きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者 作:伝説の超三毛猫
諸君は、同人誌と聞いた時、どんなものを浮かべるだろうか?
……あぁ、ひYな想像も大歓迎だ。むしろ、そういうものを含めてこそ同人誌だろう。
さて、俺の好みの話になるが……大抵、ハーレムものの大人向け同人誌が大好きだ。夢があるよね。特に女性が皆巨乳だと尚更ね。
…………え? 急になんの話をしてるんだって?
あぁ、言ってなかったな。俺は今―――
「畜生メェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」
―――エトワリア同人誌即売会会場・別館にいます。
…さて、いい加減状況を説明しよう。
始まりは、ランプが発起人となり、同人即売会をやりたいと言い出したことだ。そこに俺が「手伝ってやろうか?」的なノリで参加したのだが……そこからが悪夢だった。
まず、布田裕美音率いる「ユミーネ教」の連中がどこから俺のスタッフ参加を聞きつけたのか、「ローリエ様に作品を保護してもらえるぞ!」と参加を表明した。……もうこの時点で最悪だ。
別に俺はBL好きじゃあないからね!?むしろ地雷だからね!!?それなのに裕美音ちゃんとその連中ったら、俺がオッサンと初めて出会った時のあの事件の借りを返してとか言いながら、BLの保護を手厚くしろとか言い出しやがった。
更に過激すぎて引く同人誌を書くことで有名な「花園フォルダ」こと天野美雨さんまでも参戦した。正直ブチ切れるかと思ったが、アルシーヴちゃん達が意外にも手伝いを申し出てくれた。それによって他の賢者やその部下たちもスタッフとして動いてくれて、そのお陰で大規模な同人誌即売会を開くまでになったのだが…………まぁ、ユミーネ教の人達や美雨さんらの描く同人誌は、ことごとくR-18モノだった。そのため、別館を用意し、そっちをR-18ゾーンにすることで性の平穏を守ることになったのだ。
1000歩譲ってそこはいい。そこはいいんだけど………なんでなんだ。
なんで―――
「なんでNLハーレムが一冊もねぇんだ……!!」
そう。ここだ。
今回出展してきたのは、裕美音ちゃんが作ったユミーネ教と美雨さん率いるサークル「あっしゅくふぉるだ」の二大勢力がメインだ。だから、嫌な予感はしていた。
まずユミーネ教だが、予想通り全てがBLだった。テーマは奴ららしく逞しさ旺盛で「ソラ(男)×アル(男)」「フェンネル(男)×アルシーヴ(男)」「きら(男)×ラン(男)」などのかわい子ちゃんの男体化BLに始まり、「ソラ(男)×ロー」「ロー×アル(男)」みたいな俺と男体化した女の子のBLがズラリと並んでいた。挙句の果てには「ナット×ロー」というおぞましいものまで見つけてしまった。……観察眼の良さを今日ほど後悔した日はない。
さらに「あっしゅくふぉるだ」の方だが……こっちもこっちで最悪だった。アルシーヴちゃんならぬ「アルシーフちゃん」がオークに
だがなぁ……ぶっちゃけ俺は…どちらの同人誌も、好みじゃあないんだよ!
しかも、ユミーネ教徒も「あっしゅくふぉるだ」の皆さんも俺を見かけるなりいい顔したり「是非買ってってくださいませ!」とまるで神様でももてなすように接してきやがる。だが絶対買わねぇからなこの馬鹿野郎共!誰が好き好んで地雷モノを買うか。食べ物の食わず嫌いは許されないけど、同人誌の読まず嫌いは許されるんだよ!節度を守ればな!
「嗚呼……水
エトワリアの誰にも絶対に伝わらないであろう愚痴を呟きながら、とぼとぼと別館を後にして、本館へ戻っていく。
今の俺のテンションは、ゼロを通り越してマイナスだ。-100といっても過言ではない。どっかにスーパーハイテンションになるような本か何か落ちてねぇかな………と、思っていると。
「さぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。レアものがそろってるギャー!」
「これなんか珍しいグー。何と、西の遺跡で盗掘した本だグー!」
「さぁどうだどうだ!手に入るのは今だけギャー!」
変なのと遭遇した。
なんでギャングー団がいるんだここに。この前しばかれたばっかだろうが。
「良い催しだギャー。盗品を売りさばくのにもってこいだギャー!」
「まったくだグー。チョロいもんだグー!」
しかも盗品売ってるし。ええい、こっちは思い通りのモンが手に入らなくってムシャクシャしてるってのに堂々と犯罪しやがって。販売停止処分にしてやる。
こう思ったことが。―――まさか、あぁなるとは、誰が予想できるだろうか。
◇◆◇◆◇
かつて、大規模な本の太市で発生し、封印された魔鳥がいた。
その名は「ダダ・モラシ鳥」。本に書かれた妄想を近くの人間に実行させる能力を持った、ある意味創作者の天敵ともいえる存在である。
そんなダダ・モラシ鳥が封印解除後に初めて見たのは、凄まじいオーラを秘めながらこちらを見る一人の男の姿だった。
「…お前、ひょっとしてダダ・モラシ鳥か?」
男はダダ・モラシ鳥を知っていた。
ダダ・モラシ鳥は言葉が分からぬ。だが、彼の凄まじいオーラとは裏腹の落ち着いた雰囲気は、ダダ・モラシ鳥から警戒心を奪った。
「ぽろぇぇ〜?」
「お前に頼みたい事がある。俺の願望を叶えてくれ」
「ぽろぇぇ〜〜」
ダダ・モラシ鳥は言葉が分からぬ。だが、己の本能は知っていた。……妄想を現実にする。ただそれだけだ。
かつて、己を封印した者たちが向けてきた感情は……敵意、悪意、怒り、悲しみ……といった、負の感情だった。大手作家たちの妄想が解き放たれたのだ。創作者の集まりから、良い感情を持たれるはずもない。だが、目の前の男にはそれがない。それだけでも、ダダ・モラシ鳥が警戒を解くのには十分な理由だった。
男が、己の頭に触れる。すると、突然不思議なことが起こった。
なんと、彼の妄想が流れ込んできたのだ。しかも……それを叶えて欲しいという欲望までも読み取れた。
「ぽろ……!」
ダダ・モラシ鳥にとって、ここまで嬉しい事はなかった。同人誌即売会で生まれたのに、すぐに誰にも必要とされずに封印されたのだ。久しぶりに封印から解き放たれて、初めて求められたことに、これまで感じた事のない心の高ぶりを―――「嬉しさ」を、感じたのだ!
「ぽろえぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
故に、ダダ・モラシ鳥は本能の求めるがままに、求められるがままに、男の妄想を現実にしようと考えたのである。そして手始めに、近くの少女に、自身の能力を使う事にしたのであった。
◇◆◇◆◇
……やったぜ。
ギャングー団をふん縛っていたら、コイツらが売っていた封印の書が光り出し、クジャクサイズの鳥が出てきた。しかもそいつを、幸運にも俺は知っていた。
ダダ・モラシ鳥。
本に書かれたことを実体化できるという、ロマンと危険が合わさった力を持った鳥。あまりに節操がなかったために即座に封印されたと聞いた時は色々もったいねぇなと思った。
だが、コイツはかつての同人即売会で生まれた魔物だ。当たり前だが、魔物にも心はある。生まれてすぐに周りから忌み嫌われ、封印された時……コイツはどう思っただろうか。
クロモンと心を通じ合わせるように、コイツとも仲良くできないか。
そうして俺の全力を以ってダダ・モラシ鳥と触れ合い、思念伝達魔法で前世で読んだハーレムものの漫画の記憶を見せると―――ダダ・モラシ鳥は、早速能力でもって結果を示してくれた。
「ローリエさん……♥」
「ら、ライネさん…?」
「お願い…私を見て…?♥」
効果抜群すぎない?これ。
ライネさんが目にハートを浮かべながら、艷っぽく俺に迫ってきたのだ。しかも、左腕に抱きついてきたから、服越しのメロンちゃんが俺に当たる当たる。
「ライネさん…当たってるよ」
「当ててるのよ…♥♥♥」
「ダメですよローリエ先生……私をほっといちゃ嫌です…♥♥」
更に右腕には、同人即売会に参加していたアリサが息多めに俺に抱きついている。おかしいぞ、そんな筈がないのに早めに成長期の来たアリサボディがエロく見えてきた。服越しのリンゴちゃんも俺に当たってるし。
「アリサ……君にこれは早いだろ。もっと自分を大切にしなさい」
「貴方以外に身持ちが固いのは駄目ですか?♥ 貴方だけに愛してほしいって我が儘を言っちゃあ駄目ですか?♥♥」
おいこれ最高すぎないか? 両手に花じゃん。代われって言われても代わってあげないくらいには最高だぞコレ。
その後もダダ・モラシ鳥は飛び回っていたが……不思議なことに、他の本を実現させるばっかで俺の妄想を叶えてくれない。
ひょっとしてと思った俺はこっちに降りてきたダダ・モラシ鳥に訊いてみた。
「やっぱり、本じゃあないと実現しにくいのか?」
「ぽろぇぇ〜〜」
「……肯定してるっぽいな」
仕方ない。俺の考えたハーレムもののプロットを簡単に書くとしよう。
「…ライネさん、アリサ。ちょっと離れて」
「嫌よ♥」
「嫌です♥」
「……………………じゃあ、手伝ってくれない?」
離れてと言ったら即効で拒否され、悩んだ末に選んだのは共同作業だった。ライネさんに鉛筆を、アリサに紙とハサミを頼んで持ってきてもらい、即席で本を作ってプロットを書き込んでいく。内容は当然、ハーレムものだ。
プロの(?)エ□漫画家さん方のネタを詰め込みまくった、俺好みのハーレム物語。内容は駄作も良い所だが、書き終わったものを見せればダダ・モラシ鳥も嬉しそうに鳴いた。「これなら実現できるよ!」とでも言いたげだ。
だが、そこに障害が立ち塞がる。
「そこまでだ!」
アルシーヴちゃんだ。他の八賢者や裕美音ちゃん、美雨さんやひでりくん、たまちゃんもいる。
「ローリエ…! ダダ・モラシ鳥の力を悪用するのはやめなさい!」
「是は夢幻魔法…儚き幻に過ぎぬ。被害の拡大の阻止の為、その鳥を封印すべし」
「ローリエさん…どうして、こんな事をするんですか?あんなにユミーネ教の皆や、『あっしゅくふぉるだ』を応援してくれてたのに……BLと陵○への愛は、どこに行ったんですか?」
「もともとねーよそんなモン!!いいか、何度も言わせて貰ったが……俺は、BLと陵○は地雷なんだよ!!」
「!!!!」
裏切られたようなリアクションをする裕美音。だが、俺は何度も言ったからな?BLは地雷だって。だが彼女やユミーネ教のメンツはそれを言う度に冗談か何かだと思って信じてくんなかった。言わなかった場合はソッチが悪いが、今回に限っては何度も言ったのに聞き流してた方が悪いだろ。
「あの馬鹿……ダダ・モラシ鳥の魔力に真っ先にやられたか…
セサミ!フェンネル! 魔物を捕まえろ!」
「はっ!!」
セサミとフェンネルが俺とダダ・モラシ鳥を取り押さえる為に挟み撃ちの陣形をとった。
「ほう……向かってくるのか……逃げずにこのローリエに立ち向かってくるのか……!」
「近づかなければ、貴方を叩きのめせないですからね……!」
感動的なセリフだな、フェンネル。だが無意味だ。
「こんなこともあろうかと、既に仕組んでいたのだ―――ジンジャー!アリサ!」
「はい、ご主人様ー!」
「はい、先生!」
俺の呼び声に、ジンジャーとアリサが飛んでくる。
ジンジャーはいつもの市長スタイルではなく、メイド姿、である。
実は最初にダダ・モラシ鳥が力を使った時、ジンジャーも魔法の影響を受けているのを見逃さなかったのだ。ハーレム物語のプロットを作りながらも、俺はジンジャーを口説いてメイド服に着替えるように言っておいたのだ。こうして、メイドジンジャーが爆誕した。そして。
「この二人も“仲間”に加えてあげよう。動きを止めるんだ。やってくれるね?」
「任せてください、ご主人様♪」
「分かりました、先生♥」
「くっ!なんて、卑劣なことを…!!」
「そこまで堕ちたか、この外道!!」
「堕ちる?違うな。俺はBLと凌○が栄えるエトワリアの18禁事情に風穴を空けただけだ。『ハーレム』と言う名の風穴をな……!!!」
「い、意味の分からない事を!」
「すぐに理解できなくっても仕方ない。創造は破壊からしか生まれないからねぇ……」
今回の同人即売会は残念ながらジャンルは少ないが、いずれ様々なジャンルが生まれるだろう。その為には、ユミーネ教と『あっしゅくふぉるだ』にはほんのちょっぴり、力を落としてもらう。
まぁ、直接的な手は使わないさ。ただ、俺がイイ思いをするついでに、新たに巻き起こった風に便乗して新ジャンルの開拓を手伝おうというだけのことだ。
その為には……今ここで、セサミとフェンネルに捕まるわけにはいかないなァッ!!
「今だ!」
「ぽろえぇぇぇぇぇぇぇ~~~~!!!」
「なっ―――」
「しまっ―――」
ダダ・モラシ鳥の鳴き声が、魔法を発動し、俺のハーレム物語プロットから光が放たれる。
眩いほどの光が治まった後、アリサとジンジャーに押さえつけられていたセサミとフェンネルからは、敵対の感情はとうに消えていて、その瞳がとろんとしたものになった。
「あぁ…ローリエ…♥ローリエ♥」
「なんだ、セサミ? 俺はここにいるぞ」
「くっ…わたくしにはアルシーヴ様がいるというのに……なんで、この男から目が離せないのっ…♥♥」
「フフフ…口ではどう繕えても、体は正直だな、フェンネル…!」
「なんということだ…更に八賢者が二人もやられてしまった!」
勝ったなガハハ、風呂入ってくる。
そう言えるくらいに、詰みの状況へと迫っていた。
セサミは、息が荒くなりながら自ら俺の背にたわわなスイカちゃんを押し付けてくる。フェンネルは、口では嫌がってるが、抱き寄せても一切抵抗しない。見事にダダ・モラシ鳥の催淫能力を受けてるぜ。
さぁ、次はセサミとフェンネルの変貌を見て驚き戸惑っているクリエメイト………のひとり、神崎ひでりだ。あいつ男だからな。この時点で手を打っておかなければ。
「さぁ…次はお前だ…神崎ひでり!」
「ええええええっ!? ボクですかぁ~!!? ま、まさかボクを洗脳してあんなことやこんなこと―――」
「お前は女にしてやる…それも、ただの女じゃあない。黒髪ツインテの、東京ドームや紅白歌合戦が似合うスーパーアイドル的な美少女にしてくれるわ!」
「なにぃぃぃーーー!!? それは…………………………そんなの嫌ですぅ~!!」
「だいぶ迷いましたね、ひでりちゃん」
そうだろうな。ひでりくんは自己承認欲求強めだし。
俺は、ダダ・モラシ鳥の頭に手を置いて、ひでりくんが変化する様子を思念伝達する。すると、ダダ・モラシ鳥が「任せろ!」と言わんばかりにぽろえぇ~と鳴いた。
「食らえ神崎ひでり!
「うわあああああああああああっ!!! よく分からないけどその名前はヤメロォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!?」
俺のイメージを十分に反映させ、ダダ・モラシ鳥が放った魔法は、ひでりくんをあっという間に包み、銀色のロングヘアを黒のツインテールにした。
「にっ○○っこに○でもやっていろ!」
「うわあああああああ体が勝手にいいいいいいいぃぃぃぃ○っこに○こー○ー♪」
俺の指示を受け、ラブ○イブで見たことのある見た目になったひでりくんは、そのまま楽しそうにどこかへ行ってしまった。これで良し。
セサミとフェンネルの魅了にひでりくんのに○化……それらを見た皆は、ダダ・モラシ鳥を最優先でひっ捕える方針に固め、俺を一切無視するようだ。だがそうは問屋が卸さない。麗しき美少女達を手篭めにしてこのままベッドエンドだ。
「こら!ローリエ!!」
「! ソラちゃんか……」
「今すぐこんなことやめなさい!」
セサミとフェンネルを篭絡して混乱している本館に、ソラちゃんがやってきた。
やはりというべきか、君もこの同人即売会に参加していたか。現に別館を回っている時に、グラサンとマスクの怪しい人を見かけたし。
だが、今回ばっかりはソラちゃんといえど「わかりました」と退くわけにはいかないなぁ……!
「ソラちゃん。なぜ、そんなことを言う?」
「え、なぜって。ダダ・モラシ鳥は迷惑な魔物だって裕美音も美雨も言ってたし……」
「よく考えてみろ。なぜ、お前達はクロモンと仲良くなろうとした?」
「それは、私達にとって無害だから……」
「思い出せ。ダダ・モラシ鳥が
「なにを…」
ソラちゃんは慈悲深い。話をすれば必ず答えてくれる。
俺の言葉を聞いてくれる限り勝機はある。このまま説得してやろう!
「かつて大規模な同人即売会で生まれ、即座に封印され、能力ゆえに忌み嫌われ続けた存在。
だが、お生憎にも…
「!!?」
「生まれてすぐに嫌われ憎まれ、封印されたんだ。どんな心も荒み枯れるに決まっている」
「そ、そんなの……ウソよ!」
「嘘じゃあない。現にコイツは、『俺の妄想を叶えてくれ』って言ったら、
「騙されないでソラ様! 妄想は、妄想だからいいんですよ!」
「そうです。大惨事を巻き起こしかねない、危険な存在を止めない訳にはいかないでしょう?」
裕美音ちゃんと美雨さんまでやってきてソラちゃんを冷静にさせようとするが、手は緩めん。
むしろ、全員言いくるめてハーレムに取り込んでくれるわ!
「フフ…裕美音ちゃんも美雨さんも、
「いきなり何を…」
「ニホンオオカミ。二ホンカワウソ。ドードー。リョコウバト。聞いたことくらいあるだろう? 全部
いくら俺達人間が技術と魔法に優れているからといって……別の生き物を絶滅させてもいいなんて考えているなら、これ程おこがましい事は無い」
「い、今その話は関係ないでしょ!?」
「そもそも、何故エトワリアに住む貴方がそのことを知って……」
「知ってたら何か問題かな? 細かい事を気にしている時間があるなら、俺は野望を為し遂げるぞ。…なぁ、ダダ・モラシ鳥?」
「ぽろえぇぇ~~」
「「「!?!?!?!?」」」
ハッハッハ、掛ったな。俺は勝ちを手にするためなら手は一切抜かないのだ。
俺の説得に言いくるめられようが惑わされまいが、ダダ・モラシ鳥が『妄想を現実にする能力』で俺のハーレムプロット本を反映させれば勝ち確だ。
それを見抜けなかったどころか、言いくるめられそうになったソラちゃんについては、相手が悪かったとしか言いようがない。俺が本気で相手の篭絡を狙えばこんなモンよ。
反省会はコスプレごっこ(意味深)の後に開こうな。ソラちゃんには着せたい服が色々あるからな。リュウグウの人魚姫とか初代プリ○ュアとかギアスの女とか。
「ソラ様、危ない!」
「ローリエ、貴様の凶行、其処まで!」
「お」
しかし、アルシーヴちゃんとハッカちゃんがソラちゃん達を庇うように躍り出て、魔法陣を展開したり魔法符を取り出したりする。
だが甘い! 俺の好みのシチュエーションを生み出したいという欲望と、ダダ・モラシ鳥の能力をその程度で止められると思っていたのか!
「飛んで火にいる夏の虫だな……催淫術にかけた後は2人もコスプレごっこ(意味深)に巻き込んでくれる!!」
「ぽろえぇぇぇ~~~!!」
ダダ・モラシ鳥の魔力がソラちゃんとアルシーヴちゃんとハッカちゃん、そして裕美音と美雨さんを包んでいく。もう勝利確定だ。
アルシーヴちゃんにはピチピチのライダースーツを着せよう。隠れ巨乳の彼女の全てが浮き彫りになる筈だ。そんで、ハッカちゃんには第6の精霊服と北○治高校の制服を用意してある。絶対「だーりん」って言わせてやるからなぁ………!
「ローリエ…♥♥ 私、もう我慢できません…♥」
「くっ、悔しい……でも、感じちゃう♥♥♥♥」
「ご主人様ぁ…頑張ったジンジャーにご褒美ください…♥♥」
「先生……はやく……♥♥」
「ねぇ……誰からいくのかしら?♥♥♥」
「うぅ…頭がくらくらする♥♥」
「お姉さんに…何をするつもりなの…?♥悪い子ね♥」
「焦るなよ、みんな。夜まで待ってくれ。それから夢のような時間を過ごそうじゃあないか♪」
おっとっと、もう女性陣が限界だ。これ以上おあずけを食らわせるのも忍びない状態に仕上がっているじゃあないか。俺もそろそろ期待に答えなくっちゃあな。なんせ、(今世の)父さんは言っていた。「男がやってはいけないことは二つある。女の子を泣かせることと、添え膳を食わないことだ」とな。
さて、読者の皆さん。お待たせ致しました……! これより、小説ページをR-18専用に切り変えて、連載『きらファン八賢者 ルナティックミッドナイト』の開始を宣言する*1ッ!!
悪いな諸君。俺は今夜を以って、光源氏と結城○トを超越する―――
「みっともない姿だな、親友」
「なに?」
突如、聞き覚えのある声が俺の勝利宣言を遮った。
清潔感のある服装。地味な顔立ち。本体疑惑のあるメガネ。俺に突きつけられた木刀。
声のした方に目を向けると………
「早く正気に戻って、彼女たちを解放しろ」
「…コリアンダー、か」
シャイな筈の親友・コリアンダーが立っていた。
◇◆◇◆◇
「ローリエがおかしくなる様は俺も大体見ていた。
アルシーヴ様やソラ様にダダ・モラシ鳥をけしかけた時点で俺は決意したよ。『あぁ、この馬鹿ぶん殴って止めよう』ってな」
突如現れたダダ・モラシ鳥とそれに加担して私欲を満たそうとしたローリエによってもたらされた大混乱。
それを収めた―――否、収まるところを目撃した数少ない正気の人物のひとり、コリアンダー・コエンドロは、第一回エトワリアコミマ終了後、医務室にいたきらら一行と正気に戻った女性陣を相手にこう語る。
「あの後どうなったかって?
長くなるから最初に結論を言っちまうが……
……まぁ落ち着いて聞いてくれ。これは結論だって言っただろ?」
ローリエがダダ・モラシ鳥を討伐及び封印をした。
ダダ・モラシ鳥の能力を悪用してハーレムを作ろうと画策していたローリエからは想像も出来ない結末だ。例えるならば、某仮面の騎士が自分の戦艦を堕とすくらい意味不明な所業。
だが、これには理由があるとコリアンダーは続けた。
「まず、だが……ローリエはこの時、致命的な勘違いをしていたそうなんだ。アイツが自白していたから間違いない。
アイツは、封印が解かれた直後のダダ・モラシ鳥に自分の妄想を見せて『実現させてほしい』って言ったから尚更なんだろうな。
ダダ・モラシ鳥の能力は『
『…なにしに来た? 嫉妬か?』
『馬鹿かお前は。こんな手を使ってハーレム作っても微塵も羨ましくない。そもそも、男女の付き合いは一対一が基本だろ』
『そういう事は美女と二人っきりでも気の利いた会話が出来るようになってからにしろ』
軽口を叩きあいながら向き合うローリエとコリアンダー。
この直後、異変は始まった。その元は、ダダ・モラシ鳥の能力を受けたアルシーヴ・ソラ・ハッカだ。
「あいつの頭の中では、メロメロになった三人を想像でもしてたんだろ。だが、実際に三人に起こったことは別のことだった。………あー、俺もあの時のことは1ミリも理解できなかったからありのまま言うぞ?
まずアルシーヴ様が、男になった……そして、ソラ様も、男になった………顔はほぼ元のまま、だ。それでハッカだが…………『うほっ、俺は森のオーク!この美少女にあんなことやこんなことさせて「くっ、殺せ!」と言わせてやるぜ!』と………言ったんだ。
………そんな目で俺を見るな。俺は見たままを語っただけだ。その当時は俺もローリエも固まったよ。今のお前らみたいな表情をしてな」
『なんだこれは……体が……熱い……!』
『うううぅっ……ダメ……アルシーヴを、押し倒したい……アルシーヴは、私の、モノ……』
『うほほっ、こいつらまとめて【
『『―――は????』』
『ぽろええぇぇぇぇ~~~~♪』
胸がしぼむなどの言葉に形容しがたい異変に全身を襲われているアルシーヴとソラ、蛮族のようなセリフを真顔で言ってのけるハッカ、自身の本能(?)を満たせてご満悦のダダ・モラシ鳥、そして、それらを目の当たりにしてスペースキャットのような顔をするローリエとコリアンダー。二人とも、何故このような事態に陥ったのかまるで分かっていなかった。原因は、この時ソラが持っていた同人誌にある。
実は彼女、この時点でもう既に布田裕美音と天野美雨の同人誌を持っていたのだ。内容は……『ソラ(♂)×アルシーヴ(♂)*2』と『アルシーフちゃんくっころ物語*3』の二つを複数冊。読書・鑑賞・布教用に揃える猛者ぶりであった。だが、今回ばかりはそれが仇になった(?)のだ。
更に重要なのは、ダダ・モラシ鳥は
『アルシーヴっ…』
『へっへっへー』
『くっ……殺せ!』
『『………』』
男体化したアルシーヴが、総受けの覚悟が出来たようにしか聞こえないことを言い、ソラとハッカが押し倒す。
目の前で地獄絵図を見せられて、ローリエもコリアンダーも戦うなんて雰囲気ではなくなった。
「そんなアホみたいな地獄絵図を見たローリエはな……何を思ったのか紙で作った小冊子を捨てたんだ。
そんで、新しい小冊子を取り出すと、何かを書き込んでいって……で、唐突に謝ったんだ。『ごめんコリアンダー、俺が間違っていた』ってな」
『…ローリエ? 急にどうしたんだ? 何を言っている?』
「そうしてダダ・モラシ鳥に近づいたローリエはな、こう…ダダ・モラシ鳥の首根っこを掴んだんだよ。これまでに見たことのない怒りを込めてな。
……ローリエの“地雷”、公言してるから知ってるだろう? それを踏みぬかれたからだって言ってたけど、まさか、それだけでああなるとはな」
『この地獄のような状況をみてやっと分かったんだ。俺はたまたま運が良かった事。
そして―――ダダ・モラシ鳥。お前は存在してはいけない生き物なんだってな』
『ぽろ!?!?!?!?!?』
ダダ・モラシ鳥からすれば、信じていた相手からの突然の裏切り。
何故だ、と思った。自分はただ、妄想を現実にしただけなのに。メスをメロメロにしたのと今の妄想の実現では何が違うんだと言わんばかりの驚きようであった。だが、それが逆にローリエの逆鱗に触れた!
ローリエはダダ・モラシ鳥の首を絞める力を強める。
「敵意をもって首を絞めれば、誰だって反撃する。ダダ・モラシ鳥も、能力でローリエを無力化しようとした。だが…光を放ったらローリエが逆に強くなったんだ。おそらく、直前に書いた小冊子で対策したんだろうな。
そっから先は―――暴力の嵐だった。そうとしか言えないくらい、苛烈で派手な拳の連撃で、あっという間にダダ・モラシ鳥をぶっ飛ばしやがった」
ダダ・モラシ鳥は能力を使った。『本の妄想を近くの人間に実行させる能力』を。
だが、ローリエに反映されたのはソラのBL本の内容ではなかった。
ローリエがコリアンダーに謝る前に書き込んだ本―――小冊子その②に込められた強い想いから……それが、ローリエに反映されるようになった。
小冊子その②の内容―――それは、とある格闘ゲームのコマンド表であった。
格闘ゲームのコマンド表をローリエに反映させた結果、どうなるか…………ダダ・モラシ鳥は、それを身をもって思い知ることになる。
『オオラァ!!』
『ぽろえぇ!?』
『フッ! ハッ! ヤッ! デヤァ!!』
『ぽろ~!!?』
最初は、巨大な風船が割れたような豪快な音が響く平手打ち・超ぱちきでダダ・モラシ鳥の身体が浮く。
続いて、目にも止まらぬ踏み込みからのアッパーカット。コリアンダーからは、それが命中した瞬間、ダダ・モラシ鳥の身体がブレたように見えた。しかし、ダダ・モラシ鳥自身は、全身を強烈な痺れが襲っている。これでは、次の攻撃を回避することもできない。
その直後ローリエは軽く跳んでダダ・モラシ鳥の翼の根本に向かって鋭い手刀を繰り出し、これを命中させて地面に叩きつける。更に、鳥の足に向かって剛脚を繰り出し、砕くような音をあげながらこれをヒットさせた。そして、再び最速の風を切るアッパーカット。更に、雷を纏った重い拳で、ダダ・モラシ鳥を転倒させた。
『デヤァァァァッ!!!!』
『ぽろ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇ~~~!?!?!?!?!?!?』
連撃を受け、かろうじて立ち上がったところに、トドメの踏み込みながらの右ストレート。拳を額のど真ん中に受けたダダ・モラシ鳥は、衝撃を殺しきれずに、錐揉み回転しながら本館の壁へ突っ込んだ。そして……再び動く気配は、なかった。
「初めてだったよ。鳥の魔物をブチのめす親友に悪魔の羽が生えてるように見えたのは。たぶん、あれは幻覚だな。ひょっとしたら、ダダ・モラシ鳥の能力か何かの影響を受けたのかもしれないが………とにかく。ローリエは封印の書をコルクの店から貰ってきて、ボコボコにしたダダ・モラシ鳥を封印した後、俺に対して自首したんだ。それがあの時に起こったことの全てだな。
……なんだその目は。まさか、俺が嘘をついていると思っているのか? 自慢じゃあないが、俺はここまで面白おかしい嘘はついたことないし、つけないぞ。どうしてもってんなら、他の人にも聞いてみればいい」
コリアンダーの報告は、ローリエのハーレムメンバーにされてた面々からすれば信じがたいことではあった。普通に考えて、ローリエが自らハーレムを手放すとは思えないからだ。
だが、コリアンダー以外にも、かおすや珠輝、翼や琉姫、ユミーネ教徒たちからもまったく同じ証言が得られたことで、ローリエはダダ・モラシ鳥を討伐・封印したことが認められた。
しかしそれとこれとは話が別である。ローリエはぶっちゃけ、悪事を企んであらゆる人を巻き込んだ挙句、不始末を自分で片づけただけなのだから。
「うわあああああああああん!!俺が悪かったから助けてくれェェェェェェ!!!!
あ、ランプ!!? これ解いてくれえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ごめんなさい先生……それ解いたら私もお仕置きされますので」
「マ・ジ・で!!? 誰だそんな意地悪言ったのは!!」
「コリアンダーさんです」
「あの野郎覚えとけよ…」
「……ホントに反省してるんですか?」
第一回エトワリアコミマ終了後。
ローリエは、書庫の天井から布団に簀巻きにされ、逆さづりにされていた。
当然、第二回のエトワリアコミックマーケットでは、彼は出禁になったことは言うまでもない。
―――しかし。彼はこの時、まだ知らなかった。
「…その手に持ってるものは?小冊子?」
「たまたま拾ったんだけど……」
「けど?」
「ここに書いてある事、天才的なんだよ。俺、次回はハーレムもの描いてみようかな…」
エトワリアに新たなジャンルが芽生えたことを。
キャラクター紹介&解説
ローリエ
最低な計画を築き上げ、あと一歩のところまで進めた変態主人公。ハーレムものが欲しかったが故にハーレムを作り出したが、協力者であるダダ・モラシ鳥との好みの違いで決定的に対立し、ダダ・モラシ鳥をみずから退治した。いちおう自分のケツは自分で拭いた形にはなっているが、当然簀巻きや次回コミケ出禁などのお仕置きを食らう。
ダダ・モラシ鳥
イベント「大騒動!エトワリア同人誌即売会」で登場した、妄想を実現させる力を持った魔鳥。公式とは違い、拙作では悪感情をぶつけてこないローリエと出会い、心を開ける仲間を(一時的にとはいえ)得たお陰で手当たり次第に能力を使ったりはしてないが、それでもフリーダムに暴れている。その結果、原作よりも更に痛めつけられて封印された可哀想(?)な魔物である。
アルシーヴ
男体化と「くっ、殺せ!」の定めから逃げられなかった筆頭神官。原作とは違ってソラとハッカに押し倒された。
ソラ&ハッカ
公式通りに男体化した女神&オーク化した八賢者。奇しくもソラが持っていた同人誌が悲劇の原因であり、ローリエが目を覚ますきっかけにもなった。
セサミ&フェンネル&ジンジャー&アリサ&ライネ
作者が選定したハーレム要員。全員おっぱいがそれなりに大きいという共通点を持つ。なお、ジンジャーは未来のイベントを先取りしてメイド服を着せた。ちなみにだが、この事件以降、ローリエは彼女達とやや慎重に接するようになった。
神崎ひでり
中の人ネタをやる為だけに犠牲になった男の娘。きららファンタジアにはラブライブ系は現段階できららしかいないと思われるが…?
コリアンダー
ローリエの計画完遂に待ったをかけた男。その実、「バキ」的なただの説明要員だったりする。この後、女性陣からの好感度はあがったが、どうすればいいか分からず、チャンスをふいにする。
人間の都合で絶滅した動物
ローリエが言及した動物を解説しておくと、
・ニホンオオカミ→日本人が西洋から持ち込んだ「狼=悪」の価値観のせいで狩り尽くされる
・ニホンカワウソ→生息地開拓のせいで絶滅
・ドードー→卵もヒナも犬等に食われ、成鳥も食料として人間に乱獲され絶滅
・リョコウバト→人間が羽毛布団を欲しがるから狩り尽くされ絶滅
…といったところ。人間が動物達を鑑みて過ごさなければならないのは、地球でもエトワリアでも一緒なのかもしれない。ただし、今回はローリエが欲望を満たすためだけに使った詭弁だけれども。
中の人ネタ
神崎ひでり→矢澤にこはもちろんのこと、今回はソラ・アルシーヴ・ハッカをご用意。アルシーヴは言わずとしれた日本の悪女・峰不二子。ハッカはデート・ア・ライブより誘宵美九と、響け!ユーフォニアムより中世古香織。ソラはONE PIECEのしらほし姫とふたりはプリキュアの雪城ほのか、コードギアスのC.C.。
ローリエの格闘ゲームコマンド
元ネタは『鉄拳』の三島一八と『大乱闘スマッシュブラザーズSP』から。カズヤ参戦を受け、カズヤが使用する技の中から、スマブラにも登場するものをピックアップして使用した。個人的なイメージとしては、超ぱちき→最速風神拳→獅子切り包丁→褪砕き→最速風神拳→魔神拳→魔人閃焦拳。どんな相手でもほぼ確実に撃墜する。
ヒロイン投票です。(投票結果が反映されるかどうかは不明です)
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アルシーヴ
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セサミ
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カルダモン
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ハッカ
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それ以外(コメントにてそれとなくお願いします)