きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者   作:伝説の超三毛猫

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 みなさま、メリークリスマス。
 今回のお話は、特別に色んなキャラが出てきます。
 本編後のイベントと思ってください。「きらファン」でいうところの、イベントクエストのストーリーみたいな。
 文字数は拙作最大の1万8千は行きました。その分、きらファン愛をたっぷり詰めた所存です。

 それでは、どうぞ。
 


お気に入り100突破記念&クリスマス2019特別編:ローリエときららのクリスマス・キャロル

「お願いします、ローリエさん! 力を貸してしていただけませんか!」

 

「いや、無理だろ」

 

 きららちゃんのお願いを俺はバッサリと切り捨てる。

 きららちゃんは予想通り、「そんなぁ…」としょぼくれてしまう。目に涙も浮かべているような気がする。はっきり言って可哀想だ。

 しかし………俺は断じて、意地悪で言っているわけじゃあない。

 

 

(きららちゃんがサプライズでプレゼントなんて、誰が相手でも無理に決まってる……)

 

 

 そう。この子は今、俺に対して「来るクリスマスパーティーのために、サプライズでプレゼントをしたいから協力してほしい」と頼んできたのだ。

 俺は、女の子の頼み事は普通は断らない主義だ。だから、きららちゃんから「お願いがあるので後で部屋に来てくれませんか」と言ってきたときには、例えどんなことだろうと二つ返事で引き受けるつもりだった。だが…………きららちゃんがサプライズ、となると話は変わってくる。

 

 

 

 

 そう―――きららちゃんは、あらゆるウソや隠し事の類が絶望的にヘタクソなのだ。

 

 夏に、彼女の知り合いが建てたという、『リュウグウランド』のアトラクションに参加したときに、案内役がきららちゃんだったのだが……なんともまぁ、ひどすぎた。

 

『え? だめですか? 私、うそつけませんか?

 でもだからといって、今更、これがオトヒメさんによるドッキリだなんて口が裂けても……』

『脱出ゲームをドッキリで体験してもらおうってオトヒメさんの提案でできたアトラクションの、仕掛け人をやっているだなんてことはありません!』

『手はず通り、あっちに人影が!』

『そういう設定なので、大丈夫ですよ?』

『ウミさんの役目はもう終わったので。』

 

 彼女の露骨すぎるばっくれようが、脳裏に蘇る。

 どうしてここまで、ドッキリやら仕掛け人やら、手はずやら設定やら役目やら、ポロポロ言えるものなのか。ウッカリなんてレベルじゃない。普通なら意図してやらない限り……いや、意図してやってもこんなにボロは出せない。でも、きららちゃんは意識せずにやってのける。もはや才能だ。

 

 

 どうせ彼女のことだ。

 クリスマスパーティー用のプレゼントを買うのに『クリスマス用のプレゼントにぴったりなものを買いに来ました!』って言ったり、ちょっと尋ねられたら『サプライズでプレゼントなんてありません!』って言ったり、直前になって『今からプレゼントを持ってきますのでここで待っててください!』って言うに決まっている。そこにサプライズもクソもない。

 微笑ましいプレゼントとしてはOKかもしれないが、きららちゃんは『サプライズでやりたい』と言ったのだ。手を貸さない選択肢はありえない。

 

 

「すみません、ローリエさん。わざわざお呼びしたのに……」

 

「何を勘違いしてるんだ?」

 

「え?」

 

「無理だろとはいったが、一人ならって意味だ。手伝わないとは言ってない」

 

「そ、それってつまり……!」

 

「ああ。できるだけサプライズになるように全力を尽くそう」

 

「本当ですか! ありがとうございます!!」

 

 

 きららちゃんを味方にして、どこまでサプライズできるのか。

 そんな不安に満ちている俺が差し出した手を、きららちゃんは満面の笑みをして両手で取り、包む。

 ここに、サプライズ作戦のチームが完成した。

 

 

 

 さて、きららちゃんと同盟を組めたことだし、まずは彼女から何をするか、どのような作戦で行くかを聞き出さなきゃな。

 

「さて、きららちゃん。サプライズとは言ったが、具体的にどうするつもりなんだ?」

 

「あ、はい。実は、明日皆のプレゼントを買いに出かける予定だったんですよ」

 

「なるほどな。誰に何のプレゼントを買うつもりだったんだ?」

 

「まず……ランプには、栞を。マッチには、専用の蝶ネクタイを。クレアには、髪飾りを。ライネさんには、新しい鍋敷きを。カンナさんには、筆記用具を。コルクには、計算機を。ポルカには、熱に強い団扇を。当日来てくれたクリエメイトの皆さんには、お菓子をプレゼントする予定です!」

 

「結構買うな。アテはあるのか?」

 

「はい。コルクさんのお店がありますので。」

 

「………」

 

 

 早速穴を見つけたんですけど。

 コルクの店で全部買おうものなら、コルク本人にそれを見られる。そこから、サプライズがバレるとは思わないのだろうか。

 

 

店主(コルク)にバレるぞ。というか、コルクへのプレゼントをコルクの店で買うのか……?」

 

「えっ………あっ! そ、そうか……」

 

「嘘でしょ、そこまで考えてなかったの?」

 

「は、はい……」

 

 何というか、きららちゃんは隠し事をしてるととことんポンコツになる気がしてきた。

 

「あー……まぁ、安心しろ。言ノ葉の都市になら、きららちゃんが買いたいものは全部揃ってる」

 

「本当ですか!」

 

「ああ。髪飾りとか電卓とか、あと宴会芸用の蝶ネクタイなんかも俺が作って流行らせたからな」

 

 コレでなんとか、コルクにサプライズがバレるという事態は避ける事ができた。

 だが、まったくもって安心出来ない。

 都市だと、ランプやアルシーヴちゃん、ジンジャーを始め、ハッカちゃん以外の八賢者と鉢合わせる危険性がある。もしかしたら『コール』中のクリエメイトもいるかもしれない。もしそうなった時に、きららちゃんに何か聞かれたら、サプライズとしてはオシマイだ。

 

 だから、先に手を打たせてもらう。明日、アレを持ってくるとしますか。

 

 

 

 

 

 翌日。

 言ノ葉の都市の中心部・噴水前、温かさと見た目を兼ね備えたハイカラな格好のいわゆる「シティーボーイ」となった俺は、待ちぼうけを食らった彼女持ちの男のようにベンチに座り込んだ。12月の風とが身に染みる。

 そうして数分ぼーっとしていると、こちらに向かって星型の髪飾りでツインテをつくった少女がやってくる。

 

「お待たせしました!」

 

 きららちゃんだ。いつもの魔導士のローブ姿ではなく、ベージュのレディースコートにモコモコな手袋、耳当てと温かい格好に身を包んでいる。

 

「大丈夫。こっちもさっき来たところだ」

 

「そうなんですね。では、早速行きましょう!」

 

「待ってくれきららちゃん。飴ちゃんでも食べるか?」

 

「わぁ、ありがとうございます!」

 

 俺は、真っ赤な飴玉をきららちゃんに食べさせようとする。

 

「はい、あーん」

 

「え?」

 

「ほら、あーんだよ、あーん」

 

「え、えっと………あーん」

 

 チョロい。

 俺が差し出した飴玉を見事に口にしたきららちゃんは、しばらく飴玉の甘さを堪能している。これで下準備は完了。

 

「な…なんだか恥ずかしいです……」

 

「気にすんな。この時期、どこもかしこもこんなムードさ」

 

 さて、買い物と行きますか。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 まずきららちゃんは、ランプの栞とカンナの筆記用具を買うために文房具屋に来ている。そこでは、パステルジュエルを削ったものをちりばめたカラフルな栞や金属で動物や魚の形をかたどった特徴的な栞、また多種多様な筆記具などを取りそろえてある。きららちゃんなら、これまでの旅の相棒やお世話になった建築家のお気に入りを決めることができるだろう。

 ちなみに俺は、「サプライズがバレないように別行動を取ろう」ときららちゃんに言って別れておき、隣の本屋で本を見ているフリをしながら、きららちゃんの様子を見ている。万が一、誰かに話しかけられた時に、一応()()はしているが、念には念をというやつだ。

 

「あら、きらら。何を見ているの?」

 

 きららちゃんに話しかけてきたのは、黒髪を細いツインテールにした少女。

 クリエメイトの小路綾だ。

 アヤヤの危険度は低め……といったところか。『きんモザ』の中では彼女は常識人だし、隣に陽子もいないから夫婦漫才が始まって暴走する危険性もない。

 

「綾さん。栞を見ていたんです。」

 

「何のために?」

 

 さて、アヤヤが栞を見ていた理由を聞いてきたな。

 ()()()()()だ。

 

自分用ですよ。私、本を読むんですけど、栞一枚も持ってなかったなって思って。」

 

「? あら、そうだったの。意外ね。」

 

「??? え、えーっと……??」

 

 突然、きららが混乱しだす。自分の口を抑え、はたから見ても分かるように動揺しだした。

 

「……なにやってるのよ? まあいいわ。じゃあね。」

 

「え、あ、はい……またこんど……??」

 

 きららちゃんは、わけもわからないまま急いでいるであろうアヤヤを見送った。

 しきりに自分の口を気にしている。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かのようだ。

 まぁ……当の本人にとっちゃ、わけもわからなくなるだろう。なにせ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 

 飴玉型変形取付魔道具・嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)

 俺がお遊びで製作した、飴玉のような形と甘味でカモフラージュされたこの魔道具は、誰かの口の中に入ると、飴玉が溶けたフリをして舌に取り付き、その人に思ったことと逆のこと―――つまり嘘を言わせる、という強烈な効果を持つ魔道具である。舌と同化する迷彩色を持つため第三者からの目視は困難で、解除するには、持ち主が「とある合い言葉」を言う必要がある。要するに某イタリアンギャングのスタ〇ド能力みたいなものだ。

 

 きららちゃんがどこまでも嘘をつけないことは知っている。それは立派な美点なのだが、サプライズやドッキリにはまるっきり向いてないのが欠点だ。

 だったら、罰ゲーム用の魔道具で喋れないようにするか? いや……それだと限界がある。できるだけ自然に……かつ、サプライズがバレないようにしなきゃならない。そこで登場するのがこの嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)だ。

 

 買い物を始める前にきららちゃんに食べさせた赤い飴ちゃんが、その魔道具だ。つまり今、きららちゃんの舌にはこの嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)がくっついているのだ。事前に言わなかったのは、余計なトラブルを回避するための合理的虚偽。今の彼女は、うっかり「サプライズプレゼントを探している」と言うことはできないし、それに関連した本当のことも喋れないようになっている。

 

 

「ローリエさん、さっきの綾さんとの話なのですが……」

 

「問題ない。次の店に行こう。」

 

 

 栞と筆記用具を無事買ったきららちゃんは会話の異変に気付き始めたが、サプライズの用意がバレない為にも、俺はさっさと次へ行くことを提案した。

 

 

 

 

 

 次にきららちゃんと俺は、蝶ネクタイと髪飾り、電卓と団扇を買うために雑貨屋に来ていた。大きめの雑貨店のため、きららちゃんが目的のモノを探している間、近くのコーナーで買うものを探すフリをする。

 

「えっと……電卓と髪飾り、うちわはオッケーだから………あとは、蝶ネクタイ、蝶ネクタイ………」

 

「…………。」

 

 きららちゃんの声が聞こえてくる。

 何というか、この買い物の最後までサプライズを隠し通せるか心配になってきた。そうやって買うものを呟いてたら察しの言い奴に気づかれるぞ。常にフォローに回るように動いて正解だったな。

 

 

「きらら! こんなところで何をしているのかしら?」

 

「あっ、メリーさん、勇魚さん! こんにちは。」

 

「きららちゃん、こんにちは。」

 

 

 おおっと、ここでまたきららちゃんに話しかける人物が現れたか。隣のコーナーからチラリと声のした方を見る。そこにいたのは、夢魔メリー・ナイトメアと(たちばな)勇魚(いさな)だ。

 勇魚は兎も角、メリーの危険度は少し高めだろう。彼女は聖典(漫画)『夢喰いメリー』の主人公の一人にして、藤原(ふじわら)夢路(ゆめじ)と共に数々の戦いを潜り抜けてきた猛者だ。並みの人間以上の身体能力や観察眼の前では下手な誤魔化しは逆効果になりかねない。

 

「アンタも宴会芸の小道具を買いに来たの?」

 

「『も』?」

 

「実は私達、クリスマスパーティーでちょっと、ね。」

 

「あんま言わないでよ勇魚。本番までのお楽しみがなくなっちゃうじゃない。それで、きららは何を買いに来たの?」

 

 メリー達はクリスマスパーティーで何か行うようだ。こちらも、クリスマスパーティーのプレゼントの用意なのだが、嘘をつかせていただきますよ。きららが。

 

「色々と。おおかた見つけて、あとは蝶ネクタイを探している所なんです。」

 

「へぇ、何のために?」

 

自分用です! ……え?」

 

「自分用? つまり、一発芸か何かで使うってことかな?」

 

はい、そうなんです。………???」

 

 

 相変わらず、きららちゃんは自分の口が勝手に嘘をつく現象に慣れていないようだった。

 だが、慣れてほしい。もしきららちゃんの「自らサプライズを暴露していくスタイル」に付き合っていたら、彼女の「サプライズでプレゼントを渡したい」という願いが叶えられないからだ。

 きららちゃんのこれでもかというほどの嘘に、勇魚もメリーも不思議そうな顔をしている。

 今のでバレるか………?

 

 

「どうしたの、きらら? 口ばっかり押さえて」

 

 メリーが首を傾げてそう尋ねるが……きららちゃん、そんなことをしていたら怪しまれるよ。

 嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)には欠点がいくつかある。その一つが、『対象の行動までは完璧には操れない』ということだ。例えば筆談であったり「あっちにだれそれがいるぞォーッ」って指をさす場合は筆談内容や指をさす方向を変えることはできるが、表情や口を押さえるといった『真偽のはっきりしない行動』に干渉することはできない。

 だが、多少怪しまれた所で問題ない。きららちゃんが次に口にすることは容易に想像できる。

 

 

「メリーさん、私はいつも通り至って普通ですよ。だって、思ったことがそのまま口に出るんですから! …………?」

 

 

 それは、言動の違和感をそのまま訴えること。

 嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)には欠点があるとはいえ、「思ったことと逆のことを言葉を言わせる」点だけは確かなのだ。だから……

 

『さっきからなんかおかしいんです。だって、思ったことと逆のことが勝手に口から出るんですから』

 

といったきららちゃんの言葉の方向性を、ここまで真逆にすることなどわけないのだ。

 

 きららちゃん、今は作戦中だ。必ずサプライズを隠し通してみせようぞ。

 

 

「い、いつも通り、思ったことが口に出る……?」

 

「何を言ってるの? それ、当たり前のことよ?」

 

「えっ!? えーっと………そ、そうですけど、そうじゃなくて……」

 

 

 きららちゃん、弁明しなくていい。早くプレゼントを買ってしまえ? 頓珍漢な嘘で勇魚が混乱し、メリーがちょっと呆れている今がチャンスだぞ?

 

 

「疲れてるなら、とっとと帰って休みなさい。いいわね。」

 

「メリーさん、分かりました。そうさせていただきます! ………あれぇ?」

 

「お大事にね、きららちゃん。」

 

 

 メリーが忠告し、勇魚が心配しながら立ち去った。

 はぁ、危なかった。ちょっと怪しまれたけど、この調子なら最後まで上手くいきそうだ。

 隠れていた隣のコーナーから姿を現し、きららちゃんと合流する。

 

 

「あ、あの、ローリエさん!」

 

「なんだ?」

 

「やっぱりおかしいです!」

 

「なにがおかしいのさ? ここまで、買うべきモノは順調に買えてるだろう?」

 

「そこじゃないです! メリーさんと勇魚さんとの会話です! 綾さんとの会話もおかしかったし!」

 

 やはり、違和感には気づくか。でも、まだ教えることはできないな。

 

「なにがどうおかしかったんだ?」

 

「さっきから思った通りのことを喋れる……………えっと……」

 

「何だ、いつものきららちゃんじゃあないか。きららちゃん、()()()()()()()()?」

 

「うう……確かにランプやマッチからそう言われたことありますけど………」

 

「さて、後は鍋敷きとお菓子だっけ。織物屋の方が近いから、先にそっちへ行こうか。」

 

「は、はい………」

 

 

 全く納得のいってない様子のきららちゃんの手を取り、俺達はライネさんへのプレゼントを買うために次の目的地まで歩いていく。

 

 

 

 

 

 俺達が織物屋に着くとそこには店主の他に、既に先客がいた。

 

 

「あれ、きららに……ローリエさん? 珍しい組み合わせだね」

 

「桃さん、こんにちは!」

 

「よ、桃ちゃん!」

 

 

 魔法少女の千代田桃だ。

 最近、きららがコールに成功した、聖典(漫画)『まちカドまぞく』の世界の住人である。

 桃は、戦いの後にほつれた服を直していた影響で、裁縫は得意なのだ。

 会計が済んだのであろう、何かが入った袋を持っている。きっとシャミ子かミカンに送るものを自作するために必要なものを買いに来てたのだろう。

 

「桃ちゃんは何を買いに来たの?」

 

「裁縫道具の補充に。お二人は?」

 

「俺達は完成品に用があるんだ。いいデザインのがあればいいんだけど……」

 

「………! あ、そうだローリエさん、一緒に行動しましょう、マンネリと分かるように。 ……うーん」

 

 きららちゃんがまた頓珍漢な嘘をつく。おおかた『サプライズだとバレないように別行動しましょう!』とでも言うつもりで、真逆の事でも言おうとしたのだろうが、そんな小手先の手段で俺の嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)を破れると思うたか。

 つーかサプライズがバレないように動いていることを自覚しろってーの。桃が目の前にいるのにそんな事を言おうとするなし。大義を見失って貰っては困る。

 

 

「………?? きららは何を言ってるの? なんかおかしくない?」

 

「気にすんな、桃ちゃん。いつもの事だろう?」

 

「何を言ってるんですかローリエさん! まるで私がおかしな子みたいじゃないですか!」

 

「いや、そうじゃなくて。何か声か…しゃべり方?そういうのが変……とまではいかないけど、いつもとは違うなって。」

 

「「っ!!?」」

 

 ヤベェ。この桃色魔法少女、思ったよりも鋭いぞ!?

 あまりに鋭く切り込んでくるから、一瞬心情がシャミ子に寄ってしまった。どうしよう。

 

 

「そ、そうか…? 今日のきら――」

そんなことありませんよ? いつもこんな感じです!!

 

「…………。」

 

「やっぱり、何か違和感がある。風邪かな?」

 

「……!」

 

 完全に終わったと思ったが、桃は風邪だと思い込んでいる。思わぬ誤算だが、利用しない手はない。

 きららちゃん、後で償いはいくらでもするから、今だけは許してくれよ。

 

 

「そう……かもしれない。きららちゃん、ちょっといいか?」

「えっ?」

 

 返事を待たずに近づいておでこで熱を測る―――のはちょっと恥ずかしいので、両手で熱を測る。

 

「あの、私、熱なんてあり――」

「静かに。サプライズ、成功させたいんだろ? なら今桃ちゃんにバレるのは良くない」

「でも、ここまでしなくても――」

「いいから。……俺を信じてくれ」

 

 

 きららちゃんの言葉を遮り、彼女にしか聞こえないように囁く。それで納得がいったのか、きららちゃんはそれ以降反論することはなかった。

 そして熱を測るフリをして、きららちゃんから離れると、桃にも聞こえる音量でこう言った。

 

 

「熱自体はないみたいだ。のどにでも、問題があるのかな?」

 

「なら、風邪の引き始めかもね。気を付けたほうがいいよ、きらら。」

 

「えっと……分かりました。気を付けますね。風邪ひいてますけど

 

「引いちゃ駄目なんだって。じゃあ、お大事にね。」

 

「じゃーねー、桃ちゃん!」

 

 

 俺たちに手を振って、桃は帰っていく。その表情は、ちょっときららちゃんを心配しているようでもあった。

 危なかった。もし、桃にきららちゃんに仕込んだ嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)の事がバレたら、裁かれていたかもしれない。サバのように…。

 

 

「………行ったか。さて、鍋敷きを買うとしますか……きららちゃん?」

 

「………。」

 

 

 桃が離れたところを見計らって俺は織物屋の奥に入ろうとするが、きららちゃんは動かない。

 よく見ると、きららちゃんは罪悪感のにじみ出る表情で、桃が立ち去った方向をずっと見続けている。

 

 

「……きららちゃん」

 

「あ、はい! …なんですか?」

 

「…そんなに、嘘をついたのが嫌だったか?」

 

「………っ」

 

 

 きららちゃんが俯く。

 サプライズを隠し通すためとはいえ、ちょっと嘘をつかせすぎたか。

 彼女のリアクションで俺はようやく分かった。

 

 彼女は、嘘や隠し事がただヘタクソなだけじゃあない。純粋に仲間を信じることが…人の持つ善なる部分を信じることができるのだ。だから…仲間を騙したり、裏切ろうとすることができないんだ。だから……嘘や隠し事が全くできないのだ。

 

 

「きららちゃん……俺は、謝らないといけない。今、君の身に起こっている現象を引き起こしたのは間違いなく、俺だ。」

 

「……やっぱり、ローリエさんの魔道具だったんですね。始めに食べさせてくれた、飴ですか?」

 

「そうだ。詳しくは買い物がすべて終わった後に話すが、君に説明も許可もなく、騙すような形で魔道具を取り付けたことを、謝らないといけない。すまなかった」

 

「どうして、そんなことを?」

 

「きららちゃんが隠し事が全くできないのは知っていた。そんな君から、サプライズをしたいと頼まれた時に最も必要だと思ったんだ。何も聞かせずに食べさせたのは、事前に説明したらそれをそのまま誰かに話すと思ったからだ。」

 

「そう………ですか。そんな気はしていたんです。」

 

 ……?

 つまり……きららちゃんは自分が嘘や隠し事がびっくりするほど苦手だってことを知っていたのだろうか?

 

「どういうことだ?」

 

「私は……サプライズやドッキリなんて、できない人なんじゃあないかって思ってたんです。」

 

「!!」

 

「オトヒメさんのドッキリアトラクションで案内役をしたあとで、マッチがランプに話しているのを、たまたま聞いてしまったんです。」

 

 

『ランプ、アトラクション試遊のフィードバック、読んだよ。』

『どうでした?』

『うん……大体は高評価だったけど……』

『けど?』

『胡桃の意見に書いてあった、この「案内役がネタバラシをどんどんやってた」って意見が気になるかな。』

『案内役って、確か……』

『きららだよ。彼女、嘘とかつけない人だから心配してたけど……まさかドッキリだってすぐにバラしてたなんてね。』

『マッチ!!! きららさんがいない所でそんなことッ――!!』

『待ってくれ、非難したいわけじゃあない。でも僕も知らなかっただけなんだ―――』

 

 

「だから……みんなを驚かせたかったのかもしれない。私だって、サプライズできるんだーって。」

 

 そんなことがあったのか。そんなことを聞いてしまったら、発言者の意図はどうあれ、気にしてしまうに決まっている。とりあえずマッチ、お前は後で魔法実験台の刑に処してやる。

 

 きららちゃんのその表情は、笑顔を繕っている―――いや、繕おうとしているが、悔しさがにじみ出ていて、まったく誤魔化せていない。そのせいで、自嘲気味な笑いになっている。こんなところまで誤魔化しがへたくそな彼女の表情に、なぜか俺は急に罪悪感に襲われた。

 

 

「でも……嘘をつくのも、なんか嫌でした。さっきメリーさん達や桃さんに心配されたこともです。本当に元気で、風邪も引いてないのに風邪を引いたって言ってしまって……まるで、三人を騙してるみたいでした。」

 

「………それは100%俺が悪いわ。マジでごめんよ」

 

「いいんです。私は、嘘をつくことを、覚えなければいけないんでしょう。それが、サプライズを成功させることに繋がるから……」

 

 

 繋がらないよ。

 そんな大袈裟に覚悟を決めないでくれ。頼むから、普通に「ローリエさんに変なもの食べさせられたー!」って言ってくれない?

 これ以上きららちゃんが変な方向に歪まないように、修正しなければ。

 

「それは違うぞ」

 

「違う、って……?」

 

「サプライズを成功させることが目的だろ? 嘘をつけるようになることが目的じゃあない」

 

「!!!」

 

 

 俺の言葉できららちゃんは目を見開く。

 

 

「それに俺は……嘘がとんでもなく上手な人より、素直な子の方が好きだ。」

 

 俺の思いをそのまま伝えると、きららちゃんは、自身の暗雲が晴れたのか、さっきの自嘲的な笑いが嘘であるかのように笑う。冬の寒さのせいか、顔がほんのり赤い。

 

 

「ありがとうございます、ローリエさん。

 ……そうですね。確かに私は、そう頼んでたんでした。」

 

「さ、中に入るぞ。ここで鍋敷きを買ったら、あとはお菓子だけだ」

 

「はい!」

 

 俺たちは、二人でライネさんが好むであろうデザインの鍋敷きを選び、会計を済ませた。

 

 

 

 

 織物屋を後にして、お菓子の店が見えてきた時、後ろから声をかけられた。

 

「ローリエ! やっと見つけた…!」

 

 ソラちゃんだ。封印が解かれた後もはたまに神殿を抜け出したり、別世界の観測&記述をしたり、きららちゃんとランプをお茶会に呼んだりしている。

 

「あ、ソラ様!」

 

「きららちゃんと一緒だったのね。」

 

「あぁ。どうしたんだ、ソラちゃん?」

 

「ちょっと二人で話したいことがあるの。付き合ってくれないかしら?」

 

「……悪いけど、きららちゃんの先約があるんだ。日を改めてくれないか?」

 

「……ほんの数分で終わることなの。お願い。」

 

「…………きららちゃん、先に行っててくれ。ソラちゃんが手短に済ませるみたいだから」

 

「分かりました。じゃあ、先にお菓子屋さんに行ってきますね。」

 

 きららちゃんがお菓子屋に歩いていくのを見送った後、俺はソラちゃんに話しかける。

 

「……それで、なんの用なんだい?」

 

 俺の言葉に、ソラちゃんはなんでもないように尋ねる。

 

「ローリエって、欲しいものとかある?」

 

 ……その質問は、クリスマスプレゼントのことを訊いているのだろうか?

 時期も相まって、あまりにも露骨すぎるその質問は、裏があるんじゃないかって思うほどだ。

 だから、適当にはぐらかして早くきららちゃんと合流するとしますか。

 

 

「……そうだな―――」

 

「言っておくけど、『体にリボンを巻くだけでいい』とか言って、私や他の女の子をねだるのはナシよ。現金も夢がないから駄目。準禁忌の魔法(ブラズーレやルカニャン)の解禁も私一人の一存じゃ行えないし、『何でもいい』が一番面倒なの知ってるでしょ」

 

「………なんで誤魔化しのレパートリーを全部知ってんだよ」

 

「何年幼馴染やってると思ってるの?」

 

 どうやらこの幼馴染も、俺が彼女を知っているように、俺のことはだいたい分かっているようだ。

 仕方がない。

 

「ソラちゃんが好きなものをくれないか?」

 

「………そんなことを、色んな人に言うからダメなのよ、あなたは」

 

「ンなこと言われたって、思いつかねぇんだよ。形になるものなんて、その気になれば大方作れるしなぁ」

 

「でも、人から貰ったものって、思い出に残るものよ。ローリエは何でも作れちゃうけどさ、たまには、こういうのもいいんじゃないかしら?」

 

「……そうかな。」

 

「引き止めてごめんね。それじゃ、クリスマスを楽しみにしててね!」

 

 そう言うと、ソラちゃんは走っていってしまった。

 俺は、彼女の言葉を反芻する。

 

「『人から貰ったモンは思い出に残る』……かぁ……」

 

 確かにそうかもしれない。思えば、俺は必要なものは全部自作していた。

 パイソン&イーグルの二丁拳銃に始まり、ルーンドローンやル○バもどき、トランプとか将棋に至るまで。エトワリアは、俺が転生前に住んでいた日本よりも不便だったのだ。まぁ、それはそれで良いところもあったりするのだが、どうも日本で培った便利な生活観が足を引っ張っている節がある。早いところ、改めないとな。

 

 これ以上きららちゃんを待たせるわけにはいかないなと思い、早足で駄菓子屋に行くと。

 

 

どーぞ、どーぞ! ぜひ全部見ていってください!

 

「あ、ああ……だから、今から見ようとしているのだが………きらら、何故抵抗するんだ?」

 

「きららさん、言葉と行動が完全に矛盾してますけど………」

 

「……………」

 

 

 店先には、袋の中を見ようとしているアルシーヴちゃん、それに抵抗するきららちゃん、見たまんまの状況に呆れかえるソルトがいた。俺はその光景に顔を覆った。

 

 

 

 

 ……結論から言おう。

 バレた。バレてしまった。

 終わった。今度こそ何の誤魔化しも効かないくらいに、しっかりと終わった。

 

「…成る程。道理できららの言動が不自然だったわけだ……」

 

「ごめんなさい、ローリエさん……私が誤魔化せなかったばかりに……」

 

「いや、きららちゃんは悪くねぇよ。ソラちゃんの話を切り抜けられなかった俺の落ち度だ……」

 

「全くです。無許可で魔道具食べさせるとか正気ですかあなたは」

 

 辛辣なソルトの正論に俺となぜかきららちゃんもこれから尋問を受ける犯罪者のように縮こまってしまう。

 

「とりあえず、きららに付けてる魔道具を戻せ、ローリエ」

 

「はいはい………『戻れ、トーキングヘッド』」

 

「んぶぅ!!?」

 

 若干津田健さんのモノマネをしながら合言葉を言うと、きららちゃんの口から赤いものが飛び出した。

 ソレは、ナメクジのような姿で、一本釣りされたマグロのように1、2秒ほどピチピチしたかと思えば、もとの真ん丸の飴玉の姿に戻った。

 

「………もう少しビジュアルを何とかしろ」

 

「G型よりマシだろ?」

 

「アレは最底辺だ馬鹿者。口から飛び出すところといい魚のような動きといい、コレも十分気持ち悪いわ」

 

 アルシーヴちゃんにそう言われて残り二人の顔をうかがうと、きららちゃんは青い顔で、ソルトも引きつった顔を真顔に装って頷いていた。

 今度は鳥山先生作のスライム顔でもつけてみるかな。

 

「それで? 何故、この様なキモイ魔道具をつけてたんですか?」

 

「あぁ、それはだな………」

 

 俺の魔道具をディスったソルトに若干イラっとしながらも、話を円滑に進めるために全部教えることにした。バレてしまった以上正直に話すほかないし、そうなったらなったで口止めすりゃいいだけだ。

 

「「はぁ…………」」

 

「あ、アルシーヴさん? ソルトちゃん?」

 

 二人揃ってため息をつかれた。なんだよ、何か問題あるのか?

 

「問題大ありだ。何故、二人きりでやろうとする」

 

「え、だって、サプライズですよ? バレたら意味がなくなるってローリエさんが」

 

「おいきららちゃん。最初にサプライズしたいって言ったのは君だろう」

 

「そうではありません。何故、ソルト達を頼ろうとしないのですか」

 

 ソルトの意外な言葉に俺達二人は面食らう。

 

「ど、どういうことですか??」

 

「あなた達はいつもそうです。二人とも、誰かを頼ることに躊躇してしまう。特にローリエ。あなたの方がその傾向が強いです。」

 

 ぐうの音も出ねぇ。現にきららちゃんのサプライズも俺一人でサポートしたし。

 

「でもよ、俺達のことは、ソルトやアルシーヴちゃんには関係ないことだろう?」

 

 とはいえ黙るわけにもいかずそう返すと、アルシーヴちゃんは軽く手を上げる。

 

「そう言うな。実は私達も、()()()()で買い物に出ていたのだ。」

 

「ある目的?」

 

「お前たちと()()だ。」

 

「同じって……?」

 

「少し提案があるのだがな………」

 

 そう笑うアルシーヴちゃんが出した提案に、俺ときららちゃんは迷わずOKを出した。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 アルシーヴちゃんの提案に乗ってから数日。

 とうとうきららちゃんが待ちに待ったクリスマスパーティの日がやってきた。

 きららちゃんはミニスカが特徴的なサンタ服に、俺は白いシルクハットにタキシード、モノクルに申し訳程度のサンタ髭というアルセーヌ・ルパンばりのコスプレに着替え、現在二人揃って外で待機中だ。

 

 今回のパーティ、俺ときららちゃんはわざとパーティに遅れて、会場内が停電になったタイミングに突入、復旧した瞬間に盛大にプレゼントをする、という手はずになっている。

 無論、きららちゃんは計画を喋るに決まっているのでその朝再び嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)を無理矢理食べさせておいた。彼女は嫌がったが、受けた仕事は最後までやるのみだ。最後の最後でサプライズがバレてたまるか。

 

『い、いや! 絶対に嫌です!!』

『………ビジュアルは改善した。見ろ、この愛くるしいスライム顔を』

『……いや、改善になってないような…というか、私はこんなものに頼らなくても――』

『誤魔化せるって? 悪いけど、今までの君の言動からしてコレは絶対に必要だ。なんなら根拠を解説付きで全部説明してやろうか?』

『うっ………』

『……別に嘘がつけないことが悪いことじゃあないんだ。ただ、今回に関してはちょっと不利だってだけなんだ。』

 

 説得の様子が思い出される。

 あの時ほどきららちゃんに申し訳ないと思ったことはない。だからきららちゃんよ、顔を若干赤くしながら、涙目でこっちを睨まないでくれますかな。俺はただ魔道具を食べさせただけなのに、性的にヒドいことをしたかのような罪悪感に苛まれる。

 

 

「さぁ、準備はいいか?」

 

「……ええ、もう口に魔道具もありませんしね」

 

「悪かったって」

 

 どんだけ根に持ってるんだよ。仕方ないけどさ。

 そんなやりとりのうちに、もう一人の仕掛け人とも合流する。

 

「ローリエ、きらら、いけるか?」

 

「はい、アルシーヴさん」

 

「あぁ、モチロン。ソルトは?」

 

「そろそろ準備が終わる頃だろう」

 

 そう。アルシーヴちゃんだ。露出の多めなサンタ服がよく似合っている。

 アルシーヴちゃんの提案。それは―――『きらら達とアルシーヴ主催のクリスマスパーティを合同で行う事』だった。そして、きららちゃんのサプライズの仕掛け人にアルシーヴちゃんとソルトもなってもらう。それが、あの時に彼女が提案したことであり、俺ときららちゃんが賛成した作戦でもあった。

 

 つまり……今、会場になっているライネさんの食堂には、ランプやクレア等の里の住人やクリエメイトの他にソラちゃんやソルトと俺を除いた八賢者がいる。結構広いからスペース的には問題ないとはいえ、仲良くしてるといいのだが………

 

 

『アルシーヴ様、こちら、準備整いました。いつでもいけます。』

 

「よくやった。では、作戦開始だ、二人とも!」

 

「おう!」「はい!」

 

 

 アルシーヴちゃんが持ってた無線(俺作)に、ソルトからの連絡が入った。

 作戦、開始だ。

 

 食堂の窓から漏れ出ていた光が、一斉に消えた。

 それと同時に、俺たちは扉を開け侵入。

 動揺する声、悲鳴、ブレーカーを探せと指示する声が会場内に響く中、人の隙間をスルスルと走っていく。

 

 二人は見つかりにくい脇の方へ、俺は人目の集まる簡設ステージの上に立ち、小型のルーンドローンのスポットライトで自身を照らす。

 

 

 

「レディ~~~ス、エ~~~ン、ジェントルメ~~~~~ン!!!」

 

 

 

 声色を某泥棒三世風に変え、高らかに宣言し、会場内の視線を独り占めする………はずが。

 

 

「だ、誰だお前は! 怪しいヤツめ!」

 

「動かないでください。動いたら撃ちます」

 

「何だか知らないけど、アタシ達のパーティの邪魔はさせないわ!」

 

「ここに乗り込むたぁ、いい度胸じゃねーか?」

 

「動くなかれ」

 

 

 何も知らないクリエメイトと賢者達に囲まれた。

 リゼちゃんが、桃が、メリーが、ジンジャーが、ハッカちゃんがそれぞれ武器をこっちに向けている。

 

 ヤベェ。ここまで来て、逃げたらサプライズが台無しに…………

 …………いや、待てよ?

 この状況、いける。

 

 

「俺ぁアルセーヌ・ルパン。ここにきたのはプレゼントのためだ」

 

「プレゼント……?」

 

「あんま近づくとヤケドすっぜぇ?」

 

 

 マントを翻すと、囲んでいた5人が全員目を見開く。

 当然だろう。マントが裏がえったそこに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから。

 

 

「しっかり食らいな」

 

「みんなっ、逃げ―――」

 

 

 ジンジャーが指示を出そうとした瞬間―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンッ!パンッ!パパパパパッ!パンッ!パパパパパパパパパパパパパパパッ!パパンッ!

 

 

 

 

 

 

 会場に、紙吹雪が舞った。

 

「ハーッハッハッハッハッハッハッ!! メリークリスマス!!! 俺達のサプライズだ!!!!」

 

「「「「「「「………………へ?」」」」」」」

 

 サンタ髭とモノクルを取って素顔を晒した俺の高笑いに、皆はしばし言葉を失い、それは端からサンタ姿のきららちゃんとアルシーヴちゃんが出てくるまで続いた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 その後、きららちゃんとアルシーヴちゃんの説明で、さっきまでの侵入者がドッキリの演出であったことを知ったクリエメイトや参加者達は、本当に様々な反応を示してくれた。

 

 

「なんだ、不審者じゃなかったってことか………」

「リゼ、落ち込んでない……?」

「リゼさんだけじゃありません。『妹たちを守ろう』って張り切ってましたね、ココアさん?」

「そうだったねーココアさん」

「言わないでー!」

 

 何だよ、驚かせやがって! と言わんばかり落ち込んだり一息ついて安心する子たち。

 

「なによ、ただのドッキリだったの? つまんないわね、本物の不審者ならアタシがとっちめたってのに」

「そう言わないで、メリーちゃん………!」

「これがサプライズってやつか。悪い奴をぶちのめすのも悪かねーけど、こういうのも良いな! ワッハッハ!!」

 

 本物の不審者もドンと来い! と大笑いする子たち。

 

「桃、停電は……さっきの怖い人は……?」

「ドッキリだって、シャミ子。はいこれ、お菓子」

「うぅぅぅぅ……これで勝ったと思うなよ……でもお菓子はいただきます…」

「ひぃぃぃぃぃ………ウチ、ほんまにもう無理……」

「ドッキリだってば、ユー子…」

 

 怖がってしまった子たち、それを慰めている子たち。

 

「これがランプ。マッチはこれね。コルクさんとポルカさんがコレとこれで……」

「これは…栞!? きららさん、ありがとうございます!」

「いいプレゼントだね。ありがとう、きらら。」

「感謝する。ありがとう。」

「おれのもあるのか!? ありがとな、きらら!」

「それで……あれ? あとは…どれが誰へのだったっけ??」

「きららちゃん、手伝おうか?」

「あ……ライネさん、すみません。ありがとうございます。」

「いいのよ♪」

 

「こっちはシュガー、こっちはセサミ。ハッカのはこっちだ」

「ありがとーございます!」

「私まで、いいんですか!?」

「アルシーヴ様、感謝感激。」

「あああああ、アルあるあるあるアルシ、シーヴ、アルシーヴさ、ままままままま」

「落ち着けフェンネル、ほら」

 

 ちょっとぎこちなくプレゼントを配るサンタきららちゃんとテキパキ配るサンタアルシーヴちゃんのプレゼントに喜ぶ子たち(約一名ほどサンタアルシーヴちゃんからプレゼントを貰って感情がオーバーフローしてるヤツがいたけど無視だ無視)。

 

「ローリエさん、でしたよね!? さっきのアルセーヌ・ルパン、凄かったデース!! 良ければ、サインをくれまセンか?」

「か、カレン……! そんなグイグイ行ったら…!」

「それくらいならお安い御用だ。カレンちゃんだけでいいのかい?」

「ほら! アリスも貰っちゃいましょうよ! シノとアヤヤもどうですか~?」

「はい、アリスとカレンが貰うのでしたら!」

「わ、私、陽子を探してくるわ!」

 

 中には、ルパンを演じた俺にサインをねだってくる子たちもいた。

 色んな表情をしているとはいえ、みんな間違いなく楽しんでいる。

 

 ひふみんがコウとりんと三人で静かにお酒を飲んでいる隣で、あおっちがシャンパンで小悪魔になったのか、ねねっちとほたるんにじゃれかかっている。

 千矢ちゃんと(かむ)ちゃんと宮ちゃんが一心不乱にごちそうを美味しそうに食べ、それを紺と栄依子(えーこ)とゆのっちが見ながら談笑している。

 カレンが俺から借りたシルクハットをかぶり、ルパンの演技をして、それを見たシノや陽子がやんややんや、ヒューヒューと騒いでいる。

 メリーと勇魚が、鼻メガネとその他諸々の小道具を使って漫才をしている。舞台端を見れば千夜ちゃんが、いつの間にラパンの衣装を着せたシャロちゃんの背を押し、次の演目に彼女を入れようとしている。

 

 こんな光景が目の前で起こることなど、どうして想像できただろうか?

 ここまで賑やかで、見ているだけで楽しくなるクリスマスは()()()()初めてだ。

 それもこれも全て………

 

「ローリエさん。今回は本当にありがとうございました。」

 

 俺にお礼を言っている、きらら(この子)のおかげだ。

 

 

「お礼が言いたいのは俺の方だ。

 見てみろよ、パーティの参加者を」

 

「えっ?」

 

「今、目の前にいる人達は、きららちゃんが呼びだし、戦い、勝ち取ったり、絆を繋げたりした結果ここにいるんだ。パーティがここまで盛り上がったのは、君がいたからこそだ。本当にありがとう」

 

「いいえ。あなたが協力してくださったから、ドッキリが成功したんです。私だけじゃあ、途中でドッキリがバレて、ここまで上手くいきませんでした。」

 

「……ははっ」

「……ふふっ」

 

「あははははっ!」

「ふふふっ……!」

 

 

 お礼を言うつもりだったのに、お互いが変に譲り合いそうになり、つい笑ってしまう。きららちゃんもそれにつられたかのように笑い出す。

 

「何してるんだ、こんな所で?」

 

「アルシーヴさん、ソルトちゃん。二人とも、今日はありがとうございました。」

 

「ああ。二人のお陰だ。本当にありがとう」

 

「気にするな。」

 

「サプライズの企画はお二人です。ソルト達はそれに便乗しただけですので」

 

「それでも、だよ。二人には助けられた。だよな?」

 

「はい!」

 

 

 アルシーヴちゃんやトナカイの付け角をつけたソルトとも合流し、そんな事を話していくうちに、クリスマス・イヴの夜は、楽しく更けていった。

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。マッチはどこだ?」

「? ローリエ、僕に何か用かい?」

「明後日あたりの魔道具の実験に付き合ってほしいんだ」

「ま、待ってよ……そ、それって………」

「安心しろ、実験台だけはない。実験台だけは」

「信用できないんだけど!? 目が怖い!!」

「大丈夫だってビビリだなぁ。別にマッチのさり気ない一言がきららちゃんを傷つけたとかじゃあないしそれに対する報復でもない、実験台なら他にちゃんとした動物がいるしお前を殺す」

「いや最後!! 殺意を1ミリも隠せてないよッ!!?」

「ローリエさん! マッチは悪くないから許してあげてください!!」

「いや、マッチが悪いんだよ」

「程々にしろローリエ」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ローリエ、メリークリスマス」

 

 ローリエときららちゃん、アルシーヴのサプライズはとても驚いてしまった。

 

 突然の停電。

 ローリエの紳士服のコスチュームに演技とは思えない立ち振る舞い。

 二人のよく似合っていたサンタ服。

 アルシーヴからのイヤリングのプレゼント。

 そのすべてにクリエメイトや里のみんな、賢者だけじゃなくて私も、心奪われてしまった。あっという間にパーティが始まり、プレゼントを渡しそびれてしまうかと思うくらいには。

 

 

 宴もたけなわになった頃、私は、楽しそうにはしゃぐクリエメイトたちを、ひとり壁際で眺め、微笑んでいるローリエにこっそり近づく。

 

 

「ソラちゃん。気に入ってくれたかい? 今日のパーティーは」

 

「もちろん。カッコよかったわよ。あのサプライズ。心盗まれるかと思ったわ、アルセーヌ・ルパンさん♪」

 

「……知ってるのか、ソラちゃん?」

 

 

 確か…小説に出てくる、怪盗紳士だったかしら? 日々異世界を観察している女神を甘く見ないことね。

 そんなことを思いながら、ローリエの呆れるような驚くような質問には答えず、持ってきていたプレゼントを渡すことにした。

 赤と緑、金色のクリスマスカラーにデザインされた小包を渡す。

 

 

「これは……?」

 

「貴方へのプレゼント。開けていいわよ」

 

 

 私がそう言うと、「それなら遠慮なく」と包装を解いていく。

 すべての包みを外し、箱を開けると、ローリエはそこにあったものを見て目を見開いた。

 

 

「これは……ブレスレット…?」

 

 

 そう。彼によく似合う、太陽をイメージしたデザインがなされた、赤と金色のブレスレットだ。

 

 

「ローリエにはそのデザインが合うかなって。私はコレね」

 

 

 呆けたままの彼に私は右手を見せる。そこには、星々がデザインされた、紫が上品に使われているブレスレットだ。アルシーヴにも、さっき月のデザインのブレスレットを渡した。

 

 

「星のブレスレット………お揃いってことか」

 

「私だけじゃあないわ。アルシーヴにも月のブレスレットを渡しておいたの。三人でお揃いよ」

 

 

 そう言うと、ローリエの表情がだんだんと笑顔に変わり、太陽のブレスレットを撫で始めた。その撫で方は……大切なものを手に入れることができたかのような、優しい手つきだった。

 

 

「そうか……そいつぁいいな。ありがとう、ソラちゃん。」

 

「思い出に残りそう?」

 

 

 私が前日にローリエから訊いたことを尋ねる。

 気に入ってくれると嬉しいな、と期待しながら。

 どうやら、この様子だと、答えは一つみたいだけど。

 

 

「おいおい。訊くまでもないだろう?

 

 ―――最高の思い出だ。絶対に、忘れやしねぇよ」




キャラクター紹介&解説

きらら&ローリエ
 今回のサプライズを主催した原作主人公&拙作主人公。今回の話を思いついたきっかけが2019年夏のイベント『リュウグウアドベンチャー』にて、きららがネタバレ甚だしい案内をしたことである。アプリでは胡桃とイヌ子がフォローしていたが、拙作ではローリエも参加していたという設定。

アルシーヴ&ソルト
 神殿でのクリスマスで賢者とソラのプレゼントを買いに来ていた筆頭神官と賢者。ローリエときららと合流し、きららの矛盾しきった言動から異変を見抜く。二人がやろうとしたことを知り、合同クリスマスサプライズを提案した。

小路綾
 買い出しの日に、きららと文房具屋で出会った女子高生。彼女はただ顔を出し、買うものを探していた。一人で行動していたため、陽子にペースを乱されることなく暴走もなかったため、怪しまれなかった。なお、クリスマスパーティーにもシノ達と共に参加した。

メリー・ナイトメア&橘勇魚
 大きな雑貨屋にてきららが出会った夢魔&人間。彼女たちはクリスマスパーティーで行う漫才のため、小道具を買いに来ていた。きららの不自然な行動で少し怪しまれていたが、ローリエの魔道具と機転、きららの言葉で誤魔化すことに成功する。なお、クリスマスパーティーでは二人の出し物は絶賛だったようだ。

千代田桃
 織物屋にてきららとローリエが出会った桃色魔法少女。きららの言葉を少し聞いただけで違和感を感じ取ったが風邪と勘違いしていたことでローリエに誤魔化される。この後、参加したパーティーの日に風邪は治ったと知る。また、サプライズにビビったシャミ子の為にお菓子を貰ってきていた。また自作のシャミ子ぬいぐるみもプレゼントした。桃マジシャミ子の旦那。

しゃみこ「桃は私の宿敵です!旦那ではありません!」
ろーりえ「いやだってお前、かよいづまぞくじゃん」
しゃみこ「誰がかよいづまぞくですか!!ぽがー!」
もんも「通い妻ぞく……!」
しゃみこ「もも!!?」

ランプ&マッチ
 きららがサプライズを行うきっかけを作った二人。完全にマッチの失言が原因なのでマッチが悪い。ランプはそれを窘めていたようだが、きららには聞かれてしまった。とはいえ、それがローリエが作戦を練り、アルシーヴやソルトと出会う起因でもあるので一概に悪いとは言えないが。ただしきららの親密度イベに割り込み隊長したことは許さん。
 尚、マッチはその後の年明け前にローリエの魔道具開発実験にしっかり付き合わされた模様。

ろーりえ「さて、マッチの処刑方法…もとい付き合って貰う実験だが……」
らんぷ「処刑方法って言いました、今……?」
ろーりえ「まずはゴーレム制作キットとレンガで作った“怪力ゴレムス”。ちょっと衝撃を与えるだけで大爆発する『爆弾岩のカケラ』。ロードローラーに対戦車ライフル、嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)の一ヶ月間耐久テスト。さぁ、どれがいい!?」
まっち「全部最悪じゃないか!!?」

ソラ
 秘密裏にプレゼントを探しに神殿を抜け出していた女神。ちなみに、幼馴染のローリエやアルシーヴだけじゃなく、他の八賢者にもプレゼントは用意していた。

保登心愛&天々座理世&条河麻耶&奈津恵&香風智乃&桐間紗路&宇治松千夜
 クリスマスパーティーに参加したごちうさ勢のクリエメイト。ローリエのサプライズにココアとリゼはいち早く行動した。結果、見事にサプライズされたが。ちなみにシャロはこの後、カフェインハイテンション状態でラパンをやった(やらされた)。

シャドウミストレス優子&ユー子&トオル
 クリスマスパーティーに参加したものの、ローリエのサプライズにマジでビビり、桃とトオルが落ち着かせ慰めた。シャミ子はまたこれで桃に弱みを握られた模様。

シュガー&セサミ&カルダモン&ジンジャー&フェンネル&ハッカ
 八賢者のうち、サプライズにかけられた方々。カルダモンだけセリフがないが、きっと参加してるし、アルシーヴからプレゼントを貰ってるし、さりげなくパーティーを一番楽しんでいる。ちなみに、フェンネルのオーバーフローは二日酔い並みに続いた。

九条カレン&アリス・カータレット&大宮忍&猪熊陽子
 アヤヤと一緒にクリスマスパーティーに参加したきんモザ勢のクリエメイト。ローリエのルパンの演技に感服し、サインを貰ったりシルクハットを借りてルパンになりきったりした。

涼風青葉&桜ねね&星川ほたる&滝本ひふみ&八神コウ&遠山りん
 クリスマスパーティーに参加したNewgame勢のクリエメイト。ひふみんコウりんは静かに飲むのに対し、あおっちはねねっちあたりに煽られてシャンパンを飲み、その結果小悪魔青葉が爆誕した。ウイスキーボンボンで酔うツインテロリならこれくらい余裕と判断。

千矢&千石冠&宮子&巽紺&十倉栄依子&ゆの
 クリスマスパーティーに参加した、ごちそうを食べる側とそれを眺めて談笑する側のクリエメイト。なお、この後お肉ハンターのるんちゃんと滅びの使者の双葉が合流し、会場内のごちそうが一気に消えた。




嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)
 ローリエがお遊びで開発した魔道具。飴玉状だが、口の中に入ると舌にとりつき、その人の思っている事と逆のことを言わせる。『戻れ、トーキングヘッド』の合図で口から飛び出し元の飴玉姿に戻る。なお、今話のあと、きららとアルシーヴ、ソルトによって見た目の改善が最課題となった。
 元ネタは『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』に登場する、ギャングのボスの親衛隊員ティッツァーノのスタンド能力。というかマンマソレ。アニメ版のCVは某社長でおなじみ津田氏。海外では声優とその演技力もあってやや人気があり、ファンもいたりする。


アルセーヌ・ルパン
 1905年よりフランスの推理小説家モーリス・ルブランによって発表された「アルセーヌ・ルパンシリーズ」の主人公。紳士にして冒険家、さらに義賊。変装の達人とされている。
 彼の美学、人生、盗みの技術などは作品内の価値あるものだけでなく多くの人々の心を盗んでおり、後世への影響も大きい。『名探偵コナン』『まじっく快斗』の怪盗キッドの衣装や『ルパン三世』などがその最たる例である。


マッチが悪いんだよ
 元ネタは爆発的に人気になり、ネット流行語100のニコニコ賞を受賞した「シャミ子が悪いんだよ」から。伊藤先生作の「まちカドまぞく」においては、原作にもアニメにも一度も登場していないにもかかわらず流行し、作者や桃役の声優・鬼頭女史が拾い、ネット流行語の賞を受賞したというオチがついた。ここまで流行したパワーワードに対し、いづも先生は「みんなが楽しんでくれれば誰も悪くなくなるよ」「シャミ子がわる…ワールドワイドで羽ばたいてくれることを心から祈っています」と寛大な態度を取った。我々は、同氏に最大限の敬意と注意を払いながら、この言葉の使いどころを考えなくてはならないだろう。


ローリエと太陽のブレスレット
 もともと、月桂樹(ローリエ)はギリシャ神話の太陽神アポロンの物語に由来し、ギリシャやローマ時代からアポロンの聖樹として神聖視された樹木である。古代ギリシアでは勝者や栄光のシンボルとしてこの樹で冠を作った。これを「月桂冠」という。
 ローリエの名前もまた、月桂樹から取られたもので、いわば太陽のブレスレットは縁が深いのである。
 ちなみに、アルシーヴのイメージは月、ソラのイメージは夜空または星々である。



あとがき
 ハングリークリスマスでは神殿の子たちのまだ見ぬ設定が見れて大満足です。セサミのキャラ弁にソラちゃんのダークマター………いいインスピレーションでさぁ。

そら「じゃーん! 穫れたてピチピチのケーキを作ってみました!」
ろーりえ「こりゃすげえ! 新たな魔道具に使えそうだな…………して、これはなんていう毒物だい?」
そら「毒じゃない! ケーキ!!」
あるしーぶ「お前、辛辣だな……」
ろーりえ「まぁ、アレ以上のダークマターを俺ちゃん知ってっからな…………お妙とか千棘とか小野寺とかジャイアンとか」
せさみ「ソラ様のアレ以上が存在するんですか………!?」
あるしーぶ「人間の食べ物じゃないな………」

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  • セサミ
  • カルダモン
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