ぐだ男・マシュ「「サーヴァントリリィ化症候群?」」ダヴィンチちゃん「うん」 作:海・海
後悔はしていない。
カルデア管制室
「「サーヴァントリリィ化症候群?」」
「うん」
ぐだ男とマシュがカルデアで珍しく平和な日々を過ごしていたところ、それは突然始まった。
「ダヴィンチちゃん。その名称だけで色々察せますが、もう少し詳細な情報提供をお願いします」
「そうだよ。リリィ化症候群って何?」
マシュ、ぐだ男は詳細な情報を求めているが、名称からしてどんな現象かは分かっている。原因についてもある程度は推測を建てていた。
(こういう奇天烈な問題は大体キャスターの仕業なんだよね~)
(先輩、証拠もなしに人を疑うのは良くありません。私も同じ意見ですが)
「大体分かってるようだけど、あえて説明しよう。始まりは、ある一人の女性の悩みからだったんだ」
~回想~
「はぁ、小さくなりたい」
「どうしたのですか?悩みがあるのなら話くらいは聞きますよ」
メデューサのため息とそれを聞いたパラスケルス。もうパラスケルスが出た時点で嫌な予感しかしない。
「今少々自分の体に悩んでいまして。前々から悩んでいたのですがついさっき通りすがったダビデに
「ん~、美人なんだけど、君はやっぱりアビシャグじゃないね。あともう少し背が低ければアビシャグなんだけど。まあいいや、ここにはアビシャグたくさんいるし。時間を取らせて申し訳ない。それじゃ」
などと言われてしまって」
「それで小さくなりたい、ですか。なら研究室に戻って薬でも作りましょう」
パラスケルスに相談するメデューサ(人選ミス)。その悩みに真摯に答えるパラスケルス。悪意がない分こいつの起こす問題は質が悪い。
「ふん、話は聞かせてもらったぞ。雑種ども。いちいち小さなことで悩みおって。いや、大きいから悩んでいるのであったな。フハハハハ‼AUOジョークだ。軽く流すがよい」
そこに現れるは英雄王ギルガメッシュ(キャスター)。こいつも嫌な予感しかしねぇ。
「今日の我は機嫌がいい。この宝物庫の中にある若返りの薬をわけてやってもいいと思うほどにな。どうだ怪物。これで悩みは解決だ」
「いえ、どうせなら何年くらい若返ることが出来るのか調節できるよう改良しましょう。若返りすぎたりあまり若返らなかったりすれば大変です」
「そういうことなら私も手伝うよ。この天才に任せておきたまえ」
~回想終了~
「とまあ、お察しの通りこれはパラスケルスのミスで起こった事件なんだ」
「いや、さも自分は関係ないかのように言ってるけど、最後のほうにダヴィンチちゃんいたよね!?がっつり関わってるよね!?」
これだからキャスターは!
「まあ、実験に失敗はつきものだし、それに今回の事件は君の命が関わるようなものじゃない。今私とパラスケルスで老化薬を作っている。解決するのは時間の問題だよ」
「とりあえず、実験の失敗でサーヴァントが若返ったって言うのは分かったけど、俺はどうすればいいの?」
「そうです。害のないものならなぜ私と先輩が呼ばれたか理由を教えてください」
「それは簡単だ。若返ったサーヴァントの様子を見に行って欲しい。あの薬は精神も若返らせる。その影響でパニックになっている英霊もいるかもしれない。それに薬については暴走気味で効果がこれくらいしか分からないんだ」
その薬は暴走の影響で気化した状態でカルデアに充満している(もちろん薬は無味無臭無色)。
サーヴァント用の薬なので生身の人間に効果はない(デミサーヴァントは別)。
薬の効果は個人差があり、吸ってからどれほど時間が立てば効果が現れるのか、いったい何歳ほどの姿に若返るのかはバラバラ。
一度若返ると現在開発中の老化薬を飲まないと元には戻れない。
どうでもいいけど若返ったサーヴァントの服は体形に合わせて小さくなる。
「管制室は完全に密室だから薬は入ってこないけど、マシュはこのマスクを付けて外に出ること」
「分かりました。ダヴィンチちゃん」
「ちょっと待って。何で関係者のダヴィンチちゃんは薬の影響を受けてないの?」
「そりゃあ、実験は何が起こるかわからないから、安全マージンをとるのは当然のことさ」
無駄にちゃっかりしてるなこの天才。
「まあ、頼むよぐだ男くん。もちろん、私も老化薬の開発に全力を尽くす。君にはサーヴァントのメンタルケアを任せる」
「ハァ、わかりました。行こう、マシュ」
「はい。先輩」
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スカサハの場合
「先輩、あそこに先輩と同い年くらいの二双の槍を持った女性が……。もしかして……」
「師匠!?」
スカサハはぐだ男と同い年くらいに若返っており、背もぐだ男より小さくなっていた。
スカサハは振り返り、ぐだ男達の元へ進んでいく。
「お主たちか。ちょうどよかった。セタンタの奴を見なかったか?」
「クーフーリンは今は食堂のほうだと思うけど、どうかしたの?」
「いや、今のこの体でステータスが下がったのでな。どれほど弱体化したかあ奴で試そうと思ったのだ」
若返ってもスカサハはスカサハでした。
「死んだね。クーフーリン」
「ご愁傷さまです。クーフーリンさん」
「おっ!マスターにマシュの嬢ちゃんじゃねぇか!それにそこの師匠を若くしたような別嬪さんはどこのどいつだ?」
タイミング悪くクーフーリンの登場。
「ほう。いつもの儂には別嬪などという褒め言葉は使わんくせに若返ったらそのような歯が浮くようなセリフを……まるで普段の儂には色気がないと言っているようなな態度だなセタンタ」
「げぇ!まさか本人かよ!?お得意のルーン魔術で霊基でもいじったか?いくら歳くってるからってそうまでして若作りしなくても……」
「遺言はそれでよいな」
「ちょ、まっ、いや、今の師匠は若返って弱体化してる。今ならいけ……すいません冗談ですだからやめギャアアアアアアアア!!!」
ランサーが死んだ!この人でなし!!
「全く、こんなにも色香漂う美女に対して歳をくっているなどと、失礼な奴め。そうは思わんかマスター?」
そう言ってスカサハはぐだ男の顎をクイッと持ち上げながら話しかける。背が小さくなったから上目遣いの状態でだ。
(確かに今の師匠は胸も少し小さくなったけどそれでも巨乳と呼べるほどにはたわわな果実が。それに背が小さくなって庇護欲を感じられるほど可愛らしくなって、それなのに髪をかき上げたりなどの何気ない仕草はどこか妖艶で色っぽい。そのギャップがたまらない!って、何こんなに詳しく解説してるんだ俺!俺はマシュ一筋、俺はマシュ一筋……)
「スカサハさん。先輩を誘惑するのはやめてください」
そう言ってマシュはぐだ男をスカサハから引き離し、腕を自分のほうへ寄せる。そうすると当然ぐだ男の腕がマシュの胸に当たるわけで……
(当たってる当たってる柔らかい違う煩悩退散煩悩退散煩悩退散……)
「しかしセタンタの奴め。一度でいいから見返したいものだ。そうだ!せえらあ服とやらを着るのもいいかもしれん。今のこの体なら年相応という奴だ。いっそバニーや水着も新調するか。歳を考えろなどとは言わせんぞセタンタ」
「まじですか!?」
「先輩!」
(いやだって男としてはセーラー服は一種の憧れでありまして、それを師匠のような美女が着てくれるとなればそれはもうこれで喜ばなかったら男じゃない!しかももう一度バニーや水着が拝めるなんて最高じゃないか!だけど安心して。俺はマシュ一筋だから)
「ではさっそくヴラドやメディアに服を作ってもらうとしよう。付き合わせて悪かったなお主たち」
善は急げとばかりにスタスタと早歩きで移動するスカサハ。髪を揺らしながら歩く後ろ姿は色香にあふれていた。
「……マシュ。俺、ずっとカルデアがリリィ化症候群のままでもいいかもしれない」
「遺言はそれでいいですか?」
果たしてこんなんで大丈夫なのだろうか?
続く