転生者が奇妙な日記を書くのは間違ってるだろうか 作:柚子檸檬
見直してるはずなのに何故誤字が出るのか
☆月¥日
リオンさんはどうやらファミリア再興に反対しているようだ
まあ、それは仕方ない。
まだ12のガキに何が出来るんだって話だ。
誰だってそうする、俺だってその立場ならそうするかもしれない。
けど俺だってお姉さんの力になるって決めた以上何かを始める前から言われるまますごすご引き下がるって気にもなれない。
リオンさんには他のファミリアに入るように勧められてるけど、色々見て廻ってみた結果、やっぱり眷属になるのならお姉さん、女神アストレアがいい。
これはファミリアの規模とか待遇とかの問題じゃあ無い、俺自身がもうスタート地点をここにしたいって決めたからもう動きたくないって感じたんだ。
それでもリオンさんは反対している。
それに一回決めたら
別にいいですけど。
余程お姉さんに対して失望するような事があるか、お姉さんに見損なわれるかでも無ければ他のファミリアに移籍したいって気にはならないと思うし。
そしたらリオンさんに「そもそも『アストレア・ファミリア』は元々女性のみで構成されたファミリアです」と反対された。
そんな話聞いてないんですけど。
そもそもお姉さんは性別云々の事は一つも言ってなかったし、反対する理由が苦しくなってきてる気がするよ。
何さ、「リオンさんは『アストレア・ファミリア』嫌いだったん?」と遠回しに聞いてみたら「そんなわけないでしょう!」とキレられた。
リオンさんはあくまで『現実主義』なんだろうね。
現実を『理解』した上でそれでも再興を決意したお姉さんと、現実を『理解』したからこそ保守に回ったリオンさんで対立してしまった。
何か後ろ盾でもあれば話は違うかもしれんけど、何にも無いしねぇ。
流石に罵り合ったり手を出し合ったりの大喧嘩とまではいかなかったけど睨み合いの膠着状態が続いている。
俺はどうすればいいんだろうか。
俺が口を挟んでも進展にはつながらなかった。
おまけに団長呼ばわりは止めろと怒られた。
いいじゃあないのさ、先代団長と仲良かったって聞いたし、『死んだ親友の想いを受け継いで自分が』みたいな展開は割と好きよ。
リオンさんは仕事があるからと何も解決しないまま出て行ってしまった。
お姉さんは「リューもあれで優しい子なんですけどねぇ」と溜息をついていた。
不器用な人なんだろうなぁ、色々と。
午後は買い出しついでに外に出て今後のためにとギルドとダンジョンの場所を確認しに出かけてみた。
ダンジョンの場所はオラリオの中央にデンッと建っているバベルの下らしい。
当然だけどこれからダンジョンに潜る冒険者や無事帰還した冒険者でごった返していた。
ちょっと入ってみようかなと好奇心がうずいたけど、お姉さんに勝手は禁止されてるし、武器を持ってるとはいえダンジョンアタックの準備万端って訳でも無いので断念。
後、入り口付近をちょっと見てたらガラの悪いおっさんの冒険者に「ここはガキの遊び場じゃあねぇんだよッ!」と突き飛ばされた。
何かオラリオに来てから割と突き飛ばされる率が高い気がする。
この世は所詮弱肉強食、CCO様の言ってたことはこのオラリオでは大分当て嵌まりそうだ。
でも弱者を守ってこその強者だと思うけどね。
だってそっちの方が格好いいじゃあないか。
第一、俺だって遊びに来たんじゃあねえんだよとムカッとしたんで『ソフト&ウェット』で軽くスっ転ばせてその場から退散した。
次に七区って所にあるギルドに行った。
ここでも冒険者でごった返していた。
ある者は受付で冒険者登録をしたり、ある者は依頼を受けたり、あるものはダンジョンで手に入った魔石なりドロップアイテムを売ったりなど様々。
そういえば、モンスターを倒した後はモンスターから魔石というモンスターの核である石を抉り出すらしい。
モンスターとはいえ死体を切り開いたりするのはちょっと抵抗があるなぁ。
どうせなら倒したら硬貨とドロップアイテムだけ残して消滅してくれよ。
世の中都合のいい事だらけじゃあねえって事だな。
気分は冒険者な感じで中を見て廻ってたらギルド職員のお姉さんに「君どうしたの? 親御さんとはぐれちゃったのかな?」と声を掛けられた。
俺、もしかして迷子だと思われてる?
嘘だろ職員さん、俺もう12歳だぜ。
いやまあ年齢的には微妙なところか。
仕方ないから逃げた。
事情を説明するのが面倒だし、元々場所の確認が目的だったわけだし、ボロ出して無駄に情報が流出するのを防ぎたかったし。
そんでそのまま食材の買い出しをして帰宅。
キャベツと玉ねぎが安かった。
帰ってきてお姉さんの顔を見てふと気になった事を聞いてみる。
俺、いつになったら恩恵刻んで貰えるの?
もしかしたら心に決めた神と出会って恩恵を刻まれるまでに一年以上かかってるのって世界広しと言えど俺だけなんじゃあないかって思う。
催促するのも悪いかなって何も言わなかった俺も悪いんだろうけどさ。
お姉さんは「本当に私でいいんですね?」と念押しをしてくる。
答えは勿論Yes。
自分で言っておいてなんだけど、ファミリア再興で言い争ってるのはいいのかのと聞いてみたら、恩恵を刻むだけなら互いの了承さえあれば細かい手続きもギルドを通す必要も無いから別に問題はないそうだ。
そういえば能力値の事を『ステータス』じゃあ無くて『ステイタス』って言うんだよね。
だから何なんだって話だけど。
で、刻んで貰った結果がこれ。
―――――――――――――――――
ジョシュア・ジョースター
Lv.1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
《魔法》
《スキル》
『
・精神力を消費しスタンド名を口にすることで発動する。
・発動中は精神力を消費し続ける。
・自身の成長とともにスタンドも成長する。
・発動できるスタンドは一度につき一つのみ。他のスタンドを使用する際は使用中のスタンドを引っ込める必要がある。
・スタンドは一部の例外を除いてスタンド使いかその素質のある者以外は不可視。
・スタンドが受けたダメージは本体も受ける(ダメージを受けないタイプのスタンドもある)。
・スタンド使用中は獲得
―――――――――――――――――
分かっちゃいたけどスキルはチートのスタンドだけか。
波紋は技術だしね。
恩恵刻んで貰っていきなりスキルや魔法が発現する事自体が稀だからこれはしょうがない。
スタンドは結構制約があるし、説明文多いな。
スタンドの発動や維持コストみたいなのは村に住んでた頃に色々試してたからその辺は全部じゃあ無いけど把握している。
そして触れたくなかったけど最後の一文が余計だよッ!
獲得
『ステイタス』を書き写した紙渡した時、お姉さんが何か微妙な顔してんなと思ったらこれだよッ!
ズルは許しまへんでという何かの意思を感じる気がするぜ。
仕方ない、逆に考えるんだ『棚ぼたチートスキル何てこんなもんだ』と考えるんだ。
とりあえずメンタルリセットのために俺は寝る。
☆月*日
今日は何だか思ってたよりも早く目が覚めてしまった。
早く起きたはいいけどお姉さんはまだ寝てるし、他にすることも無いからと体力作りと新しい発見を兼ねて軽くジョギングでもする事にした。
『ステイタス』って筋トレするだけでも上がるのかなぁ。
時間が時間なだけに冒険者と思しき人は少なく、逆に食品の仕入れや店の開店準備に勤しんでいる人が目立って少し新鮮な光景だ。
途中で食材の仕入れに出てたらしいリオンさんと前に店に来た時に見かけた銀髪の店員さんに遭遇。
銀髪さんはシル・フローヴァって名前らしい。
優しくて人懐っこそうな性格してる。
リオンさんや他の店員さんと違って戦闘員って感じはしない。
しかし自分に分かる事だけが全てじゃあ無いし、この人も何かしらあるんだろうか。
IQ152くらいあるとか、千里先をも見通す目を持ってるとか、変身を何回か残しているとかね。
意外にもリオンさんは俺がお姉さんに恩恵を刻んで貰ったことに対しては何も言って来なかった。
聞いてみたら反対しているのはあくまでファミリア再興の方であって俺自身が眷属になる事に口出しするつもりはないとか。
「もっとも、最低限それに相応しくなって貰う必要はありますが」とも言われてしまった。
もっと強くなれって事だね。
俺が強くなればそれだけお姉さん守れるからね。
そして隣にいるシルさん(フローヴァさんって呼んだら何か嫌がられた)が「君がお店に来てからリューは最近とっても機嫌がいいんですよー」と楽しそうに笑って、隣のリオンさんが何かを勘違いして「なっ、違いますからね!?」と慌てながらと否定する。
これだけで上下関係が分かった。
「良かったらまた食べに来てね」という別れのあいさつの後、ジョギング再開したら、今度は前世でたまに見る光景に遭遇した。
紅い髪で糸目で……女性にしては胸が無いし、男性にしては小柄とはいえ少々華奢なせいか性別が分からない人物が路地裏で盛大に吐いていた。
二日酔いか何かだろうか。
前世で居酒屋のバイトしてたからこういう光景はよくあった。
こういうの見てていつも思うんだけどさ、吐くまで飲むなや、誰が掃除すると思ってるんだよッ!
さっさとその場を去ろうとしたら視界の端にでも捉えられたのか、「坊主、背中さすってくれへん?」と真っ青な顔で頼まれてしまった。
しょうがねーなぁ~と家で二日酔いの親父や近所のおっさんにしてやったように背中をさすりながら波紋を流してアルコールで狂った血流を正常に戻していく。
波紋は攻撃に使うだけじゃあ無くて傷を癒したり体調を整えたりするのにも使えるんだよね。
しかし、まだまだ未熟な俺じゃあちょいと時間がかかってしまう。
母さんならもっと早く上手く出来るんだけどね。
完全回復とまでいかないにしろいくらか調子が戻って機嫌が良くなったのか、糸目の人は礼を言って「あんがとなー。困ったことがあったら相談に乗るでー」とRPGとかでキーパーソンから良く聞きそうな台詞を言ってきた。
名前知らねえし何処に住んでるかもわからんしそんな事言われても。
でも糸目キャラって基本強キャラだし(「13㎞や」と嘘ついた死神とか)もしかしたらとんでも無く強いかもしれないから何かの伝手になったらいいなとか考えながらジョギング再開。
ジョギングしながら疑問に思ったけどあの糸目の人、関西弁喋ってたな。
この世界に関西あんのか、別にどうでもいいけど。
とにもかくにもいい汗かいた。
戻ったら起きていてコーヒー飲んでたお姉さんにジョギングしてたら二日酔いの介抱をした事を話した。
それでどんな人だったんですかーって話になって紅髪糸目で露出度の高い性別不明の人だったって答えたら、それ女神ロキかもしれませんねって言われた。
ロキってこのオラリオ最強派閥の一つ、『ロキ・ファミリア』の主神のロキ?
北欧神話じゃあ悪神だのトリックスターだの言われてるあのロキ?
オーディンを喰らった神狼『フェンリル』、雷神トールが討伐するのに苦労した毒蛇『ヨルムンガンド』、死者の国二ヴルヘイムを支配する女神『ヘル』、何かすごい馬の『スレイプニル』等々、それらの親のロキ?
二日酔いでゲロってるせいでそんな荘厳な感じはしなかったけどな。
ロキは髭生えてる絵があるから男神の筈なのに女神な点については深く考えるのを止めた。
昔の偉人やら神話の神々の女性化なんて前世じゃあよくある事だし、一々難癖付けても仕方ない。
こんな事ならもっと顔売っておけば良かったな。
お姉さん自身もファミリア再興のためにそろそろ動き出そうとしているらしい。
しかしそれなりに顔を知られてるから自由に動くことは出来ないし、顔を隠した上で俺が四六時中護衛してれば返って目立ってしまうかもしれない。
『シンデレラ』を使って顔つきを変えるって手があるけど、あれは辻彩のエステティシャンの腕があって初めて真価を発揮するスタンドだ。
当然俺にはそんな知識は無い。
下手をしてお姉さんの顔面がえらい事になる危険性を考慮すればこれは却下だ。
そういえば『クリーム・スターター』にもスプレーした相手の人相を変える能力があったな。
口や鼻を塞いで窒息させたり、傷口を塞いだりするのがメインの使い方だから忘れがちだ。
でも、『クリーム・スターター』には『化ける相手に触れなければならない』という欠点がある。
このオラリオに来てからまだ日が浅いのに顔を貸してくれるような知り合いなんているわけがない。
変装するたびに誰か拉致って来るってのも問題ある。
それ以前にお姉さんをスタンドで変装させた場合、他のスタンドが使えないのが痛い。
仕方ねえ、お姉さんにスタンド貸すか。
リヴェリア「おい、水持ってきたぞ……って随分元気そうだな」
ロキ「おー、あんがとなリヴェリアママ。最近西区で大道芸やってるシャボン玉の坊主おるやろ? その子が背中さすってくれたら急に調子よぉなってな」
リヴェリア「誰がママだ。その子は
ロキ「分からんけど、おもろそうな子やったし唾つけとこ思うたらもうお手付きやった……」
リヴェリア「もうちょっと言い方を考えろ言い方を」
ロキ(あの呼吸音どっかで聞いた事あったけど……何処でやったかなぁ……)