続・二人の魔女   作:ADONIS+

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※13は、『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』の世界が舞台になっています。


■IS 〈インフィニット・ストラトス〉
13.ガイノイド(女尊男卑編)


 時は女尊男卑の時代。それはISという画期的なパワードスーツの登場によって社会が大きく歪んでしまった時代だった。

 

 過剰なまでに女性が優遇されるようになった為に増長した女たちは男を奴隷や犬のように扱い、男たちはそんな社会に不満を抱き鬱屈した感情を抱いていた。そんな歪な社会の問題は真っ先に結婚率の劇的な低下として現れた。

 

 実のところ男というのは女に対してある種の幻想を抱いているものだが、女尊男卑の時代はそんな幻想を幻滅させて女に嫌気がさしてしまったのだ。そうなると、女性と結婚して幸せな家庭を作ろうと考える男が激減してしまうのは当然だった。また、サイバーダイン社がガイノイド(女性に似せたアンドロイド)を発売したことがそれを更に煽ってしまう。

 

 このガイノイドは金属骨格を人間と同様の生体細胞(筋肉、皮膚、毛髪、血液など)で覆うという代物で、その完成度は人間の女と見分けが付かないほどで、妊娠出産こそできないものの性行為すら可能という画期的な代物だった。

 

 このガイノイドはサイバーダイン社の専用ホームページで自分好みの容姿を簡単に設定できる上に、値段が送料込みで10万円と、普通のパソコン並みの驚異の安さだった。

 

 勿論、彼女たちは安いからと言って質が悪いわけではない。自分好みの容姿をしているだけでなく、家事に優れ優しく気立てのよい理想的な女なのだ。

 

 そんなガイノイドがヒットしないわけがない。女尊男卑が世界的に広がる事に比例して、生身の女に失望した男たちは自分たちに都合のいい機械の女を求めるようになった。

 

 そうなると、割を食うのが女たちである。結婚率の低下は男に相手にされなくて結婚できない女の激増を意味していた。女尊男卑の風潮で得た権利を当然のごとく貪る一方でその悪影響を許容しようとしない彼女たちはその原因をガイノイドにあるとして、ガイノイドの規制を主張した。

 

 要は自分たちが男に相手にされないのは男たちがガイノイドに現を抜かしている所為で、ガイノイドがなくなれば問題が解消されるという短絡的な主張だった。勿論、表向きは結婚率の低下を是正する為と主張しているが本音は誰の目にも明らかだった。これには男たちは反発しており、各国では議論の的になっていた。

 

 

 

 さて、私とアイシャがこの『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』の世界に来てから数年が過ぎていた。この世界は魔法などはなく科学技術もそこまででなない上に、既に目ぼしい技術は監察軍によってとうの昔に解析済みになっていて、この世界の技術で得るものはない。それでもこの世界に来たのは、低コストなガイノイドの運用テストの為だった。

 

 私はリーラという理想的な人造人間のメイドを作ったが、正直リーラだけでは飽きてしまう。他にも綺麗な美少女メイドたちをたくさん侍らせてみたいというある種の欲があったのだ。

 

 しかし、戦闘用ならばともかくリーラのような人間そっくりなタイプとなると一人ひとり外見や性格などを調整しないといけないし、そもそもあのタイプの人造人間自体が生産に手間がかかり過ぎて量産には向いていない。

 

 勿論、監察軍では人間の女にそっくりなガイノイドは元々あるので別に一々開発する必要はないのだが、既製品を配備するだけでは芸がない。やはり、私たちの周りに侍らせるガイノイドなら私たちで開発しておきたい。

 

 そこで、簡単に製造できる人造人間として『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』のTOK715を参考にしたガイノイドを作ることにした。ここで女性型ターミネイターならT-Xもあるでしょうと思うかもしれませんが、あれは金属骨格を液体金属に覆っているから人間の女性に近くないんです。

 

 更にTOK715に使われる金属骨格のサイズを148㎝~168㎝と人間の女に近くしていた。それを生体細胞で覆う構造だからガイノイドの身長は150㎝~170㎝にされている。

 

 本来ならば身長は統一されていた方が生産性や整備性がいいが、流石にそうすると同じ身長の女がずらりと並ぶことになるから違和感がある。それでもパーツをなるべく共通させて生産性をよくするためにサイズが20㎝程度しか調整できないようにしていた。

 

 こうして生産準備は整ったので、『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』の世界で戸籍を手に入れてサイバーダイン社という企業を立ち上げた。そのサイバーダイン社を通じてガイノイドを運用テストをするつもりだった。

 

 この世界を選んだのは女尊男卑からガイノイドがニーズに合うと考えたからだ。本来ならばいくら外見と性格がよくても所詮は機械で作られた紛い物の女にすぎないガイノイドに傾倒する男は少ないだろう。だが、この世界の男は人間の女に幻滅している分、ガイノイドが受け入れやすいのだ。

 

 この戦略は的中してガイノイドは爆発的に売れたが、あまりにもヒットしすぎて女性から反発されて規制しようという運動まで発生してしまった。

 

 しかし、多くの男性がガイノイドに傾倒してしまっているのは、女性に問題があるからで、例えガイノイドが規制されても結婚率の低下はどうしようもないだろう。とはいえ、世の女権論者たちがそんなことを理解して反省できるようならばここまで問題になっていない。

 

 ぶっちゃけると、男が乗れないISに乗れるから女性が偉い、故に男は劣等で格下という歪な思想になっているのだから矯正しようがない。

 

 そんな連中であるが女尊男卑社会だけに声だけは大きく、その所為で世界的にガイノイドを規制する動きになっていた。その為、ガイノイドを製造販売する企業であるサイバーダイン社は倒産することになるが、別にそれはそれでかまわない。どうせあらかたの運用テストは終わっているからこのまま引き上げても問題ない。

 

 ちなみにガイノイドやその生産施設は『ターミネイター』世界における2027年辺りの技術をベースに多少改良している程度だった。その為、この世界では多少進んだ技術が使われているが、そこまで隔絶した技術ではないので、販売したガイノイドや生産施設を解析されても問題はない。ぶっちゃけると思いっきりローテクノロジーを改良して使っているにすぎないのだ。

 

 そもそも人工知能など最低限のハードさえあれば後はOSを工夫するだけである程度の事はできるのだ。元のTOK715でさえある程度人間らしくできるのだからOSを改良すれば理想の女性にすることなど動作もない事だ。

 

 私たちの周囲には美女美少女メイドたちが控えていて、もっと多くのメイドたちがソドムとゴモラに配備されているが、彼女たちは今回の成果といえた。今回の一件で多種多様な素晴らしい美女美少女のデータが集まったため、後はプログラムを修正して私の女として生産すればよかった。

 

 私の理想的な女はリーラであるが、他人の理想の女をたくさん侍らせるというのもいいものです。というか、私自身がいい女を一々考えて設定するのが面倒だったから、他人に大勢の女を作らせて、その中から気に入ったものを再生産したのだ。

 

 かくして、私たちはこの世界から引き上げた。その後、サイバーダイン社は倒産。放棄された生産施設は外部の人間に解析されたが、それほど得るものはなかった。確かにそれらの生産施設はガイノイドを生産するには優れていたが、世界的に規制されてしまった以上、それに意味はないからだ。

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