続・二人の魔女   作:ADONIS+

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※8は、『Dies irae』の世界が舞台になっています。


■Dies irae
8.永劫破壊(永劫回帰編)


 15世紀となったこの時期の地球近郊に宇宙船というありえないものが存在していた。これはいうまでもなく私とアイシャが乗っている監察軍の巡洋艦である。私は巡洋艦に何の隠蔽処置を施すことなく地球に降下していき、やがて日本のある僻地に降りた。

 

 この世界には覇道神と呼ばれる人間から成った唯一神が存在しており、通常ならばその手の神々がいる世界にはあまり目立たないようにするのだが、あえてこのような事をしたのは理由がある。

 

「……君たちは何者かい?」

 

 案の定この派手に行動に釣られて目的の人物が、この当代の覇道神メルクリウスが出てきた。パッと見ではただの人間の青年にしか見えないが、その力は見る者が見れば一目瞭然だった。さすがは覇道神の端末である。

 

「私はエリーゼ・ペルティーニ、そしてこっちが私の妹のアイシャ・ペルティーニよ。私たちは異世界から来たわ」

 

「異世界だと。そんなまさか……」

 

「信じられないかもしれないけど、私からは既知感を感じられないでしょう。それが証拠よ」

 

 メルクリウスの永劫回帰の法によりこの世界のあらゆる物は既知となっており、未知の存在など存在しないが、この世界に属さない異世界人である私は既知ではなく未知の存在となる。

 

「なるほどね。確かに私の世界に属さない者ならば未知だろうね」

 

「そうよ。そして私たちがこの世界に来たのは貴方と取引をする為よ」

 

「取引ですか」

 

 そんな私に怪訝そうにメルクリウス。私たちが異世界から宇宙船に乗ってド派手に来たわけですから、それもわからなくもありません。

 

 今回の目的はメルクリウスの永劫破壊(エイヴィヒカイト)などの魔術技術を得る事だ。勿論、あのメルクリウスがただでそれを教えてくれるわけがないから、メルクリウスにとって価値のある情報を売る事にした。

 

 そもそも『Dies irae』という作品は要約すると当代の神座であるメルクリウスがマリィを次代の神座にするために舞台劇で、その為に様々な仕込みをしているのだ。

 

 しかし、そうまでしてマリィを第五天にしても波旬が登場すれば台無しになってしまう。そんな結果はメルクリウスにとって極めて不本意な筈だ。だからこそ波旬の登場やマリィ亡き後の『神咒神威神楽』の情報は極めて高く売れるのだ。

 

 その予想通りメルクリウスは私の情報に食いついてきて、かなり良い取引になった。まあ、私たちが異世界の存在で技術を渡してもこの世界に影響を与えないというのも大きかったのだろうね。

 

 そんなわけで私たちはメルクリウスに聖遺物を見せてもらったり永劫破壊(エイヴィヒカイト)をはじめとしたこの世界の魔術を教えてもらった。

 

 結果的に言うとエイヴィヒカイトは確かに強力だ。活動、形成、創造、流出の四位階が存在して、西洋神秘思想における四層概念の名前が冠されているが、最後の流出に至っては覇道型のみ対応しており、求道型がその位階に至ることを最初から考慮していない。

 

 これは創始者のメルクリウスが最初から覇道神だけを求めていて求道神を除外していたことが大きい。その為、エイヴィヒカイトの位階を活動、形成、創造、太極に改めて求道神に対応させた。元々太極は続編の『神咒神威神楽』では流出が太極に変わっていたからね。

 

 また、エイヴィヒカイトを施された者は能力を強化するために人間を殺して魂を回収していかないといけない上に、魂の回収の為に慢性的な殺人衝動に駆られるようになるという問題点があり色々と問題があった。

 

 まあ、元がメルクリウスの永劫回帰の法を破壊する為に編み出された術理なのだから他の目的に使おうとすると不具合が出てくるのは当然だろう。その辺りは目的に合わせて改良していけばいい。

 

 例えば、エイヴィヒカイトに宇宙のタマゴを組み込むとかすればどうだろうか。一々魂の取り込むのは面倒だが、これならエイヴィヒカイトの契約者がいきなり太極に至らせることも不可能ではない。勿論、様々な改良が必要であるが、ちまちまやるよりもその方が手っ取り早いだろう。人間の魂を取り込むのではなく一つの人工宇宙を取り込ませるというのは我ながら豪快なアイデアだね。

 

 流石はメルクリウスというべきか彼から魔術を学ぶ事は非常に多く、200年ほど彼から教えてもらう生活を送ることになるのであった。メルクリウスにとっても未知の存在である私たちとの交流はそれなりに楽しめたようで、上機嫌で私たちと魔術に関して話し込む日々を過ごしていました。

 

 尚、メルクリウスは私から得た情報を元に第六天が誕生しないように手を打つだろうが、その辺りはどうでもいいでしょう。正直、私たちには関係ない。

 

 後、一応、この世界の並行世界にあたる『神咒神威神楽』の世界によって聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント )を回収しておいた。といっても私たちでは直接さわることもできないので、ロボットを使って回収したわけであるが、使い手を失ってなお凄まじい力を感じるだけにこの聖遺物は規格外だね。

 

 かくして、私たちは『Dies irae』の世界から引き上げたのだった。

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