食戟の神判者 作:匿名希望
4月某日 遠月学園 入学式
紅フランはいつもの服ではなく子供用のスーツを着て、参列していた。
(退屈だなぁ)
少し怠慢だが、今年から公に食戟や授業の審判者として行動するに当たって御披露目しておこうという事で来ていた。
「諸君の内の99%は1%の玉を磨くための捨て石である。昨年の新一年生812名の内、二年生に進級できたのは76名」
壇上に立っていた、総帥のこの言葉に生徒の9割以上が黙ってしまった。
「無能と凡夫は切り捨てられ、千人の一年生が進級する頃には100人になり、卒業にまで辿り着く者は片手で数える程度になるだろうその一握りの料理人に君が成るのだ!研鑽せよ」
その言葉に生徒達は震えていた。
(今年は確か、えりな嬢が高等部入学だから、玉の世代なんて言われてたっけ)
「続いて、編入生の挨拶です」
そのアナウンスが終わると眉毛に傷のある少年が壇上に上がった。
「えーと、幸平創真って言いますこの学園のことは正直、踏み台としか思ってないです。思いがけず編入することになったんですけど、客の前に立ったこともない連中に負けるつもりは無いっす。入ったからにはてっぺん獲るんで。三年間よろしくお願いしまーす」
生徒達は彼の言葉に怒りをぶつけていたが当のフランは。
(フーン、結構面白そうな子だね)と思っていた。
「続きまして、今年度より、味の判定人として審判をしてくださる人に来ていただいてます。挨拶の方を宜しくお願いします」
(ようやく、私の番ね)
フランが壇上に向かうとSPが彼女の為に踏み台を用意していた。
その頃には生徒達はある程度怒りを沈めていた。
「皆さん、こんにちは。紹介にお預かりました、審判者、紅フランと申します。先程、総帥が申された用にあなた方の99%は捨て石です。そして、この私が参加した授業はよりハードになると思ってください。ですが私の体は1つ、つまり複数の授業に参加する事は有りませんが、どの授業に出るかは授業開始まで伏せておきます。私が参加すると知って避けられては、その授業の妨害になりますので。では、皆さん。3年間、宜しくお願いします。生き残れれば、ですが」
フランが壇上から舞台裏に戻る頃には生徒達はまたしても怒りが浸透していた。
アイツはいったい何様のつもりなのかと。
その後、学園の説明により、総帥に近い立場であることが分かるまで生徒の多くは騒いでいた。