転生者が奇妙な日記を書くのは間違ってるだろうか   作:柚子檸檬

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こっそりと投稿


十四頁目

♪月&日

 

今回の三女神会談(ヘファイストスさんは女神の分類でいいのかは謎だが)での話し合いでは難航した。

ソーについてロキさんと、ヘファイストスさんとうちのホームで会談したんだが、やっぱりヘファイストスさんは男神ではなく女神になっている。

ロキさんが女神の時点でこのような事態は予想出来てたとはいえ、実際目にすると「ああ、女性なんだな」思ってしまう。

ちなみにアルテミスさんはまだ返事が返って来ないので、返事が来てからになりそうだ。

そしてソーのステイタスの異常についてなのだが、ロキさんもヘファイストスさんも最近に新しくファミリアに新入りを迎えたが、特に何か異常があるような事はなかったらしい。

つまり、現状でそうなってるのはソーだけになる。

 

つまりはそーいう事だ!

 

ロキさんはヤンチャしてた時代にかの雷神トールに散々煮え湯を飲まされたらしく、「あいつのイカつい顔は忘れたくても忘れられんわ!」と言っていた。

そんなロキさんは色々と考えた結果、「ソーとトールは似ても似つかないが、全く無関係とも言い難い」という結論を出した。

どうもロキさんの勘がそう言っているらしいが、よく分からん。

そしてヘファイストスさんにソーの武器を鑑定して貰ったのだが、流石にトールの雷鎚ミョルニルそのものではないようだ。

しかし、ヘファイストスさんは驚いていて、「この武器を作った人物にあってみたい」と言っていた。

何でも1割ほどとはいえ神器を再現しているというのに関心があるみたいだ。

果たして何をもって1割なのか。

 

分かった事はあっても肝心な事は何一つ分かってない。

 

果たしてソーは一体何なのか。

まさか神様でも創造しようとしたとか?

どちらにしろ俺がいくら予想したところで結局は予想の領域を出ない。

分からないなら分からないで新しい仲間であることに変わりはないし。

 

その後でまた3人でダンジョンに潜ったが、ソーがキラーアンドをぺしゃんこにしている様を見て、そういえば前世でコオロギ煎餅なる食い物があった事を思い出した。

あれは美味いんだろうか……。

そういえば蟻といえば女王蟻だけど、キラーアントって女王蟻的な存在っていたりするのかな?

モンスターは基本ダンジョンから産まれてるし、いないのかな?

いたらいたでクイーンランゴスタみたいなキショいの出てきそうな予感。

 

伊織さんはなんかキラーアントを練習台にして技を試していたりしてるし、俺も波紋でモンスターを操れたり出来ないかなとちょっと試してたら、キラーアントが一匹瀕死だったみたいで大量発生してしまい駆除が大変だった。

最近は俺たち3人がいるとなんか他の冒険者たちから避けられてるみたいでちょっと傷ついたけど、そのお陰で他に被害が出なかったようで助かった。

 

それにしても新必殺技かぁ……俺も何か考えようかなぁ……。

 

♪月&日

 

なんか新しい武器が欲しいとふと思い立ってヘファイストス・ファミリアの武器屋に足を運んだ。

伊織さんは素寒貧になった事もあってか、しばらく無駄遣いは禁止されているし、ソーは興味がないみたいだったので、俺一人だった。

ヘファイストスブランドの武器は高くて手が出せないが、まだブランドを背負える域に達していない団員が作った武器は格安(とはいえそれなりの値が付いている)で販売しているから割と買えるし、もしかしたら掘り出し物があるかもしれないんだよね。

それで中々良さ気なグリーブブーツがあった。

あったんだがキザ野郎が俺にほんのちび〜〜っと遅れて手を出してやがった。

向こうには譲り合いの精神のゆの字もなかったみたいで取り合いになった結果営業妨害で追い出されちまったな。

あのクリキントンだかヒルナンデスだか言うキザ野郎ぜってぇ許さん。

 

♪月+日

 

先日ソーについてから神の恩恵のシステムについての話になって、ふとこのシステムについて気になったことがあったのでお姉さんに聞いてみた。

 

『神の血によって力を与えて己の眷属にする』というのは分かったが、何故神自身に様々な誓約をつけて一般人と変わらないレベルにまで落とし込んだのか分からない。

神というのは差異はあれど身勝手なもんだし、もっと自分たちを上位的存在として人間たちを神パワーで管理する方向で人間界を発展させるという考えもあったんじゃないだろうか?

そういったのはジョジョにおける『人間讃歌』とはかけ離れてしまうから俺も好きじゃないけど、それはあくまで人間である俺の考えであって、神様側には関係ない。

 

そしてお姉さんの答えは「そういう考えを持つ神々もいたけど話し合いの結果無しになった」だった。

 

そもそも神々が下界に降りてきたのは大体が『暇潰し』とか『興味本位』とか『面白いもの見たさ』なので支配とか考えてる神様はあんまりいない、というかそういう連中は大体送還されてるらしい。

 

中々面白い話が聞けたとは思う。

 

♪月×日

 

リューさんと組み手(相変わらず俺が一方的にボコられてる)で休憩してる時に見学してたルノアさんが少しだけだが指導してくれた。

本当に少しだから『相手を殴る時は必要なら壊す勢いで』みたいなステゴロの喧嘩の心得だったり『呼吸は良くできているから後はもう少しコンパクトない動きを』みたいなちょっとしたアドバイスだったが中々参考になったな。

 

元々あの店にいる店員は大体只者じゃないなとか思ってたけど、やっぱり今は一線を退いてる元冒険者とかだったりするのかな?

まぁ、詳しく追求する勇気はないがね。

リューさんはどっちかというとスピード系魔法戦士タイプって感じでステゴロに関しては必要ならするってだけだから詳しい人に教えを請えるのならそれがベストだ。

 

ただ、ちっとばかしリューさんが眉間に皺を寄せてたのが気になった。

ジェラシーでも感じた?

んなわけねぇか。

 

それにしても店の近くにいると相変わらずクロエさんの目線が怖い。

流石にあれから襲ってくることこそないが、気を抜いたり不用意に二人きりになれば確実にヤられる。

 

五飛、教えてくれ。

俺は後、何回貞操の危機を経験すればいい?

リューさんは「二人きりにだけはならないように」としか言ってくれない。

チクショー、あの肉食系を超えた肉食系で特殊性癖持ちじゃあなかったら余裕でアリ立ったんだけどよォ〜。

仮に付き合っても大人になったら捨てられるかもしれんけどな。

 

♪月%日

 

お姉さんさんの神友の月の女神アルテミスから手紙が届いたのだが、手紙によると別件に釘付けになっていてオラリオの方には来れないそうだ。

お姉さんから聞いた話だと、アルテミス様とやらは外界のファミリアの中ではかなり強い冒険者を抱えていてオラリオ活動しても通用するクラスの上に、アルテミス様本人(神だけど)も前線で戦えるくらいの弓の腕前だそうだ。

 

タケミカヅチ様もかなり強いそうだけど、たまに神様パワー封印されてるのに素で強い神様いるよね。

 

アルテミス様の方でも特に『神の恩恵』に関して異常はないそうだったらしいが、特に目新しい情報もなかったのは残念だ。

『助けが欲しかったら呼んでくれ』的な事が書いてあったし、きっといい神様ではあるんだろうな。

お姉さん曰くお堅い性格ではあるけどかなりの美神らしいし一度会ってみたいもんだ。

 

その頃には今の『新生(ネオ)アストレア・ファミリア』をもっと強くしたい。

 

そのためにも新しい団員を増やしたい。

 

伊織さんもソーも強いんだけど役割的には前衛ばっかりで、また最初の死線(ファーストライン)に挑戦するならもう一人か二人、出来れば後方支援が出来る人が加入してくれると安定感増して助かるんだけどな。

 

レフィーヤみたいなのがその辺に転がってると助かるんだけどなぁ

 

♪月÷日

 

今日は『デメテル・ファミリア』に頼まれて農作業を手伝う事になった。

女神デメテルとお姉さんは神友で先代の頃から農作業を手伝って、その報酬で野菜を分けて貰ってたらしい。

そういえばリューさんが言ってたけど、遠征が失敗した時はその辺の草で飢えを凌いでた時期もあったって言ってたっけ。

世知辛いな、なんかあった時の為の節約や貯蓄は欠かさないようにしよう。

それと、出来れば何かしら他に金を稼ぐ手段でも考えておこうか。

 

女神デメテル様といえばギリシャ神話で地母神だの豊穣の女神だのとして有名だが、実際に会ってみたら流石は豊穣の女神というだけの事はあった。

何せその胸には大玉のメロンが二つも実ってるんだからな。

オオッ、ホントにでけえな! オオッ、ホントにでけえな!

 

同じ女の伊織さんも思わず「デカッ!?」と漏らしてしまい吹き出した。

ソーは無表情だったけど、全く反応しないというのも同じ男として奇妙だ。

その美貌と滲み出てくる母性や包容力も相まって俺を含めた大抵の男は骨抜きにされそうだというのに。

もしかしてここまでデカくて形がいいと返って芸術的で欲情しないのか?

 

農作業は村にいた時はよく手伝ってだから久しぶりで少し懐かしかった。

これがホームシックというやつか。

農作業は基礎体力をつけるのにいいとなんか前世の知識のどっかにあった気がするから意識して身体を使わないと。

とはいえ石拾いみたいな細々した作業には『ハーヴェスト』も併用させてもらったがね。

農作業に収穫の名を持つスタンドは中々様になっていると思うしこいつは指示を出せば勝手に動いてくれるから便利だ。

伊織さんも農業の経験があるのかスムーズにやっていて、ソーも怪力で重いものをせっせと運んでいる。

 

それにしても広い畑だ。

オラリオの食糧のほとんどは『デメテル・ファミリア』が生産したもので賄われてるという話を聞いたことがあるけど、これだけ広大な畑から年中稼働していればそれも可能なのかもしれない。

でもこれだけ広いといくら団員が多いとはいえ管理も手入れも大変だろう。

それに前世と違ってビニールハウスがあるわけでもないから嵐でも来たら一発で酷いことになるぞ。

おまけに畑は都市外にあるからモンスターにも狙われるだろうし、戦闘が専門じゃない団員たちだとモンスターの群れがやってきたら危険だろうが、その辺は『ガネーシャ・ファミリア』かいるから大した問題ないだろう。

それにここで生産される食糧は世界に向けても輸出しているから、吸収ならともかく滅ぼすのを目的として『デメテル・ファミリア』が他所のファミリアに狙われるというのはまず無さそうだ。

もし狙うとしたら、それは世界の破滅を望むような連中だろう。

 

ご馳走になった野菜は美味かったし、お土産に色々と大量に持たされてしまった。

酪農もしてるから牛乳やチーズもあってありがたい。

また頼んでくれないかなー?

 

畜産もやっているで思い出したが、馬だ。

まだ黄金長方形の回転は会得していないけど、将来的に会得出来るかもしれないし、移動手段としてあっても便利だしで手に入れて損はないような気がする。

 

でも、馬って何処で買えるんだ?

というか今の手持ちの金で買えるのか?

近いうちに調べてみようか。

 

♪月-日

 

見られた。

 

ラウルさんに見られた。

 

リューさんにディオっ飛びで吹っ飛ばされてるところをラウルさん達にガッツリ見られた。

 

恥ずかしい。

『無様に吹っ飛ばされていること』じゃあなくて『特訓している所が見られたこと』が恥ずかしい。

知らない顔もあったけどリチャードさんとかレフィーヤもいたから余計恥ずかしい。

しかもレフィーヤドン引きしてたわ。

女がしちゃいけない顔してたわ。

リューさんはちょっと気まずそうだった。

どうやらロキさんが飲み会やりたいから予約しに来たらしい。

 

ひとえに俺がまだまだなのが原因とはいえ、裏で頑張っているところを知り合いに見られるのって何でこんなに恥ずかしいんだろうな。

レベルが上がってからもう結構経つというのにあんまり成長している気がしない。

 

でもお姉さんが編んでくれた服が小さくなってきたから肉体的な成長はあるんだよなァ〜。

肉体の成長ってやつは何でこう自分では中々気がつけないもんなのかねェ。

 

でも待てよ、キツくなってきた上はともかく下の方なら前世にわざとつんつるてんになるズボンとかあったからこういうオシャレもあるんじゃあないか?

 

ふと思うんだが、レベルアップの条件も『偉業の達成』とかいうあやふやなのはどうにかするべきじゃなかったのかね。

ドラクエだって最初の街周辺でレベルアップは出来るというのに。

昔はレベル7も複数いたらしいしもっとレベル高い冒険者もいたらしいが、今となってはオラリオにいるのは『猛者』だけ。

それだけ『偉業達成』とやらも厳しくなってるからこそなんだろう

かつて最強だったゼウスとヘラのファミリアが消えて今が転換期ってやつなのか。

 

とりあえず上だけでも新調を考えておくか。

 

♪月☆日

 

意味のない出会いってやつはこの世には存在しないと思っている。

DIOじゃあないが、人と人との間にも何かしら引力というものが発生してそれが互いを引き寄せ合ってるという考えは面白い。

お姉さん、リューさん、伊織さんにソー。

これらの出会いは特に大きな意味があった。

今日の出会いもまた大きく意味を持った出会いってやつなんだろうなァ。

 

3人で気晴らしに新しい服を買いに行こうとしたら虫眼鏡を持った探偵みたいな変なのに絡まれた。

その変なやつは陽気な犬耳少女(胸小さいけど声高いから多分女)で「君らあの『アストレア・ファミリア』なんだろ!」とか言ってるカラ入団希望者なのかなァとか考えてたらスリ発生。

いつぞやのお小遣いをくれたお婆さんの荷物が奪われた。

老人を狙うとは卑劣ならやつだとだと『隠者の紫(ハーミット・パープル)』でゴロツキを捕まえようとしたらそれよりも早く探偵少女が動いた。

 

コンパクトなモーションで投げたのは───『鉄球』だッ!

 

コンパクトでありながらまるで弾丸のように一直線の軌道を描いた鉄球はゴロツキに直撃。

通常なら直撃して終わりな筈の鉄球は、ゴロツキの着ている服を巻き込んで拘束具のようにゴロツキを縛り上げてしまい、そのまま身動きが取れなくなってしまっていた。

 

───今のはまさか、『黄金長方形の回転』か?

 

いや、実物を見たことがあるわけじゃあないから確信はないんだが。

 

ゴロツキはそのまま巡回していた『ガネーシャ・ファミリア』の人に渡して終わったし、お婆さんの荷物も無事だったが、それにしても鮮やかな動きだった。

何よりも反応速度が俺たち3人よりも速い。

明らかに素人のソレじゃあないね

 

話を聞けばどうやら元々都市外にある別のファミリア(しかも国営のやつらしい)に所属していたみたいでオラリオで新しく活動したいから次のファミリアを探していだところに最近になって再起した正義のファミリアである俺たちに声をかけたということだそうだ。

正義のファミリアなら『ガネーシャ・ファミリア』でもいいような気がするんだが。

それこそさっきのゴロツキを引き渡す際に自分を売り込むとかよォ〜。

何かワケありか? 

どちらにしろそれでもウチがいいと言うのなら嬉しいし、こちらとしてもありがたいけどな。

鉄球についても気になるし、何より後方支援型っぽいからな。

 

これからよろしく、シャーロット。




鉄球に関しては力強さはジャイロ、鋭さはシャーロットってイメージです

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