続・二人の魔女   作:ADONIS+

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34.滅亡

 西暦2202年現在、地球上に人類は存在していない。あまりにも唐突であるが、事実であるからそうとしかいいようがない。

 

 西暦2170年に資源枯渇までのタイムリミットが出たため、アーコロジー間の資源争奪戦争が勃発した。多数のアーコロジー間の争いにアーコロジーの富裕層だけでなく庶民まで巻き込まれてしまい大勢の死傷者が出てしまう。

 

 核兵器まで使用されたこの戦争ですべてのアーコロジーは崩壊しただけでなく、放射能により余計に地球が汚染されてしまったのだった。当然ながらそんな末期的な状況で人類が生存できるわけもなく、地球上の人類は23世紀を迎える前に滅亡してしまう。

 

 かくして地球は人類の壮絶な自滅によって見る影もなく荒廃してしまった。とはいえ、地球そのものが消滅しなかっただけまだマシだろう。最悪の場合地球を崩壊させる規模の大量破壊兵器の使用による自滅すら想定されていたのだから。

 

 

 

 外の世界である地球がこうなると幻想郷はどうなるかというと、当然ながら存在を維持できなくなって崩壊してしまっている。というのも、幻想郷を維持する【博麗大結界】と【幻と実体の境界】は、外の世界(幻想郷以外の地球)が無事であることが前提なので、地球が壊滅してしまうと維持できなくなるからだ。

 

 私たちは22世紀になって地球情勢の悪化から幻想郷の解体に乗り出していた。具体的には幻想郷の人間、妖精、妖怪、神などを扶桑国に移住させることだ。移住に乗り気ではなかった者たちも現状を理解すれば渋々ながら移住に同意したのだった。

 

 こうして扶桑国に移住した者たちであるが、彼らはそこまで困っているわけではなかった。一万光年も離れた惑星であるが、言葉は日本語であるし、文化や文明レベルも多少便利になった程度で大して変わりはない。むしろ妖怪はぶっちゃけると博麗大結界が展開される前の妖怪全盛期に戻ったわけで昔の黄金時代の再来とばかりに喜んでいる者が多かった。

 

 しかし、扶桑国は幻想郷のように厳しいルールを敷いて人間と妖怪の共存を図っていないためガチの殺し合いになってしまう。まあ、それも昔ながらの人間と妖怪の関係と言えるので、本来の姿に戻っただけなのだ。幻想郷の元住民たちも現在では扶桑国に馴染んでいた。

 

 ただ、蓬莱山輝夜はあくまで月に帰るのを嫌がって仲間と共に扶桑国に移住していたのは意外だったが、彼女からすれば今更月の都に帰りたくないのだろう。現在では八意永琳の医者としての仕事の利便性から人間の町に屋敷を設けて暮らしている。流石に幻想郷のときの利便性の悪さを反省していたのだろう。

 

 そして、妖怪といえば、八雲紫は移住作業が終えて自身も扶桑国の人里離れた山奥に移り住んで暮らしているという。情報によると幻想郷を解体する羽目になった事が相当答えているらしく落ち込んでいるらしい。まあ、これで元気いっぱいだと可笑しいから当然と言えば当然だが。

 

 八雲紫と私たちはいずれも妖怪、妖精、神などの保護を目的にしていたが、現在では私たちの計画の方が優れていたと誰の目にも明らかとなっているのも皮肉と言えるだろう。最も私たちの場合監察軍のバックアップがあるからこれだけの事ができたわけで、破綻したとはいえ自分たちの世界だけで幻想郷を作り上げた八雲紫たちの功績自体は評価されるべきだ。

 

 

 

 さて、そんな扶桑国は建国からすでに600年ほど立っているが、文明レベルは全く変化していない。それは妖怪や神の文明コントロールが上手く行っているからだ。

 

 彼らとしても地球では明治維新による文明開化以来の神に対する信仰の低下や妖怪に対する恐れがなくなってしまったから元々文明コントロールには力を入れていたが、地球が文明に頼り自然を壊して星を死に至らしめた所業を受けて余計に強化していた。

 

 つまり、文明を発達させかねない技術開発の禁止で、その手の技術を開発しようとする人間を弾圧していたのだ。勿論、弾圧される技術者にとっては理不尽なことだろうが、扶桑国の根本的な理念を守る為には必要な事なので情けを掛けることはできない。

 

 そういう意味では扶桑国もディストピアであるが、それでも22世紀の地球よりはマシでしょう。

 

 さてと、もうこの世界でやるべきことはない。扶桑国もいい加減私たちがいなくてもうやっていけるから、いつまでも大きな顔して関わるのは良くないでしょう。そろそろ次の世界にいくとしましょう。




あとがき

 今回は妖怪たちの楽園たる幻想郷がディストピアとなった外の世界(地球)の自滅に巻きまれて地球ごと滅亡してしまったという話です。ちなみに22世紀の地球は『オーバーロード』のリアルのごときディストピアとなっています(笑)
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