吾輩は転生者である、名はぐだ子。苗字は聞くな。
深くもなく浅い事情によりFGO世界にTS転生した私は、別に深い理由もなくマスター候補とやらに立候補した。
幸いなことに、某石油採掘所側のマスターではなく、ちゃんと雪山にあるカルデア側に就職。
爆殺未遂されるその日まで、原作主人公君が来るまでその任務を全うしたわけだ。
まぁ、その後はいろいろあって、無事藤丸君(♂)が無事カルデアに到着。
レフ教授にボマーされて無事コールドスリープ&1部終了までスキップと楽観していたものの、チート身体能力のせいで爆心地でも半焼程度で済む。
そのおかげで、今日から俺とお前のダブルライダーだばりに藤丸君と一緒にマスターとして人理修復をする羽目になってしまった。
幸いなのは、私が藤丸君ほどレイシフト適性が高くなかったおかげか、あくまで人理修復のメインは藤丸君だということだ。
そのおかげで、自分が知るストーリーの流れで特異点攻略が進んでいった。
その事実は私にとって非常にありがたかった。
いや、だってそりゃそうよ、自分がメインだとあんな魔境あふれるサバをたくさん召喚して、さらにはそんな人たちと現地で体当たり交渉、それを全部制御で無自覚善意でおこなうとか無理無理カタツムリ。
正直、藤丸君の30分の1にも満たない鯖としか契約してないのに、それでももういっぱいいっぱいだ。
なお、自分と契約したサーヴァントの中で一番の曲者は【新宿のアヴェンジャー】である。
まだ1部クリアしてないのに何でいるとか思いつつ、頑張って仲良くしようと思って死にかけたのはいまだ記憶に新しい。
なお、女鯖は【デオン君ちゃん】【ナーサリー】というピンポイント。
(手を出したらアウト的な意味で)つらい。
……さて、愚痴はいろいろ吐いたが、結局は何が言いたいかというと『このまま楽してずるして、(名声と給料だけ)いただきかしら★』というわけだ。
藤丸君がいれば人理修復はできたも同然、なのに自分は横でちょこちょこ危なくない程度にサポートすればそれだけで給料アップ&功績がゲットできるのだ。
これほどおいしいお仕事はない。
なお、自分はこの第1部が終わったら退職するつもりである。
目指せ、退職後の安定に査定アップ!
2部?しらんな、自分は1.5部で止まってる勢じゃ。
世界平和?そんなの藤丸君がいれば余裕余裕!
大丈夫!君とマシュの愛の絆があれば、あの魔術王でもあっという間に倒せるさ!
というわけでイケイケ藤丸!がんばれ藤丸!!!
私は君のコスト度外視★5オンリー★5礼装ガン積みパを、後方から★5なし礼装微妙な寂しいパーティで見守っているからな―!!
……なんて、甘い幻想、数か月前までもってマスタ。
さて、現在のカルデアを見てみよう。
ここはカルデアの食堂。
本来ここはエミヤ(当然藤丸君のサーヴァント)が鍋をふるい、彼の作ったおいしい日本の家庭料理が楽しめるはずの場所であった。
エミヤんの料理はいい、なにがいいって日本人向けの味付けな上にカロリーを気にしてくれているところが最高だった、そして、ここは最高の憩いの場所であった。
……だが、それはもう過去形の話だ。
そんななか、今自分が食べているのはわざわざ自分が先ほど作った料理である。
別にひどいまず飯とかそういうわけではないが、それでも本職やおかん英霊と比べれば残念なのは重々承知している。
でも、今はこれを食べなきゃならんのだ。
これだけでもあれなのに、更につらい……いや、最大限につらいのは目の前にいるこいつの存在である。
「はい、あ~~ん♪」
そこにいたのは、屈託の笑みを浮かべた平凡ながらも整った顔つきをした男。
そう、最後のマスターこと【藤丸 立香】君である。
屈託のない、クラスで4番目位にモテそうな男子の笑みを浮かべてこちらに箸をよこしてくる。
「いや、一人で食えるからいらんだろ」
「はい、あ~~ん♪」
「……」
「はい、あ~~ん♪」
無限ループって怖くね?
観念して口を開けて食べると、口に広がるは普通程度のうまさの飯。
悪くはないがよくもない、店で出てくるレベルの最低限ライン程度の味だ。
まぁ、ほかならぬ自分の作った料理なんですけどね。
「おいしい?」
「……コクが足りない。
もっと精進しなければ」
「いや、もう十分においしいと思うけどねぇ?
それに、こういう料理の方が愛情が感じられるよ」
「お前に対する愛情はぼちぼち程度だがな」
軽い軽口をたたきながら、この色々とは他から見たらカップルにも見えなくもない食事を続ける。
向こうが差し出した箸に対して此方が口を開き、今度は向こうが口を開けてくるから仕方なくこちらも食事をよそったスプーンを口に運んでやる。
別にこいつの事嫌いじゃないけど、それでもきつすぎる。
特に、背後から感じるマグマダイバーズの熱いを超えて痛い視線やそこかしこに感じられる無数の監視魔術の数々、殺気にさらには本当に不安そうに此方を眺めるカルデアスタッフまでオマケでついてくる。
ポンポンペインレベル100ってところだな。
「ご馳走様でした!」
「おそまつさまでした……」
「……大丈夫?なんか体調が悪そうだけど、もしかして風邪ひいた?」
割と無邪気にそうこちらに話しかけてくる藤丸君を見て、微量な殺意も沸き、だからこそこう言ってしまったのだろう。
「へーへー、大体お前のせいでな。
というか、いい加減そろそろ大丈夫だろう?
だからもう、背後にいるあいつらのところに戻っても……って、あ」
思わず口走ってしまった一言であるが、それが失言だったと知った時にはもう遅かった。
「サ、サーヴァントが……い、いる?
すぐそこに……いるのか……?」
その言葉を聞いた瞬間、がくがくと震え始める人類最後のマスター(大本命)。
顔は明らかに恐怖が浮かび、手足が縮こめ、呼吸が乱れ始める。
「だ、大丈夫だ大丈夫!!
ちゃ、ちゃんと、距離を置いてるしもうあいつらはお前に危害を……って、うわっ!!やっば!!」
「あれがくるあれがくるあれがくる……」
自分がしてしまった失言を取り戻そうとしてももう遅い。
凄まじい取り乱しとともに、藤丸の四肢から無数の血潮があふれ数多の呪術がにじみ出てくる。
それは決して今罹っているものではなく、すでに治ったり、あるいは治療済みのものがほとんどである。
しかし、しかしそれでもなお【英霊】から受けた真の呪いというのはそう簡単に治るものではなかったのだ。
今現在はマシュの加護を受けているはずの藤丸君をもってしても、思い出すだけでその身を蝕むほどに彼の体はボロボロであった。
「マ、マスター!!」
藤丸の生命の危機に思わず駆け寄ってくる清姫。
頼光、その他無数の女性サーヴァント(主にバーサーカー)。
無論、彼女たちが真に藤丸君の身を思っての行動だということは聞かずともわかる。
……しかし、今はそれがむしろ仇になっていた。
「あ、あ……うぐあああぁあああああ!!!!!!!!!!!!」
「……っち!!呪腕さん!わんこ!!
ガードを頼む!!!あんまり、派手にはするなよ!!」
一瞬どうせ死にはしないのだから見捨てようかとも思ったが、さすがにそれをすると人類滅亡ルートまっしぐらであろう。
何とか思い直し、令呪をもって無理やり自身の数少ないサーヴァントを呼び出した。
「GURURURURUR!!!!!!!!WAOOOOOOOOOOOOOON!!!!!」
「心得た!しばし、足止めを……」
「ジャマです!!!!!」
「ぐうううううう!!!!!」
頼光ママンによって吹き飛ばされる呪腕さんを尻目に何とかチート筋力を発揮しながら、藤丸君を背負いながら食堂を脱出。
背後からのプレッシャーを無視しつつ、マシュがいない方の医務室へと何とか転がり込むように押し入ることとなった。
「おいドクター!!すぐに生命維持装置を起動させろ!!
あと、ナーサリー、なんかいい感じの回復っぽいのを頼む!!!できるだろう!」
「う、うわぁぁぁあ!!!これは大変だ、は、早くこの中に!!」
「できるかできないかで言ったらできるけど……
あんまり期待しないでね?」
ドクターの指示に従い、血みどろの藤丸を医療ポッド的なものに突っ込む。
バーサーカーズが突撃する前には何とか藤丸を小康状態にできたのは幸いだ。
できれば、そのまま近寄らなければなお良しだ。
「……はぁ、どうしてこんなことになったのやら……」
ここ連日は暴走するヤンデレサーヴァントを止められる系の男サーヴァントを何とか召喚できるように頑張っているが、あんまり手ごたえはない。
エドモンにエミヤ、兄貴にギル辺りがいればよかったのに世の中上手くいかないものだ。
「はぁ、せめてバビロニアにはやくつながればなぁ。
賢王様なら、何とか……いや、さすがにそこまでやさしくはないか」
医療ポッドですやすやと休む藤丸とカメラ越しに見える心の病で倒れぎみのマシュの姿を確認しながら、何とも言えない気持ちになるのであった。
この話はゲーティアの策略により、エロ同人系カルデア職員が紛れ込み、催眠入れ替わりによってめちゃくちゃにされた後のカルデアを何とか復興させようと頑張る、TS主人公の話である。
NTRエロ同人を見て思いついた小ネタ
なお、エロ同人系職員はゲーティアに与えられた催眠能力的サムシングで藤丸君と存在を一次的に入れ替わったという設定。
現在はすでに死亡済み
死因は解毒が完璧でないのに静謐ちゃんに抱き着かれたせい