須賀京太郎は彼女が欲しい   作:ファンの人

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14 彼の部屋にて

__部活を早退して遊んでいいのかなぁ

 

さてさて、やってまいりました須賀京太郎の家の前。

何の変哲もない一軒家…というには広すぎるが、豪邸とまではいかない、そんな大きめの一軒家。

彼女らの家はここまで広くないのであろう、感嘆の声を上げながらきょろきょろと辺りを見回している。

 

「うお、すっごい広いじぇ!」

「わぁ…庭にプールみたいなのありませんか?」

「ああ、それはカピバラ用のプールなんだ」

 

ワイワイと会話しながら門を抜け、玄関まで歩いている。

 

「え、カピバラ飼ってるんっすか!?」

「かわいいぞ!あとで一緒に遊ぶか?」

「おお!そういや言ってたじぇ!」

 

二人とも京太郎の家に上がれるのが楽しみのようだ、さっきまでのいざこざは忘れて楽しそうに会話している。

 

__ま、二人とも仲良くなれたようだし良かった良かった

 

そんな二人の様子を見て安心する京太郎、だが京太郎、それは少し違うぞ。

 

(こいつが変なことしないか見張ってやるじぇ)

(この人は目を離すとすぐに京太郎さんに絡むから要注意っす)

 

腹の内を探り合っているだけなのだ、というか、放っておくとお互い京太郎に絡みにいくから、会話しているのだ。

そんな状況とはつゆほども知らない京太郎、というかお前が原因だぞ京太郎。

 

「ちょっとお茶でも用意するから待っててくれ」

 

家に入ってリビングに案内するなりお茶を淹れに行く京太郎、雑用根性が染みついてるのか。

さてさて、彼はどこかへ消えて行ってしまった。リビングに残るは女子二人のみ。沈黙が続く。

 

「…京太郎のことはどう思っているんだじぇ?」

 

「ほえっ!?」

 

片岡優希、またしても直球勝負、これには東横桃子も驚きのあまり変な声を出してしまう。

 

「もしかして…好きなのか?」

 

単刀直入に聞いてくる。いつもは表情豊かな彼女が無表情でジッと目を合わしてきたのだ、その雰囲気に気圧されてか、はたまた単純に恥ずかしかったのか

 

「い、いえいえ!そういうわけじゃぁ…」

 

咄嗟に否定の言葉を発してしまう。が、

 

「ほう、なーんだそうだったんだじぇ、京太郎、残念だったな!」

 

__え?

__目の前の少女は今、何と言った?

 

「いや、この前話すようになったばかりなんだから、流石にそういうことはねぇだろ」

 

後ろから声が聞こえる、ずっと聞きたいと思っていた声、今だけは聞きたくなかった声。

血の気がサッと引く感覚が分かる、背筋に冷や汗が流れ、頭の中がぐちゃぐちゃになる。

さっきまでの楽しかった気分から一転、取り返しのつかないことをしたのではと思う東横桃子。

 

「い、いや、そういうことじゃなくて」

「いいっていいって、優希におちょくられただけなんだろ?」

「む、どこにそんなしょーこがあるんだじぇ!」

「普段の言動を考えてみろ!」

 

前言撤回しようとするもまともに取り合ってくれない。京太郎の中ではすでにそーいうことになっているようだ。

そんな桃子の心中はいざ知らず、楽しそうにじゃれ合う二人、そんな二人を見て胸がチクチクと痛む。

チラッと優希の方を見てみると、屈託のない笑顔で楽しそうにしているではないか。

 

__うぅ…あそこで正直に好きって言えてたら…

 

その通りである。あそこで好意を告白していたら、状況は全く違ったであろう。

片岡優希もそれを承知で罠に嵌めようとしたのだ、良いことではないが彼女もそれなりの覚悟はしている。

まあ、東横桃子は彼女に嵌められたとは思ってもおらず、ただの事故だと思っている。

 

__…いや、まだ誤解されただけっす!ちゃんと順序立てて好意をぶつけていったら大丈夫っす!

 

しかしこの少女、中々にポジティブなようだ、すぐさま切り替え気持ちを整える。

さてさて、どう挽回しようか、そう悩んでいると

 

prrrrr!

 

どこからか電話が鳴り響く。

 

「ん、私のか」

 

どうやら優希のケータイからのようだ。彼女は京太郎に一言断って離れると、サッとケータイを取り出して耳元に当てて会話する。

 

「なんだじぇ?…え?いまは…その…え!?そ、それは勘弁してほしいじぇ…」

 

なんだかとても焦っているようだ、彼女の額に汗が流れる。

 

「い、今から!?そ、それはダメ…え?いや話聞いてほしいんだじぇのどちゃん…わ、分かった分かった!すぐ戻るじぇ!」

 

慌ててケータイのポッケにしまうと、身支度をしながら

 

「すまん京太郎!ちょっと用事が出来たから行ってくるじぇ!すぐに戻る!」

「ああ、気を付けて行って来い、っていうか戻ってくる必要ないんじゃ…」

「あ、いってらっしゃいっす」

 

こう言い残し、ドタバタと玄関を出ていった。

 

__これは思わぬ好機っす!

 

その通りだ東横桃子、今は京太郎と二人きり、あんなことやこんなことを…

 

「あー、なにしよっか?」

 

しかし悲しい哉、京太郎は気を遣って桃子とは少し距離を置いている。これでは過激なことはできない。

とはいえ、何しよっかと提案してきているのだ、これを使わない手はない。

 

「そうっすね…なんかゲームとかしますか?」

「あー、ゲームなら俺の部屋にあるけど…」

 

__しめた!

 

「じゃ、じゃあ、京太郎さんの部屋で一緒にゲームしましょう!」

「お、おう、俺はまあいいけど、東横さんはそれでいいのか?別にリビングにゲーム機を…」

「いえ、京太郎さんの部屋でやりましょう!」

「お、おう」

 

鼻息荒くしてこう主張する。というかゴリ押しである。この食いつきようには軽く引く京太郎。

 

__ふふふ、狙い通りっす

 

この少女、彼の部屋に突入するための方便としてゲームをしたいと言い出したのだ。

少し引かれたものの、作戦通り部屋に入る口実を手に入れた桃子、さてさて階段を上がって彼の部屋へ。

京太郎が先に扉を開けて、部屋の中を見てみると、物は沢山あるものの、ある程度整理整頓されてある。

 

「ちょっと汚いけど、そこは勘弁してくれ」

 

苦笑しつつもそういうが、汚いとは全くもって思わない。むしろ生活感あって心地よいとも感じる程だ。

さてこの少女、念願のお部屋に入れた訳だがどう思っているのだろうか

 

__こ、ここが京太郎さんのお部屋…あのベッドでいつも寝ているっすよね…

 

うーん、まるで男子高校生が抱くような感想だ、欲望にまみれてやがる。

まあそれも仕方ない、そもそもこの少女は友達というもの自体少ないのだ。

ましてや異性との触れ合いなんてもってのほか、ちょっと優しくされただけでコロッといってしまったのもそのためである。

言うなれば、女子とほぼほぼ触れ合ったことのない中高一貫男子高校生とほぼ同じである。

さてさて、京太郎は何をやろうかとゲームをガサゴソと探している。桃子はなんでもいいっすよ、声をかけるも

 

ピンポーン

 

どうやら誰か来たようだ、インターホンが鳴っている。

 

「ん、優希が戻ってきたのかな?ちょっと待っててくれ」

 

そう言い残すと、彼は桃子を置いて部屋を出ていった。さてさて、これは思わぬ展開だ。

残された彼女はとある一点を見つめている、そう、ベッドである。

 

__ちょっとぐらいなら…バレなければ…

 

心の中でそう言い訳しつつも、ササっとベッドに移動して、ポスンとベッドに倒れこむ。

そして枕を抱きかかえると、深く息を吸い込んで、匂いを嗅ぎはじめたではないか。

 

__あ~、最高っす…

 

おいそこのステルス娘、それはいけない。性別が逆だったら完全に犯罪的風景である。

枕をさらに強く抱きしめると、なにやらモジモジしはじめる。これはもしや…いや、勝手な想像で話すのはよそう。

このままだとどこかにトリップしそうなステルスモモ、顔がなんともだらしないことになっている。

 

__一生このままでも…

 

中身もだらしないことになっていた、というか完全に変態である。ヤバい。

さてさて、状況を整理しよう。京太郎は今、来客対応しているのだ。つまりどういうことか

 

ガチャリ

 

そんな時間的余裕はないのである。

 

次に続く

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