きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者   作:伝説の超三毛猫

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やっとごちうさの主要メンバーが揃いますねぇ!
待ってろよシャロちゃん千夜ちゃん………必ず当ててやるぜニェッヘッヘッ(フラグ)


“これが私のできることだから。それに――こんな気持ちのいい人達、放っておけないからね!”
   …召喚士きらら


第14話:さまざまな兆し

「『コール』っ!」

 

 私は、私にしか使えない魔法を使う。こうすることで、私は戦う事ができる。

 コール。まだ見ぬ世界に住まうクリエメイトの力を借りる魔法。ほんの少し前までは、私が使えるようになるとは思っていなかったけど。

 かざした杖から光が溢れる。

 

「クリエメイトは渡してもらうよ、おねーちゃん!」

 

 シュガーが両手に動物の肉球のような武器を具現化させてそう言い放つ。周りのクロモンたちも

 クリエメイトがクリエを奪われる事が何を意味するのか分からない以上、ゆのさんや宮子さんたちの為にも、負ける訳にはいかない。

 その思いとともに、杖の光が溢れ出す。

 

 ―――光が消えた時、傍らに立っていたのは。

 

 

「み……宮子様が()()!?」

 

「いや、宮ちゃんだけじゃない! ()()()()()! それに、ヒロさんたちまで……!?」

 

「こんなことってあるの……!!?」

 

「『コール』はこんな事もできるのか……!?」

 

 

 

 オーダーで召喚されている、ひだまり荘の方々だった。

 オーダーされているということは、呼び出されたひだまり荘の皆さんもクリエメイト。そして、コールはクリエメイトの力を借りる魔法。

 だから、彼女たちの力を借りることくらいできるはずである。

 

「お願いします!」

 

「任せたまえー!」

 

 私に喚ばれた方の宮子さんが、クロモンの群れに切り込んでいく。他のクリエメイトたちも、ヒロさんの魔法を中心にクロモン達を薙ぎ払っていく。

 

「うわわわっ!?」

 

 流石のシュガーも、突然ひだまり荘の人達が増えたことに驚き戸惑っている。その隙を見逃す“コールの”クリエメイトではない。

 

「やぁっ!」

 

「食らいなさい!」

 

「ひゃああっ!?」

 

 コールの宮子さんとヒロさんの攻撃がシュガーに入り、幼い体を吹き飛ばす。一瞬、賢者とはいえ子供を吹き飛ばしてしまって大丈夫かと思ったが、すぐさまシュガーが起き上がる。その表情は明らかに不機嫌だ。

 

「もー!なんでそんなに強いの!ずるい! もういいもん、もう帰ってアルシーヴ様に言いつけてやるもん!」

 

 頬を膨らませてそんなことを言ったかと思うと、シュガーは何かを詠唱した。

 

「待ちなさい、シュガー!」

 

「べーっだ! アルシーヴ様ならまだまだクリエメイトは連れてこられるんだから!

―――ゆのおねーちゃん、ありがとうね!とっても楽しかったよ!」

 

「シュガーちゃん。

 あのね、私も嬉しかっ――」

 

「あー、でもこのまま帰るとローリエおにーちゃん置いてっちゃうなあ……まぁいいか!

 ばいばい、ゆのおねーちゃん!今度会った時も舐めさせてね!」

 

「っ!」

 

「そ、そこなの!?

 って消えちゃった………?」

 

 ランプにあっかんべーをし、ゆのさんにお礼を言うと、好き放題場を引っ掻き回していたシュガーは屋敷から姿を消した。一応、賢者を退けることができたようなので、『コール』を解除する。

 

「……転移魔法だろうね。あの幼さでよくこれだけの力を持ってるもんだよ。」

 

「とにかく、これで一件落着かな?」

 

「そうですね……おそらく、このあたりのクロモンを操っていたのもシュガーのはずですから。」

 

 それならば、後は檻に閉じ込められたゆのさんを助けるだけなのだが、宮子さんが力技で開けようとしても開かないほど頑丈なモノだったのだ。鍵を開けようにもシュガーが鍵をかけてそのまま持って帰ってしまったそう。

 

「……え? じゃあ私このままなの!?」

 

「だ、大丈夫! きっと出られるわ!」

 

「どうやってですか!?」

 

「そうだ、きららの力ならどうかな? クロモンみたいにこの檻も消したりできるんじゃないかな?」

 

 

 檻から出られる手段を失い慌てるゆのさんをヒロさんが落ち着かせていると、沙英さんが私の方を向きそんなことを提案してきた。

 確かに、私の力は『伝説の召喚士』と同じとランプから教えられて、その力で実際にクロモン達を倒してきた。でも、この巨大な檻を壊せるかどうかは分からない。

 

「試してみないとですけど……」

 

 そう言いながら、魔力を檻にぶつけてみるが、何の反応も示さない。……ダメみたいだ。

 

「……生命維持系の魔法は作用しているみたいだから中にいることで問題はないだろうけど。」

 

「あ、それはシュガーちゃんとローリエさんも言ってました。この中にいれば何の心配もいらないって。」

 

「……もっと情報がないと。他に、シュガーは何か言ってませんでしたか?」

 

「後は、みんなをこの中に入れて、クリエを奪う、とか?」

 

 ……さっきからランプの様子がおかしい。なんというか、落ち込んでいる、というのは少し違うような気がするけれど、なんというか違和感を感じるのだ。まるで、焦っているかのような、焦るキーワードでもあるかのような……

 

「きらら?」

 

「えっ! な、なに、マッチ?」

 

 考え事をしていると、白い空飛ぶ生き物・マッチに声をかけられる。

 

「話を聞いてたのかい? ほら、あそこを狙ってみようって話だよ?」

 

「ご、ごめんなさい…ちょっと、考え事を。」

 

「まったく……あの光った部分の話さ。」

 

 マッチが顔で示した部分……ゆのさんが入っている檻は上が繋がっており、その中に光っている部分があるのを乃莉さんが見つけたらしい。宮子さん曰わく「いかにも弱点っぽい」ので、私の力で狙ってみようという話になったようだ。

 

「よしっ……今度こそっ!」

 

 乃莉さんが見つけた天井部分にある、檻に繋がれた鎖の光る部分に向かって魔力を放つ。すると、光る部分が魔力によって砕かれ、鎖にヒビが入っていく。更に、そのヒビが檻にまで入っていくと、水晶玉のように粉々に砕け散った。

 

「開きました!」

 

「宮ちゃーん!」

「ゆのっち、ゆのっちーー!!」

 

 ……よかった。ちゃんと、みんなを助けることができて。宮子さんだけじゃなくて、沙英さんもヒロさんも、乃莉さんもなずなさんも、みんながゆのさんとの再会を喜んでいたり、一人ぼっちで心細くなかったか心配している。ゆのさんは、シュガーやローリエが構ってくれたから寂しくなかったそう。

 

「な、なんですかこの量のお菓子は……」

 

「あー、それもシュガーちゃんがくれたんだけど、全部食べきれなくて……ローリエさんも食べてくれたんだけど……」

 

 そうこうしていると、乃莉さんが大量のお菓子を発見したことで、話題が変わる。宮子さんが何も警戒することなくお菓子をつまむ。ヒロさんも沙英さんに促されてなずなさんと共にお菓子を手に取り口へ運んでいく。

 

「ほほう、これはこれは……しっかりとした甘味ですな。これは渋めの紅茶が合いそうだねー。」

 

「や、やっぱりそうだよね! 私がおかしいのかと思っちゃった!!」

 

 

 

「……賑やかだね。」

 

 和気藹々(わきあいあい)としたひだまり荘の皆さんを見て、ひとりそう口にする。まるで、さっきまで戦っていたのが嘘みたいだ。

 

「いいことなんじゃないかな。ね、ランプ?」

 

「…………そうだね。」

 

 マッチの言葉に、ランプが遅れて反応する。やっぱり、さっきから妙な雰囲気だ。

 

「……ランプ?」

 

「ごめんなさい。少し………ちょっと懐かしくなっちゃって。それに……」

 

「それに?」

 

「ああいえ、何でもないです!

 それより、皆様を助けることができて本当に良かったです。これも、きららさんのおかげですね。」

 

 さりげなく聞こうとしたら笑ってはぐらかされてしまった。ランプの笑顔には、まだ違和感が拭いきれないが、それでもひだまり荘の皆さんを助けることができて嬉しいという気持ちに嘘はなさそうだ。

 でも、ランプの違和感の他に私には気になった言葉がある。

 

「さっき、シュガーが言ったこと覚えてる?まだまだクリエメイトは連れてこれるって。」

 

 それはつまり、また、オーダーで連れてこられる人たちが出てくるということ。ならば、オーダーを止めるためにも、私達は神殿に急がなければならない。

 そうマッチに伝えると……

 

「きららは、面倒ごとに巻き込まれた、なんて思ったりしないのかい?」

 

 ……と彼は少し困ったように私に尋ねてきた。

 でも、大丈夫。答えは決まっているから。

 

「これが私のできることだから。

 それに……」

 

「きららさん達も一緒におかし食べようよー、いっぱいあるよー!」

「一緒に食べましょうー。食べながらこれまでのお話聞かせてくださーい!」

 

「はい!」

 

 私を呼ぶゆのさんと宮子さんに笑顔で答えてから、その表情のままマッチに顔を向ける。

 

「――こんな気持ちのいい人達、放っておけないからね!」

 

 心からの想いをマッチに伝え、私は……いや、私達は、ひだまり荘の皆さんとのお菓子パーティーに参加することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いやあああああ!!?」

「な、なに、なずなちゃん!?」

「あ、あ、あそこに……ご、ゴ……!!!」

「うわわわわわ! み、宮ちゃーん!」

「ゆ、ゆのっち!?」

「待っててみんな!今叩くものを……うわあああああ飛んだぁぁッ!!?」

「やああああ!!こっちに来ないでええぇぇぇ!!!」

「さっ、沙英さん、ヒロさん!!?」

「きっきらっ、きら、きららさん、なんとかしてください~!」

「ま、待ってランプ!今肩を揺らしたら狙いが……!」

「し、俊敏すぎる……!」

 

 

 ―――途中、少し…いや、かなり衝撃的なアクシデントに見まわれたけど、大丈夫だろう……多分。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 屋敷の中にいた、ひだまり荘のみんなときらら一行のドッタンバッタン大騒ぎを見届けた俺は、手元にG型魔道具を帰還させてから立ち去ることにする。データはばっちり撮れているだろう。

 ……しかし、シュガーちゃんめ、俺を置いて帰りおって。俺が帰る時のことを考えてないな、あんにゃろーめ。

 俺自身、転移魔法は使えない訳じゃあない。ただ、俺は転移魔法を一度しか使えないのだ。これには、俺の魔法の適正と魔力総量に理由がある。

 魔力総量とは、RPGでいうところの最大MPのようなものであり、アルシーヴちゃんの魔力総量を200とするならば、シュガーちゃんは少なく見積もっても50はある。しかし、俺には20ほどと、シュガーちゃんの魔力総量の半分もない。

 また、魔法の適正とは、きららファンタジアでいうところの属性で、ゲームと同じように炎、風、土、水、陽、月の6属性に別れる。アルシーヴちゃんは月属性、シュガーちゃんは土属性だ。ちなみに俺は陽属性と月属性が半々、その他の属性がちょっととかなり中途半端で、魔法自体と相性が良くない。そのため、アルシーヴちゃんやシュガーちゃんが消費MP1か0かで使える転移魔法を俺が使うとMPを8~15ほど消費するのだ。ドラ○エ9のベホマズンやド○クエ5のルーラ並みに燃費が悪い。

 以上のことから、俺は魔法は使わず、現代武器や体術を軸とした戦い方をしているのだ。

 ちなみにこの理論でいくと、全属性を使いこなせているハッカちゃんの消費MPが凄まじい事になりそうだが、そこら辺は大丈夫なのだろうか?

 

 

 さて、アルシーヴちゃんへの報告についてはまとまったが、やっぱり気になる。オーダーで召喚したクリエメイトを賢者達が回収もとい保護する作戦。詳細は知らなかったようだが、誰かが漏らしたという線は確定だ。放っておいたら絶対ヤバいことになる。

 

 

 そんなことを考えていると、携帯電話から通信が入る。コリアンダーからだろうか。

 

 

「もしもし? こちらローリエ。」

 

『コリアンダーだ。今シュガーが帰ってきたんだが、お前は今なにしてる?』

 

「シュガーちゃんから置いてけぼり食らっちゃってまだ村にいるの。どうしたの?何か写真に写ってた?」

 

『あぁ。すぐに転移魔法で戻ってこい。話がある』

 

「ええっ!? やだよ!俺が転移魔法苦手なの知ってんだろ……あ、切りやがった……」

 

 

 時期的に考えて、写っていたのはおそらくソラちゃん襲撃犯だろう。そうでなければコリアンダーか俺を急かすこともないはずだ。もちろん、ソラちゃん襲撃事件は俺・アルシーヴちゃん・ハッカちゃん三人の秘密。甘~い関係だったら兎も角、事件についてはマジで話すわけにはいかない。

 

 コリアンダーにどう説明するかという苦悩と、今日一杯魔法は使えないなという諦めにため息を一つつきながら、転移魔法の詠唱を始めた。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 神殿に戻ってくると、すぐにシュガーを見つけた。神殿の外壁に体育座りで寄りかかっている。端から見ていても、アルシーヴちゃんに怒られて落ち込んでいるのがよくわかる。

 

 

「シュガーちゃん」

 

「あ……おにーちゃん」

 

 

 俺が声をかけると、シュガーがゆっくりと顔をあげる。やはり、その表情にはいつものような溢れんばかりの活気は少し翳りを見せている。ちょっとだけ凹んでいるのだろう。

 

 

「今日はおつかれさん」

 

 何か言いたげだったシュガーに先手を打ってそう言った。驚く彼女の隣に腰を下ろし、目線の高さを合わせる。

 

「君一人でよく頑張ったな」

 

「うん。

 ……クリエメイトを逃がしちゃったのは残念だったけど、その分、ゆのおねーちゃんの絵を見たり、ローリエおにーちゃんとお茶会したから楽しかったよ!

 それにそれに、ランプが見つけてきた召喚士のおねーちゃんがね、『コール』使ったの!すごかったなぁ……!」

 

 よく頑張ったな、と付け加えると、シュガーはいつも通りの笑顔を見せる。でも、その顔は作っている感じがどうも否めず、普段の元気に影が差している気がするのは俺の気のせいなんだろうか。

 

「偉いね、シュガーちゃん」

 

 取りあえず一見楽しそうに報告するシュガーを撫でてあげることにする。シュガーは目を閉じて俺のナデナデに身を委ねている。下手な紳士のなり損ないがこの画を見たら間違いなくロリコンに目覚めるほど気持ちのいいリアクションだ。

 

 

「そのポジティブさは才能だよ」

 

「そうなの?」

 

「ああ。一人で考えを切り替えられるのは一種の才能だよ。中にはね、一度失敗すると一人じゃなかなか立ち直れない人もいるんだよ。」

 

 ――例えば、俺みたいにね……とまでは言わない。

 

「……前を向こう、シュガーちゃん。きっと、なんとかなるはずさ。」

 

 

 俺がそこまで言い終わる前に、シュガーは俺のナデナデから脱出し、いつも通りの自信満々の笑みでこちらを向く。

 

 

「当たり前でしょ! シュガーはね、終わったことをくよくよ考えたりしないんだから!!」

 

 

 なんと頼もしいことか。こりゃ、俺が励ますまでもなかったかな。

 

 

「おおっ! さすがシュガーちゃん、その意気だ! もうナデナデは必要ないかな?」

 

「えー!? 待って! もう少しだけ!お願い!」

 

 

 すっかり元気いっぱいになったシュガーを抱き寄せてナデナデを再開する。感覚は猫や犬を撫でる感じなのだが、これでいいのだろうか?

 

 

 

 

「………ローリエさん?」

 

 

 シュガーを撫で続けていると、後ろから底冷えした声が響く。錆び付いたロボットのようにギギギと振り向くと、そこにはソルトがいた。田中○奈美さんってこんな声出せるのかよ、一瞬誰だか分からなかったわ。そのソルトは目から光を失っており、闇のようなオーラを醸し出していた。なんならオーラだけで人を殺せるまである。

 

「シュガーに何をしているんです?」

 

「お、おい待てソルト、何か誤解を……」

 

「遺言はそれでいいですか?」

 

 マズい。計算高いゆえに俺の合理的な考えに賛同することの多いソルトが今回は聞く耳を持っていない。それどころか、シュガーに「シュガーもシュガーです。警戒心がなさすぎます」とか言っている。逃げ切れなければ確実に殺される。

 

「あ! 今、ケーキが茂みの中へ入っていったぞ!」

 

「えっ!ほんと!?どこどこ!!?」

 

 俺のあからさまな嘘にシュガーが神殿付近の茂みの中へと走っていく。妹が破天荒な行動を取れば、姉であるソルトはそれを追うはず。そうして姉妹で鬼ごっこに興じているうちにサヨウナラ。

 この作戦なら上手くいく、そう思っていたのだが。

 

「クロモン達! シュガーを追ってください!」

 

「「「くー!」」」

 

 ソルトのクロモン達への号令で、作戦失敗を悟った。

 

「作戦にしては稚拙すぎますよ、ローリエさん」

 

「だろうな。だったら……」

 

 俺は懐から閃光手榴弾を取り出し、すかさずピンを抜く。

 

「別の手を使うまでだ」

 

 

 

 突如発生した閃光を背に俺は走り出す。悪いなソルト、俺はコリアンダーから呼び出されてるもんでね。まだ死ぬわけにはいかんのだよ!フハハハハハ!!

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 俺はあいつとの部屋の中で、ある一枚の写真を穴があくほど見つめる。あいつが神殿にいない間、調査を頼まれた写真のうちの一枚だ。

 写っているのは、杖にしては珍しい、ペンほどもない長さの杖を手に持った、ローブに身を包んだ傷だらけの男。それと、そいつに続くように床に垂れている液体のようなもの。

 色合いからして、きっとこれは血だろう。実際にこれほどまでの血を見たことは皆無だが、写真の状況から推測できる。

 

 撮影された時間は、アルシーヴが「女神ソラ様が病気療養をなされた」と発表した日の前日。それも深夜。だが、その翌日には床に垂れている血なんてどこにもなかった。

 

 他にも色々聞きたいが、俺は今からそれを目の前の親友に聞く。ローリエは真剣な表情でこちらを見ているだけで、いつものふざけた言動は見られない。

 

「ローリエ」

 

「なんだい」

 

「一番気になる質問からいこう。この写真に写っている男は誰だ?」

 

 目の前の親友は、まるでその質問をされるのが分かっていたかのように一息つく。寸刻流れた沈黙ののちに、彼が口を開く。

 

 

「アルシーヴちゃんを襲おうとした野郎だ」

 

 

 その言葉は、なるほどと説得力のあるものだった。確かに、筆頭神官になる前のアルシーヴは、神官の身でありながら破竹の勢いで悪を挫いてきた女性だ。悪徳神官を決闘で打ち負かすなんてよくある話だった。まさに文武両道を絵に描いたような存在である。

 

「動機はただの逆恨みだった。よくいるよな、自分のことを棚に上げてまず人のせいにする鋼入りの誰か(スティーリー・○ン)にも劣る小悪党ってよ」

 

 ゆえに、ローリエの言うとおり逆恨みをされることも少なくなかったらしい。

 しかし………何故だろうか。

 なぜ、ローリエの言っていることに「そうか」と納得できないのだろうか。あと鋼入りの誰か(スティーリー・ダ○)って誰だ。

 

 

「写真では深手を負っている。その理由は?」

 

「アルシーヴちゃんが対応する前に俺が追い払ったからだ。少々、手荒な門前払いをしたがね」

 

「床の血痕はどうした」

 

「奴にお帰り頂いた後、俺が掃除した。血痕あったらみんな驚くだろ?」

 

「コイツは深夜に来たと思われる。お前はそれに会ったというのか?」

 

「その日の朝にソラちゃんに相談されたんだ。嫌な予感がするってよ。それで、見回りしてたらばったり会った」

 

 

 こんな感じでしばらくローリエに質問したが、嘘は言ってないようだった。長く付き合いだから分かるようなものなのだが、コイツは嘘をつく時、話す相手の目を見ないのだ。話し相手の首か胸のあたりや、額の部分を見たりするため、違いがほとんどなく、付き合いが短いと見抜けない。

 

 今回のローリエには、そういったサインが見られなかった。つまり、少なくとも嘘はついていないということ。でも、隠し事をするために()()()()()()()()()()()()()

 

 

「本当の事を言え」

 

「さっき言ったことが本当のことさ。何ならアルシーヴちゃんにでも聞くといい」

 

 

 まっすぐ見てきたアイツの言葉を聞いても、尚真実として受け入れられそうにない。常識外れの発明を当たり前のように行うローリエの考えている事が、今回ばっかりはローリエの親友たるコリアンダー(おれ)をもってしても分かりそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけましたよローリエさん」

「ぎゃああああ!!ソルト!!?」

「さぁ、覚悟はできてますね?」

「やめて!!神様仏様ソルト様許して!!!!誤解だからー!!!!」

「問答無用ッ!!!」

「ひぎゃあああああああ!!!?」

 

 

 ………前言撤回。ソルトに何かしたから報復に怯えてただけだな、コイツ。

 

 

 

 




キャラクター紹介&解説

ローリエ
 きらら達を見守ったりG型魔道具を回収したりシュガーと仲良くなったりソルトに誤解されたりした男。今回のお話は1章から2章へのクッションストーリーなので目立った活躍はない。ただ、何者かによる情報漏洩の件は重く見ている。

きらら&ランプ&マッチ&ひだまり荘一行
 無事に原作通りシュガーを退ける。原作との違いは、ローリエが記録のためG型魔道具を設置したために、なずなに見つかったことがきっかけで大混乱に陥る。ひだまり荘の中にGに耐性のあるキャラがいたら申し訳ないが、作者が不勉強な者で、Gが平気なきららキャラはひでりくんしか知らないの。

シュガー
 フレンドリー過ぎて全国の□リコンに狙われそうな賢者。彼女の性格からして、アルシーヴの頼みを果たせなかったのは申し訳ないと思っていても、落ち込むことはないだろうと思い、当初考えていたプロットをちょっと修正した。エネルギッシュな子は土壇場でプロットを狂わせるからちょっと扱いづらいけど、書いてて楽しかったから、また出したいところ。

ソルト
 自身の妹を捕まえていたローリエ(ソルト目線)を見て、一時的に殺意の波動に目覚めた賢者。公式設定でシュガーがフランクすぎて隙だらけだから彼女をカバーするような性格になった(要約)とあるので、ちょっと優しくすれば懐いてしまうシュガーが心配でもあると考えた。つまり、シュガーに手を出した(またはそう見なされる行為を行った)場合、確実に殺意ソルトから折檻されるということだろう。

コリアンダー
 ローリエに写真整理を頼まれたので、またしょうもないスケベ行為かと思ったらマジだったと判明し戸惑う男。ちなみに、コリアンダーは神殿の事務員とあんまり立場的に偉くないので、ソラの病気療養を信じきっている。しかし、察しが良いのでローリエ次第で真実に辿り着くかもしれない。取りあえず今回はソルトに救われる形でローリエは不信度アップを免れた(代わりに肉体的にひどい目に遭ったけど)。


ベホマズン&ルーラ
 某有名RPGの全体完全回復魔法と転移魔法。基本的に消費MPはそれぞれベホマズンが36、ルーラが0or1となっているのだが、ドラ○エ5のルーラの消費MPは8、ド○クエ9のベホマズンに至っては消費MPが128ととんでもない下方修正を受けていた。これには作者も誤植を疑ったほど。今回は消費MPが多いことの例えに持ち出されただけである。

鋼入りの(スティーリー・)ダ○
 ジョジョ3部に出てくる、宿敵DIOに金で雇われた刺客。弱きに強く、強きに弱い男で、主人公の仲間を人質に取った後の言動はクズそのもの。詳しくは3部アニメの「恋人(ラバーズ)」を見るべし。


△▼△▼△▼
ローリエ「はぁ~あ~~痛いなぁ~もう。ソルトはシュガーが絡むと手加減しないよな」
ソルト「当然です。シュガーはフレンドリーなのに悪意に鈍感すぎるんですよ」
ローリエ「こっち見て言うなや。さて、お次のオーダーの場所は海が見える港町だ!待ってろよ、凪の海と潮風が似合うもっこり美人ちゃん達、そしてセサミ!みんなまとめて抱i……」
ソルト「制裁が足りませんでしたか」

次回『百合の潮風』
ソルト「絶対見てくださいね」
▲▽▲▽▲▽

きららファンタジアに登場する作品群の中の、次の作品の中で、最も皆様が好きな作品は?

  • きんいろモザイク
  • ステラのまほう
  • ゆゆ式
  • うらら迷路帖
  • 夢喰いメリー
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