続・二人の魔女   作:ADONIS+

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10.魔力の塔

 私たちがカストゥール王国に訪れて五十年程が過ぎた。カストゥール王国は長きにわたり他種族と膠着状態になっていたが、それを一変させる二つの出来事があった。

 

 一つ目は召喚魔術師アズナディールが魔界を発見して魔神軍団を召喚した事だった。アズナディールによって支配された魔神王とその軍団は、カストゥール王国最大の敵であったサイクロプスの王国を短期間に滅ぼしてしまった。正直これほど強力な魔神たちを支配したアズナディールはかなり優秀な魔術師なのは間違いないだろう。

 

 二つ目は拡大魔術師メルドラムゼーが魔力の塔を建設した事だ。この塔はフォーセリア世界に満ちている魔力を集約蓄積する為の巨大な魔法装置だ。魔術師は魔力の塔から額に埋め込んだ黒水晶を通じて魔力を引き出すことができるようになり、従来の個人が持つ魔力に比べると無尽蔵にも思える魔力の行使に可能になった。

 

 この結果、巨大な都市を空中に浮かせたり、都市全体を幻覚で閉ざしたり、地中に巨大な都市を建設したりと、それまで理論上は可能と言われていた強大な魔法が実用化されたのだった。

 

 かくして、カストゥール王国は敵対していた巨人族だけでなく、上位精霊や竜族までも支配下に収めアレクラスト大陸全土を支配するに至った。更に西のケイオスランド、南のロードス島、果てはクリスタニア大陸まで侵攻するのであった。

 

 これによってカストゥール王国は絶頂期となり、暗黒時代から魔法の時代へと変わっていくのであった。まあ、その魔法の時代もそう長くは続かないのだけどね。

 

 ただ最近になるとカストゥール王国の魔術師たちとの仲が険悪になってきた。切っ掛けは魔術師たちが魔力の塔のバックアップを受けて私たちよりも強大な力を振るうようになって事だろう。これまで圧倒的に劣っていた劣等感が強大な力を得て逆転したことで反転してしまい調子に乗った連中が私たちに絡むようになった。

 

 勿論、魔導書や鬼械神のバックアップを受ければカストゥール王国の魔術師など相手にならないが、それは表に出せないから仕方ない。

 

 いくらばれないようにしても、魔力の塔のバックアップを受けていない私たちがカストゥール王国の魔術師を超える力を持っていたら不自然すぎる。そうなれば私たちの手札がばれる危険があるし、機密保持の関係上それは避けるべきです。

 

 ここで何故、私たちが魔力の塔のバックアップを受けないのかと思うかもしれませんが、あれは額に黒水晶を埋め込まないといけない上に、一旦埋め込むと自身の魔力が使えなくなるという致命的な欠陥があった。当然そんな代物を使うわけにはいきません。

 というか、外部からバックアップを受けて魔力を増幅させるならともかく、自身の魔力が使えなくなってしまってはそもそも魔術師と呼べるのかという根本的な問題がある。何故なら外部から魔力を受けて魔法を使うだけならなにも本人が古代語魔法を使う能力がある必要はなく、ぶっちゃけ蛮族でも可能なのだ。

 

 この魔力の塔にしても発電所のように魔力を運用する施設として使い、魔法文明を構築するインフラとして使うならば問題なかったのでしょうが、あまりにも魔力の塔に依存し過ぎたのが、後の問題に繋がったと言えます。 

 

 まあ、その辺りはどうでもいいとして、そんなこんなで魔術師たちとの揉め事を抱えつつも発展する魔法技術を収集することになるのであった。本当にカストゥール王国の魔術師は人をいらつかせる連中です。 

 

 そういえば、カストゥール王国の躍進と共に著しく増長した魔術師たちの蛮族に対する扱いが非常に悪くなっていた。元から悪かったのだが、さらに悪化してしまったようだ。それは私たちから見ても眉をひそめる程のものであったが、かといって蛮族たちに同情するつもりはない。あくまで視界に入れないようにしていただけであった。

 

 正直な話、私はカストゥール王国の魔術師と違って魔法が使えない蛮族に偏見や蔑視を持っていないが、それは優しいからではない。むしろ魔術師だろうが蛮族だろうがどうでもいい存在なのだ。

 

 そういえば、魔法王ファーラムは蛮族に対してあまり偏見がなくどちらかといえば好意的みたいですが、いくら魔法王がそうでも貴族たちがあそこまで増長していては蛮族たちの待遇改善は不可能でしょう。

 

 何気に蛮族たちによる反逆フラグを立てていると言える。というかあそこまでやっていたらいざという時に反逆されても文句は言えない。

 

 カーラ(アルナカーラ)が言っていたように蛮族を大地母神マーファの教え通りに扱っていればあのようなことにはならなかったでしょうが、そんなことをわざわざあの連中に忠告してやる義理はない。精々つかの間の繁栄を謳歌しているがいいでしょう。

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