きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者 作:伝説の超三毛猫
…ローリエ・ベルベット 著 自伝『月、空、太陽』
第4章より抜粋
「―――兄さんを殺そうとしたのは、お前でいいのよね?」
アリサが、人なんて簡単に殺してしまいそうな憎悪の瞳で睨みつけてくる。
その心の奥底では、身を焦がす程の怒りが、悲しみが、憎しみが、燃え上がっていることだろう。
手先が震える。
当然だ、オーラにまで出てきそうな殺意をぶつけられるなんて―――
きっと彼女との殺し合いは避けられないだろう。彼女には俺が兄の命を狙う追手に見えるだろうからな。
まさか、心構え一つでここまで敵を威圧できるとは。ハッキリ言って、前世で唾棄されていた、精神論をちょっと舐め過ぎていた。
正直、怖い。ここまで激しく、研ぎ澄まされた日本刀のような殺意相手に、手加減なんてしている余裕などないのかもしれない。
そんな恐怖に飲まれないよう、一度震える手で拳を握ったあと、銅の剣を握る。
アリサの質問だが、正直に『ソラちゃんに呪いをかけやがった理由を聞いてから判断するから、どっちともいえない』と答えるのが一番俺の心境的に合っているのだが……すさまじい殺気を当ててくる今の彼女にそう言っても信じてくれる気がしない。
「……なんのことか分からないな」
「とぼけないで。緑髪に紫と群青の目………いまさら違う色に誤魔化したって言い逃れはできないわ」
「!!?」
紫と群青色の目、だと……?
つまり、俺は無意識のうちに彼女の前で目の色を(文字通り)変えてしまったというのか!?
自身の正体が兄の追手であることは(若干の誤解があるとはいえ)おおむね当たっている。ワンチャンスの望みをかけてすっとぼけてみたが、まさか疑いの決め手が目の色だったとはな。
しかし、こうなった以上はやむを得ない……のか。
「……そうだと言ったら?」
「お前を殺す。そんなナマクラでどうにかできると思わないことねッ!」
挑発とも取れる答えを口にして、銅の剣を正眼に構えると、アリサが啖呵を切るとともに、火の玉の群れが俺目掛けて襲いかかってくる。命中したら骨まで焼き尽くされるのは目に見えている。
故に、取る選択は一つ。
「―――ッハ!」
横っ飛びに、その火の玉の群れの直線ルートから逃れること。防御は出来ない。銅の剣が温度に耐えられそうにないからね。剣自身にちょっと
これで反撃、と思ったんだが。
「……うそん」
火の玉達が、俺を追いかけるように追尾していたのだ。いくつかは方向転換の過程なのか木にぶつかって燃え上がったが、視界いっぱいに映る炎が、間違いなく俺を殺しに来ている。
「どチクショウ!!」
それを、シンプルな身体能力で火の玉の間をすり抜けるようにかわしていく。ジンジャーの修行の成果が身にしみて感じられた瞬間だった。
しかし、まだ火球は俺を追跡している。
態勢を立て直してパイソンを抜き、それらに向かって発砲する。
ただの弾丸が、火球と相殺できる道理はない。
だが、俺の弾丸は特別製だ。
バシュッ! バシュッ! バシュッ!
森に風が吹き抜けるような音が響き渡る。弾丸が命中した火球が一気にしぼみ、消滅したのだ。
これが、俺の特別製の弾丸。
簡単に言ってしまえば、属性付与魔法によって、魔法の属性を得た弾丸である。渓谷の村へ発つ前に、火・水・土・風・陽・月と全属性を揃えておいたのだ。魔法工学の本領を発揮した発明の一つではあるが、作成時にはアルシーヴちゃんやシュガー、セサミなどの手をだいぶ借りた。その代わり、時と場所に応じて使い分けることができる汎用性の高い代物だ。今みたいに、魔法に対して使い、攻撃を相殺したり防御魔法を突破することもできる。
だが……火球を撃ち払った後、俺は気づいた。
周囲は薄暗い夜の森で、光源が全くないこと。
魔法を放ったアリサを完全に見失っていること。
それの意味する所とは―――
「―――既に術中ってことか」
周囲を見渡し、彼女の姿を見つけ出さんとするも、「そんな暇など与えてたまるか」と言わんばかりに、四方八方から炎が飛んでくる。
切れ間ない憎悪の炎に飛んだり、屈んだり、魔法弾で相殺したりして、着実に躱し防いでいく。しかし、マズい。
いくらジンジャーにしごき上げられた人間とはいえ、体力に限界はある。このまま千日手のような真似を繰り返していれば、いずれ体力が底をつくだけだ。
アリサの狙いはそれだ。敵がどこにいるかも分からず、周囲の確認もさせないまま、押し切るつもりなのだろう。
防戦一方と呼んで差し支えのないこの状況。早く手を打たなければジリ貧確定だ。
「………アレを使うか」
俺は、炎に囲まれたこの苦しい戦況を打破するため、最初のカードを切ることにした。
◇◆◇◆◇
ペッパーと名乗った男を、火球で囲んで攻撃するアリサ。その作戦は、森で生きてきた彼女にとっては、得意中の得意戦法だった。
炎とは、古代から人間が利用してきたものでありながら、人間の命を奪い続けてきたものである。高温は言うまでもなく、燃焼する際に人間の呼吸に必要な酸素を消費することも、人間の命を危険に晒す所以でもある。また、一度燃えると有機物から有機物へ燃え移る性質も厄介なものである。
その性質を森の中で発揮しようものなら、木から木へあっという間に燃え移り、燃え盛った炎は使用者にすらも無差別に牙をむくだろう。しかし、未だそうなっていない辺り、アリサの場数と魔法の精密さには目を見張るものがあった。
また、光源のまったくない森の中では、人は敵を見失うものである。人間は、昼に活動し、夜は隠れ家で眠る生活をしてきた生き物だからだ。そうなった場合、人間は光を頼りにするものだ。それが例え―――敵が放ってきた、炎の魔法だったとしても。
……つまり、今の彼は『夜の森、視界がまともに働かない状況で、炎の球に襲われまくっている』ことになる。
敵を見失い、視界も悪く、攻撃は凶悪かつどこからやってくるのか分からない。普通の――いや、並大抵の人間が相手であるならば、このまま逆転の一手も与えずに、アリサは敵を焼き殺すことができただろう。
しかし――――――彼女は知らない。
今回の敵が、アリサの予想や予測など簡単に凌駕する道具を山ほど持ってきているのを。
彼の知能が、「並大抵」ではないことを。
彼が、言ノ葉の都市でなんと呼ばれているかを。
彼の正体が―――黒一点の八賢者にして若き発明家、ローリエ・ベルベットであることを。
ブイイィィィィィ……
「……音?」
それは、炎魔法を放ち続けているアリサの耳に入ってきた、聞きなれない音だった。思わず魔法の詠唱を中断し、耳を澄ませて音の正体を確かめようとする。だが、周りを見渡してもそれらしいものは見当たらない。
ブイイィィィィィ……
やはり、アリサにとっては聞きなれない音である。しかし、どこかで聞いたことのあるような音でもある……ような気がする。
奇妙な音は大きくなったり小さくなったりを繰り返す。
やがてアリサは思い出す。
この音はクリエで動く扇風機の風切り音に似ている、と。
そこで、視線を少し上に移してみる。すると、なんとそこに音の正体がいた。
それは、アリサにとって見たことのないものだった。
金属質のボディーに4つの円盤のようなものがくっついており、生い繁る木々の枝を器用に避けながら浮遊している。よくよく見れば、円盤と思われるものは、高速回転しているプロペラと、それを守るためのカバーだった。彼女は風切り音がプロペラから鳴っていることに気づく。
しかし、何故こんな時に、こんな面妖なものが森を飛行しているのか。
無論そんなことをアリサが分かるはずもなく、それに釘付けになっているうちに、答えは突きつけられた。
飛行する物体が、アリサの近くへ移動した時、宙に浮いたままピタリ、と止まった。
何事かと思い様子を窺っていると、ボディの一部がパカリ、と空き……その内部から筒のようなものが出てきた。
それはまるで――小さな大砲の砲身のように見えた。
「っ、やば!!?」
嫌な予感がしたアリサは、咄嗟にその場から飛び退く。それと同時に砲身から光が発射され、アリサがいた地点に直撃した。
「なんなのっ!?」
反撃とばかりに石を投げるが、ひらりとかわされてしまう。飛行物体が再び砲身を向けると、射線から逃れるために体を翻す。
わけも分からぬまま、アリサは飛行物体の追撃から逃れるために足を動かし、魔法を練った。
アリサが放ったのは、先程まで男を攻撃していた炎の球の魔法ではなく、攻撃範囲の広い、風の魔法だった。炎を拡散して攻撃する事もできるが、燃え移るものの多い森の中で、そのような魔法は使えないと判断したからだ。
風魔法で作られた数多の真空の刃は、寸分違わず飛行物体に命中した。
旋風が巻き起こる。そして、命中した飛行物体が破壊できたかどうかを確認した時………アリサは絶句した。
確かにさっきまでアリサをつけ回していた飛行物体は撃墜させることに成功した。しかし、同じような形状の飛行物体が数十機というレベルで集まりつつあり、それらすべての砲身がアリサを狙っていた。
アリサは、それが分かった瞬間、一目散に駆け出した。
彼女には知る由もないことではあるが。
この飛行物体は、ローリエが製作した魔道具で、彼が生まれ変わる前に住んでいた、コンクリートジャングルの世界で生まれたもの……それを、彼なりにアレンジしたものである。――――その世界では、『ドローン』と呼ばれていたものだ。
現代日本の科学の結晶が、牙をむいた。
◇◆◇◆◇
火球に四苦八苦していた俺は、どうにか隙をついて『ルーンドローン』の起動に成功していた。
ルーンドローン。
前世の日本で一時期話題になっていた小型飛行機を、ボディを金属系のカラーで塗装した太古の骨、動力を電気と魔力のハイブリッドで再現した、偵察兼戦闘用魔道具。自動索敵と半手動の攻撃が可能で、ボディに内蔵されたミニ砲台を使えば、魔力を利用した砲撃を行える。また、発信機も搭載されており、破壊された場合やこちらの命令を受けた場合に、信号を送信・受信ができるのだ。
起動したルーンドローンに、俺は「森にいる、背の小さい少女を攻撃しろ」という命令を与え解き放ったが、さきほどルーンドローンの一機が破壊されたと信号があり、そこへ残りのルーンドローンが自動的に駆けつけていることを知る。彼女にとっては見たこともないものからいきなり攻撃されたことになる。動揺のひとつはしているだろう。というかして貰わないと困る。
アリサの状況を確かめるべく、俺はルーンドローン達が集合した地点へ駆けつける。隙さえあれば、属性魔法を付与したぷにぷに石弾を撃ち込むつもりだ。
そして、ルーンドローンの信号の受信機の反応を追い続けること数十秒、俺はアリサとルーンドローンの群れの戦いに合流した。
彼女はルーンドローンを自身の敵だと認識し、一機ずつ撃ち落としながら立ち回っていた。三次元的な一斉攻撃の網の目をくぐり、さっきまでは使っていなかった別の魔法で攻撃していっている。ただ、数機撃破しても全く数の減る気配のないドローンを相手にしているのに夢中で、俺に気づいた様子はない。
これ以上
「ぐっ!?」
銃声とほぼ同時にくぐもった声がして、アリサが片膝をつく。被弾したであろう左脇腹を左手で抑え、右手をいつでも魔法を放てるように構える。再び発砲すると、今度は炎魔法で相殺され、アリサは再び身を隠そうとする。
しかし、ルーンドローンと俺自身からの、スパイ映画か何かに出てきそうなセンサーの如く怒涛のレーザーと弾丸の波を『マトリックス』のスパイさながらな動きでかわすのに精一杯で、なかなか思い通りに動くことができないように見える。
俺は、別の魔道具のスイッチがオンになっていることを確認しつつ、パイソンをしまい、銅の剣を抜き、それを振りかぶってアリサに近づいた。
「うおおおおッ!!」
「!!?」
振り下ろされた銅の剣は、アリサが突然近づいてきた俺に面食らいながら後ろへ飛びのくことで大きく空ぶる。
必要以上に力んだ結果、叩きつけられた地面が剣筋に沿って凹んだ。すぐに剣を抜くが、その一瞬は、アリサが炎を俺に撃ち込むのに十分な時間だった。
「今ッ!!」
右手で風魔法を生成するアリサに目を見開く。
そして、動けない俺に向かって、骨さえ切り刻まんとする刃が放たれる―――
「うああああああああっ!!?」
―――筈が、逆に彼女が風に吹き飛ばされる。
リフレクタービット。
対象の周囲を警護するように飛び回るシールド○ットのような魔道具で、その効果は『
魔法を跳ね返すという魔法使いや呪術師特攻のような性能を持ち、一度しか発動しないため、最初の一回が肝心で、反射した魔法を当てる確率を上げるため銅の剣で攻撃するフリをして近づいたのだ。それは、的が大きく、近くなっていたため反射が起動しやすい事と、自分の魔法が突然自身に牙をむいた時に対抗策を考える時間をできるだけ奪うことを意味していた。
まぁ、武器攻撃には対応してないからかなりのリスクはあったし、俺の演技力の全てをもってしても見破られる可能性もあったからいい策とは言えないだろうけどな。リフレクタービットはまだまだ改善の余地アリだ。
「はあッ!」
「うっ!! ふっ!」
それ以上の考えを端に放っぽった俺は、反射した魔法で態勢を大きく崩されたアリサに接近し、銅の剣を脇腹に向けて横薙ぎに振るう。追撃に気づいたアリサは、完全に回避は無理だと悟ったのか攻撃の衝撃を殺すかのように横っ飛びにジャンプした。元々切れ味は悪く、殺傷能力の小さい銅剣だったこともあり、ダメージは浅い。
俺は着地したアリサの魔法を行使する態勢を見て、すぐさま攻撃手段をパイソンに切り替える。
そして、射撃と魔法が同時に発動すると思われたその時―――
「…ッ!? きゃあああっ!!」
アリサが魔法の発動に失敗し、俺の水属性のぷにぷに石弾数発をモロに食らったのだ。
……決して、コレはアリサの魔力総量が底をついたからでも、ましてや焦って呪文を間違えたからでもない。
―――これが、俺の隠していた魔道具の効果だからだ。
剣型魔道具・サイレンサー(コリアンダー命名)。
見た目は市販されている銅の剣だが、これにもまた、魔法が付与されているのだ。その効果は、『5分間、攻撃された人物の魔法行使を著しく妨げること』。攻撃した人物の魔法適正を一時的に下げ、魔法に使用する消費
これを作成するにあたり、コリアンダー君にはかなりの回数、実験台になって貰った。魔法封じの犠牲になった(半強制的)親友に尊敬の念を覚える。
俺の銃撃をマトモに受けたアリサは、魔法の反射から積み重なっていたダメージが効いたのか、その場で片膝をついて肩を揺らしながら息をしていた。だが瞳は俺を睨みつけ、是が非でも獲物の喉笛に食らいつこうとするオオカミを彷彿とさせる。
なんという精神力だろう。ただひたすらに、「兄の仇を
俺は、アルシーヴちゃんやソラちゃん、賢者のみんな、きららちゃんやランプ、そしてクリエメイトの為に、ここまで必死になれるだろうか? 前世の記憶が人間らしい感情の足枷になって、ひとり取り残されないように祈るしかない。
とは言え、個人的にはアリサとの戦いを出来るだけ早く終わらせ、例の事件の真実を確かめたい。俺は、マグナムを向けたまま口を開いた。
「君のお兄さんを傷つけてしまったかもしれない事は、申し訳なかったと思っている」
「なにを……今更ッ!!」
「訳があったんだ。俺が撃ったのは……女神ソラを襲撃した呪術師。」
「っ!!!?」
今まで動じなかった瞳の奥が揺れる。やっぱりか。
「俺の名はローリエ・ベルベット。筆頭神官アルシーヴの命で、女神を呪った呪術師の調査に来た。」
「は…………?」
「黒いフード付きのローブを着た、身長165~170センチの推定男。ペンほどの長さの短めの杖。それらの手がかりを元に、ここまでたどり着いた。」
「なにを………言ってるの? 分かんない!! 何を言ってるのか、分かんないよッ!!!」
かぶりを振って俺の言葉を否定するアリサ。
もしかしたら、彼女は分かっていたのかもしれない。まぁ、分からなかったのかもしれないが。
どの道、何を言ってるのか理解したくないのだろう。
俺は今から、最低な事をする。
少女アリサの信じていたものを壊す。
だが今になって怖気づくわけにはいかない。
何故なら……あのローブ野郎…呪術師を「殺せ」と言ったのは、躊躇なく発砲したのは、紛れもなく俺なのだから。
「君のお兄さんが女神ソラを呪った可能性がある」
「――――ッ!!!!!!」
アリサの視線の殺意がより濃厚になった。
「嘘だ……うそだうそだうそだ嘘だッ!!!! 兄さんが、そんな……」
そうして威圧感を増していく彼女に、俺は二枚の写真を叩きつけた。
「―――ッ!?」
一枚目は、あの夜に撮った、神殿の廊下を血を垂らしながら逃げていくローブの人物の写真。
二枚目は、数日前に撮った―――呪いと共に封印された、眠っているかのようなソラちゃんの写真だ。
ローブ野郎がソラちゃんに呪いをかけた証拠として、呪いをかける瞬間でも撮れたら決定的だったのだが、ローブ野郎関連の写真は生憎これしかなかった。
そこで、ソラちゃんの写真を撮り、どこかに呪いを受けた証拠でもあればと考えた。アルシーヴちゃんに「呪いの証拠を手に入れて、呪術師を炙り出す手がかりにしたい」と申請して「いざという時以外では使わない」ことを条件に手に入れたものが、この眠るように封印された女神の写真だ。
二つの写真を見たアリサの顔は、信じられないものをみたかのような―――いや、実際信じられないものを見ているのだろう―――茫然自失とした表情となっていた。
「信じようが信じまいが……俺のやることは変わらない。君のお兄さんに、真実を聞きに行くだけだ」
「行かせない………兄さんを殺させはしないッ………」
神殿での出来事を突き付けられて尚、よろよろと立ち上がりながら、手をかざし、俺を止めようとするアリサ。
兄が世界の敵になっていたなんて思いたくないのだろうか。それとも、証拠を提示されながらも、信じていないのだろうか。
それとも―――
「兄さんは、私が守るッ!!!」
アリサの力強い宣言に、俺は体が固まった。
サイレンサーの効果がまだ続いているのだろうか、かざした手のひらに魔力がわずかに集まっては、霧散していく。
その目に再び宿ったのは、憎しみと殺意だけじゃなかった。たとえどんな事情があろうと、自身の全てを賭けて、大切な
―――
分かっている。彼女は本気だ。ここで手が鈍り、躊躇おうものなら、サイレンサーの魔封じ効果が切れた途端に殺されてしまうことは……解っている。
だが………どれだけボロボロになっても決して諦めようとしない、言わば「黄金の意志」をもって立ち上がるアリサに、どうして引き金を引けようか。
でも―――俺は引き金を引かなければならない。アリサを倒し、彼女の兄にことの真相を聞きに行くために。
ここが
「――――――ごめん」
呟きながら放った
何かに気付いたように目を見開いたアリサは、そのまま仰向けに倒れ、起き上がることはなかった。
「…………」
気絶させただけで、アリサの命を奪った訳ではない。黒幕へ近づくために必要だったことの筈だ。
なのに―――
「―――最悪な気分だ」
なんで、ここまで嫌な気分になるのだろう?
熱くなる目頭をごまかしながら、気絶したアリサをどうするか決めあぐねていた。
◇◇◇◇◇
森が嫌に明るい。
散々迷った結果アリサは彼女の兄との交渉材料として、気を失ったまま手だけを後ろ手に縛って背負うことにした。
しかし―――
「……なんっだ、コリャ」
戻った先で見たものは、火の手の上がるログハウスだった。
キャラクター紹介&解説
ローリエ
呪術師アリサがどのような心境で自分と戦っていたのかを知った転生八賢者。現代科学を知る者の視点から様々な魔道具を作り、アリサからのアドバンテージを保ち続けた。転生者にして魔法工学者の本領の一部を発揮できた事には満足しているが、最後の最後で後味が悪くなってしまったような気がする。
アリサ
自身の兄が女神ソラを呪った可能性を突きつけられながらも、倒れるまで家族の為に戦った呪術師の少女。決して弱いわけではないが、魔道具に対して警戒がなかった事が仇となり、敗北する。まぁ、ド□ーンは兎も角、最初からマホカンタ状態や攻撃されたら魔法を封じられる剣など、呪術師にとっては初見殺しもいいところだったんだが。
ルーンドローン
要するに戦闘用ドローン。電気を帯びた鉱石を加工した電池を動力源とし、飛び回りながら魔力を使ったレーザー的な魔法攻撃を放つ。元々、ドローン自体が戦闘用として開発されていた節があり、空からの奇襲などに重宝された。まぁ本格的に軍事利用されようものなら、『劇場版シティーハンター 新宿プライベートアイズ』のウォーフェアみたいに民間人が「いつ戦闘が起こるか分からない」という恐怖に支配される未来しか見えないが。
リフレクタービット
簡単に言ってしまえば「マホカンタがかかっているシールドビット」。ファンネルやシールドビットのように持ち主に追従し、攻撃・防御を行う機械はロマンという思想から生まれた。魔法反射という反則的な機能については、『魔法が魔法に干渉することが出来る』点に注目したローリエが、コリアンダーを巻き込んで魔法反射という機能を生み出したという設定がある。
サイレンサー(銅の剣)
簡単に言ってしまえば『マホトーン効果が付与されたどうのつるぎ』。元々コスプレ用のカモフラージュだったが、「それだけでは勿体ない」と思った作者が、「最初からこの為の伏線だったのだ」という予定調和兼フラグ回収を演出するために生み出したノープランの産物。章ごとに大まかなプロットこそ書いているものの、基本的には何も考えずに書いている為、このような汚い手が思いつく。いずれこのツケが回ってこないように祈るしかない。
作者「両手を上げて走れ!ノープラン万歳!」
ゆき「そうだよ!やるべき事よりやりたい事だよ!」
夏帆「ゲーマーの思考だね!」
ローリエ「…………」
△▼△▼△▼
ローリエ「激闘の果て、アリサを下した俺は、彼女のお兄さんがいる筈の家が燃え上がっているのを見て唖然とする。まるで意味が分からないが、今お兄さんに死なれたら真実へたどり着けなくなる!どうにかして、助け出さねえと!
そして現れる、第三の人物。女神襲撃事件の真実とは、一体……?」
次回『ソウマの真実』
ローリエ「次回も見てくれよな!」
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先日のフェンネルのイベクエにて、フェンネルの出自に公式と拙作で違いが出ました。公式は流浪の剣士。拙作は騎士の家の令嬢です。この違いはもうこのままでいきたいと思います。それは兎も角、皆様はどっちのフェンネルがお好みでしょうか?
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流浪の剣士フェンネル(公式設定)
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騎士の家の令嬢フェンネル(拙作設定)
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どっちも好き。上下などない。
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むしろ差を作りまくれ!