転生者が奇妙な日記を書くのは間違ってるだろうか   作:柚子檸檬

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リアルで色々あって投稿遅れました
本当にすいません


十頁目

 ρ月〇日

 

 も~無理、俺のステータスはピクチリも動かない。

 手伝ってくれたラウルさんには悪いがこれ以上俺のステは上がらない。

 唯一器用だけがSに届いたけどカンストには至らず残念だ。

 もう少し下の方まで潜れば上がるかもしれないけど、レベル1のままでこの先に行くのは不安極まりない。

 

 お姉さんにもSが一つあるだけで十分凄いからもう諦めろと怒られた。

 悲しい。

 

 まだレベル1なのにこんなにアビリティの成長が停滞するもんだったのか。

 もしかしてさっさとランクアップする原因ってランクアップが可能になったらもうアビリティに変動がないからなのか?

 それが分かっただけでも収穫だと思えば少しは慰めに……ならないな。

 間接的に『お前は英雄の器じゃあない』とか言われてる気分。

 別に英雄志望じゃあないけどさ、憧れるくらいいいじゃん。

 

 とはいえランクアップするにしてもどうしたものか。

 

 『剣姫』の記録を塗り替えてしまったわけだが、このままランクアップしてロキさんに臍を曲げられたら敵わない。

 ラウルさんは「流石にそれは……無いとも言い切れないっスね。アイズさんはお気に入りっスし」と苦笑いしていた。

 

 しかしお姉さんは「ロキは臍は曲げても約束は守る方ですから問題ありません」と暗に気にするなという意味を込めて言っていた。

 お姉さんの方が付き合いは長そうだし、仮にそうなったらなったでその時に対処法を考えればいいか。

 

 そうしてランクアップしようとしたわけだが、お姉さんに発展アビリティを選べと言われた。

 発展アビリティはランクアップ時に会得できるボーナスアビリティみたいなもんで本人が何をどれだけ頑張ったかがによって発現するアビリティが変わるらしい。

 とはいえランクアップ時に必ず発現するわけでも無いから本当にボーナスだ。

 昔、ボーナスが支払われないとか問題になってたな。

 

 特に『耐異常』は発現してたらとりあえず取っとけくらい冒険では必須アビリティだそうだが、今回は発現しなかった。

 

 俺に発現した発展アビリティは『狩人』、『拳打』、『治癒』の3つ。

 この中のどれか一つしか選べないのだ。

 

 このケチンボがァ――――ッ!!

 

 この中だと『狩人』が一番レアでこれから強くなるのに手っ取り早く、お姉さんとリオンさんもこっちを勧めていた。

 一度でも勝利したモンスターと戦闘する際にステイタスが上昇する効果があるそうだ。

 

 ぶっちゃけ、『狩人』一択じゃねえの?

 でも、拳での攻撃で補正がかかる『拳打』も捨てがたいような気がしてきた。

 『治癒』は波紋での治療効果が上がりそうだな。

 もう全部取らせてくれよ。

 

 そういえばスタンドとの相性はどうなんだろう。

 『拳打』はスタンドの攻撃でも補正が乗るかどうかが微妙だ。

 『治癒』は『ゴールド・エクスペリエンス』みたいな回復が出来るスタンドと相性が良さそうかもしれない。

 

 丸一日考えた末に『狩人』に決定した。

 これが一番広義的に補正がかかるだろうし、安牌だと思う。

 

 『逃走』とか発現したら『耐異常』の次に取ろう。

 

 明日にでもギルドに報告しに行こうか。

 

 

 ρ月×日

 

 ランクアップの事をティフィさんに報告したらめっちゃ驚いていた。

 正直、俺も驚いてるよ。

 

 ランクアップして装い新たになったザ・ニュージョジョがどんなもんなのか試すべく、軽くダンジョンに潜った。

 ラウルさんは用事があって来れなかったのは残念だ。どんなもんなのか見て欲しかったのに。

 違和感というか認識のズレというか、一致していないのが気味悪い。

 『自分の身体はこんなに動けたっけ?』と思わず口に出してしまう程に俺の身体能力は上がっていた。

 レベルが一つ違うだけでこうも違うものなのか。

 ネイルと同化したピッコロさんの気持ちが分かった気がする。

 明日にでもリオンさんにこのズレの解消方法を聞いてみよう。

 

 ダンジョンでモンスターを倒してたらシャリアさんが3人くらい連れてるのを見かけたので声を掛けてみた。

 団長業務に復帰したとは聞いていたけど、今は新人の教育をしているらしい。

 雑談もそこそこに邪魔になるといけないからと俺はその場を離れた。

 調子を見るだけだったし、戦果はいつもより少ない。

 

 ダンジョンの帰りの途中でにリチャードさん、アルシェさん、ウィリディスの元ラウルチームにバッタリ遭ってリチャードさんがレベルアップ記念に盾を新調して素寒貧になったとかウィリディスが『剣姫』の活躍を語ったりとか、アルシェさんは「どんな二つ名がつくのか楽しみですね」とか言ってた。

 

 何でもレベル2になった冒険者は定期的に行われる神々の集会『神会(デナトゥス)』で二つ名が与えられるらしい。

 一体どんななんだろうか。きっと神聖な儀式で決まるのかもしれないな。

 でもたまに変な二つ名あるよな。

 ラウルさんの『超凡夫(ハイ・ノービス)』とか褒めてんのか馬鹿にしてんのか分からないし。

 変な二つ名ついたら嫌だな。

 グリニデみたいに自分でつけたらダメ?

 

 とりあえずまともな二つ名がつく事を祈りながら眠りにつこう。

 

 

 ρ月☆日

 

 神会(デナトゥス)の当日、お姉さんはまるで戦地に赴く女騎士のような顔つきで出て行った。

 神々が一堂に集まるんだし駆け引きとか情報収集とか色々あるんだろうな。

 今日はリオンさんの仕事が休みだったから、午前中はひたすら特訓だった。

 ズレや違和感が無くなりランクアップした肉体が馴染むまで特訓あるのみというのがリオンさんの言葉だ。

 おかげでズレは無くなった。

 相変わらず容赦が無い人だった。

 

 午後は連れて行きたいところがあるからダンジョンの5階層辺りで待ってて欲しいと言われたから適当にブラつきながら待ってたらリオンさんが深緑色のローブで顔を隠してやってきた。

 いつもと服装が違うせいで一瞬誰か分からなかった。

 これがこの人の戦闘服なのか。

 ローブで隠してるけどシャリアさんと比べると露出度が結構高い。 

 

 連れて行きたいところがあるのに何故ダンジョンなのかと聞いたら俺を18階層に連れて行きたいらしい。

 18階層はダンジョン内で唯一モンスターがいない安全地帯だと聞いた事はあるし、それを利用して冒険者達が町を造ったって話も聞いた事がある(ただし物価がすごく高い)。

 何故18階層なのかと聞けば行けば分かるの一点張りでそれ以上答えてくれなかった。

 

 道中のモンスターはほぼリオンさんが倒してくれた。

 相変わらず強い。中層のモンスターがまるで相手になってない。

 途中でリオンさんが喉を潰したミノタウロスを『倒してみなさい』と言って戦ったりしたのはなんか一部の切り裂きジャック戦みたいでテンション上がった。

 ミノタウロスは強かった。

 喉が潰れたから咆哮は無かったけど、圧倒的なまでの力はやっかいだ。

 隙をついて脳天かち割ってようやく勝てたよ。

 

 ゴライアスはいなくて助かった。

 適正レベルは4か5だった気がするし、実際に戦う事になったら面倒だ。

 いつか戦う事になるもしれないが、それは今じゃあない。

 

 リオンさんが俺を連れて行きたかったのは森の奥にある先代達の墓だった。

 墓といっても墓石碑は無く、その代わりに持ち主のいなくなった武器が寂しそうに突き刺さっていた。

 なんでも先代達の好きだった場所らしい。リオンさんが近くに咲いてた花を墓に添えながら教えてくれた。

 リオンさんは一人で何度もここに墓参りに来ていたのだと思うと、何とも言えない気分になった。

 『アンダー・ワールド』で掘り起こせばもしかしたら先代達が楽しく語らっている光景を見る事が出来たかもしれないな。

 

 リオンさんは過去にあった色んな出来事をまるで独り言でも言っているかのように聞かせてくれた。

 その上でやはり自分は『アストレア・ファミリア』が好きなんだとも。

 

 人は生きていれば誰だって間違う事がある。

 それにどう向き合って生きていくのが大事なんだと思う。

 開き直って間違いを正当化し出したらそれは『吐き気を催す邪悪』だ。

 

 俺も『ゴールド・エクスペリエンス』で花を添えさせて貰った。

 墓参りにはそんなに詳しくないからバランスのいい配色で咲かせたけど、大丈夫だっただろうか。

 

 そしてリオンさんは先代が壊滅した原因である『厄災(ジャガーノート)』について教えてくれた。

 

 動きは素早く、紙装甲だが魔法が効かず、一撃一撃が必殺に値する。そしてそれにはモンスターの弱点である魔石が存在せず、どうやって出現するかどうかすら詳しく分かっていない。

 

 当時の『厄災(ジャガーノート)』との戦いはアリーゼさんが命と引き換えに魔法障壁を剥がしてリオンさんが倒したというのが結末だ。

 

 果たしてそいつにスタンドは効くのか?

 効けば楽だけど楽観視はしない方が良い。

 前例がないものを楽観視してはいけない。

 

 動きが速いなら初動が遅い『ザ・ハンド』はやめた方が良い。

 『クリーム』も狙いがつけられないからパス。

 『クラフト・ワーク』は当てられれば効果的かもしれんがどっちにしろローリスクでは済まない。

 

 ならば、絶対防御すらもぶち破るあのスタンドが必要になるかもしれないな。

 

 となれば早く黄金長方形を見つけられるようにならないと。

 

 その後は当時の先代達の事をよく教えてくれた。

 アリーゼさんが自分を勧誘してくれたことだったり、輝夜さんは頭が固くてよく意見がぶつかったり、ライラさんにはトランプとイカサマを教わったりと本当に色々だ。

 先代達との武勇伝を語っている時のリオンさんは本当に楽しそうだった。

 俺が止めなければ永遠に話し続けていられる程に。

 

 今日一日のおかげでリュー・リオンさんの事をまた一つ知る事が出来て、先代達の事を教えて貰えて、より『アストレア・ファミリア』をかつての――――否、それ以上のファミリアにしたいという気が強まった。

 

 帰り際に赤い髪の美女が手を振ってた。

 リオンさんはノーリアクションだし、幽霊かな?

 まあ、精霊がいるんだし幽霊くらいいるよね?

 精霊なんて見たことは無いけど。

 

 

 

 

 なんか今日は目が冴えて寝れない。

 

 

 ρ月□日

 

 俺の二つ名が『期待の新星(シューティング☆スター)』に決まった。

 なんで・じゃなくて☆なんだ。

 ☆の部分はどうやって発音するつもりだ。

 ちなみにリチャードさんは『装甲兵(ガードナー)』でアルシェさんが『眼鏡姫(シークレット・プリンセス)』と名付けられた。

 ウィリディスだけ新しい二つ名じゃあ無くて『千の妖精(サウザンド・エルフ)』のまま。

 お姉さんはまだマシな方だったと言ってた。

 神々のネーミングセンスって中学二年生(世界一バカな生き物)と同レベルだったりするのか?

 

 道行く冒険者達から『期待の新星(シューティング☆スター)』って呼ばれるのが恥ずかしい。

 いつか慣れるのを願う。

 

 後、レベル2に上がってラウルさんが俺の教育係から外れる事になった。

 駆け出し卒業の意味を込めての事だろう。

 ラウルさんには本当に世話になった。

 いつかこういう日が来るだろうとは思っていたけど、実際に来たら寂しいものだ。

 別に今生の別れになるわけじゃあ無いと言われたけど寂しいものは寂しい。

 だが、甘え続けるわけにはいかないのもまた事実。

 いつか一人立ちせんとなぁ。

 そしてそのいつかは今さ。

 

 新しい仲間欲しいな、一人で潜ってると寂しいというか孤独というか、誰かと一緒に潜って今日得た成果を分かち合いたいんだよな。

 即戦力だったりしたら嬉しいけど、別に即戦力じゃあ無くてもいいから。

 伸びしろがあれば文句ないから誰か入団して。

 

 

 ρ月□日

 

 拠点を移すことになった。

 元々あった『アストレア・ファミリア』の拠点である『星屑の庭』に引っ越すのだ。

 引っ越すと言っても安い宿屋を転々としていて荷物らしい荷物はほとんどココ・ジャンボの中にあるから楽なもんだ。

 嬉しかったのが、ギルドや近隣住民が管理していてくれたお陰で『星屑の庭』にそのまま入れる事だ。

 それでも大掃除はしたけど。

 『クレイジー・ダイヤモンド』でちょっと老朽化していた部分を直したり、『スター・プラチナ』の精密な動作で塵一つ残さず掃き掃除したりとスタンドを使う特訓にもなった。

 ランクアップのお陰で動作性能も大分上がっていて成長を実感できる。

 

 『星屑の庭』は十数人が住んでただけあってそれなりに広い。

 二人と一匹じゃあ広すぎるくらいだ。

 

 お姉さんは『ゼロに戻ってきた』と感慨深そうに壁や床を撫でていた。

 ここへの思い入れは一入だろう。

 

 お姉さんと出会ってからここまで来ただなんて昔の俺じゃあ想像も出来てなかっただろうな。

 だが、ここから先は俺一人だけが頑張ってもダメだっていうのは身に沁みて分かっている。

 

 とりあえずティフィさんにでも新人がいないかとか聞きに行くとしようか。




ジョジョのランクアップ前のステイタス

 Lv.1
  力:A803→A807
 耐久:B749→B753
 器用:A893→S904
 敏捷:A877→A880
 魔力:I0

《魔法》

《スキル》
幽波紋(スタンド)
・精神力を消費しスタンド名を口にすることで発動する。
・発動中は精神力を消費し続ける。
・自身の成長とともにスタンドも成長する。
・発動できるスタンドは一度につき一つのみ。他のスタンドを使用する際は使用中のスタンドを引っ込める必要がある。
・スタンドは一部の例外を除いてスタンド使いかその素質のある者以外は不可視。
・スタンドが受けたダメージは本体も受ける(ダメージを受けないタイプのスタンドもある)。
・スタンド使用中は獲得経験値エクセリア減少(スタンドによって減少値は変化)。

幻影の血(ファントム・ブラッド)
・逆境時に全アビリティ及び精神力に超高補正。
・戦闘時の相手の強さが自分より強い程効果上昇。
・自身の精神力が尽きるまで効果持続。

『   』






次回から別人視点に入ります。


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