食戟の神判者 作:匿名希望
理解しにくい表現などもありますが何卒宜しくお願いします。
遠月茶寮料理學園のどこかにある館。
その舘の中を一人の大男が歩いている。
男はある扉の前に立つと静かにその戸を開き、中に入る。
そこには天幕付きのベッドがあり、そこに一人の金髪の少女が気持ちよさそうに眠っていた。
男はその愛らしさをしばらく愛でていたかったが時間が時間なので起こすことにした。
「お嬢、起きてください。朝です」
すると彼女は眠たそうに目を擦りながら目を覚ました。
「今日の予定はなんだっけ、昴」
昴と呼ばれた男は自分の遠月学園の制服から1つのメモ帳を取り出すと、彼女の予定を語り出した。
「午前7時より、料亭芦塚の試食。午前11時より、ファーストフード店の試食。後は午後3時より高等部編入の試験官を頼まれてる」
彼が説明している間に彼女は着替えていた。
「それじゃ、行きましょう」
「了解した」
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彼女が朝食の席に着くと早速品が運ばれてきた。
彼女は早速、味噌汁を飲んでいた。
「中々に美味しいわ。使っている味噌は白味噌ね。具はワカメと豆腐、後はさつま芋ね。それに啜った時に中々良い音がしたわ」
味噌汁を作った料理人は笑みを浮かべている。
「けど、芋に火を通しすぎね。箸で掴みづらいわね。精進しなさい」
「畏まりました」
味噌汁を作った料理人はその事をメモし下がった。
次に彼女が手にしたのは玉子焼きだった。
「綺麗に焼き上がっているわね。まるで金塊のようね。でも身が弱いわね。もう少ししっかりかき混ぜなさい」
彼女は次にメインである牡蠣雑炊に手を出した。
「雑味が多いわね。えりなだったらでニシローランドゴリラと混浴してるような味と言うんでしょうね。でも、私は、ちゃんとアドバイスしてあげる。旬の牡蠣を使う事をお奨めするわ。牡蠣はRの付く月に食べるなと言われているものよ。これは去年のを冷凍保存したものかしら」
牡蠣雑炊を作った少年は、「申し訳ありません」と頭を下げたが彼女は微笑みながら「しかし、それでもこれだけの味を出せるのだから胸を張って良いと思うわよ」
彼女は微笑みながらそんな事を呟きながらも全てのメニューを完食していた。
彼女が去った後、従業員達はえりな様ではなく、彼女が来てくれて良かったと安堵した。
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「ハァー」
「どうしたんです、お嬢」
昴と呼ばれた少年は、自転車の後ろに乗せた少女に話しかけた。
「だって、この入学試験って確か十傑評議会がやるって話じゃなかった?」
その質問に昴は淡々と答えた。
「何でも一席の人間が来れそうにないから代わりにやってくれとの事らしい」
「成る程ね。それで、会場まで遠いの?」
「後、5分位だな。それまで試験の内容を確認していた方が良いんじゃないのか」
「それもそうね、え~と。書類審査に、十人単位で集団面接、それから三品ほど調理の実技。これって変えても良いのかな?」
「別に構わないとおもうが。お嬢は一応
すると彼女はにっこりと笑っていた。
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彼女が試験会場に着くとそこには既に多くの高等部編入希望者達が集まっていた。
彼女が壇上に立つとざわめきが起こり始めた。
「皆さま、こんにちは。今回この入試試験の審査員を勤めさせていただく、
希望者がざわつくのは納得の理由だった。
彼女は大人に見えないし、尚且つ高校生にも見えない。
良くて小学生、悪くても園児にしか見えない。
しかし、料理人達の間で噂になっている少女と特徴が一致しているのである。
「私はこの学園の生徒ではないけれど、これから試験の内容を発表するわ」
フランがそう言うと入学希望者達はゴクリと唾を飲んだ。
「本当は全員を合格させてあげたいわ。でも、料理人としての狭き門は笊の穴のように小さいの。今ここに集められた入学希望者は200人。この中で合格出来るのは最大10人までよ」
「たったの5%」
1人の受験者がそう言葉を発するとフランは不適に笑った。
「何を勘違いしているの?。最大10人よ。最低数じゃ無いわ。場合によっては0人という事も考えられるわ」
会場が一気に静まりかえった。
しかしフランは我関せずとばかりに説明を続けた。
「まずは合格内容の発表をさせてもらうわ。料理人に必要な五感。つまり、触感、嗅覚、聴覚、視覚、そして味覚。これらを個別に最大20点とするわ」
受験者達は曲がりなりにも料理人の卵、もしくは御曹子であるためこの五感は当然のように知っている。
「合格内容の発表だけど、合計点が70点以上であること。もしくはいずれかの項目で15点以上とること。これらが合格条件よ。これらを満たした上で上位の10人が遠月学園に入学できるわ」
そこまで話すと一人の少年が挙手した。
「なにか説明がいるの?」
フランがそう言うと少年は質問をした。
「もし、同点などで11人以上になった場合はどうするんですか」
「その場合は先に合格していた生徒が優先されるわ」
「ありがとうございます」
「さて、ここからが重要なポイント。作る料理はこちらで各自別れるようにガシャポンを用意したわ。カプセルの中にはそれぞれ、料理のジャンルと必ず使わなければならない食材を記入しておいたわ。そして、料理を作れるのは1人1回まで。不合格になったらその場でおしまいってわけ」
「そ、そんな」
「更に制限時間は2時間」
フランの言葉に会場は嫌な空気に包まれている。
それもその筈、2時間あれば大抵の料理は作れる。
しかし、苦手、不得手な料理に当たったらという不安とチャンスは1回という条件である。
もし、動揺していない者がいるなら、肝が据わった者か、様々な料理を作ってきた者くらいであろう。
しかし、それだけの事をしなければ、真の料理人とは呼べないだろう。
いざ、自分の店を持った際に、客の無理難題に応えれるか?。まして客に合わなかったとしても作り直すなど、料理人とって、一番やってはいけないと考えての措置だ。
結果、合格した者は誰一人居なかった。
「 総帥に伝えないとね。私の所で合格者はいなかったと。 昴、帰りましょ」
「畏まりました、お嬢」
昴はフランを自転車の荷台に乗せ走り出した。
暫く進むと総帥をA会場で見かけた。
「総帥」
「おお、フランか。K会場で合格者は」
昴が首を横に振ると総帥と呼ばれた人物はため息を吐いた。
「君が見込んだ料理人ならば、えりなを満足させてやれるかと思ったが」
「ご免なさい。ところで、そのご飯は?」
フランは総帥の持つお椀に盛られた物に興味を示していた。
「これか。これはこの試験会場で賄われた料理だ。君も食べてみるかね?」
そう言われるが早いか、フランは食べていた。
「ん~、美味しい」
フランはその日一番の笑顔を見せ食べていた。
その笑顔に総帥も昴も顔が微笑む。
「この料理を作った人は合格して間違いないです」
すると総帥は苦い顔をしながら答えた。
「いや、この試験会場はえりなが審査員を勤めたのだが、不合格にしておる」、
するとフランはつまらそうな顔をすると総帥に宣言した。
「遠月学園神判者の名に置いて命じます。この料理人の不合格を取り消し、合格にします」
総帥は黙ったまま笑って、頷いていた。