きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者 作:伝説の超三毛猫
それに第2部も始まりましたね。新たな敵の全貌・目的・背景………すべてが謎ですがというかなのでというか…とりあえず、拙作では第一部と外伝の完結に向けて執筆していきたいと思います!
という見事に物欲センサーに引っかかったガチャ運と新たな物語はおいといて、今回はきららとフェンネルとアルシーヴの回だー!!
“その戦いに一番星を見た。封印されし女神様のもとに届きうる流星の光を、きららさんは見せてくれた。”
…ランプの日記帳(のちの聖典・きららファンタジア)より抜粋
ランプを庇う形で、突然始まったフェンネルさんとの戦い。
彼女には、明らかに余裕がなかった。
当然だ。ナットさんとも戦ってたし、さっきまで私やローリエさんと手を組んでドリアーテと戦っていたんだから。体力はあまり残っていないはず。
…とはいえ、私も決着は早めにつけたい。
ナットさんと戦った時や、ドリアーテからエイダさんを救いだした時に多くのクリエメイトの皆さんの力を借りました。
なにより、土壇場でクリエケージを壊してからさっきまでの記憶が途切れていて、あんまり状況がよくわかっていない。
―――でも! ここで負けられないのは確か!!
身体強化をかけて、すぐさま連撃を叩き込む。
カルダモンを真似て編み出した速度強化を乗せた攻撃さえ盾で防いでいくフェンネルは、流石アルシーヴの盾を自称するだけはあると思う。
それでも…今のフェンネルに、余裕の表情はない。
「はあああああああっ!!」
「ぐううううううッ!!」
連撃を盾で防ぎ、耐えている様子のフェンネル。
その隙に、あの力をもう一度使う!
これまで私が頼りにしてきた、召喚士の力を!
「『コール』ッ!!」
「!!!」
呼び出したのは、白の魔女帽と露出の高めな服に身を包んだまほうつかい。
―――港町で出会った、ひふみさんだ。
ひふみさんは、雪の結晶のようなクリスタルに魔力をこめる。それを、フェンネルさんにぶつけるために。
「…っ! させません!!」
フェンネルさんはそれに対して、レイピアを振るってカウンターを決行。
でも、それを思い通りにやらせる訳にはいかない。
彼女の戦い方は共闘した時に見てきました。そのカウンター攻撃に、私は更に攻撃を仕掛ける!!
「はあぁぁぁっ!!」
「うっ!!?」
ひふみさんを呼び出すのは一瞬だけ。フェンネルのカウンターを誘うためのフェイク。
そして、フェンネルさんの戦法を利用した、カウンター攻撃に対するカウンター。
いつものフェンネルさんなら、あるいはこの攻撃に反応して、なにかしらリアクションを取っていたかもしれません。
しかし、今の彼女は連戦の後で疲れ切っている。だからだろうか。
「――うぅっ! 流石に、厄介ですわね、その力は…!」
ひふみさんに気を取られ、私の本命に気づかなかったみたいだ。
魔法弾をまともに食らい、膝をついた。
チャンスです! この戦いを終わらせる時……!
「これで、おしまいです!」
私達が先に進むため、ソラ様を救うため……最後の一撃を放とうとしたところで……
「――――!!?」
別の、だれかの気配がしました。
あの時と、同じです。『オーダー』でめちゃくちゃに繋げたような、パスの気配…!
これは、まさか………!!!
「……っ、もう、お越しになりましたか。
―――アルシーヴ様。」
魔法を中断し、畏まったフェンネルと同じ方向に目を向けると―――
そこには……確かに、いた。
格式高い法衣と肩の金属鎧、そして桃髪が特徴的な筆頭神官が。
山道で直接戦いこそしなかったが……私達と出会った、今回の元凶らしき人が。
………アルシーヴが、冷え切るような紅い瞳で、こちらを見ていた。
「…フェンネル。召喚士を捕らえたのではなかったか?」
「申し訳ございません……アルシーヴ様……。」
「そうか。お前の策が、破られたか……ローリエは?」
「彼なら、今回の『オーダー』で巻き込まれた者たちの護送に…」
「そうか。………フェンネル、下がれ。」
「ですが、アルシーヴ様!」
「下がれ。」
「………………はい…」
うろたえるフェンネルを有無を言わせぬ態度で下がらせると、今度はこっちに…私に対して明確に、話しかけてきた。
「……久しぶりだな、召喚士。」
……アルシーヴ。この人が、ランプの先生にして――
―――女神ソラ様を、封印した張本人………。
初対面じゃないけれど、やっぱり、慣れないプレッシャーだ。
「アルシーヴ………ランプの先生だった貴方が、
どうして…こんなことを………。」
「……全てはただ一つの目的を果たすためだ。
―――召喚士、私の元へ来い。
お前のその力さえあれば、私の望みは限りなく実現に近づく。
ランプの世迷い言に付き合う猶予などない。」
アルシーヴは、ストレートに私に要求してくる。
それに、私は……
「……それは、できません。
私は、ランプの言っていることが世迷い言だなんて思いません。」
……否と、叩きつけた。
瞬間、アルシーヴの放っていたプレッシャーが一段と強くなり、私達を覆って握りつぶそうとしてくる。そんな風に錯覚するレベルの、覇気だった。多分だけど……ナットさんのアレよりも強い…そんな風に思えた。
「そうか……ならば。
力尽くで連れていくしかあるまい。」
アルシーヴの魔力が高まっていく。
始まるんだ。私とアルシーヴの、エトワリアを賭けた戦いが……!!
「『コー…」
「『ダスクブランド』」
「!!」
先手を取られた。
私の力を……『コール』を使えたら一気に有利になるけれど、フェンネルさんもアルシーヴもなかなか使わせてくれなかった。流石に何度も八賢者と戦っていると、対策も立ててくる、ってことか……!
放たれた闇の魔力を飛びのいて躱すと同時に、『コール』に使うつもりだった魔力を『速度強化』に切り替える。
「速度強化魔法………? ならば―――『シャドウバインド』」
「!!?」
アルシーヴの周囲から現れた、真っ黒でつかみどころのないような、茨みたいなモノが加速する私目がけて追ってくる。出来る限りスピードを上げていくが、振り切れる気配がない。
「―――ッ、はああああああ!!!」
逃げ続けてもキリがないと、踏んだ私は、アルシーヴへ突っ込んでいき、魔法の茨をかわしながら至近距離で魔法を―――連射!!
「!? ぐっ……!!」
効いている……!?
そう思った瞬間、加速魔法で強化された私にアルシーヴの魔法の茨がぶつかり相殺される。今の茨は、速度を下げる魔法だったってことだ。
「きららさん!」
「まだ…大丈夫!」
「………っ!」
「アルシーヴ様!」
アルシーヴの姿が揺らぐ。
さっきの魔法の連射をモロに受けたのか、苦しそうな顔をしている。
それが、どうも変な感じがした。
「すごい………あのアルシーヴと互角?
いや、きららの方が勝っているんじゃあ……」
「すごい、すごいです、きららさん! これなら、ひょっとすると―――」
アルシーヴと互角。ひょっとすると。
ランプとマッチの言うことには私も同感だ。
私はあの時よりも強くなったと思う――――――ううん、強くなった。
けど、優勢なのはそれだけじゃない。明らかに変なんだ。
神殿の神官たちを率いる筆頭神官……これが、本当に彼女の全力なのか?―――そう思えてしまうくらいに、魔法の威力が弱い。
アルシーヴと戦ったことはこれが一回目だけれど……かつての私が手も足も出なかったローリエさんの上司が、こんなに弱いはずがない!
これが、フェンネルさんの言っていた『オーダー』の反動、だとしたら…………今なら私の力でも………!!
「っ、いきます……!!」
仕切り直しに牽制の魔法。
お互いに放ったそれが、私とアルシーヴの間でぶつかり合って爆発を起こすとすぐさま速度強化をかけ、素早い動きと砂煙でアルシーヴの視界から外れようとする。
「小癪な…」
「でやあっ!」
アルシーヴの反応が僅かに遅れたのを見た私は、そのまま一気にアルシーヴとの距離を詰める。
そして―――強化の変更・攻撃強化。ジンジャーさんを見習った強化魔法を纏った一撃!!
「!!?」
紙一重で攻撃をかわし、距離を離したアルシーヴ。
生まれた隙を使い、あの魔法を使う! 今度は、邪魔させない!!
「『コール』!!」
魔法陣が三つ現れ、クリエメイトの皆さんがその中から出てきた。
「いつも隣に、九条カレンデース!」
「よっ…と。思いっきりいくぞー!」
「あまりはしゃぎすぎないでよ、カレン、陽子!」
青と赤、黄色、そして白い羽付きの派手な衣装のカレンさん。
緑の盾、鍔の丸い剣、そして騎士然とした格好の陽子さん。
紺色のフード付きローブを着た魔法使いの綾さん。
「皆さん、一気に攻めましょう!!」
クリエメイトの皆さんと、攻撃の準備を整える。
『コール』が発動できた今、状況はこっちが有利です!
アルシーヴは立ち上がると、私に『コール』を使わせたのが失策だったかのようにきっとこちらを睨んだ。
―――その時。
「……これ以上はおやめください、アルシーヴ様!」
「フェンネルさん!?」
「フェンネル―――」
私達とアルシーヴの間にフェンネルさんが割って入ってきて…
「申し訳ございません、アルシーヴ様……これ以上はお身体が持ちません!
私の役目はアルシーヴ様をお守りすること。叱責は覚悟の上です。
ここは、どうか退いてください!」
「お前―――」
「待って!」
―――あっという間に、アルシーヴと一緒に転移されてしまった。
ナットさんと戦って、ドリアーテと戦って、私とも戦ったのに、まだそんな力が残っていたなんて………
その後マッチの説明で、私がフェンネルさんの石化魔法に囚われて、ランプがハッタリをかました次の瞬間まで石像に囚われていたことが解りました。そして……珠輝さん達が無事に元の世界に帰ることが出来たことも。
「あ、あの、ランプ…? もし私がピンチになっても、自爆とかしちゃ、ダメだよ…?」
「えっ!? だ、大丈夫ですって! そもそも使えませんからね!自爆魔法なんて!!」
「なら、良いんだけど……ハッタリなんて、よくできたね?」
「え、ええっと…ローリエ先生のお陰、なのかな…?」
ランプのハッタリや、その後放った謎の光について話しながら、私達はもう通れるようになった頂上への道を歩み始めます。
神殿は、もうすぐそこです。
◇◆◇◆◇
―――きららとアルシーヴの戦いが一種の決着を迎えていたその頃。
とある森の中で、盛大に大暴れをしている者がいた。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおのォォォォォォォォォれエエエエエエエエエエ!!!
おのれ召喚士! おのれ大地の神兵!! おのれ八賢者!!!
私の目的を邪魔する害虫どもがアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
その者は、普段美しい顔をおぞましいほどの憤怒に歪めて、八つ当たりのように―――否、実際に八つ当たりである―――森の木々に火を放ちまくっていた。
放たれた炎は、彼女の怒りを顕現するかのように、轟々と燃え盛り、あらゆる木を灰に変えていく。
彼女の名は―――ドリアーテ。
先ほどまで、召喚士きらら・八賢者フェンネル&ローリエ・大地の神兵ナットと大乱戦を繰り広げていた、『不燃の魂術』の使い手だ。
彼女は本来、ナットの姪・エイダを人質に、ナットに召喚士と賢者の始末を
だが……彼ら彼女らの策に見事に引っかかった結果……人質にも、召喚士にも賢者にも、神兵にも逃げられてしまうという大失態を犯した。
無論、ドリアーテがこんな失態、許せるわけがない。
その結果が―――この大規模な山火事である。
傍から見ている人間からすれば、彼女の行動は感情の赴くままに癇癪を起しているように見えるだろう。
だが、表に出している怒りとは裏腹に、彼女の中には冷徹で狡猾な悪鬼が潜んでいる。そいつが、激情に流されることは、無い。
「な、なんだこの山火事は―――」
「おい、すげえ勢いで―――」
現に、山火事の様子を見に来た村人の男性二人を、視界に入るやいなや高圧の火炎で斬首したのだ。
哀れな
山火事の主であるドリアーテは、村人をなんの躊躇いもなく焼き殺したのだ。
だがそれは、怒りに呑まれた故の暴走による、もらい事故などではない。ドリアーテの「目撃者は一人たりとも生かしてはおかない」という冷静な打算の末に行われた。つまり、ドリアーテは村人を見つけると彼女自身の意志で村人たちに最大限の殺意のもとに攻撃を行ったのである。
どさり、と力なく頭なしの死体が二つ転がる。
それでほんの少しは怒りが収まったのか、ドリアーテは肩でため息をつくと、
「57号!!!」
「こちらに」
番号を呼ぶ。すると、ドリアーテのそばに、とある少年が現れた。
少年の出で立ちは、一言で言うなら「執事見習いの美少年」。
白のワイシャツと黒の燕尾服が見事なモノクロファッションとなっている。真紅の髪とネクタイもまた良いアクセントとなって執事服にピッタリとマッチしていた。
だが、その容姿を手放しに褒められるかと言えば……断じて否だ。何故なら、その少年の表情が―――どう見ても、人間のそれではないからだ。
異形ということではない。むしろ、世が世なら『あざとさ7割カッコよさ3割』等と謳われ持て囃されるレベルの美少年だ。しかし………本来人間が持つべき、「温かみのある表情」と呼ぶべきものが一切ない。
瞳は墨汁を垂らすどころか墨の海に漬け込んだのではというレベルで昏く、表情筋が石化でもしたかのように口元や眉が一切動いていない。
異常な程に「人間らしさ」が削ぎ落とされた少年を、まともな人間が同じ「人間」と判断できるだろうか?
―――いや! こんな機械のような
「……命令だ57号。私に歯向かう者達を、皆殺しにしろ!!」
「…はい」
ドリアーテの命令に最小限の返事を返すと、少年はひとっ跳びで姿を消した。
ドリアーテはほくそ笑む。
あれは最も使えるコマだ。反抗する事も、裏切ることもない。しかも、自分の意志を最大限に叶えてくれる。オマケに実力は折り紙付きだ。
「(……57号なら、必ずや私の命令をこなしてくれるだろう……!!)」
ドリアーテは、そう信じて疑っていなかった。
「…ドリアーテ様は絶対。ドリアーテ様の言うことは全て正しい。必ず『命令』は実行する……!」
そんな横暴な主人に指示された真紅の少年は、濁り切った目や抜け落ちたような表情を変えることなく、機械的にそう呟きながら言ノ葉の樹の登り道を歩いて行った。
キャラクター紹介&解説
きらら&アルシーヴ
拙作ではソルト戦後の山道でダークマター祭りをされなかったので実はここが初戦となる主人公&1部ラスボス。しかし、アルシーヴの『オーダー』の反動は大きく、原作とは誤差の範疇でしか差がない。具体的に言うと、寿命が数か月伸びたかな?って程度。
フェンネル
アルシーヴの盾たらんとしてアルシーヴの戦いを中断させた八賢者。アルシーヴの身体のみを鑑みて割り込んでいくほどの、原作と変わらぬ忠誠心を再現した。
ドリアーテ
誰も葬れなかった怒りを戦場で発散する『不燃の魂術』使いの黒幕。ナットの人質作戦も不発に終わったため、奥の手たる「最も信頼できる部下」の動員を決断したようだ。
57号と呼ばれた少年
ドリアーテが最も信頼している部下の少年。見目は美しいようだが、表情が完全に死んでいるようだ。彼の正体とは一体……?
村人A・B
山火事かと思い消火活動をしようとしてドリアーテの八つ当たり現場を見てしまったために、あっという間に殺されてしまった哀れな人たち。モブではあるが、拙作の中で過去一番に登場シーンが少ない。
言ノ葉の樹内の火事
『オーダー』の影響が治まった後に発生。それなりの規模になったが、あまり延焼はしなかったために樹のダメージは比較的少ない。ただし、焼け跡から二人の死体が見つかったことから、消火は容易ではなかったことが伺える。
△▼△▼△▼
ハッカ「遂に我が出番なり。刮目せよ」
ローリエ「待ったハッカちゃん。アルシーヴちゃんも帰ったばっかでクタクタだし、俺に至ってはまだ墓地で修行中だ」
ハッカ「墓地で修行……? 珍妙な画なり。経緯は如何に?」
ローリエ「次回予告で話してる時間ねーだろ。帰ってきたらその辺はしっかり話すさ。それと……」
ハッカ「ローリエ、心配無用。」
ローリエ「………そうか?」
次回『ハッカ始動』
ハッカ「次回、乞うご期待。」
▲▽▲▽▲▽
あとがき
遂に配信された第2部、やってみましたが期待半分不安半分の気分は収まりません。新たな展開は楽しみではありますが、クリエメイト達がどこまで苦しむのかが不安です。別にこれは悪いことではありません。現に、ローリエ参戦の第2部を色々と断片的に考えていますから。ただ、今は第1部を完結させることに専念させてほしいってだけで。
とりあえず、以下の台詞をちょっと見てほしい。
①伊御「俺とつみきの絆はっ――誰にも…引き裂けない!!」
②ローリエ「誰にモノを言っているのかね? 私は木月。日ノ本の大総統……」
③きらら「コン○ームがなかったら死人が出ていたかもしれません…」
さ、これらの一言からくる展開を想像してみよう。
きららファンタジアに登場する作品群の中の、次の作品の中で、最も皆様が好きな作品は?(決戦投票編)
-
がっこうぐらし!
-
きんいろモザイク
-
夢喰いメリー
-
ゆるキャン△
-
まちカドまぞく