転生者が奇妙な日記を書くのは間違ってるだろうか   作:柚子檸檬

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勝ったッ!ジョジョのオラリオ生活2年目開始!


十一頁目

 +月〇日

 

 新団員探しは現在、難航を極めている。

 

 ファミリアに入れてくれという連中はいるにはいるのだが、正直言うとあんまりいい印象はない。

 皆一様に『アストレア・ファミリアの正義』がどうたらと言っているのだが、『アトゥム神』使ってちょっと質問をして探ってみればあっという間にボロが出た。

 

 例:「君、別にアストレア様の正義に感銘とか受けてないよね?」

   「そ、そんな事無いですよー(Yes!Yes!Yes!)」

 

 蓋を開けてみれば『先代が遺した金で豪遊』だの『遺産を持ち逃げする』だの『上手い事やってファミリアを乗っ取って私物化する』だの碌な事考えてない連中ばかりで頭が痛くなりそうだ。

 有名になるっていい事ばかりじゃあないんだな

 おまけにそういう事考えている連中は直接お姉さんに入団を頼めばバレるからと基本的に俺を通そうとする。

 姑息な手を……。

 どっちにしろ面接はやるから最終的にはバレるんだよ。

 それに先代の遺産なんてお姉さんがオラリオを出る前にほとんど孤児院に寄付したから連中が豪遊できるような金額は残って無いのにね。

 真実を伝えたり、入団を拒否したら悪態ついて去っていくか逆上して殴りかかってくるかの二つで、それでもウチが良いって連中は皆無だった。

 どっちにしろそんな理不尽な理由で殴りかかってくるような連中はウチには要らねえや。

 

 かのナポレオンは『真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である』と言葉を残しているし、出来ればちゃんとした倫理観や強い向上心を持っている人物が良い。

 でも、そういうまともでいい志を持つ人材って『ロキ・ファミリア』みたいな大手に行っちゃうよな。

 おまけに『アストレア・ファミリア』は自警団のような事もやっててあくどい連中から恨みを買い易かったし、その結果一度瓦解してしまっているから元々冒険者になったばかりの新人が入り辛いんだろうか。

 

 この際、即戦力じゃなくていいからまともな人材来てくれ。

 

 

 +月△日

 

 こいつにだけはあんまり頼りたくなかったけど、『トト神』を使う時が来てしまったようだ。

 『トト神』は近い未来を予知する預言の書だ。

 それにボインゴが使っているのを見る限り、ある程度使用者の目的や意思を汲み取ってくれる節がある。

 もしかしたら新しい団員が入団してくるのを予知出来るかもしれない。

 問題があるとすれば予言は行為と結果が簡潔にしか描かれないために突拍子もないものだったり、結果を後出しで出してきたりで、『キング・クリムゾン』と併用して使う『エピタフ』と比べると使い辛いイメージがある。

 

 だが、使う。

 使わざるを得ない。

 『トト神』は悪行に関しては悉く失敗してるけど善行には成功してるから試してみる価値は大いにある。

 

 使ったら味のある(ヘッタクソな)絵でこんな予言が出てきた。

 

『ジョジョは散歩の途中に足の不自由なお婆さんをおぶって送って行ってあげました』

 

『良い事ってするもんだよね。お婆さんはお礼にお小遣いをくれました』

 

『そんなジョジョも空腹には勝てません。揚げ物の香ばしい匂いに負けて、ジョジョは貰ったお小遣いでたくさんのじゃが丸君を買いました』

 

『おおっと、目の前に飢えた女性が倒れているじゃあありませんか』

 

『優しいジョジョはそのじゃが丸君を分けてあげましたとさ』

 

『ジョジョは新しい団員獲得だーーーッ!』 

 

 ちょっと困惑したけど、原作の『トト神』もこんな感じだったかなと思いながら予言の通りに散歩をする事にした。

 

 そしたらまさに杖をついたお婆ちゃんが重そうな買い物袋を提げて歩いてきた。

 予言の通りだったと俺はすっとんでお婆ちゃんをおぶって、ついでに買い物袋も持って家まで送ってあげた。

 でも、これくらいなら予言無しでもやったかもしれない。

 

 家の前まで送ったら、これまた予言の通りにお婆ちゃんはお礼にとお小遣い1000ヴァリスをくれた。

 ここまで予言の通りだと何だか恐くなってくる。

 

 普段ならそんなに散財しない方なんだけど、予言もあるし、お婆さんをおぶったせいか腹も減っている。

 それに丁度じゃが丸君が揚がる良い匂いもしてきた。

 これなら予言が無くても俺はじゃが丸君に敗北するだろう。

 どれくらいの量が必要かが分からなかったから貰ったお小遣いで買えるだけじゃが丸君を買った。

 買っておいてなんだけど、いくら腹が減っててもこんなには食えないな。

 

 目の前に黒髪を束ねた派手な和装の女性が行き倒れてるのを見て『トト神』の予言は絶対で100%覆らないと思い知った。 

 

 『トト神』やべえ。

 なんか恐いからあんまり頻繁に使うのはやめておこう。

 あんまり予言に縛られても行動が制限されるだけかもしれないからね。

 

 刀を2本提げてるし極東の侍か何かだろうと思って、俺はじゃが丸君を差し出した。

 女侍は迷わずじゃが丸君に喰いついて俺に礼を言うや否やガツガツと食べ始めた。

 せっかく見た目美人なのにガサツだ。

 

 そういえば極東って前世でいうところの何時代なんだろうか?

 侍……というか武士が目立ち始めたのは平安時代の終わり頃のイメージだし。

 う~ん、分からん。

 

 俺が持ってたじゃが丸君を食いつくすと『ご馳走様。いや~危うく上半身と下半身がくっつくところだったわよ』とケラケラ笑って改めて礼を言った。

 それを言うなら『お腹と背中』な。

 なんでも彼女が所属していた『クスミ・ファミリア』が主神の結婚からの寿引退によって解散して困っていたところ、そういえば姉がオラリオのファミリアで副団長をしているからそこに転がり込もうと一念発起してオラリオまでやってきた。

 しかし、姉が所属しているファミリアの名前を忘れるわ路銀は尽きるわで二進も三進もいかない膠着状態に陥って、とうとう空腹で倒れたそうな。

 

 彼女の名前はゴジョウノ・伊織。

 彼女が探していた姉の名前をゴジョウノ・輝夜。

 

 俺は思わず彼女の手を引いて『星屑の庭』へと連れ帰った。

 これを天啓と言わずに何と言う。

 

 お姉さんは俺が連れてきた伊織さんを見て『輝夜!?』と驚いていた。

 姉妹なだけに似ているようだ。

 性格は姉の方と比べると若干緩いそうだけど、比較対象を知らないからよく分からん。

 

 伊織さんはお姉さんから姉の死を知って、顔にこそ出さなかったけどショックを受けているようだった。

 出奔してたとはいえ身内の死を知れば普通はそういう反応をするだろう。

 

 伊織さんは特に行く当ても無いし、姉が命を張って守ったファミリアに興味があると入団を希望。

 今までは正義がどうのと言ってる連中ばかりだったしこういう志望動機は新鮮だ。

 

 軽く面接して人柄にも問題なし。

 おまけにレベル2で即戦力と入団拒否する理由も無い。

 お姉さんは彼女をウチに入れる事に決めた。

 

 新しい団員入って嬉しい。

 俺より3つ4つ年上だけど俺の方が先輩でいいんだよね。

 

 ギルドへの登録は明日にしてリューさんにも顔見せに行った。

 リューさんもお姉さんと同じく驚いていた。

 彼女からすればまるで幽霊にでも出会ったような奇妙な遭遇だ。

 

 事情を話すとリューさんもどんな言葉を返せばいいか困っていた。

 何せ自分を庇って死んだ盟友の遺族だからな。

 一頻り考えた彼女は前に腰に提げていた二振りの小太刀を持ってきて伊織さんへ渡した。

 あの小太刀は輝夜さんが死に際にリューさんへ託したものだったそうだ。

 

 しかし、伊織さんはそれを拒否。

 託されたのはリューさんだからリューさんが持ってるべきだと主張。

 

 そしたらなんか遺品の押し付け合いが始まった。

 前にリューさんが輝夜さんとは意見の違いでよく衝突したって言ってたけど、妹の方とまでこうなるとは。

 草葉の陰にいる輝夜さんはこの光景を見て何を思うだろうか。

 俺は正直どうでもいいんで軽くつまめるものとお姉さんへのお土産をオーダーした。

 

 最終的にはミアおばさんの一喝で言い合いは強制終了。

 遺品の所有権の話はお流れになった。

 

 

 +月―日

 

 今日は伊織さんをギルドに登録しに行った。

 ティフィさんはまるで自分の事のように喜んでいたし、ダンジョンの講義にも力が入っているようだった。

 というかレベル1の駆け出しじゃなくてもこの講義って受けさせられるんだな。

 

 今日は様子を見ながら6階層くらいまで行ければいいかなって感じで進めた。

 俺は何かあった時に手を出す程度でそれ以外はサポーターに回るくらいでいいだろう。

 

 伊織さんは思っていた以上に強い。

 極東にいた頃にも人やモンスター(極東では妖怪と呼ぶらしい)との交戦は多かったようで手慣れている。

 二刀流で敵をバッタバッタと切り伏せる様はまるでかの剣豪宮本武蔵のようだった。

 スタンドを加味しなきゃ俺よりも強いかも。

 ダンジョンに潜らずランクアップした経験値は伊達じゃあないってわけね。

 

 流石にウォーシャドウは初めて見る敵だったようで驚いていたけど、少しずつ勝ち筋を探し出して切り裂いた。

 6階層までで俺の手出しが必要な場面はまるでない。

 この腕なら中層でも通用しそうだ。

 明日にでも伊織さん用に『火精霊の護布』を使った装備を買って中層に挑むのもいいかもしれない。

 

 だが、念には念をだ。

 明日、12階層までで様子を見てどんなものか判断しよう。

 最初の死線(ファーストライン)を跨ぐのはそれでも遅くないし、出来ればもう一人くらい新しい味方も欲しい。

 

 

 +月@日

 

 今日はちょっと予想外の事態が起きた。

 12階層付近で伊織さんがどの程度通用するかを見ていたら下からヘルハウンドが3匹も上がってきた。

 こいつと戦うのは俺も初めてだ。

 それにまだ伊織さんは『火精霊の護布』の装備を持っていないから俺が盾になろうとした。

 

 伊織さんの刀がヘルハウンドの炎を切り裂いていた。

 

 炎を使った妖術を使う敵との交戦経験もあったそうだ。

 それがモンスターなのか、それともヒトなのかは言わなかったが。

 ヘルハウンド3匹を片付けたらすぐに上に上がった。

 

 俺が初めて相対するモンスターをああもあっさり片付ける姿を見て俺は潜った修羅場の違いってやつを思い知った。

 冒険者歴一年もいってない俺とは年季が違うのだ。

 

 悔しかった。

 もっと強くなりたいと思った。

 

 伊織さんにそう言ったら笑われた。

 そりゃ3つも下の子に抜かされるほど軟な訓練はしてませんと言われた。

 悔しいと思える限りもっと強くなれると頭を撫でられた。

 ヘルハウンドを片付けた後、すぐ上に戻るって指示は悪くなかったと褒められた。

 

 なんだかあやされているようで恥ずかしい気分だった。

 

 結論、この人を引き入れたのはきっと間違いじゃあなかったと思う。

 

 

 +月?日

 

 今日も今日とてリューさんと特訓。

 「伊織さんもどうですか?」と問えば「け、見学だけ……」と返ってきた。

 レベル5相手の特訓だから戸惑うのも無理はない。

 後、俺がタカさんみたいに吹っ飛ぶのも助長しているかもしれない。

 なんかリューさん、今日に限って気合入ってる気がする。

 俺がレベル2に上がったばかりの頃もこんな風に気合入れて俺をぶっ飛ばしてた。

 痛いけど死ぬわけじゃあ無いし、耐久があがるから別にいいんだけど。

 

 自分でも疑問に思うけど、Mに目覚めたわけじゃあないよな……?

 

 そしてダンジョン探索は伊織さん用の装備を整えて13階層に突入した。

 無理せずちょっとずつ進む方針へとシフトする事に決めた。

 チキン戦法と罵られようが死ぬよりはいい。

 2回目があったからって3回目があるとは限らんのだよ。

 それにウチのメンバー俺も伊織さんも前衛職で被ってるし、本格的な後衛職が仲間になるまで大幅な前進は控えたい。

 

 贅沢言わないからウィリディスみたいな後衛職が欲しい。

 

 

 +月/日

 

 今日は儲かった。

 

 6階層に入ったところでポーションを分けてくれと和風の着物を着た少年(もしかしたら少女かも)に頼まれた。

 伊織さんと同じ極東の人間だろうか。

 向こうも同じ極東人ならと俺達に声を掛けて来たみたいだ。

 

 どうやらリーダーが仲間を庇って負傷したらしい。

 持ってきたポーションも無くなって、だから出来ればポーションを分けて欲しいとの事だ。

 

 残念な事にウチの資金が潤沢という訳じゃあないから見ず知らずの連中にポーションをポンと渡せるような余裕はない。

 だが、ここで見捨てれば後味の良くないものを残す。

 だから俺が直接治しに行った。

 伊織さんも同郷のよしみで反対はしなかった。

 

 極東の人達は『タケミカヅチ・ファミリア』の団員達で最近になってオラリオに拠点を構えたそうだ。

 

 タケミカヅチってもしかして武御雷の事?

 あの相撲で有名な?

 

 ダンジョンに来ているのは、以下3名

 負傷したリーダーの少年、カシマ・桜花。

 それを見てる少女、ヤマト・命。

 そして俺達を連れてきたヒタチ・千草。

 

 まだ拠点に何人かいるそうだ。

 こんなに仲間がいて羨ましい。

 

 腹の傷は深いが、臓器にまでは達していない。

 6階層で大きな切り傷とくればウォーシャドウに思いっきり切られたようだな。

 

 これくらいならと俺は傷口を軽く水で洗ってやってから波紋で痛みを和らげながら彼自身の自己治癒能力を促進してやって傷を塞いでやった。

 痛みを波紋で和らげるで思いついたけど、『ゴールド・エクスペリエンス』での治療や再生に伴う痛みを和らげることが出来るんじゃあないか?

 機会があったら試してみよう。

 

 『タケミカヅチ・ファミリア』は主神がアルバイトをするほど金が無いらしく稼ぐためにとメンバーたちが無理をした結果、このような事態になったのが事の顛末だそうだ。

 アルバイトをする神様ってウチだけじゃあなかったんだな。

 ウチは完全に趣味の範囲だけど。

 

 何か礼をしたいと言われ、疲れてるんだったらさっさと帰って休めと返したんだが、どうしてもというから、だったらとサポーターでもして貰う事にした。

 

 取り分は7:3。

 

 雑談してたら伊織さんがやんごとない身分の家の出だと判明して極東組3名が青ざめてたりと色々あったが、稼ぎの効率はサポーターが3人もいただけに今までとは段違いだった。

 

 稼ぎはなんと総額約50000ヴァリス。

 こっちの取り分だけでも35000ヴァリスだ。

 カシマからも『自分達だけではこんなに稼げなかった』と深く礼を言われた。

  

 後、カシマからひっそりと団長やる上でのコツ等のアドバイスを求められた。

 

 ゴメン、俺が知りたい。

 




 新しく入ったメンバーの簡単な人物紹介を載せておきます。

 名前:ゴジョウノ・伊織
 
 種族:人間
 
『クスミ・ファミリア』⇒『アストレア・ファミリア』
 
 Lv.2
 
 二つ名:なし
 
 《魔法》
 
 《スキル》
 『天眼』
 ・目的を達成するための最適解を探し出すスキル。
 ・戦闘時のみ効果発動。
 ・特定した手段以外の手法を取った場合、効果消失。
 
 備考:今は亡き副団長ゴジョウノ・輝夜の妹で姉と同じく現実主義だが、姉と比べると若干緩く感情的な部分がある。
 しかし極東にいた頃は襲ってきた妖怪や野盗を容赦無く切り捨てたりと命の遣り取りには非常にシビア。
 腰に提げてる二本の刀には特に銘はない。
 目的は『剣の道を究める事』で、『アストレア・ファミリア』を選んだのも小規模でしがらみが少ないからと理由が大きい。
 ジョジョについては子どもながらによくやってると好感を抱いていて団長代行の座を奪うつもりはない、というか役職とか面倒。
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