄頭にまた別の魔導メモリを挿すと、また別の音声が鳴る。

 そのままローリエは一瞬こっちを向いた。まるで……「行くぞ」とでも言うかのように。

 私はローリエに頷き、すぐさま走り出す。ローリエと並走して、凍り付いて動けないワラバカシに肉薄した。

 

 

「はあああああああああああああああッ!!!」

ダブル・ソードフリーザー!!

 

『ぎゃああああ!!?』

 

 ローリエと私は、そのままX字にワラバカシを斬りぬけた。

 二つの斬撃を受け、バラバラになった氷像の中から、真っ黒な人型のモヤのようなものが現れ……

 

『ぐわああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?!?!?!?!?』

 

 いくばくか苦悶したあと、それは大爆発した。

 攻撃を終え、心地いい風を全身に受けながら、お互いにそれぞれの剣を振って汚れを落として鞘に納める。

 

 

「よし、黒幕はブッ倒せたようだな」

 

「えぇ。コレで元に戻るはずですわ。……というか、何ですか、『ダブル・ソードフリーザー』って」

 

「俺が5秒で考え付いた。カッコいいだろう?」

 

「………ちなみに、なぜ氷のレクイエム?とやらの斬撃だったのに敵は爆発したのでしょう?」

 

「俺の趣味だ。良いだろう?」

 

「……………」

 

「……嘘だよ。ホントは俺にもわからん」

 

 いつの間にか、海岸リゾート遊園地は消え、元通りの海岸になっていました。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 それからというもの、「どこにもない遊園地」という怪談を聞くことはめっきりなくなりましたが……私にはあまり関係ありませんわね。今日もまた、ローリエのセクハラ騒ぎに引っ張り出されている私には。

 

 

「ローリエ! 今日という今日は許しませんわよ!!」

 

「わぁああああ!!? 待て待て待て!! 事故だって事故!」

 

「信用できるか!!」

 

 

 そう言いながらローリエが何かを取り出そうとするのを察知して投石!

 

 

「うわっ!? し、しまった!!」

 

「隙あり!!!」

 

 

 そして、魔道具を封じたのを確認してすぐにローリエに飛び掛かる!

 逃げられないように、全身で押さえつけて………

 

「………」

 

「……??」

 

 …ローリエの抵抗がなくなった。この男、とうとう観念したか?

 

 

「……今更潔くしても無駄ですわよ」

 

「いや、そうじゃなくって……この体勢…かなりマズいぞ」

 

「へ?」

 

 

 かなりマズい体勢って…まずローリエが仰向けに倒れていて…わたくしはその上から魔道具を使われないように手首を抑えて、足の動きも封じる為に両足で挟むように動きを止めて………

 

 

「なんの話をしているのです?」

 

「何で気付かないんだ!? だってこの体勢は……」

 

「フェンネル~、ローリエ捕まえ………!!

 あ~~~~ゴメンねフェンネル! あたし急用あったから戻るよ!

 ごゆっくり~~♪ …ローリエ! ヤりすぎちゃダメだよ?」

 

「………」

 

「…………カルダモンが勘違いしてあんな事言うくらいヤバいんだよ」

 

「……~~~~~~~~~ッッッ!!!!!!」

 

 

 カルダモンのリアクションと、自分自身の体勢。

 それを鑑みて、その意味が分からない程の乙女ではありませんでした。

 よ、ようやく気付いた!! やってしまった! この体勢って……!!

 

 

「ば、バカバカバカ!!! なんで言わなかったんですか!!

 最低!! 変態! 女の敵!!!」

 

「イヤ、言ったからね!!? 俺言ったよ!!?」

 

「もっと早く言ってください!! バカ!!もう…バカ!!」

 

「痛い痛い!!!」

 

 

 これは確実にローリエが悪いでしょう!!?

 もう……やっぱり、こんな男にアルシーヴ様は任せられません!!

 どうにかして……アルシーヴ様を諦めてもらわないと…! でも、どうすればいいのでしょう?

 

 その答えが出るのは、もう少し先のことでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♬MUSIC:フィクション/sumika

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき
 今回のフェンネルの特別編は2021夏のイベクエに助けられる形で投稿できました。
 ちなみに、このフェンネルの物語にはあるテーマがあります。

フェンネル「貴方にアルシーヴは相応しくありません。ですのでわたくしで我慢してください」

 これに尽きます。でもこれを言わせる機会がありませんでした。ローリエの親密度的にちょっと足りなかったからです。でも、もしフェンネルがナイトリゾートでローリエに「どうしてあの時苦しんでいたんですか?」って聞けば教えてくれると思います。「信じられないかもしれないけど」って前置き付きで。
 恋愛要素はちょこっと入れたと思いますが、これは要するに「フェンネルとローリエが付き合うまであと100日」みたいなイメージで書いたからです。

 それでは、また別のキャラ編の特別編でお会いしましょう。




キャラ特別編人気投票:一番良かったストーリーは?

  • アルシーヴ編:プライド革命
  • ソラ編:君じゃなきゃダメみたい
  • アリサ編:我ら思う、故に我ら在り
  • ハッカ編:Lonely lullaby
  • ジンジャー編:September
  • きらら編:ふわふわ時間
  • セサミ編:Ture my heart
  • フェンネル編:フィクション
  • ソルト編:ヒトリゴト
  • カルダモン編:気まぐれロマンティック
  • シュガー編:白金ディスコ
  • ランプ編:恋するフォーチュンクッキー
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