きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者 作:伝説の超三毛猫
アルシーヴ本人が、ソラちゃんを襲った賊について語っていましたが、ここではっきりさせてしまいましょう。
「きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者」の設定は、
2021/6/30:今後の展開との矛盾が目立つ描写があったため、改稿しました。
筆頭神官交代の儀。
それは、文字通り筆頭神官が交代する儀式なのだが、しかし、これが何を意味するのかをまずは知って頂きたい。
エトワリアにおける筆頭神官とは、神殿内の執政を通して、エトワリア全体の方向性を指示する役職だ。はっきり言って政治を担当するといってもいい。前世でいうところの内閣総理大臣にあたる。とは言っても、どこかの国みたいに数年ごとにポンポン変わるようなものではなく、条件が非常に厳しく、滅多に後継者を見つけられないものらしいのだ。歴代の筆頭神官の中にも、後継が見つけられず、死ぬ間際まで仕事を成し遂げた者もいるほどだ。
つまり、筆頭神官交代の儀が執り行われるということは、稀有な才能を持った魔術師が、筆頭神官になるという志を持ち、神殿で研鑽を積み、然るべき過程を経て役職を継承する権利を勝ち取ったということだと思って頂いて構わない。
そんな筆頭神官交代の儀がこれから始まろうとしている時、俺はアルシーヴの緊張を少しでもほぐせたらと彼女の控え室に入ったのだが。
「わざわざ来てもらって悪いな、ローリエ。」
「……。」
「こんにちは、ローリエさん。」
「こんにちわー!」
そこにいたのはアルシーヴちゃんとハッカちゃん、そしてシュガーとソルトだった。
まさか、賢者の残り二人とここで会うことになるとは。名前と容姿は知っていたが、こんな儀式の日にいきなり会ったとなると心の準備ができてないのに。だから俺は……
「……その双子はどっちの子だ?」
「なっ……!?」
「!!?」
特大の冗談をかますことにした。ただ、その後に「結婚したのか……俺以外のヤツと」と続けるつもりだったのだが、分かりやすく頬を染め動揺したアルシーヴちゃんと目を見開いたハッカちゃんのリアクションのおかげで逆に緊張してすぐに口に出せなくなった。
「な……ぁ……っ!?」
「結婚したのか……俺以外の奴トブァ!!?」
「ローリエ、
やっとのことで口に出せるようになったと思ったら視界が鋼鉄に覆われ、顔面に衝撃が走る。床にぶっ倒れて、ハッカちゃんの持つハンマーを見て初めてまたコリアンダーの製作物で殴られたのかと悟った。しかも、今回のハンマーには俺がお遊びで書き足した『100t』という表記が見られた。何だか少し情けなくなった。
「シュガーたちはアルシーヴ様の子どもじゃないよー!」
「そうです。私達には他に両親がちゃんといます。」
「じゃあ試しにアルシーヴちゃんのことママって呼んでみて」
「試しにって何ですか」
「これこれローリエ君、女の子をからかうものではありませんよ」
寝転がったままシュガーとソルトの姉妹とアルシーヴちゃんを弄っていると、入ってきた扉の方から年老いた声が聞こえてきた。すぐさま立ち上がりその正体を見る。
それは白髪を後ろで纏め、穏やかな雰囲気を纏った、皺だらけの老婆であった。腹に透き通るような
「まったく、ローリエ君は変わりませんねえ……アルシーヴちゃん、筆頭神官の格好、似合ってるわよ」
「ありがとうございます。デトリアさんこそお元気そうで何よりです。」
「元…気……?俺には明日にもしん"っ」
「口は災いの元」
アルシーヴちゃんがデトリアさんと呼んだこの老婆は、本日の筆頭神官交代の儀を執り行う筆頭神官である。つまり、今日の儀式で筆頭神官の地位はデトリアからアルシーヴへと受け継がれることになる。
そんなアルシーヴちゃんと力を入れれば折れてしまいそうなデトリアとの会話に疑問を感じてると、ハッカちゃんから口を手で塞がれた。
それにしても筆頭神官姿のアルシーヴちゃんはよく似合っている。きららファンタジアで見たままだ。
「……まぁ、確かにアルシーヴちゃんよく似合ってるよ。『女子三年会わざれば刮目して見よ』とはよく言ったもんだ」
「それ『男子三日会わざれば刮目して見よ』ですよ」
独り言にソルトが突っ込んできた。アルシーヴちゃんとデトリアさんとの話が中々長引きそうなので、ちょうどいいと思い双子に色々聞くことにした。
「そういや、君は俺のことを知ってたみたいだけど……?」
「先ほど、アルシーヴ様から聞きました。友人なんだと……」
驚いた。アルシーヴちゃんは、まだ俺のことを「友人」と言ってくれているのか。俺個人としては、ソラちゃんが誘拐されたあの事件以降、アルシーヴちゃんとソラちゃんを「友人」と呼んでいいものか微妙な所だった。もしあの夜に、勇気を出していれば、或いは胸を張って頼れる友人と言えてたかもな。
「それで、君たちは……」
「あぁ、申し遅れました、私はソルトと言います。こちらは妹のシュガーです。」
「シュガーだよ!よろしくね、ローリエお兄ちゃん!」
「シュガー、初対面の人にそういう話し方は……」
「いや、いい。しかしお兄ちゃんか、嬉しいな。よろしくねシュガーちゃん!」
「うん!!」
ソルトに余計なことを悟られないように変えた話題だったが、シュガーが人懐っこく乗ってきてくれたお陰で難しいことがどうでもよくなってくる。この後は筆頭神官交代の儀だ、俺はそこで俺のやることをやればいい。
「そうだローリエ、忘れる前にこれを渡しておくよ。」
シュガーとわちゃわちゃしていると、アルシーヴちゃんが俺を呼び手のひらサイズに折りたたまれた紙を渡してきた。それを受け取り開いてみると、そこにはお堅い文章がつらつらと書かれていた。
「
実は俺は数日前、アルシーヴちゃんから直々に呼び出され、賢者就任を言い渡された。エトワリアに生まれたときからの目標を達成できた俺は、三日三晩喜んだものだ。
だが賢者就任にあたり、就任演説を行うということになり、その内容を考えて、
……どうやら、(平和的にアレンジしたとはいえ)少佐の演説はお気に召さなかったらしい。
そんな訳で内容を勝手に決められてしまったのだが……
『神殿の桜も咲き誇り、春の訪れを感じるこの頃、筆頭神官交代という節目に新たな賢者として――云々』。
なにこの演説。前世でよくあった学校の卒業の言葉と何が違うんだ。本番で絶対この紙に書いてないこと言ってやる。
「そんな嫌そうな目をしても駄目だからな。」
アルシーヴの壊滅的な演説センスに絶望しながら心の中で反逆を誓っていると、この形式的すぎる演説原稿を書いたであろう張本人は心の底を見抜くように俺に釘を差した。
◇◇◇◇◇
そんな束の間の時間が終わり。
筆頭神官交代の儀が始まった。場所は、神殿の中心部にして一番広い場所・大広間である。奥へ進むと階段の先に、儀式用の祭壇があり、その両サイドにある小さな螺旋階段は、演説用のステージとなっている。
まず、先代筆頭神官のデトリアが祭壇に立ち色々と話す。長々と年長者の話を聞くこの構図は、前世に始業式か何かで校長の話を聞いていた時の感覚によく似ている。話に耳を傾けながら、終わる時を今か今かとゆっくり進む時計を見ながら待っていたものだ。
つまり、何が言いたいのかというと、筆頭神官の話はまったく聞いてなかったということだ。
長い話がやっと終わり、アルシーヴが現れ、デトリアから杖を受け取る。アルシーヴが今まで使っていた杖とは違い、三日月と十字架がデザインされている、あの杖だ。まさか、アルシーヴ個人の杖ではなく、筆頭神官の杖だったとは。
「続いて、賢者任命の儀に移ります。」
賢者任命の儀とは、筆頭神官交代の儀の過程にある、筆頭神官交代の後に行われるものであり、ここで誰が賢者になるかが公開される。その際、演説も行われるのだが……俺の演説原稿は以下略。
「シュガー・ドリーマー」
「はい!!」
「ソルト・ドリーマー」
「はい」
まず最初にシュガーがアルシーヴに呼ばれ、元気よく返事をしアルシーヴの元へ向かっていく。アルシーヴからネックレスっぽいものを渡され、首にかけた。続いて呼ばれたソルトも妹にならう。
「セサミ・ストラーナ」
「はい」
「カルダモン・ショーズ」
「はーい」
「ジンジャー・ヴェーラ」
「あいよ」
「フェンネル・ウィンキョウ」
「はいッ!」
「ハッカ・ペパーミン」
「はい」
次々と賢者達の名前が呼ばれていき、アルシーヴからネックレスっぽいものを受け取っていく。そうして残るは俺だけになった。名前を呼ばれたら返事をする……のだが。
「ローリエ・ベルベット」
「はい!」
ここでは問題なく返事をし、十字架と円が組み合わさったデザインのネックレスを受け取る。噛んでしまったらどうしようかと思っていたのでまずは一安心である。だが、問題はここからだ。
ぶっちゃけるが、前世では仕事をソツなくこなし、きらら系漫画&アニメをこよなく愛する(もちろん、それ以外も好きだが)ただの普通の社会人だったのだ。
目の前には、学校の体育館にも入りきるかどうか分からないほどの人の群れが、大広間を埋め尽くしている。そんな多くの人々の前でスピーチする機会など
だが、現在手に握られているカンペ通りに賢者就任演説など行いたくない。理由はただ一つ。カッコ悪いからである。こんなロマン溢れる演説シーンにカンペは必要ない。今まで見てきたアニメの、どのキャラもカンペなんて使ってない。俺は、カンペを握った右手を、そのままポケットに突っ込んだ。
「以上、八名が新たな賢者となる。
続いて、彼らによる賢者就任演説を行う。」
さあ来たぞ、賢者就任演説。
その単語を聞いただけで心臓が強く跳ねる。最初に指名されないように祈りながらマントの中で両手を握りしめた。
最初に指名されたのはシュガーだった。あの超人懐っこいコミュ力の化身に、賢者就任演説なんてお固い真似ができるのだろうか。
シュガーは演説をする場所なのであろうステージへ、螺旋階段を登っていく。そして、上へたどり着くと、
「けんじゃになったシュガーだよ!
アルシーヴ様といっしょにがんばるから、よろしくね!!」
――と言ってのけた。
小学生か!!……いやまぁ、小学生に見えなくもないけれども………
きらら漫画のキャラクターって
確かにゲームで見た通りの性格から想像できた演説だし、シュガー自身が可愛いから許されてるのかもしれないが、もうちょっとこう、何とかならなかったのだろうか?
「大丈夫?」
シュガーが演説台から降りてソルトが代わるようにそこに昇るところを見ていると、すぐ隣から小声が聞こえた。
「緊張してる?」
声のした方へ顔を向けると、ハッカちゃんが相変わらずの無表情で俺の顔を覗き込んでいた。表情の変化が乏しいこともあって、何を考えているか分かりづらい。
「君は緊張してなさそうだな」
俺自身緊張のせいでそれくらいしか言えず、乾いた笑いしか出てこなかった。それを聞いたハッカちゃんは、「緊張してるか」とすぐさま俺の緊張を見抜く。
「私も緊張していたが、お前のお陰で楽になった」
「どういう意味だ」
俺の質問には答えず、ハッカちゃんは再び前を向いた。いつの間にか、ソルトの演説は終わっていた。
そこから先は、他の賢者達の演説をこれ以上一言一句聞き逃さないように聞いていた。俺の演説の参考にするためである。
セサミの演説は、言っていることは立派なのだが、真面目すぎる面が災いしたのか、形式的すぎる演説となっていた。もしかしたら、俺が儀式前に受け取ったカンペは、こいつが書いたんじゃなかろうか。
カルダモンは、面倒くさがって「八賢者カルダモン、宜しく」とだけ言うとさっさと次にパスしてしまった。流石、やりたくないことはやりたくない好奇心の化身である。俺もこれくらい手短な演説にしたかったが、聴衆に同じ手は二度も通じないだろう。
ジンジャーは賢者については触れず、街の政策について話していた。近いうちに言ノ葉の樹の都市の市長になるだけあって現実的な事を話している有望な人物だったが、俺の演説に使えそうな部分はない。
フェンネルの演説は、演説というよりアルシーヴちゃんの自慢話になっていた。しかも途中から「私の人生にはアルシーヴ様に会う前と後の二種類がある」だの「アルシーヴ様は神なのだ」だの意味不明なことを話しだして、アルシーヴ本人にやんわり止められていた。アイツの辞書に自重って言葉はねーのか。
ハッカちゃんに至ってはぺこりと頭を下げ、手を振って聴衆に応えるのがメインみたいになっていた。おい、演説しろよ。
……最悪だ。ソルトの演説を聞き逃してしまったとはいえ、マトモな演説をしてたのはジンジャーだけではないか。おかげで、演説の「これくらいまでは話してもいい」といった基準がまったく分からん。これでは、完全なアドリブで演説するしかない。「頑張れ」というハッカちゃんの応援を背に重い足取りで演説台へ向かった。
演説台から見下ろす聴衆は、俺と目があった途端、俺の言葉を待っているかのようにざわつきが静まったように感じた。こうなったらなるようになれだ。
「俺が、八賢者が
しょっぱなから盛大に噛んだ。悪いことはなぜこうも重なるのだろう。顔に熱がこもり、大広間中に沈黙でも爆笑でもない微妙な空気が蔓延する。超気まずい。とりあえず視界の端で笑いをこらえているフェンネルは後で
俺はこの気まずさを何とかするべく口を開く。
「この度の新たな筆頭神官と賢者達は、これまでよりも一段と強き者たちが集まったと思っている!」
俺の言葉に、聴衆だけでなく、アルシーヴちゃんや賢者達からも驚きの視線が注がれる。アルシーヴちゃんからは「何故原稿通り読まない!」と睨まれてそうだが今は無視だ。
「人の心に溶け込める者、知略に優れた者、武勇に長けた者、魔法の才において常軌を逸する者………その強豪たちの中で、このローリエはただ、魔法工学分野において少々の実績があるだけである。」
アタマの中が真っ白になり、周囲に押しつぶされそうになりつつも、俺は必死に言葉を紡ぐ。
「だが!俺は知っている。
真の強さとは、魔法の才能にも、剣の腕にも、腕力にも、策略にも、新たな発明にもあらず。
真の強さとは、心にあり。如何なる時も、正しき道を選択できる精神にあり。
俺もまた、その真の強さを求める者の一人である。
我々は、いわば暗闇の荒野に進むべき道を切り開く者たちの集まりだ!」
静まり返った聴衆に、語りかけてるこの間も、俺は何も考えていない。いや、考える余裕がないというべきか。ただ、ピンチの時ほどふてぶてしく笑えば、どんな事態も打開できる。
ばさっと右手でマントを翻し、これでもかというほどの大声で宣言する。
「覚悟はいいか?俺は出来てる!これからの筆頭神官と賢者達に、ついてくるがいい!!!」
……やりきった。少し偉そうかもしれないが、賢者なんだし、ちょっとくらい大丈夫でしょう?
聴衆の反応は、時が止まったかのように静かだったが、俺が演説台から降り、螺旋階段を下りきったあたりで万雷の拍手という形で返ってきた。戻ってくる時、賢者達から色々言われていたが、俺自身はただ、スベらなくて良かったと安堵するだけだった。
「ローリエこの野郎ッ!」
「わああっ!?なんでだよ
「いい訳ないだろ!」
筆頭神官交代の儀が終わった後に待っていたものは、アルシーヴちゃんからの頬つねりであった。
「スベってたらどうするつもりだったんだ!?」
「いやだって、あの原稿クソつまらねーんだもん!アレ読んでたら確実にスベってたぜ?読んだ俺ですら2秒でダメだと気づいたわ!」
俺がそう言ってのけると、セサミが目に見えて落ち込んだ。「クソ…つまらない……」とか言ってショックを受けている。
「お前!セサミになんてことを!」
「え、まさかアレ、マジでセサミが書いてたの!?内容が似てるとは思ってたけど……」
「……というか、ローリエもローリエだと思います。」
「ソルト?」
「ローリエの演説は、ほぼ勢いに任せたものでした。表情も余裕なさげでしたし……でも、まさか原稿を思い切り無視したノープランのアドリブだとは思いませんでしたが……」
ソルトには俺の状況があまりにも馬鹿げていたことにため息を漏らす。だが考えてみてほしい。自分の渾身の作品が無碍にされた上に、勝手にスピーチ内容を決められたとしたら。それは、厳しすぎる校則に縛られた高校生と同じくらい、つまらないものではないだろうか。そう説明すると、ソルトもアルシーヴちゃんも納得半々、不満半々といった微妙な表情をして首を傾げた。
「アドリブだったのですか。なら、最初のアレも納得ですね。盛大にずっこけたアレ。」
「「ぶっ!?」」
フェンネルが突然俺の最新の黒歴史を掘り出しやがった。後ろで吹き出したカルダモンとハッカちゃんは兎も角、俺のタブーに全力で踏み込んだコイツは許さん。
「まぁアレは……うん。仕方ないだろ。」
「日頃の行いです。」
「ところでフェンネル、ちょっと手ぇ出してくれ。」
「?」
何も知らずに差し出された手のひらの上に
「いやああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ふぇ、フェンネル!?」
「うわぁっ!?そ、そこにご、ゴ……!!」
「小さな悪魔……!」
「どうしたのアルシーヴ?……ってひゃああ!!?」
「ソラ!!!?」
後ろで多種多様な悲鳴が聞こえると、イタズラが成功したことに笑いを漏らしながら迫り来るであろう女性陣から逃げ出し鬼ごっこと洒落込んだ。
大成功だ。俺の最新作・G型魔道具は見た目的には会心の出来だったようだ。実はあの魔道具、ただのイタズラグッズではない。録画・録音機能がついており、情報収集に最適なのだ。基本的には隠密で行動し、見つかってもおぞましい見た目に相手が動揺している隙に逃げ出せる。機動力も申し分ない。
とある海の狙撃手も、幽霊少女を撃破するのに黒光りする虫の玩具を使用していたほどだ。その時の幽霊も、その虫の玩具を本物だと思い込み、(トリモチで逃げられなかったこともあって)ひどく取り乱してしまったほどだ。
それほどまでにあの魔道具が見た者に与える精神的ダメージは大きい。
実に合理的な発明だと、笑いが止まらなかった。
……途中でアルシーヴちゃんやジンジャー、ソルトやハッカちゃんまで鬼に加わるとは思わず、逃走開始から5分で捕まってしまったが。
この
「心臓が止まるかと思った!!!」←ソラ
「あんなもの創っては駄目に決まってるでしょう!!!」←フェンネル
「ローリエさん、合理性を求めるあまり人として捨ててはいけないものを捨ててます……」←ソルト
「危険。」←ハッカ
「味方も混乱させてどうすんだ馬鹿!!」←ジンジャー
「……という訳でローリエ、今後あの…えっと……虫型の魔道具の使用を全面的に禁ずる。」←アルシーヴ
「ホーリーシット!!!!!!」←
……遺憾なことに…誠に遺憾なことに、使用禁止令が出されてしまい、日の目を浴びることなく、俺の発明品倉庫行きとなったのであった……
……まぁそんなの関係なく使うがな。バレなきゃ
◇◇◇◇◇
G型魔道具の件で新筆頭神官&賢者達にしこたま怒られた後、とぼとぼと自室に戻っていると、廊下でデトリアとすれ違った。相変わらずよぼよぼな見た目でフラフラと歩いており、見てるこっちが不安になるほどだ。
「ローリエ君、今日はお疲れ様。」
「ああ、デトリアさんこそ、お疲れ様です。」
「そうそう、ローリエ君にやって貰いたいことがあるの。聞いて貰える?」
「なんですか?」
「……魔法工学の、教師をやってくれるかしら?」
一瞬。
ほんの、一瞬だが。
腰が曲がり、ぱっと見の身長が俺の半分程度しかないはずのこの老婆から、巨大なプレッシャーを感じた。まるで、自分の身長の数十倍ほどある巨人と相対した時のような、それくらいのプレッシャーだった。
だが、それもすぐに幻のように消え失せ、目の前にはか弱い老婆がただにこにこしているだけである。
俺には分からなかった。何故、今そんなプレッシャーを感じ取れたのか。何故、今
前者はまあ、前世を含めた人生経験の成せる技とか気のせいとかの一言で無理矢理片付けられたとしても、後者がまったく分からない。本日付で交代したとはいえ、筆頭神官だったのだ。そんな人物からの頼み事なんて、まず断らない。プレッシャーなんぞかけなくても、引き受けるからだ。
何を企んでいるか?何がしたいのか?それとも、これから起こることを知っているがために、変に疑ってしまっているだけなのだろうか?
一度疑いだすと目の前で笑っている無害そうなおばあちゃんですら、腹に一物持っているように見えてくる。
証拠なんてない。いくら考えてみても、答えは出そうになかった。
だから俺は――
「分かりました。やってみましょう。」
――この老婆の警戒レベルを上げることにした。
こう判断したのは、前世を含めた人間40年の勘に頼ったものである。これに助けられたと自覚するのは、もう少し先の話だ。
キャラクター紹介&解説
ローリエ・ベルベット
今話でついに賢者となった男。演説を全てアドリブで乗り切り、フェンネル含めた女性陣をG型魔道具で混乱に陥れた。ローリエは前世は『きららファンタジアをやっていた、オタクの社会人』という設定ですが、彼自身の「きららファンタジア」の記憶は、リゼやポルカ、コルクが実装されたイベントで止まっています。つまり……?
アルシーヴ
新たに筆頭神官に任命された少女。ローリエの賢者就任演説の原稿の出来に頭を抱え、セサミに代わりにローリエの原稿を書いて貰ったという裏設定がある。その結果は、本編にて書かれている。
ローリエ原稿
『諸君 私はエトワリアが好きだ
諸君 私はエトワリアが好きだ
諸君 私はエトワリアが大好きだ
草原が好きだ
都市が好きだ
港町が好きだ
砂漠が好きだ
言ノ葉の樹が好きだ……
(中略)
よろしい ならば
(略)
第一次エトワリア開発計画、状況を開始せよ
さぁ諸君 楽園を創るぞ』
セサミ「まるで意味が分からない……」
アルシーヴ「どこから突っ込めばいいのだ……」
シュガー&ソルト
きららファンタジアの賢者となった双子姉妹。シュガーとソルトの名前のモデルは確認する必要もなく砂糖と塩なのだが、この二つの調味料、驚くほど共通点が見つからない。そこで、とあるキーワードで検索した結果見つけたとあるグループのアルバム名を苗字のモデルとしました。
セサミ・ストラーナ
ローリエの原稿を代筆したが、ローリエに秒で却下され、凹んだ所にG型魔道具の襲来という、良いところがなかった不憫枠。苗字の由来は『セサミストリート』から。
カルダモン・ショーズ
自由人な賢者。彼女の性格からして、やりたくないことは嘘でもやりたくないと思う。しかも、賢者の就任演説なんて時間の無駄とも思っているだろう。苗字の由来は、香辛料カルダモンの和名『
ジンジャー・ヴェーラ
豹人族のパワー賢者。この頃から市長としての手腕を発揮させた。彼女の凄いところは、すべて実行することにある。大抵の政治家は、公約を(さまざまな事情があるとはいえ)実行することは難しい。公務に真面目に取り組むことこそ、人心を長く掴む秘訣なのだろう。苗字の由来は生姜のサンスクリット語『cringa-vera』の後半部分から。
フェンネル・ウィンキョウ
ローリエとは犬猿の仲の賢者。公式設定でも、自身の演説でアルシーヴについて熱く語る等本編くらいの事をやる可能性は十分にある。ローリエの演説に吹き出してしまったため、G型魔道具の第一被害者となってしまった。女の子いっぱいのエトワリアにおいて、Gはとても忌み嫌われており、見るだけで慌ててしまう。そこに録音・録画機能がついてても、Gを殺す事で頭が一杯になり、気づかないだろう。
ハッカ・ペパーミン
作者のお気に入り賢者。着々とローリエのハンマーによる制裁要因になりつつある。『寡黙で古風な言い回しをする』のが公式設定である為、大○転裁○あたりで出てきそうな当て字を多用し、単語のみのセリフも使う所存。
きらら系漫画の登場人物の年齢
全体的に、見た目と比例しない場合が多い。大人たちは大体間違われないのだが、学生たちは実年齢より幼く見られがち。代表格は『ごちうさ』のチノ、『きんモザ』のアリス、『スロウスタート』のかむちゃん、『ブレンド・S』の麻冬さん、『new game!』のあおっち 辺りだろうか。
逆に、「実年齢よりお姉さんに見える」みたいな例外があったら情報提供求ム。
海の狙撃手と幽霊少女
これの元ネタは、『○NE PIE○E』のスリラーバーク編のウ○ップとペ□ーナのことである。詳細は省くが、ゴキブリ(の玩具)を使用した結果、超嫌がっていたシーンがある。
G型魔道具
人類の敵を模した、調査&隠密用魔道具。生物としての「薄暗い所を好む性質」を利用してこっそりと録画・録音を行い、見つかっても人間のGに対する恐怖・敵対意識を利用して撹乱を行い逃走できる優れた魔道具。攻撃される危険性もあるが、何より重要なのは、「監視されている」という感情・意識を別の感情で吹き飛ばすことにある。
余談だが、ローリエは後世での(正しい)活用のため、この魔道具の設計図はしっかり残している。だが、メインキャラの大多数を女性が占めているエトワリアでは、間違いなく『禁忌の発明品』の烙印を押されるだろう。
あとがき
ちょっとお話をまとめきれなかったので、前編と後編に分けます。というわけで、次回は『賢者昇格、女神誕生』の後編になります。お楽しみに~
きららファンタジアに登場する作品群の中の、次の作品の中で、最も皆様が好きな作品は?
-
きんいろモザイク
-
ステラのまほう
-
ゆゆ式
-
うらら迷路帖
-
夢喰いメリー