1.新たなる旅立ち
シドゥリ暦3504年
第二次ベヅァー戦争が集結してある程度の時間がすぎた。この第二次ベヅァー戦争というのは私、エリーゼ・ペルティーニ&アイシャ・ペルティーニが破壊神ベヅァーと行った戦いです(詳しくは前作『二人の魔女』を見てください)。
さて、そんな戦いを潜り抜けた私とアイシャは骨休めも兼ねて監察軍本部に滞在していた。といっても何もしていなかったわけではない。レプリケーターのリミッターを改良して第三世代レプリケーターを作り出したりと監察軍に大きく貢献していた(『短編及び中編集 レプリケーター革命』を参照)。
そのおかげでブリタニア帝国では市民生活が大きく変わってしまったわけですが、レプリケーターのようなチートな代物が民間に普及すればそうなるのは当然の事である。まあ、別に悪い事ではないし、むしろブリタニア市民の生活向上という意味では大きなプラスになっています。
しかし、そろそろ次の行動を決めなくてはいけないでしょう。さて、先の第二次ベヅァー戦争では、私たちが満を持して開発したカーリーとドゥルガーでさえ、破壊神ベヅァーに歯が立たず、死神が作ったグングニルに頼ってようやく勝利を拾った形となっていた。
正直、カーリーとドゥルガーがあればベヅァーに勝てると自信を持っていただけにこの事はエリーゼたちに痛い教訓を与えていた。今回は何とかベヅァーに勝てたが次はどうなるかわからないのだ。相手が相手なだけにこちらの予想以上に強くなっていて敗北する事すらありえる。
この問題をクリアするにはカーリーとドゥルガーの強化と、エリーゼたちの能力向上しかないだろう。この二つはいずれも監察軍本部に引きこもっていては解決する見込みがない。その為、私たちは再び下位世界を旅して魔法技術の習得を図り、更なる自己啓発に励むしかないだろう。
そんなわけで旅に出ることにしたが、その前に改善すべき点があった。というのも、これまで私とアイシャは主に二人で下位世界を旅して現地の魔法技術を習得していたわけであるが、私たちの外見年齢が15歳なので現地の人間たちに甘くみられる事があったからだ。確かに15歳ほどでは小娘にしかみえないからそうなっても仕方ないが、私たちの活動に多少とはいえ支障が出ていた。
しかし、だからといってわざわざ外見年齢を上げて年増や熟女になる気はない。何気にこの姿は気に入っているのだ。そこでその問題は同行する者を用意することで解決することにした。それは簡単にいえば、私とアイシャの父親役の人造人間を用意する事だ。
そもそも、私が行く世界の多くは中世欧州風ファンタジー世界が多く、それらははっきりいって男尊女卑な世界だ。まあ、これは21世紀の日本でも男女平等が主張されている社会なのに、どちらかというと男尊女卑的なところが残っているのを考えれば当然の事だろう。
そうなると、傍から見るといかにも経験豊富そうな中年男性というのは何かと都合がいい。しかし、そういった男性と私たちが一緒にいるのは不自然なので、それには私たちの父親役という役割を与えることにした。これなら私たちと一緒にいても不自然ではないからだ。
そんなわけで40歳のイタリア紳士をイメージして作り上げた人造人間にアントニオ・ペルティーニと名乗らせることにした。正直言うと美女美少女なら兎も角いい歳したおっさんの人造人間を作るのはモチベーションが著しく低下してしまったが、私たちの活動の為にそこは我慢した。
ちなみにアントニオの外見年齢が40歳なのは、私たちの外見年齢が15歳だからだ。設定上親子となるのだからなるべく外見年齢が釣り合わなければいけない。この場合、私とアイシャはアントニオが25歳の時にできた双子の娘という設定にしているから外見年齢がそうなったのだ。
さて、このアントニオは人間にとことん似せておりこれといった戦闘能力を持たないが、リーラのようにランス世界の技能LVを与えておいた。といってもそれは執事とかではなく、話術LV2という代物だった。この話術LVは他者との会話に長けた技能で、LV2ともなれば人心掌握の達人になれるほどだ。
いうまでもなくアントニオは下位世界を巡る際に現地住民との交渉などをやってもらうつもりなのだ。実際、監察軍本部でその手の研修を受けてもらったが、なかなかの評判で、この技能LVは下位世界の住民たちとの交渉でも役に立つだろう。さてと、準備を終えたことだしそれでは行きますか。
かくして、私とアイシャはアントニオを連れて下位世界に赴くのであった。
あとがき
エリーゼは下位世界の現地人と交流する際に美少女二人ではやりにくいと感じたため、威厳たっぷりのイタリア紳士な父親役を用意しました。以後、アントニオは煩わしい交渉などの雑用を押し付けれることになるでしょう。