16世紀の日本は室町幕府の秩序が崩壊しており、各地の武士たちが群雄割拠する戦国時代に突入していた。私たちが向かったのはそんな戦国の真っただ中であった。
今回の目的は扶桑樹を植えた未開惑星に移住させる人を集めることである。何故そんなことをするのかというと、私たちはこの世界の魔法だけでなく妖怪、神霊、霊術といった幻想に興味があるので、原作の幻想郷以外で幻想を維持する場所を用意したかったからだ。
そもそも『東方Project』の世界では原始時代から江戸時代辺りまでは人間たちは神々に信仰心を持ち、妖怪を恐れていたが、明治になると文明の発達により信仰心よりも科学技術と情報が重んじられ神々は信仰を失い、妖怪が迷信と否定されたことで存在そのものが危うくなった。
それに対応する為、八雲紫を初めとする者達が幻想郷を博麗大結界で覆い、幻想郷という狭い世界の中で幻想を維持することに成功したわけであるが、これには少々問題点があった。
幻想郷は博麗大結界によって位相の異なる異空間に存在しており通常の方法では行き来はできないとはいえ日本国内にあるので、人間が地球そのものを巻き込んで自滅してしまうと巻き添えになってしまうのだ。
実際21世紀には地球上の人類を何十回と滅ぼせるだけの核兵器を保有するわけであるから自滅する可能性は低くはないし、それだけでなく、産業革命後の文明の急激な発達や世界人口の急増によって食料と資源の枯渇、地球環境の破壊が起こる。
これらは生態系と生存圏を破壊することを意味しており、人類が自滅するわけである。しかもその場合、人類だけでなくその他の生物や自然さらには地球そのものも無事ではないだろう。最悪の場合は地球が生物がすめない惑星になることも覚悟しなくてはいけない。
それらの点から幻想を保存するならば最悪のシナリオである地球崩壊にすら対応できるように太陽系とは別の星系にある地球型惑星に一部の人間と妖怪を移住させるというプランが確実性がある。まあ、私がそれを実行できるのは監察軍の技術力があればこそだから妖怪たちがそれができないのは仕方がないことだ。
さて、上記の理由から妖怪や神霊には信仰心と恐れが強い人間が必要なので明治よりも前の人間でなくてはいけない。また、統治が安定した江戸時代にそれなりの人間を移住させるとなると悪目立ちしすぎてしまうし、太平の世では故郷を捨てて新天地に移住する人間を探すのは面倒だ。
つまり、秩序が崩壊した混乱期が望ましい。戦乱に明け暮れた末法の世ともなれば民衆にとってこの上なく暮らしにくい国の筈だ。つまり、戦国の日本全土が混乱しているこの時期こそ移住者を集める絶好の好機なのである。
そうして人を集めを始めたわけであるが、思ったよりも簡単に人が集まった。手順としてはこの時代の日本は貧しいから適当に食料事情が悪い村に行ってレプリケーターを使って食料を大量に提供して奇跡を演出してやっただけである。
食うに困っていた彼らにとって何もない所から大量の食糧を食料を出した私は神仏のように見えたようで、ついでに魔術を用いて怪我人や病気人を治療してやると跪いて拝みだした。
やはりこの時代の人間は信心深いだけにちょっとした奇跡を見せてやると容易に上手く行くのだ。
その上で、戦乱や武士という支配階級が存在しない新天地への移住を進めると、あっさりと信じて移住してくれることになった。
ここで移住と言っても何も宇宙船で村人を移動させるわけではない。この世界の地球は高度な技術を持つ月人の監視下にある筈なので、いくらステルス機能に優れた監察軍の巡洋艦でも宇宙船で頻繁に行き来していたら発見させる可能性がある。
そこでアイテムボックスに収納しておいた転移門を出して、彼らを件の惑星に転移させた。この転移門は『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』のような異世界間を繋ぐ代物ではなく、あくまで同一世界の場所に人や物を移動させる転移装置にすぎない。
勿論、転移先では私たちの配下であるリーラとエーファ並びにガイノイド(TOK715)たちが彼らのサポートを行い、現地で生活基盤を築くという体制をとっていた。
またその一方で、この世界の陰陽師や巫女たちが使う術にも興味があったので、多額の金銭を使って陰陽寮からは陰陽術を、各地の神社からは祭祀や霊術の資料を閲覧した。
そのおかげで、この国の陰陽術や霊術に関しては大体入手できた。勿論、金で買収しただけなので本当の意味での門外不出の秘術は閲覧できなかったが、それに関してはそこまで必要でないので問題ない。
更に戦国時代だけに経済的に困窮して立ち行かなくなった神社に関しては神職(神主や巫女)だけでなくその神社でまつられている神ごと新天地にスカウトしておいた。具体的には監察軍の技術で神社ごと移動させただけである。
多少派手にやっているが、巫女たちにしても経済的に苦しいのはどうしようもないし、神にしてもこのままでは神社が潰れてしまうので新天地への移動を認めざるを得なかったのだ。勿論、移住後の彼らには十分に厚く対応していますよ。
ついでに各地を放浪する過程で出会った妖怪や妖精とかにも接触しており、それらを移住させたりもしています。
こうした、私の行動は豊臣秀吉が天下を握り戦国の世が終わるときまで続きましたが、それ以降は地球での活動を止めて引き上げました。
ちなみに戦国時代とはいえ日本で派手に動いたせいで、南蛮の妖術使いとして私たちの名が資料として後世に残ることになったのは余談です。