ホームズ家長男は家出中 作:太陽が嫌い
「ねえ、学校の中案内してあげようか?」
昼食を取り終わり、転校生の俺らとの友好を深める意味で、あかりは俺らにそんな提案をしてきた。
悪くない提案ではある。俺らは、まだこの学校についてあまり多くを知らない。何時までここを拠点にするかはわからないが、知っておいたほうがいいだろう。
「分かった、俺らとしても助かる。セーラもそれでいいだろ?」
「
「ってわけで頼む」
「うん!!!」
「暇だしあたしもついてくか~」
「あかりちゃんとあんなに親し気にぃぃ・・・』
嬉しそうに、頷くあかり。追随すると言うライカ。そしてさっきから視線が怖い佐々木。まるで俺を射殺さんばかりに睨んでくる。最初のうちは、セーラが反応して大変だったがなんとなく分けを知ってそうな火野 ライカに話を聞くと
『ああ、志乃の奴はなんて言うか・・・あかり、loveみたいなやつで・・・』
『あ、もういいぞ、何となく察した』
『・・・・・・』
あの時のセーラは毒気を抜かれたなんとも面白い顔をしていた。
「っとここで最後だな」
ライカは、強襲科の前で立ち止まる。案内されている最中、俺はライカとセーラはあかりと比較的仲良く?なった。だから、歩いている構図としては、俺とライカ、その後ろにセーラとあかり、佐々木といった感じになっている。
「ここが強襲科だ。まあ、二人とも狙撃科と諜報科だから、あんまり縁がないと思うけどよ」
「強襲科には、アリア先輩がいるんだよ!!!」
あかりは、我を忘れたかのように若干引き気味のセーラ相手に熱弁をふるいだした。やれ、アリア先輩は凄いだの、かっこいいだのと。まさにトリップ状態だ。
「ふふふふ、神崎・H・アリア・・・ふふふふふふふ」
だが、もう一人トリップ状態の奴がいる。しかも、危険度的にはあかりの数倍ヤバイ。佐々木怖い・・・てか、レズって怖いね・・・。
「ま、まあ、取り敢えず入るぞ」
ライカは両開きのそれは、左右にゆっくりとスライドしていく。そして、完全に開ききるより前にあふれ出てくるのは、聞き慣れた金属音や発砲音、鈍い格闘訓練の音だった。
「おお・・・」
少し、感嘆した。俺らの声は互いに戦闘音にかき消されそうになる。つまりはそれほどの人数が今ここで戦っている最中だということであり、それがまさに強襲科がどんな場所であるかを如実に語っていた。
「ここはだいぶ、他の科とは違うんだな」
「そうだな、生徒は好戦的で死ねが挨拶になっているところだしな。通称『明日なき学科』」
「だいぶクレージーだな」
「まあ、否定はしない」
ライカは苦笑いをしながら、中に入っていく。
「そういえば、エレジーはランクはどれくらいなんだ?」
「ああ、俺はBランクだ」
落ちこぼれであった俺は、シャーロックに直々に鍛えられてもBランク、調子が良くてもAランク程度にしかなれなかった。
「へ~、じゃあ、アタシと一緒だな」
ちなみにセーラは、Sランク。手加減を知らないせいでかなりの記録を打ち立てたらしい。ホントに、校長に話を通しておいてよかった。
「その、エレジーって呼び方言いづらいだろう?エジーでいいよ」
「そうか?じゃあ、遠慮なく。よろしくエジー」
そんな会話をしていると、急に周りの人間がざわめきだした。
「おい、聞いたか、遠山キンジが帰ってきたらしいぞ」
「マジか、あの遠山キンジか?」
先輩たちの会話を耳にしたライカは顔をこわばらせた。
「ライカ?」
トリップ状態から、戻ってきたあかりがライカの変化に気づき声を掛ける。ちなみに、セーラは解放された疲労感からか、少し顔色が悪い。
「そうか、遠山キンジ・・・あの人帰ってきたのか」
「キンジ?って誰?なの」
「1年前にSランクだった先輩さ。入試で、教官を倒したらしい」
「教官を?それってすごすぎない」
「つまり、中学生でプロの武偵を倒したのか。凄いな」
「人間離れした実力を隠し持っているという噂の先輩ですか」
佐々木もトリップ状態から戻ってきていた。
「ああ、化け物だよ。あ、ほら、あの人だ」
ライカが指をさす方向にはネクラそうな少年がいた。あかりは、想像と違ったのか微妙な顔をしている。
あれ?あの顔どこかで・・・
「
セーラに、言われふと時計を見ると予想よりもかなり時間が経っていた。
「あ、やべ。悪い、ライカ。俺この後、教務課からも呼び出されてるんだ」
「教務課から?」
もちろん、そんな話はない。今適当に作り上げた作り話であり、食協にしては中々できた話だと思う。
「ああ、転入の手続きの話らしくてな」
「マジか~、それなら仕方ないな」
「悪いなホント。あかりも佐々木も今日はありがとう」
「あ、うん。こちらこそよかったよ。セーラちゃんとも仲良くなれたしね」
セーラは、何とも言えない顔をしているがまあ、見なかったことにしよう。俺はセーラを連れていそうで強襲科の棟を出た。
「助かったよ、セーラ。仕事の時間に遅れるところだった」
「
ムスッとした顔で、説教を始めるセーラ。もちろん毎回遅れているわけではないが今回はうかつだったので甘んじて受けよう。
「英国紳士としてはなってなかったな。悪いかったよ。それにここを離れたのは正解だったな」
遠目に見えるピンクのツインテールを見てひとりごちる。
「・・・・・・兄は、やっぱり会いたくないの?」
「ああ、出来れば会いたくないな。お互いのためにさ」