前書きに書きますが、現在最終的な着地点及びそこに至るまでの道筋...プロットですね、それを改変しました
よって矛盾が出る部分や構成変更で時間を取られていたのが近況です
また、1ヶ月以内にこの話より前の部分で改変、また題名も変わりますのでご注意ください
「...ふぅ、緊張したぁ〜!」
美城プロダクションの30階、その一室であるプロデューサーオフィスの重厚な扉を閉めたと同時にミクちゃんがググッと伸びをしました。
数時間前、ふたりぼっちの約束をした私達は『そう言えばプロジェクトに参加する意思表明しても、あのプロデューサーさんに許可取らないと意味ないんじゃ...?』っていうミクちゃんの独り言から気が付き、焦って電車に飛び乗って美城プロダクションまで蜻蛉返りしたんです。
その後プロダクションの敷地に入った後も、別の部署のプロデューサーさんにミクちゃんが声をかけられたり、ふらふら〜っとミクちゃんが何処かに行きそうになったりを引き止めつつ、何とかプロデューサーさんのオフィスまで辿り着きました。
「ホント疲れたね〜...ずっと走りっぱなしの後はずっと話し合いだったもんね」
「ですね...私、レッスンの時くらい疲れたかも知れません...」
部屋にプロデューサーさんがまだ居たのは良かったんですけど、ミクちゃんはいきなり謝罪をし始めたし、私が居ていいのかな?ってくらい綿密な打ち合わせ?をしてましたし...なんというか疎外感が凄くって、ホント疲れたかも知れません...
「取り敢えず卯月ちゃん、これからどうする?プロデューサーさんには今日の所は自由にしてくださって結構です〜って言われたけど...」
「そうですね...」
あの後は諸々の手続き(ミクちゃんの寮に入るにあたっての手続き申請の相談とか)をした後、今日の所は準備時間がそれほど無い為、明日ないし明後日以降に宣材の撮影などが組み込まれる事となったのだ。
そうなると今から1〜2時間は時間が余った事になるんだけど...そうだ!
「そうだっ!いい事思いつきましたっ!」
「ん?何思いついたの〜?」
「まだプロジェクトルームの中に何人か残ってるかもしれません、なのでミクちゃんの顔合わせ兼プロダクション内の案内とかどうですか?」
考えを巡らせていると、ふと同じ舞台に立った未央ちゃんの溌剌さが脳裏を過りました。こんな時ならこういった提案をして、あの時みたいに引っ張ってくれそうです!
「いいねそれ!私からしたらみーんな先輩に当たるもんね...当然!挨拶しに行こー!」
「おー!」
と、廊下で盛り上がっているとすぐ隣の扉がガチャリと開かれました。そこはシンデレラプロジェクトの専用ルームであり、出てきたのは色々と因縁もある仲良しな凛ちゃんでした。
「今、卯月の声が聞こえた気がしたんだけど...あれ?」
顔だけ覗かせてキョロキョロしていましたが、私達を視界に入れると不思議そうに固まります。...?何か変だったでしょうか?
「卯月...だよね?今日は来ないって聞いてたんだけど...あと、隣の人は誰?」
「そうでした...ちょっと用事があったんですけど、それも終わったので事務所に帰ってきたんです。そしてこっちの人はーーー
「こんにちはっ!初音ミク、16歳です!これよりシンデレラプロジェクトに合流する事となりました!ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします先輩っ!」
紹介...しようとした瞬間に、既にミクちゃんは凛ちゃんへと飛びつかんばかりに接近してその手を取ってブンブンと振ってました。...なんというか未央ちゃんを思い出す感じでパワフルで凄いです...
「あっ、えっと...渋谷凛 15歳の高校1年、これからよろしく。」
凛ちゃんも少したじろいだみたいですが、冷静に持ち前のクールさでミクちゃんに対応しました。
「リンちゃん...ですね?よろしくお願いします!」
けどミクちゃんもそれに合わせるように名前を復唱して何時もの煌めく笑顔で答えました。さっきのには耐えたけど、思わず凛ちゃんが顔を染めてたじろぎました...分かります、ミクちゃんのグイグイくる笑顔って何だかすっごく素敵ですもん!
「...で、なんだっけ?最後のメンバーになるんだっけ?この後予定あるんじゃないの?...宣材撮影とか」
「いやぁ、それがまだ準備が出来てないらしくって...明日か明後日になるってプロデューサーさんに言われたんだよねぇ〜」
ミクちゃんは少しおどける様に笑いながら事情を説明してます。って忘れかけてたけどプロジェクトルームから凛ちゃんが出てきたのなら未央ちゃんも居るのかな...?
「えっと、凛ちゃん?そう言えば未央ちゃんも中に居るの?」
「あぁ、うん。これから帰ろうかって話してたとこ...他のみんなはもう帰ったから」
「そうですかー...」
となるとミクちゃんの顔見せは明日になっちゃいそうですね...
けど横を見るとミクちゃんは全然気にした様子はなくって、むしろポジティブな雰囲気で凛ちゃんに話しかけて
「むしろ好都合ですね!一人一人丁寧に挨拶したいなぁ〜って思ってましたし...それにリンちゃん!私の事はミクって呼び捨てでいいですよ?」
「あ、そうなんだ...思ったけどミク呼びになるともう1人居るんだよね、」
「...あっ、みくちゃん!」
「まぁあっちはネコキャラだから全然違うけど...」
「えっ、名前がミクの人もう1人居るんですか?」
確かにそうだった、前川みくちゃんが同じ名前がみくだったんだ...どうしよ、ミクちゃん呼びだと被っちゃうし、今更初音ちゃんって言うのもなんというか違う感じがするし...うぅ...
「どうしましょう凛ちゃん!みくちゃんが2人になっちゃいます!」
「いやどうしようって...どうしようも無いじゃん」
「でもでも!このままだと呼び方被っちゃいますっ!」
「私は気にしないし大丈夫だと思うけどなぁ?」
「それがあっちのみくちゃんは気にしそうなんですよぉ!」
実際に恐らくキャラ被りなどを気にして噛み付いてきそうです...はぁ、今からお腹痛い...ミクちゃんの方は普段呑気な感じだから変に逆撫でしそうだし...
「まぁまぁ、今から気にしたって仕方ないよ!まぁ後でその猫キャラらしいみくちゃんにぴったりなプレゼントを見繕って持ってくるから大丈夫大丈夫!」
「なら大丈夫...なのかなぁ?」
○○○
一通り話し終わった私達はそのままの足でプロジェクトルームに入りました。
部屋の中ではなかなか帰ってこない凛ちゃんを不思議に思ったのか、未央ちゃんが今しがたソファーから立ち上がって扉に向かおうとしていた所でした。
「あれっ?しまむーじゃん。今日居ないって聞いてたんだけ...ど...」
「ちょっと用事で外に出かけてたんです。けど、それが終わったのでーーー「しまむー!!もしかして後ろの人って最後のメンバー!?」
説明しようとした瞬間、私の言葉に被せるように未央ちゃんが反応してソファーから飛び出してきました!!
「おおぅパワフル...初めまして!初音ミク16歳ですっ!」
「へー!一個上なんだ!もうちょっと上だと思ってた...あっ、本田未央 15歳の高校1年生!これからよろしくね!」
「よろしくお願いします!先輩っ!」
飛び出した未央ちゃんはそのまま私の隣に立ってたミクちゃんの目の前にスタッと立つと、お互いに自己紹介を...未央ちゃん?
「えっと...どうしたの未央ちゃん?そんなに震えて...」
「しまむー!しぶりん!先輩って言われたよっ!!先輩って!」
「まぁ私達より後の参加になるから一応先輩後輩にはなる...のかな?普通でしょ?」
「しぶりん甘いっ!と言うよりトキメキ来ないの?!先輩だよ先輩!」
「まぁ私達が前まで1番最後にメンバーになった組でしたから、未央ちゃんのその気持ちが分からない訳でもないんですけど...」
実際、この3人はミクちゃんが入るまではシンデレラプロジェクトで1番遅く加入した組でしたし、未央ちゃんがそう言う関係とかにちょっと憧れるのもわかると言えば分かります...
「ふふっ、その程度なら何度でも言えますよっ!せーんぱいっ☆ミ」
「ふぐっ!...しまむー、後はたの...んだ...」
「えっ、ちょっ...未央ちゃぁぁぁん!!」
「まぁ茶番は置いといて...よろしくねミックー!」
「改めて私からも...これからよろしく」
「ん、よろしくね〜...ってミックー?」
扉前でわちゃわちゃしてましたが、もう時間もいい感じだったので4人で一緒に帰ることにしました。
ほんと未央ちゃんがそのまま後ろに倒れそうになった時にはビックリしました...
「うんっ!良いあだ名でしょ?」
「へぇ〜、そんな渾名初めてつけて貰ったなぁ...そうなると未央ちゃんはちゃんみお...とか?」
「ちゃんみお...!ふーむ...ミックーなかなかやりますなぁ!」
それにしても...
「凛ちゃん...あの二人すごい意気投合してますよね...」
「まぁ見た感じ似た者同士...って感じだし」
そうなんですよね、ミクちゃんと未央ちゃんがさっきから凄い意気投合してて会話が1度も止まってないんです。
「ねぇ!ここは親睦を深める意味も込めて皆で食事会へと洒落込みませんか?ちゃんみお先〜輩?」
「おっ、いいねぇ!ファミレスとか?確かバーガーMも近くにあったよね?」
「卯月、止めなくていいの?」
「私ももうちょっとお喋りしたかったですし!」
「そ、そうなんだ...」
そんな会話をしつつ私達は事務所を出てすぐの所にあるバーガーMへと入ったんです。
そして皆で適当にポテトやドリンクを買った後、徐に珍しく凛ちゃんが話を切り出しました。
「そう言えば、さ...ミクは何処でプロデューサーと知り合ったの?」
「あぁ、えっとね...2、3日前くらい...かな?お小遣い稼ぎでバスカーしてた時にあの人が通りがかったんだよね〜...その時ちょうど雨が降り始めてね、あの人傘もってなかったみたいで私の準備してた店の軒下に雨宿りすることになったんだ〜」
「ふぅん...そうなんだ」
これは私も初めて聞きました。最初プロデューサーさんに着いて行った時もミクちゃんとどう出会ったかは聞きませんでしたから...それにしても凄くロマンチックな出会いです!
「...聞いた割には反応がビミョーですね」
「いや、まぁ...ちょっと知りたかっただけだからそんなジト目で見ないでよ」
「...ナルホド〜」
凛ちゃんと話してたミクちゃんですが、何故か表情がニマッとした笑顔...?になって私と未央ちゃんに近く寄るように手招きしました...なんでしょう?
「えっと、なんでしょう?」
「はいはいはい、もしかしてしぶりん関係の面白い話かな?」
「まぁそうかな...?もしかしてリンちゃんって...プロデューサーさんのこと好きなの?」
「「えっ!?」」
○○○
目の前の少女は酷く慌てた様子で向かいの少女に詰め寄った。
「りりり、凛ちゃん!だっ、ダメですよそんな!」
「えっ、何?なんの事?」
初めてあった時から思ってはいたが、この少女は些か幼い...言うなれば年齢不相応の純粋な精神の持ち主だと感じていた。
簡単に言うならば、高校二年生に当たるこの年齢でこの性格を持つ女子はもはや絶滅危惧種と同等であるとも言える。しかし同時にそれが彼女の魅力たりえることも理解していた。
「ふむふむ...確かに、意外と見えない所てアピールしてたような...」
「だから何が?アピールって何のこと?」
同時にボクからして向かいの少女は元気溌剌と言った風の女子高生然とした少女であった。出会ってからまだ数時間と経っては居ないが、恐らく彼女は学校生活においても優位な立ち回り---上位カーストに属する部類である事が容易に理解できる。
「もう...何の事か分からないけど、ミクが変な事言ったんでしょ?」
また、対角線から話しかけた少女はそれらと打って変わって非常に落ち着いた少女であると言える。ただし大人びている訳ではなく、ただ何も知らない無知が故の静けさ、無垢さを持っているように感じた。しかし、まだそれ程会話をしていない故にそれ以上は分からない。
「んふふ〜、そんな事ないですよっ?」
「嘘、絶対言ったんでしょ」
「言ってないですよ?ね、卯月ちゃん?」
「ふぇっ!?、こ、ここで私ですかっ!?」
適度に会話を降ってあげると可愛らしい少女は非常に良く反応を返してくれる。実際自身の目的すら忘れそうになるほど構い倒したくなるが、それを行ったところで意味は無い。
楽しい...とは思う。しかしそれを享受し続ける怠惰な人形になるつもりは無い。最早ボクには『そんな鎖に囚われている暇は無い』のだ。
外を見る。
人が多く歩き、私の心模様に反比例するかの如く輝く太陽が真っ赤に燃える。
いや、私ではない...ボクだ。
ガラスに映る端正な顔を眺める。
「ーーーーってミクちゃん?...どうかしましたか?」
「ん?なんでもないよ?夕日も落ちてきて良い時間だなぁって」
「あっ、ホントですねっ!じゃあまた明日...ですか?」
「えぇ〜、もう解散するのー?!もっと話したかったなぁ」
「そろそろ帰らないと未央の家族も心配するでしょ」
「まぁそうだけどさー...」
姦しい声と先程の硝子に映る少女の姿が脳裏に反響する。
ボクの中、私の識っている通りの3人の少女達
そして混ざる...
お前は誰だ?
...ハジメマシテ、マスター
ボクは『初音ミク』だよ
難産
追記
ちょっと指を痛めてしまったので次回の更新は時間がかかると思います。
あとりあむちゃんすこなんだ...