・登場人物が増えるため会話などが困難に
解:最初数話は人少なくして、その分その人と関係性深めればええねん
そう言えば赤評価になってたりしてホントびっくり
更新頑張ります
「ちょっと散らかってるかもしれないけど...さっ、入って入って」
「お、お邪魔しまぁ〜す...」
ギギッという扉の軋む音とともにその部屋に滑り込みました。外見は正直いって...その...おんぼろアパートみたいな...
けど部屋の中は綺麗でした、6畳間ほどの小さな部屋でしたが何かしら物が散乱してるとか壁紙が剥がれてるなんてことは無く...むしろ新築の家みたいに綺麗に整えられてました。陽の光が入らないのかほんのちょっと暗かったですけど。
「ほへぇ...凄く綺麗なお部屋なんですね〜」
「まぁあの外観からこの部屋の綺麗さは想像つかないよね...ふふっ」
あの後私たちは誤解を解きつつミクちゃんの家まで歩いていきました。それほど商店街から離れてはなかったんですが、それまでの間に色々事情を説明することが出来ました。
「いやぁ...それにしても卯月ちゃんは行動力に溢れてるよねー。なんたってあの堅物さんに『友達になってみたいので1人で会いに行ってもいいですか?』って聞くなんて...」
「ふふっ、変でしたか?」
「いやぁ?そこもまた卯月ちゃんのーーー
「長所、ですよねっ!」
ミクちゃん曰く、『あの堅物が服きて歩いてるみたいな人なら計算高くて同い年くらいの同性で懐柔してくるのかと...』と考えてたようです。ちょっと苦笑いになりつつ否定はしましたし、プロデューサーさんなら多分反対に引いても押してくるって伝えたら少し意外そうにしてました。
「おっとっと...お客さんにお茶のひとつも出さないのは失礼だったよね?ちょっとまってて!」
「あっ...別にそんなにお構いなく〜...」
ちょっと前の事に思いを馳せているとミクちゃんは入口近くの冷蔵庫の方へ行ってしまいました。案内された部屋には質素なベッドとコタツ、そして最近テレビでもよく見る人をダメにするソファらしきものがありました。
そして私が取り敢えず座るように言われたベッドの上に座ると、部屋の隅のちょうど薄暗くなったところに何かの紙の束が無数に置いてあるのが見えました。
「おまたせーっ!普段お茶とか家で出さないからちょっと待たせちゃったね?」
「いえいえいえ!そんな事ないですよっ!全然待ってなんかないですからっ!」
その置いてある紙の束がふと気になり、少しだけ見てみようと立ち上がる瞬間にミクちゃんが戻ってきました。
ちょっとタイミングが良すぎてだいぶ驚いてしまいました...ミクちゃんはこっちを見て不思議そうな顔をしながらその手に持ったマグカップを私の目の前に置きました。
「ん〜...ちょっと散らかってたかな?ごめんね、汚くて...」
「い、いえっ!別にそんな訳じゃなくて...その、あの紙の束は何かなぁ...と...」
ちょっとしょんぼりしたミクちゃんが目に入りました。慌てて否定してホントの事を話します。
「あぁ〜...気になるなら見てみる?」
「えっ、いいんですか?」
「うん...まぁ別に見られて困る物じゃないし...」
そう言うとミクちゃんは、その紙の束の一部を手に取って渡してくれました...えっ、凄い文字や音符がいっぱい...しかも所々注釈とかで楽しそうにとか注意書きが沢山...
「あの〜...これは一体...」
「んー、楽譜兼歌の指導書...みたいな?今まで作ってきた歌の歌詞や旋律を全部五線譜に書き込んでるの」
「え゛っ...アレ全部楽譜なんですか」
紙の束は部屋の一角を完全に占領してますし、今ミクちゃんが開けたクローゼットの中にもパンパンに詰まってます。それら全部が楽譜...
「えーっと、メルトメルト...あった!これこれ〜♪」
「あのー...」
「あっ、ごめんね?置いてけぼりで...特にこの曲とか一番人気だし、見て欲しかったんだ〜」
「メルト...ですか?」
言われて追加で渡された楽譜に目を通します...うわぁ...こっちもすっごく書き込まれてる。
でも歌詞に目を通すと自然と曲が流れ、情景が脳裏を過ぎります。すごい...素敵...言葉が出てきません。
「すごい...」
「でしょー!『良い曲』だよねぇ...なんなら今歌ってあげよっか?」
「いいんですか?!って周りの部屋の人に迷惑じゃ...」
「大丈夫大丈夫!そもそも人居ないし今まで大家さんが怒ってきた事無いもん」
そう言うとミクちゃんはテキパキとコタツを片付けて端に寄せて、クローゼットの中からCDプレイヤーを取り出します。私は出してくれた...漢方茶?不思議な味のするお茶を手に持ってそれを眺めてます。
でも、ほんとにミクちゃんは凄いです...この数の曲を自分で作って、しかもみーんなこんな感じで凄い曲ばっかり!さっき持ってたこの曲もちゃんと見る前だったけどーーー
「おまたせー、じゃあ軽く歌ってみるね?」
「あ、本当にありがとうございますっ!ミクちゃんの歌、動画で見てから1度生で聞いてみたかったんですよ!」
「あーあれかぁ、動画って何聞いたの?」
「えーっと...妄想感傷...なんでしたっけ?」
「妄想感傷代償連盟ね!あれもいい曲だから聞いてくれて嬉しいよ!」
「でもメルト?の方は1度も聞いた事なくって..ごめんなさい」
「まぁ私が歌うサイト、普通の女子高生は知らないからなぁ...気にしなくていいよ?じゃ、始めるね?」
ーーーでは歌います...『メルト』ーーー
「ふわぁ〜!!凄いです!ミクちゃんほんと凄いです、この歌も、ダンスも、表現もプロ顔負けですよ!」
「えへへ...そうかなぁ?」
ミクちゃんは頬を桃色に照れながら答えます。
事務所で見た高垣楓さんとか美城プロダクションのトップと比べても遜色無いくらいでした...
「いやぁ...そんな事ないと思うけどなぁ...実際あの人達の方がアイドルとして上だと思うし、ほらあの高垣楓さんとか歌い方に気持ちが篭もっててすごいと思うけどなぁ?」
「えっ!声に出てました...?それにしても美城のアイドルの皆さんも知ってるんですねっ」
不思議でした...あの時アイドルには興味が無いって言ってたのに普通にその辺も詳しいし、よく知ってる風ですし...
「まぁねぇ...今のご時世美城もそうだけど765や961みたいなテレビに出るアイドルが流行りを作るんだ」
そう言うと端に寄せてたコタツとかを片付けながら言葉を続けます。
「私、ないしネットアイドルや地下ドルは時流に乗らないと生き残れないからね...例えばクールなユニットが大手で流行るとファンの人は大多数がクール好きになる...だから私達はクールな曲を出して人目に付くようにするんだ」
「それは...」
「...暗くなっちゃったね!ごめんごめん!まぁそこまで深刻な話じゃないんだけど、再生数とかを増やす為の手法のひとつってだけだからさ...だから有名アイドルの曲も色々聞いてるんだ」
冗談には聞こえませんでした。
実際の所、そう言ってるミクちゃんの声は真に迫った声に感じました。多分本当に注目されない場所にミクちゃんは立って一人で頑張ってると思います。けどそれなら...
「それなら...なんでミクちゃんはプロデューサーさんの...その、スカウトを断っちゃったんですか...?」
「...前も言ったでしょ?私はアイドルになりたい訳じゃないってーーー
「嘘...ですよね?」
「...なんでそう言うの?」
「えっと、その...歌うのが好きなのはホントだと思います...けど今さっきまで話してても逆に『アイドルが嫌い』って点は無いですし...それにミクちゃん自身はもっと沢山の人に自分の歌を聞いて欲しいんですよね?」
「...それで?」
「あぅ...そ、それに!さっき歌ってたミクちゃんはすっごくキラキラしてたんですっ!!」
「キラキラ?」
「はいっ!すっごくキラキラしてて楽しそうでした!ほんとに人前で歌うのが好きじゃないならあんなに輝きませんっ!アイドルになりたくない訳じゃないと思います!」
「ふーん...」
「ど、どうでしょうか...?」
「うーん、60点!」
「ろ、ろくじゅう...」
す、凄く低い...大きく出て怒らせちゃったかも...
「でも、当たらずとも遠からず...かな?」
「えっ...」
「うん、別にアイドルみたいに有名になりたくない訳でもないし、別にアイドルその物が嫌いでもないのは事実だしね。」
そこまで言うと、ミクちゃんは脇に置いてた自分の楽譜を拾い上げました。その目は楽譜を見ている筈なのに、何処か遠くを眺めてるようで...
「けどアイドルみたいな『決められた偶像』になりたい訳じゃないんだ」
「決められた、偶像...」
「うん、偶像...所で卯月ちゃんにはアイドルとしての夢はある?」
「夢ですか?それなら...」
アイドルになりたい、ステージの上でいっぱいキラキラしたい
それが私の夢、私の原点...と思います。
「あー...うん、いい夢だね」
「えっと、ありがとうございます?」
「うん、ホントにいい夢だと思うよ?私もそんな夢ならなぁ〜」
ぽふっと音をさせて隣に座り込むミクちゃんの顔は、少しだけ悲しげで寂しそうでした。
「色々調べたよ、美城事務所がどんな所なのかとか、先達のアイドル達はどういう活動をしてるのかとか...『シンデレラプロジェクト』はどう言った企画なのか、とか」
「確かに有名になれるし、私の声を聞いてくれる人は沢山出来ると思う...けどそれは『私の歌』じゃないもん、他人に魔法をかけてもらってまで有名になりたくない」
「私は、私の力でこの世界に爪痕を残したいんだ...!」
けどその寂しげな瞳は一瞬で、決意に満ち溢れた勝気な表情に変わりました。
...強い、なぁ...
「...私の話もしていいですか?」
「んー...まぁ一方的に聞いてもらったからね、いいよ?」
「ありがとう...ございます」
そうやって、私の短い今までの人生...その半分を語る
「昔っからアイドルになりたくて...だから中学入学時からアイドル養成所に通い詰めてたんです。」
「いっぱい練習して!頑張って!自分でも上達してると思ってる技術の集大成を色んなオーディションで発揮したと思います。」
「けど、ダメだったんです」
「きっと頑張りが足りないんだって思って、もっとレッスンを頑張りました!頑張って、頑張って!」
「もしかしたら私でも受かるかもしれない、もしかしたらキラキラ光る素敵なステージの上に立てるのかもしれないって!」
「そう思ってついこの前まで頑張りました、一緒に頑張ってた皆は辞めちゃったり、先にアイドルになったりして1人になってたけど、寂しかったけど!」
「私は普通だから、頑張ることしか出来なかったからいっぱい頑張って」
「そしたら見つけてもらったんです、あのプロデューサーさんに」
「その時、とっても嬉しかったんです。私を見てくれる人が居たんだって、ひとりぼっちじゃなかったんだって」
「だから...その...あの、ミクちゃん!」
「ひとりぼっちは苦しいんです!多分きっと1番辛い事なんです!だからっ!」
「私とっ!一緒にアイドルになってくれませんかっ!」
言い切りました...胸がすっごくドキドキしてて、この胸の鼓動が耳元で煩く聞こえてるのに、お互いの吐息すら聞こえる静かな仄暗い部屋、不思議な時間。
自分でも恥ずかしくなって顔も見れなかったけど、次の言葉が隣から放たれました。
「君は...卯月ちゃんは、凄く綺麗だね」
「き、綺麗...ですか?」
「うん、凄く心が綺麗なんだ。希望の力に満ち溢れてて、誰もが好むような...そう、空に輝く太陽みたいな心、そんな心を持ってると思うよ?」
「そうでしょうか...?」
「実際、この狭くてくらーい部屋の中なんか輝かんばかりの光で塗りつぶせたし、ね?」
そう言うと恥ずかしさがさらに大波となって私を襲ってきました。うぅ...あんなポエムみたいな事を思いつきでいっちゃうなんて...
「まぁ...そうだね...そこまで言うならボクも...」
「...え?今ボクって...」
「あー...言っちゃってたかな?まぁ気にしなくていいよ?こっちのが素だし...とにかく!」
ミクちゃんはガバッとベッドから立ち上がり、そのまま組み立て直したばっかりのコタツの天板に飛び乗りました。
「なら、そこまで啖呵切ったんなら、ボクにもそのキラキラした世界ってものを見せてよ!」
「...それって!」
「ひとりぼっちが悲しい事なら、ボクと君とで『ふたりぼっち』!2人なら一緒に頑張れるでしょ?アイドルの先輩さん?」
ニヒヒッと小悪魔みたいに笑顔になって顔を覗き込んでくるミクちゃん。とっても嬉しそうで、幸せそうでーーー
「〜っ!はいっ!一緒に頑張りましょうっ!!」
2人で一緒に頑張って、その輝きをボクに捧げてよ
非常に難産でツインテールの日に間に合わなかったよ...
次回から武内P視点に戻る...と思う
ちなみに時系列的に今はPR動画撮影前です
・追記
ワイ「ふぅ〜、勉強もしつつ執筆しつつで指疲れたわぁ...さーてっ、なんかランキングで面白い小説探そ...ファッ!?」
という訳で日間ランキング54位に入りました!皆様のお陰です!
これからまだまだお話は長いですが2期終わるまではきちんと投稿します!頑張ります!