きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者   作:伝説の超三毛猫

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皆さん、こんばんわ。社会人になってまったく執筆出来てないMIKE猫です。

今回は……まさかのコラボ決定です!
strawberrycake様が連載している『白河心儀のエトワリア冒険記』とコラボ致します。一話にまとめようとしたのですが、とんでもなく長くなりそうなので、ひとまず『その①』として区切ります!後編は後ほど、お楽しみに―――


コラボ編
男三人のブルース その①


 クリエメイトは、ほとんどが女性である。

 なぜならば、聖典の登場人物達が、ほぼ女性だから。

 しかし―――()()女性、である。そこを強調する理由は―――数えるほどしかいないが、男性のクリエメイトもいるにはいるからだ。

 

 例えば、「ブレンド・S」のディーノさん。あと、秋月くんとひでりくん。特にひでりくんは、実際にエトワリアに召喚されている。

 他にも、「三者三葉」の山路。「夢喰いメリー」の夢路君。「ごちうさ」のタカヒロさん。果ては「まちカドまぞく」の白澤(しろさわ)さんまで。白澤さんはオスのバクだけど。

 

 でだ。なんで急にこんな話をしだしたのかというと……

 

 

「どうしました、ローリエさん?」

 

「……あぁいや、何でもないよ、心儀」

 

「またナンパ関連ですか? 自重してくださいよ」

 

「うるせー。可愛い子を可愛いと言って何が悪い」

 

 

 目の前で俺と共に食堂でメシを食っているこの男。

 ランプ曰く『期間限定で観測できるクリエメイト』。

 白河(しらかわ)心儀(しんぎ)という、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と、最近友達(ダチ)になったからだ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 出会いのきっかけは数ヵ月前、たまたまきららちゃんの里に寄った時だ。シノやアリス、カレンやクレアと召喚の館前で談笑している男を見つけたのだ。

 髪色も目の色も黒い、典型的な日本人の特徴をした、ファンタジックな格好をするにはちょっと浮く姿の男だ。

 

『おはようクレアちゃん。その男は誰かな?』

 

『あ、ローリエさん。彼は白河心儀さん。クリエメイトですよ。』

 

『ど、どうも………』

 

 クレアの紹介に、俺は内心眉を顰めた。

 コイツがクリエメイト? どこの漫画(せかい)からやって来たんだ? と。ディーノさんや秋月くん、山Gや夢路、タカヒロさんとも違う。となると、何者なんだ? と。

 

『………そうか。俺はローリエ。神殿で八賢者を務めている』

 

 自己紹介はしたにはしたが、俺は彼を徹底的に調べることにした。G型魔道具とルーンドローンを駆使して、音声や映像を集めた。その結果、彼がクリエメイトについて知識を持っている事が明らかになった。

 

 怪しいと踏んだ俺は、路地裏で一人になったタイミングで彼に接触することにした。

 

 

『ハロォ〜〜〜、白河くーん?』

 

『ひゃっ!? ろ、ローリエさん!? い、いきなり何ですか?!』

 

『ちょいと俺とお話しようや』

 

 ぷにぷに石弾が3発装填されてるパイソンで後ろから脅すと、振り返った彼は俺の持ってるモノを見て顔の血の気が引いていった。

 

『単刀直入に聞こう。―――お前ホントにクリエメイトなのか?』

 

『な…何を……!? 私は本当にクリエメイトですよ!!』

 

『じゃあ、()()()()()()()()を片っ端から言ってみてよ? 娘や嫁の名前でもいいぞ』

 

『………?? え……えーっ、と………』

 

 

 俺の質問に心儀は律儀に答えてくれた。まぁ、逃げたら撃たれると思っていたからかもしれんけど。

 結婚はしていないと言ってから一人ずつ丁寧に思い出し、聞いたことのない名前ばっかり挙げる心儀に内心ため息が出そうだった。

 

 

 ―――コイツはクリエメイトじゃあない。

 

 目的は未だ分からないが、クリエメイトを騙るなんて、前世きららオタクの俺からすれば処刑モンだ。「もういい」と語調強めに遮り、パイソンの撃鉄を起こそうとしたその時。

 

 

『コラ〜〜〜〜ッ!!!』

 

『『!!?』』

 

 俺の生徒であるランプと、召喚士のきらら、そして神殿からまた勝手に抜け出てきたソラちゃんが現れた。

 

 

『ローリエ先生っ!! 心儀様に何をしているんですか!! クリエメイトに手を上げようなんて許しませんよ!!』

 

『いいや、コイツ絶対クリエメイトじゃねーよ。こんな一般人みたいなクリエメイトいる訳ねーだろ。せめて秋月君くらいキャラ立たないと』

 

『ローリエさん。彼は……心儀さんはクリエメイトです。

 パスで分かります……………信じてください。』

 

『ローリエ、私……彼を観測したのよ。ほら…これが証拠』

 

 

 きららちゃんの本気の瞳に不思議な感覚を覚えながら、ソラちゃんが開いた聖典のページを注視する。

 ―――そこには、確かに「白河心儀」の名前が書かれていて、物語調の観察記録がソラちゃんの字でびっしりと書かれていた。

 

 

『そんなバカな……!?』

 

 

 それを見た俺の感想はその一言に尽きた。

 ソラちゃんの聖典という決定的証拠が出てしまった以上、彼はクリエメイトであるし、俺の予想が間違っていた事は明らかだ。しかし……謝罪し、神殿に撤収した後も俺の心に確かなしこりが残っていた。

 

 きらら系の漫画において、最も重要視されるのは「キャラクターがどれだけ個性的で、印象に残るか」なのだ、と聞いたことがある。例え男性でも、そのキャラクターが魅力的なら十分「きらら男子」になりうるし、彼らが物語を面白くする事も確かなのだと。俺も大体合っていると思う。

 

 夢路君なら、ヒーローのような精神性。

 ディーノさんなら、ネタレベルでの苺香ちゃんと深夜アニメへの愛。

 タカヒロさんなら、娘・チノとのギャップ。

 山路さんなら、無駄なハイスペックさと葉子様ストーカーetc。

 

 といった感じで、きらら男子のキャラは濃いが好感が持てる人々だ。

 

 だったら、あの謎のクリエメイト・白河心儀とは何だろうか?

 彼の人間性に注目しながら分析すると、妙な違和感を抱きだした。

 

 

(………初対面の女の子には緊張しているものの、何だかんだで仲良く付き合えてる……?)

 

 彼は、クリエメイトの女性に初対面では見てて面白いくらいに緊張こそしているものの、そのほとんどと良い付き合いをしている。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に………

 

(まさか……)

 

 一つの可能性を見出した俺は、それを確実なものにすべく、様々な実験をした。

 

 

『心儀ー! は○れメ○ル見なかったー!?』

『え、○ぐれメタ○?』

『さっきメグとチノと見かけたんだよー! 挨拶したらすぐに逃げられて……』

『ひょっとしてして……あれのこと?』

『あっ!!』

『コンニチワ、ぼくはぐりん! 悪いスライムじゃないよ?』

『ンンッ』

 

 

 魔道具「はぐりん」を目の前で泳がせ、スライムネタでリアクションを見たり。

 

 

『ローリエ! お前はいつもいつも私の胸を……っ! 反省しているのか!?』

『(心儀は……いるな。よし…)

 反省してます。反省しすぎてるかもしれません!』

『……っ』

『心儀様?』

『ど、どうしたの……ランプちゃん?』

 

 

 心儀の前で、転生者(おれ)にしか通じないネタをぶっこんだり。(この後滅茶苦茶ルナティックミーティアされたが……)

 

 他にもいろいろやったが、実験すればするほど、俺の中の仮説が確信に変わっていった。その仮説……もとい確信。それは――――――

 

 

 ―――こいつ、俺と似たような記憶を持っている、ということ。「きららファンタジア」の記憶も持っているかもしれない、ということ。

 

 その確信を手に入れた夜、俺は再び白河心儀と接触した。

 

 

『おひさー、心儀くん』

 

『ろ、ローリエさん!!!?』

 

『おい逃げんなよ。今回はリボルバーは置いてきた。丸腰だぜ、俺』

 

『び、ビビった………

 それはそうと……私に何の用ですか?』

 

 やはり、早い段階で脅したのが良くなかったのか、いつでも逃げられるように周囲を確認している。俺も、逃げられる前に新たな仮説をここで確かめた。

 

 

『――芳○社』

 

『……えっ?』

 

『○ニプレ○クス。ド○コム。ご案内です。』

 

『ええっ……!!!?』

 

 それは、アプリ「きららファンタジア」を起動した時に一度は必ず聞く、スポンサーとご案内……そしてタイトルコールだ。

 

『―――きららファンタジア。………やっぱり、お前も同じ記憶を持っていたか……!』

 

『ど、どうして………!!?』

 

『簡単な事だ。お前と同じ、プレイヤーだったんだよ。「きららファンタジア」のな』

 

 

 それからは、案外早かった。

 お互いが、お互いの真の自己紹介を行った。

 

 ローリエ・ベルベット。

 エトワリアに生まれエトワリアで育ったが、日本で過ごした前世の記憶持ちの転生者。アニメ・ゲーム、きららファンタジアの記憶も勿論持っている。

 

 白河心儀。

 日本で社会人として働いていたが、エトワリアにクリエメイトとして召喚された召喚者。きららファンタジアのプレイヤーだったため、きらら達の里にすぐに住み慣れた(本人は謙遜してたケド)。

 

 こうして、俺らは「日本で暮らし、きららファンタジアをプレイした事のある仲間」として、あっという間に意気投合したのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 そして、今に至るまでにちょくちょく会ったり、きららファンタジアのストーリーや超強敵戦について語っていくうちに、今のような昼飯を一緒にするような間柄になったのである。

 

「ローリエさんはあまりにも節操がなさすぎですよ。噂では神殿の女性の7割がローリエさんにナンパされたとか、それから、賢者の皆さんやアルシーヴ様にも言い寄ってると聞きますし……」

 

「噂じゃない、事実だ」

 

「尚更ダメでしょ! 何やってるんですか……大体、あなた元日本人ですよね? 股掛けは駄目だって普通分かるはずでしょう?」

 

「心儀、よく聞け」

 

「何ですか…?」

 

「エトワリアに重婚を禁ずる民法は存在しない」

 

「おいおい……それって、法律がなければ好き放題しても良いって事ですよね!? 八賢者がそんなんで良いんですか!?」

 

「むしろ賢者も法を守ってばかりじゃいられんしな」

 

 でも、彼は根っからのマジメ人間なのか、俺のナンパ―――もとい、ライフワークには良い顔をしない。物語ごとに推しがいないのかね、心儀は。俺だって、百合の邪魔みたいな野暮は万死に値するからしない。そこを弁えれば少しくらいいいだろうと言ったが、許されなかった。彼曰く―――

 

『バタフライ効果って知ってますか? 蝶の羽ばたきが、別の場所で竜巻を起こす可能性があるっていうアレです。

 私達がいる事で、きららさん達が本来とは違う道筋を辿るかもしれないんですよ? その為にも、下手な事は慎まないといけないんです』

 

 ―――とのこと。

 でもなぁ……もうバタフライ効果を受けまくっている俺からすれば、今俺たちがいる世界は既に()()()()エトワリアなんだと思う。

 だってローリエや心儀を筆頭として、俺の知らなかった連中が多く現れまくったから。コリアンダーもそうだし、先代女神のユニ様もそう。ソラちゃん封印事件の黒幕側の面子はサルモネラやビブリオなど、漏れなく全員が俺の記憶(知ってる聖典)には出てない奴らだ。

 ここまで行ってる以上、今更バタフライ効果を恐れて萎縮しても仕方ないと思うんだけどね。

 

 

 その後は、法がなんだ、ナンパがなんだと色々話し合ったものの、特にいつも以上の進展はなく、食事を終えた俺達は、里に新しく建ったらしい建物の人だかりに目が移った。

 

「あの、ローリエさん、あれは……」

 

「何で集まってるんだろうな、行ってみようぜ」

 

 集まっている人たちは、皆建物内に入ろうとせず、ただ周りから様子を伺っている。

 

「何で集まってるんだ?」

 

 その中にいた、顔見知りの美少女―――コルクに事情を聞いてみる。きらら達の里にて行商人をしている彼女ならば、確実になにか知ってると踏んでのことだ。

 

「里に新しい商人が来た。防具職人だ。しかし、ガタイが良い上にやや強面でな。みんな、ここから観察しているにとどまっている」

 

「コルクさん……?」

 

「ローリエさんと心儀も店に?」

 

「あぁ。もっとも、俺達は野次馬してはいおしまいじゃあないけどなッ!!」

 

「えっ、ちょっ…ちょっと!?」

 

 コルクから簡単に事情を聞いた俺は、戸惑う心儀の首根っこを引っ張って、人混みを抜けて店の扉を開ける。見ていた人々は感嘆の声を漏らした。

 

 

「………らっしゃい」

 

「………わーお」

「……う、うわぁ…!」

 

 店に入ると、カウンターにいた男が俺達にぶっきらぼうに挨拶してきた。

 年は俺らよりも遥か上。40か50代ってところだ。身長は転生して背が伸びた俺よりも高い。190余裕であるんじゃないかな? それでいて年齢の衰えを感じさせない筋肉隆々さと、ショートカットに三白眼と職人気質の頑固さが滲み出ている顔付き。

 その様相は、ファンタジーなどで一般的に「オーガ」と呼ばれる鬼系モンスターを彷彿とさせた。人間だけど。

 

 

「……ご注文はなんでしょう」

 

「えーーーっと………ここの防具を見てから決めてもいいかな?」

 

「………ご自由に。うちは防具以外にも装飾品や道具も取り扱ってるんで、何かあれば訊いてください」

 

 低く渋めな、楠○典さん寄りの声で敬語って違和感あるな……と思いながらも、俺は店に展示してある防具に触れ始めた。

 

 飾られている防具は、革製や爬虫類の鱗製のものを中心に、様々なものが陳列していた。

 

「おい……この革の鎧、だよな……?

 これ叩いたらキンキンって金属みてぇな音が鳴ったぞ。コンコンじゃなくて」

 

「ゴールデンホーンっつう金色(こんじき)の鹿の革を(なめ)すとそうなんだよ」

 

「じゃあおっさん、この鱗の盾は……」

 

「大岩トカゲのウロコをふんだんに使ったものだ。並大抵の刃物なら受け止めてそのまま折る事ができる」

 

「……俺の知ってるかわのよろいとうろこのたてじゃねえ……」

「随分ハイレベルな装備ですね……!」

 

「『限りなく軽く・丈夫に』がウチの防具の信条なんでね」

 

 

 なんとまぁ、エトワリアにハイレベルな防具屋が爆誕したものだ。

 

 

「………で、何を買ってくんだい?」

 

「あぁ……えっと、じゃあこの銀色の小さな盾とあそこのオレンジのマントをくださいな!」

 

「金属生命虫の翅の小盾(バックラー)と飛竜のマントか。合計金貨15枚だ」

 

「はいお代。釣りはないはずだ。ほれ心儀、この盾つけてみろ」

 

「わ、私がですか!?」

 

「ここにはおめー以外にその盾装備できるせんしはいないだろ。飛竜のマントとかいういかにもカッコよさ気なマントは俺が貰うから、早よ」

 

「そんな…悪いですよ、お金まで出して貰って……あ、でもこの盾軽い♪…やっぱりこんな良い盾、タダでは貰えませんよ!」

 

「じゃあ後でお代出してよ。盾は金貨5枚だってさ」

 

 

 何も買っていかないのも失礼なので、楕円形の銀の盾と、紺色に濃紅色裏地のマントを購入して、その日は失礼することにした。

 ……なお、店主の強烈なビジュアルに圧されたためか、俺達は二人とも店主の名前を聞くのを忘れたわけだが、それに気づいたのは店を出てから数十分してからの話。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 その夜。

 里に泊まっていくことにした俺は、気まぐれに夜の散歩をしていた。夜風に当たりながら里を歩いていると、木が突然変異を起こしたような建物―――クリエメイトやきららちゃん達が住む『ルーム』と呼ばれるものだ―――の周囲でうろうろしている人間がいた。

 

 

「んぁ? ……あのおっさん、なにやってんだ、あんなところで……?」

 

 

 そう。昼頃にお邪魔した防具屋の店主だった。

 部屋の中の様子を探るように動いているその姿は、変質者と勘違いされ、衛兵あたりに通報されてもおかしくはない。

 俺はきららちゃんたちの夜の生活(意味深ではない)を守るため、防具屋の店主に近づいてみる。

 

 

「くっ……!」

 

「は? え、ちょっ!!」

 

 店主は、俺に気づくと逃走を始めやがった。何だか知らないが、そんなリアクションをとったら自白と何ら変わらない。容疑確定だ。

 突然の逃亡に驚いたものの、俺はすぐさま後を追いかけた。

 体格がでかく、筋肉質な男。まったくノロいわけではなかったが、この八賢者相手だと流石に相手が悪い。しかも、本気になってG型魔道具やルーンドローンを使えばどこへ逃げようとも追いつける。平成・令和の防犯技術は有能だ。筋肉ムキムキな大男ひとりを里から見つけだし捕まえる事など朝飯前である。夕食時を過ぎてるけど。

 

 

 

 

 

 

 ―――そして場所は、誰もいないルームのロビーに移る。

 

 

「………で、あそこでウロついていた理由を教えてもらおうか?」

 

「「…………」」

 

 俺の言葉に、防具屋の店主も「男手が必要だから」と引きずってまで連れてきた心儀も黙り込んでしまっている。心儀については正直悪かったと思っている。

 ちなみに、他のクリエメイトに話を聞かれないように、佐久隊長にベッドルーム(個室)へ続く廊下からロビーへの入口に立ってもらっている。本人も話を聞きたがっていたが、「男同士のワイ談に混ざりたいのか?」と冗談めいて茶化しながら言ったら「は、破廉恥な〜〜〜!!!!」と逃げていった。でも入口を警邏(けいら)しているあたり流石仕事人である。他の子をワイ談から守ろうと張り切ったのかな?

 

 

「…………」

 

「おっさん、っていつまでも呼ぶわけにはいかないしな……頼むから、いい加減教えてくれないか?」

 

「………ホーブン」

 

「はい?」

 

「私の名前だ。」

 

 

 コーヒーを吹き出しそうになる。た、ただの偶然だ。

 

 

「……それなら、ホーブンさん。なぜ、夜にあの辺をウロついていたんだ。サカリついたのか?」

 

「ちょっと、ローリエさん―――」

莫迦を言うな!私は死ぬまで妻一筋だ!!

「ひぃっ!!?」

 

 テーブルを叩いて怒鳴るホーブンさんに俺を諌めようとした心儀が震え上がる。それに気づいたホーブンさんは、すぐに落ち着きを取り戻し心儀に「すまない」と謝罪した。

 まぁ、俺としても予想できた答えだ。もし、この質問で頷くようであったならば、既に俺が暗殺している。勿論、証拠が一つも残らないようにだ。

 

「そうでしたか。愛妻家の貴方に不躾なことを聞いてしまい申し訳無い。

 ……だが、だとするとより分からなくなる。なぜ、夜遅くにルーム前にいたのかが」

 

 外堀を埋める言い方をして改めて尋ねると、今度はホーブンさんが言葉に詰まる。

 

 

「……これは私の問題なのだ。安易にお二人に教えて良いものではないと思っている。

 …生き別れた娘を探すためにさる噂を聞いてここにやってきて、夕食時から探していただなんて。」

 

 …………………全部言った?いま、全部言わなかったか?

 

「…………娘さんを探すため、と?」

 

「っ!!? な、何故娘のことを……!?」

 

 いや何故じゃねえだろ。間違いなく聞いたぞオイ。

 

「と、とにかく。私は生き別れた娘を探すために、防具屋で生計を立てつつ各地を転々としていたのだ」

 

「娘さん探してるって認めちゃったよ」

 

「持っている手がかりは赤子の頃彼女のオレンジの髪につけていた星の髪飾りと名前のみ。成長してしまっているだろう彼女はなかなか見つからなかった」

 

「あ、あの………もし良ければその娘さんのお名前をお聞きしても?」

 

「流石に、『()()()』だとは教えられない」

 

「え゛っ?!!」

「!?!?……ッ! ゴッハゴホ!!」

 

 

 コーヒーを吹き出し、むせる。変なところに入ってしまった。心儀も、動揺からか席から立ち上がってしまっていた。

 

「………どうかなさいましたか? 心儀さん、ローリエさん」

 

「………な、何でもない……ゴホッ!」

 

「えっと…その…お、お構いなく………!」

 

 今すぐ心儀とここからエスケープして二人きりで現代社会人会議を開きたかった。きらら、ホーブンさん、きららファンタジア、そしてまんがタ○ムきららの出版社。その知識を持ってすれば、ホーブンさんの娘の名前が何を意味するかなど想像に難くない。

 しかも、彼が持っている娘の手がかりは()()()()()と「()()()」という名前。偶然にも程がない?

 

 

「……と、とにかく! 明日、詳しい事情を聞きます! 今日は、もう遅いですから」

 

「分かりました。では、それまでに話をまとめようと思います。おやすみなさい」

 

 

 ホーブンさんは、実に紳士的に一礼してから、防具屋へ帰るべく出入口のドアを開き出ていった。ホーブンさんが見えなくなってから、俺は佐久隊長と心儀に声をかける。

 

「……佐久隊長」

 

「どうした?」

 

「あの話は、あまり言いふらさないでほしい」

 

「……安心しろ。()()()()()()()()()()

 

「悪ぃな。ワイ談とかいって追い払っちゃってよ」

 

「まったくだ」

 

 佐久隊長は、拗ねたように言うとそのまま廊下へ引っ込んだ。おそらく自室へ行くだろう。

 

「心儀」

 

「……何ですか?」

 

「…まさかのきららちゃんのお父さんだよ。どうしよう…??」

 

「どうしよう…私もまだ動揺がおさまらなくて……」

 

「取りあえずきららちゃんは母親似だったんだなと思うとしよっか。きららちゃんのお父さんと聞いて普通アレは連想できない。

 あと秘密を全部暴露するスタイルが遺伝とか意外すぎるわ」

 

「そ…そうですね……」

 

 きららちゃんのお父さんとは思わないに決まってるだろ。だって作画からして別人だもん。きららちゃんを「ひだまりスケッチ」や「まどマギ」風だとするならば、ホーブンさんは「北斗の拳」や「ジョジョ」に出てきてもおかしくないくらいのレベルで作画が違う。なんでホーブンって名前なのに集○社の週刊誌(少年○ャンプ)に出てきそうなデザインなんだよ。ぶっちゃけ、ここまでくるときららちゃんが父親に1ミリも似なくて良かったと思うまである。

 

 

 




To be continued……
Next Collaborate Story is
『男三人のブルース その②』

きららファンタジアに登場する作品群の中の、次の作品の中で、最も皆様が好きな作品は?

  • ブレンド・S
  • NEW GAME!
  • ひだまりスケッチ
  • がっこうぐらし!
  • Aチャンネル
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