転生者が奇妙な日記を書くのは間違ってるだろうか   作:柚子檸檬

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恥パが映像化してくれると嬉しい
映画でもOVAでもいいから



九頁目

 -月~日

 

 遠征に参加させて貰うために直接挨拶しにいった。

 よそ者なだけに奇異の目で見られたが、これは仕方ないだろう。

 団長の『勇者(ブレイバー)』ことディムナさんは背丈こそ俺と同じくらいだけど、このオラリオでNo.2の実力者だし、大手のファミリアをまとめ上げる傑物だ。

 無論敬意を持って接した。

 とりあえずその場にいた団員達一人一人に挨拶回りをした。

 友好的に接する人、興味無さそうに生返事をする人、よそ者だからと警戒する人、無関心で無視する人と反応は様々だった。

 

 何故か同い年くらいのエルフの少女に因縁をつけられた。

 意味が分からない。

 エルフが気難しい一族とはいえ、初対面でいきなり因縁をつけられるほど俺は敵意を持たれる体質だっただろうか。

 何かブロマイド屋で会ったとかなんとか。

 日記の前の方見返したらやかましいエルフに絡まれたって書いてあってちょっと思い出した。

 サングラスとマスクしてて人相は分からなかったし、俺が買ったやつを譲ってくれとかだったと思うし、俺は別に悪くないと思うんだ。

 とはいえ『ジェイル・ハウス・ロック』で混乱させたのはちょっとやり過ぎだったかなって思ったり。

 和解の印としてもう使わないからと言って『剣姫』のブロマイドを渡そうとしたら「何に使ったっていうんですか!?」と再度激怒。

 顔を覚える以外に何に使うんですかねって返したら顔真っ赤にしてた。

 これに関しては俺は何も悪くないと思うんだ。

 第一DTで死んだからといって、13歳の子どもをそんな目で見る程節操無しじゃあ無いんだよ。

 

 そういえば結局ブロマイド渡してなかったな。

 

 遠征に関しては2~3日を予定していて、自分用の食料だけ用意してくれればいいそうだ。

 こういう時『エニグマ』って便利。

 

 リオンさんに報告しに行ったら17階層までに出現するモンスターの種類や行動パターン、注意点、弱点などが細かく書かれた紙束を渡された。

 遠征の日までに覚えとけって事だよな。

 頭がパンクしないか心配。

 

 

 -月;日

 

 遠征当日、リオンさんにココ・ジャンボを預けてから向かった。

 別れ際にリオンさんからバスケットを貰った。

 中には謎の物体Xが入っていた。

 これは何かの罰ゲームでしょうか?

 後で謎の物体Xは食材だった頃の姿に戻しておいた。

 

 遠征は参加者が一塊になって行動するかと思ったが、いくつかの班に分かれるようだった。

 それぞれの班は4~5名で、それをレベル3以上の冒険者が引率するという形になっている。

 良かった点は引率がラウルさんだった事。

 悪かった点は耳年魔エルフが同じ班だった事。

 あいつの顔を見た時、思わず『マジか』と思った。

 

 俺以外の班員は 

 

 レフィーヤ・ウィリディス(耳年魔エルフ) レベル2

 リーネ・アルシェ(三つ編みツインテの眼鏡少女)  レベル1

 リチャード・ファランス(鎧を着こんだ茶髪の男性で槍と盾持ち) レベル1

 

 内二人は同じレベル1とはいえ二人とも一年以上冒険者をやっていて俺よりキャリアは上だ。

 あのエルフがレベル2なのはちょっとアレだが、それはまぁいいか。

 妬んでも俺のレベルが上がるわけじゃあ無い。

 

 アルシェさんは「頑張りましょうね」と友好的に接してくれてリチャードさんは「足を引っ張るなよ」と俺をあまり戦力と思っていないようだった。

 ウィリディスに関しては俺とチームを組むのがいかにも不服だと言わんばかりの態度で言葉を交わす以前の問題だった。

 

 ラウルさんフォロープリーズ。

 

 ダンジョンは9階層までは特に問題なく踏破。

 問題は無かったが10階層からはまた出現モンスターが一新するし、ダンジョンギミックも追加されるので10階層の入り口付近でしばらく休息を取る。

 勿論『エアロスミス』による周囲の警戒は忘れない。

 一級冒険者なら30階層くらいは日帰りで行けるとか行けないとか。

 とんでもねえな。

 

 ダンジョン内は太陽の光が届かないせいで時間の経過がよく分からないな。

 休憩中に日記書いてるけど、現在が一日の終わりなのか、まだ余裕があるのか。

 ラウルさんは「体内時計でなんとかするっス」と言っていた。

 んな無茶な。

 

 9階層までの道のりである程度3名の戦闘スタイルは幾らか分かった。

 

 リチャードさんは見たまんま盾で攻撃を防いで槍で敵を突き刺す重装歩兵タイプ。

 盾や鎧が重いせいなのか少し動きが鈍い、それを補うためか長めの槍を使っている。将来は前衛(タンク)志望だと言っていた。

 勇敢な人だ。

 初対面での当りは強かったけど、悪い人じゃあなくて安心。

 

 アルシェさんはメイスで敵を撲殺する打撃タイプ。

 かと思いきやそれくらいしか攻撃手段が無いからそうしているだけのように見られる。本人も後方支援の方が自分に合ってるんじゃあないかと言っていた。

 ソロアタックならともかくパーティアタックなら道具とかを使った後方支援も大事よ。 

 

 ウィリディスは魔法を使うガッチガチの後方支援タイプ。

 殲滅力ならシャリアさんの方が上だが単純な威力ならウィリディスの方が上のように思える、でも後ろからいきなり光の矢が飛んでくるから心臓に悪い。

 それと大きなお世話かもしれないけど、ターン制じゃあ無いんだから詠唱が長いのに詠唱の際に足を止めるのは危ないと思う。

 

 そういえば10階層から天然武器(ネイチャー・ウェポン)を使うモンスターが出るそうだ。

 オークやシルバーバックのようなパワーのあるモンスターが持ってたらさぞメンドクセーだろうな。

 

 

 

 -月#日

 

 遠征  終了

 

 到達階層  12階層

 

 

 

 

 

 -月¥日

 

 昨日は疲労と手と腕の痛みで全然書けなかったから昨日の分まで書く事にする。

 10階層と11階層は何も問題なく踏破は出来た。

 霧で視界が悪くなると波紋の探知が必須になるし、シルバーバックのパワーは相変わらず侮れないし、新モンスターのハードアーマードとかいうアルマジロモンスターは丸まられるとキラーアントよりも頑丈で厄介極まりない。

 『まるくなる』からの『ころがる』はやめろ。

 

 それで先行してた前髪ぱっつんの人のチームが負傷者連れて帰ってきたと思ったら、やってきたのは12階層のレアモンスターにしてボスモンスターのインファント・ドラゴンだった。

 レベル1の冒険者じゃあ束になっても勝てず、レベル2の冒険者数人がパーティを組んでやっと討伐出来るレベル。

 しかもインファント・ドラゴンは赤い筈なのに、こいつは青い。

 まさか強化種か?

 であればレベル3でもキツいかもしれない。

 突然過ぎて逃げるという選択肢は無かった。

 

 ウィリディスが魔法を撃つから時間を稼いでくれというからラウルさんをウィリディスの護衛に付けて俺達レベル1が3人、時間稼ぎをする事となった。

 レベル2の魔法でどうにかなるもんなんかと思ったが、出来るっていうんならやって貰おう。

 無理ならパワータイプのスタンドでどうにかすればいい。

 

 竜種だから当然だろうけど、思った以上にデカいし、思った以上に硬い。

 圧倒的破壊力を前にリチャードさんもアルシェさんも歯が立たずにやられていく。

 

 俺はここが踏ん張りどころだと全身に気合を入れた。

 勿論恐怖はあった、けれど、俺がここでやられれば前線が完全に瓦解する。

 最悪スタンドを使ってでも押しとどめるとインファント・ドラゴンに立ち向かった。

 『幻影の血(ファントム・ブラッド)』が発動しているからだろうか、インファント・ドラゴンに俺の一撃が重く入る。

 連続で最強の波紋『山吹色の波紋疾走(サンライトイエロー・オーバードライブ)』を叩き込んだ。

 割と無我夢中だったから同じ事やって見せてと言われたら断ると思う。

 

 途中でリチャードさんがインファント・ドラゴンの攻撃を受けてくれたのもあってか攻撃のみに集中する事が出来た。

 それにしても、まさか目を覚ましたアルシェさんがインファント・ドラゴンの目に落ちてた剣を突き刺すとは思わなかったな。

 

 そしてトドメはウィリディスの魔法。

 強力な吹雪でインファント・ドラゴンはあっという間に氷像と化した。

 成程、発動までに時間がかかるわけだ。

 俺が全力で『ホワイト・アルバム』を使ってもあのレベルはまだ無理だろう。

 

 リチャードさんはインファント・ドラゴンの攻撃を無理に受けた事で腕の骨が折れた。

 アルシェさんはインファント・ドラゴンの目を突き刺した際に反撃を喰らって気絶。

 ウィリディスは限界ギリギリまで魔法を使った事によるマインドゼロで気絶。

 俺はアドレナリンが出てたせいで気が付かなかったが、手の甲が裂けて血が流れてたし、両腕にも罅が入ってるっぽかった。

 

 それで俺達ラウルチームは遠征が続行不可能となって12階層から引き返した。

 インファント・ドラゴンの氷像は破壊する余力が無いからと少々勿体ない気もするが置いてった。

 今思えば『エニグマ』で回収しても良かったかもしれない、けれどあの大きさの氷像を回収できるんだろうか(自動車一台くらいなら紙に出来るみたいだけど)。

 

 10階層で休息を取った後は全力で外へ出た。

 因みに休息の最中に『ザ・キュアー』で疲労を軽く吸い取ったからか回復は早く終わった。

 

 宿に帰って俺も『ザ・キュアー』で簡単に治療した後、そういえばココ・ジャンボをリオンさんに預けたままだったと思い出してそのままダウン。

 

 ここまでが昨日までの出来事。

 

 ここからが今日の出来事。

 

 リオンさんからココ・ジャンボを引き取った後、お姉さんに今回の遠征であった事を拠点で話した。

 世にも珍しいインファント・ドラゴンの強化種とカチ合ったのには勿論驚いていたし心配された。

 まあ、あのまま殴り続けて倒せるとは限らなかったしね。

 あの絶対氷結魔法(エターナル・フォース・ブリザード)が無かったらスタンド使っても一苦労の強さだったであろうし。 

 

 こりゃ『ステイタス』も結構上がったんじゃね? と期待して更新をして貰ったらランクアップ可能になってた。

 

 マジか。

 

 因みにその時の数値がこれ。

 

  力:A803

 耐久:B749

 器用:A893

 敏捷:A877

 魔力:I0

 

 めっちゃんこ上がった。

 おまけにランクアップ。

 そういえば最短記録が『剣姫』の一年だけど、これって記録更新か?

 

 でもここまで来たら魔力以外はオールカンストさせてからランクアップさせたいから保留にして貰った。

 なんでもランクアップしたら基本アビリティは全部0に戻るが、前のレベル時の基本アビリティは隠しステイタスとしてちゃんと残ってるらしい。

 ならカンストさせた方がお得。

 お姉さんは出来れば神会(デナトゥス)とやらに合わせてランクアップして欲しいと言っていた。

 善処はします。

 

 遠征の件の挨拶でハムの詰め合わせを持って『ロキ・ファミリア』に行ったらリチャードさんとアルシェさん、そしてウィリディスがランクアップしたと聞いて祝った。

 ロキさんに「ジョジョはランクアップしてへんの?」と聞かれたから「カンストしたいからまだしてない」と答えた。

 

 ウィリディスとも少し話した。

 向こうも冷静になってちょっと言い過ぎたと反省していた。

 そして『剣姫』の凄さをこれでもかというくらい聞かされた。 

 聞かされて、そういえば俺はリオンさんの戦闘面での凄さがイマイチ分かっていないと気が付いた。

 魔法を使っているのを見た事無いし、これだっていう必殺技も見た事無い。

 動きが速いのならその気になれば影分身やそれを応用した必殺技を取得してるかもしれない。

 今度それとなく聞いてみるか。

 

 和解の印にと今度こそ『剣姫』のブロマイドを渡した。

 レズなだけで悪いやつでは無かったようだ。

 同性愛については主義主張は当人の勝手なのでとやかく言うつもりは無いけど、理解も共感も出来ない。

 将来的にスカーレット夫人みたいにならないかちょっと心配である。

 

 -月=日

 

 俺がカンストするまでランクアップしない旨をリオンさんに言ったら「変わっている」と言われた。

 レベル1の冒険者達は割と焦ってランクアップしたがる人が多くて、俺みたいにのんびりカンストまで上げようとするのはマイノリティだと言っていた。

 別にリオンさんは一般論を言っただけで俺を責めてるわけでも急かしてるわけでも無いんだろうけど。

 ただ、記録更新で他の神々や冒険者から色んな意味で目を付けられるのを覚悟しておくようにと真剣な目で言われた。

 

 神に目をつけられてとんでもない事になった例といえば女神ヘラに狂わされて自分の子どもを殺したヘラクレス、女神イシュタルをフったら神獣グガランナを差し向けられた挙句、退治したら唯一の友人(エルキドゥ)を喪ったギルガメッシュ王、後人間じゃあ無いけど女神アテナに憎まれて化け物にされた上、女神アテナが協力したペルセウスに討伐されたメドゥーサが思い浮かんだ。

 

 全員碌な目にあってねェな。

 それに確かオラリオに『イシュタル・ファミリア』はあった気がする。

 

 そうだ、ランクアップするのを5ヶ月くらいズラせばその他大勢に紛れるんじゃないかな。

  

 お姉さんは今後の動き方を色々と考えている様子。

 気にしなくていいと言われたけど気になるに決まってるでしょうが。

 そりゃ経営とか運営に関する詳しい知識があんまり無いからそっち方面で役に立てる事は基本無さそうだろうけどさ。

 

 一人でダンジョンに潜って9階層で戦ってみたけど、ランクアップ可能になったからといって特に何かが変わったように思えなかった。

 実際にランクアップしてみたら何かが変わるんだろうか。

 

 とりあえず、さっさとカンストさせるか。

 

 

 




ランクアップ保留にした場合って記録とかどうなるんだろ

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