「よぉ、金目のモン全部置いてけや」
「断る」
「あぁン? 断る権利があると思ってn」
バチィッ
―――――
「隊士さん、こいつよろしく」
「何があったんすか……」
巡回してる警邏隊の隊士に、一部炭化した人(のような何か)を押し付ける。ソレには一応簡単な回復魔法をかけ、縄でギチギチに縛っておいた。意識は無いようなので、特に抵抗もされずに大通りまで持ってこれたのは幸運だったと思う。
「カツアゲをシメただけよ」
「普通シメただけでは炭化はしないんですが……」
知らないよ。魔法耐性が低すぎるのが悪い。
そんな言葉を飲み込みながら、とりあえず肩を竦めておく。
「で、これ何したんです? 焼いた感じではないし……雷ですかね」
隊士が真面目な顔で考察を始めた。
「わかるんだ?」
最初から回答にたどり着いた彼の技量に驚く。
すると彼は、エッヘンと自慢げに胸を張った。
「そりゃ、警邏隊は近衛隊程ではありませんがエリートですからね。自慢じゃないですが、これでも訓練校の成績は良かったんですよ。自慢じゃないですが」
わかりやすくて可愛いなぁ。
「へぇ、そうなのか」
そんな感情を抱きつつ、いつも見かける警邏隊がエリートだと知って、少しだけ驚いた。
「そりゃそうですよ! だって僕達の仕事は巡回だけじゃありませんからね。一般市民に不快に思われてはいけませんし、喧嘩だって止めなきゃいけません。この間は、街中で民家を壊さないように魔法戦闘をする羽目になりました。結構気を使う隊なんですよ」
「そっか、いつもご苦労さま。私はそろそろ行くよ」
無駄話で引き止めて仕事を邪魔してもいけないので、早々に立ち去る宣言をする。
「はい! あ、お名前をお聴きしても?」
ナンパかな? いや、普通に職務か。エリートだもんね、仕事中にナンパするようなうつけ者はいないか。
「アイリス・アルバート。『紫電』が通りは良いかな」
その名を聞いた彼は、手帳に走らせていた手をピタリ、と止め、ゆっくりと顎を開いた。
「え……ええええええ!?」
―――――
アイリス・アルバート
人/21歳/♀
職業:冒険者
『紫電』の通り名で知られるバケモノ冒険者No.01。無尽蔵とも言われている魔力を惜しみなく使い、戦場の一帯を焼き尽くす程の雷を降らせたことがある。
ソロの冒険者。パーティーへの招待は絶えないが、頑なに拒み続けている。取り柄とも言えるその紫の雷を、思うがままに振るうためだと思われている。実際理由の三割ほどをそれが占めているため、周囲の認識もあながち間違ってはいない。
小ネタ:アイリス、と言うよりも紫電っていう通り名の知名度がやばいんよ。どのくらいやばいかって言ったらテレビの有名芸能人くらい。昔ちょっとな……アイリスにも私TUEEEEEな時期があったんや……。
アイリスの細かい説明は、そのうちやるであろううちの子紹介でするから、そっちを楽しみにしててな。