36.個人魔法(表世界編)
『転生したらスライムだった件』の世界から引き上げた私たちは『異世界はスマートフォンとともに。』の世界に来ていた。
私たちの魔法の才能は望月冬夜と同じく無尽蔵の魔力量、7属性魔法の全属性持ち、無属性魔法を使い放題という強力なものであるが、転生特典とこれまでの積み重ねを考えればそれも当然であった。
さて、この世界の魔法は個人の魔力、属性を引き出し、魔法名と効果をイメージして放出する技術である。習得には魔法書かスクロール(巻物)、他の魔法使いによる教授が必要であった。
物語の序盤に主人公はヒロインに魔法の教授をしてもらっていたが、私たちは今更他人に教授されるのは好まなかったので、いつもどおりに資金を調達して魔法書を購入して習得することにした。
魔法書はそれなりに高価な値段はするが、無属性魔法が書かれた魔法書だけはかなり安かった。やはり無属性魔法は個人魔法とも呼ばれるだけあって、同じ魔法を使える者はめったにいたいから実用品ではなくネタ扱いだから人気がないのだろう。
私ならこの世界の主人公のようにどんな無属性魔法だろうと魔法名と詳しい効果を知るだけで使えるようになったが、魔法書に書かれている魔法は【髪の毛が縦ロールになる魔法】【やたらと犬になつかれる魔法】【茶柱を立てる魔法】などといった使い道に困るものばかりで数ばかりは多い。
これでは主人公が使えそうな魔法を探すのが逆の意味で大変だったのが頷けるが、私たちなら魔法書の内容はすぐに把握して使える無属性魔法を選別することは簡単にできるので、大した手間にはならなかった。
今回習得した無属性魔法の中にはリカバリー、スリップ、アポーツ、プログラムなどそれなりに使える魔法もあるので便利といえば便利である。
この『異世界はスマートフォンとともに。』の世界は序盤は剣と魔法の異世界であるが、中盤からは異世界から襲来するフレイズという水晶の魔物が人間の脅威となりそれに対抗するためにフレームギアという人型ロボット兵器が登場したりして、混沌とした展開になってしまう。
ぶっちゃけると、『天空のエスカフローネ』や『ナイツ&マジック』みたいにファンタジー世界でも最初から人型ロボットが登場していて世界観に溶け込んでいたのならともかく、序盤は剣と魔法のファンタジー世界だと思っていたのに途中からSFみたく人型ロボット兵器が登場してくると違和感がかなりありますね。
言うまでもないが、原作の面倒事に首を突っ込むつもりなどないので、私たちは原作開始の百年前に来ていたので、主人公と鉢合わせることもないので好きなことができる。といっても主人公のように派手にやるつもりはなく、あくまで目立たないように知識と技術の収集と研究を行った。
その研究の一環としてスマートフォンの魔改造も行った。科学技術が遅れているこの世界では当然ながらスマートフォンの通信システムどころか携帯電話すらなかったが、後にスマートフォンが量産されて魔法アプリが配信されることになった。
この魔法アプリを使えば適性のなく使えないはずの魔法でされも使用できることになり従来の個人に才能任せの魔法が変革していたわけである。といってもその程度なら『魔法少女リリカルなのは』デバイスでもできることである。
また電波などの科学的な通信手段を用いない通信システムも『魔法少女リリカルなのは』で確立しており惑星どろこか別の次元世界間でも通信できていることを考えると別におかしなことではないが、それでも珍しいことであり、研究しておくに越したことはないだろう。
最も大規模星間国家であるブリタニア帝国では、超光速通信どころか別の世界とも通信できるのは当たり前なので同じ原作の世界でしか通信できない通信システムが必要でもない。だが、研究のネタにはなるのでやっておくことにした。
そんな微妙な研究を多少やった後、私たちはこの世界から引き上げることにした。