前回までのあらすじ、ベッドでいそしむステルスモモ、突然の来訪者、さあどうする。
ガチャリとドアが音を立てる。
さてさて、東横桃子はベッドにて寝転がっているのだ。ちなみに布団もかぶっている。
もう時間がないというか、この一瞬のうちに平常に戻るのは物理的に不可能なのだ。絶体絶命のピンチである。
しかしこの少女、ただの少女ではない。
__ステルスモモ発動!
県予選決勝卓の時をはるかに上回るオカルトを発揮し、なんとなんと完全に姿を消したではないか。あの天江衣ですら驚愕しそうなほどである。
正確には、ベッドで寝転がってはいるものの、認識されない状態である。これなら京太郎にもバレずに済むだろう。
さて、そのドアから現れたのは快活なタコス少女、片岡優希である。やはり帰ってきたのかと思いベッドから抜け出そうとするが
「あれ?モモちゃん居ないじぇ?」
「トイレにでも行っているのでしょうか」
ああどういうことだ!なんと、京太郎さんではなく、あの清澄のおっぱいさんがいるではないか!これにはステルスモモ、大混乱。
それもそのはず、この彼女、原村和はステルスを当たり前のように見破った天敵である。つまりどういうことか
「あれ?東横さんはベッドで何をしているのですか?」
必然、見つかる。
またまた状況を整理しよう、ベッド上の布団の中からのそのそと出ようとしている東横桃子、それを見ている原村和、和の言葉で桃子を認識した片岡優希。
「えーっとっすね、これは何というか、溢れ出すリピドーを抑えられなかったといいますか…」
「ゆーき、どうします?」
「うーん、有罪だじぇ!」
裁判長片岡優希、とてもいい笑顔でサムズアップして、すぐさま有罪判決を下す。
仏の顔も三度まで、タコスの顔は一度まで、もう許すことは出来ないようだ。
すぐさま羽交い締めにする原村和。いつも大きいものをぶら下げているからか、思いのほか力は強い。
悪戯っぽい笑顔で近づく片岡優希、何やら手をワキワキしている。
ステルスモモ、頑張って逃げようと必死に抵抗するも、悲しい哉、ビクともしないぞこの女。
片岡優希はわき腹に手を添えると
「あはははっは!!や、やめ!」
勢いよくくすぐり始めた!どうやら脇腹は敏感なようだ、容赦なくくすぐり続ける。
脇をくすぐり、足もくすぐり、とりあえず敏感そうなところは全部くすぐる。
こういうのには弱いみたいだステルスモモ、ひたすらに笑い続け、たまに咳き込み、顔は涙と涎でぐしゃぐしゃだ。
彼女は暫く刑罰を受けるらしい。
はてさて、視点は変わって須賀京太郎。
「もー、京ちゃんはソファーでゆっくり休んでていいのに」
隣の魔王はふくれっ面しながら不満そうにそう溢す。
「そこまで体調不良じゃねぇよ、お前だけだと不安だし」
彼はお茶を淹れながらこう返すと魔王は更に不満そうな声を上げ、むーむー鳴き声をあげ始めた。
さてさて、リビングに茶と菓子を持っていくが、そこには二人の少女の姿が。
「いやー、すまんのぅ、突然押しかけてしまって」
「にしても須賀君の家って広いわね、庭も大きいし」
結局麻雀部が全員集合する形になったようだ。染谷まこは申し訳なさそうに礼を言い、竹井久はあたかも初めて見たかのような感想をあげる。
「三人家族にしては広いですよね、自分でも手広く感じることが結構あります」
「まあでも、こうやってたくさん入れるからいいよね!」
京太郎は謙遜なのかそう返すが、咲はどうやらこの広い家が好きなようだ。
「そういや、優希と和はまだ戻ってきてませんか?」
「そうじゃのぅ、上に行ったきり帰ってきてないけぇ」
「もしかして、須賀君の部屋を漁っているのかも」
この部長、こう悪戯っぽく答えて不安を煽る。これには京太郎も不安に感じたようで、一言残してサッと階段を昇っていく。
__まずい!漁られたら流石に見つかるかも…
彼も男子高校生だ、当然部屋には秘密がある。それは一体なんなのか、それを知るのは彼のみである。
さてさて階段を昇っていくと、なにやら笑い声が聞こえてくるではないか。
これには京太郎、人の部屋で何してんだあいつらは、と心の中で毒づいて、いそいそと自室にやってきた。
ドアをスッと開けてみると、そこにはベッドに腰掛けて笑っている片岡優希、息を荒くして横たわる東横桃子、そんな桃子に覆いかぶさる原村和。
なんとも百合百合しい、というか完全に原村ァが桃子を襲っているようにしか見えないこの様子。これには京太郎
__あ、やっぱ和って…
こう考えるのも仕方ない。一日ぶり何回目のレズ認定だ。
さて、京太郎が視界に入っているのは優希だけである。彼女は京太郎を見ると
「お、京太郎!どうやらモモちゃんはのどちゃんに盗られたみたいだじぇ!残念だったな!」
さらに誤解を促進させるようなことを言うではないか、これも計算のうちなのだろうか。
漸く気がつく原村和、直感的になんかマズいと思いすぐさま否定し始める。
「須賀君!?こ、これは違うんです、東横さんが須賀君の部屋で…」
「和、女子なら誰でもいいのか…」
「!?、違います!誤解です!誤解!誤解!誤解ですからっ!」
「いや、うん、そうだな、他人の趣味に口出しして悪かった、咲には秘密にしておくよ」
「誤解って言ってるじゃないですか!あと、なんでそこで咲さんが出てくるんですか!?」
さらっと巻き込まれる宮永咲、ドン引きしている須賀京太郎、これ以上になく慌てる原村和。
「ゆーき!一緒に説得してください!」
「そうだじぇ!のどちゃんは見境がないんじゃなくて、影薄めの娘が好きなだけだじぇ!」
「ゆーき!?」
片岡優希に助けを求めるも、ああ悲しい哉、勝手に性癖が作られていくではないか。
「ひ、ひぃ!わ、私はノーマルっす!」
東横桃子、レズッちに襲われてはたまったものではないと思い、ゾンビのように這いずり始める。
「和、いくら何でも双方の同意がないと犯罪だぞ!そういうのは良くない!」
「私もノーマルですよ!!」
「これは嘘をついている味がするじぇ!」
「ひぃぃ…」
京太郎が和を注意するという非常に珍しい光景を目の当たりにしているが、その内容はなんともカオス。
まあ、京太郎も流石に半分冗談気味に言っている。半分は本気だ。
和からすると、謂れもない罪で責められているからたまったものではない。どうしようかとアタフタしている。
「…分かりました」
「お、遂に白状するのか?」
何やら腹をくくった原村和、そんな彼女をニヤニヤと煽る優希、しかし彼女の回答は一味違った。
「私がノーマルということを証明すればいいんですね」
「ん?まあ、そういうことだじぇ」
「まあ、そういうことになるのかな」
「では須賀君」
「キスしましょう」
顔を真っ赤にして突然何を言い出すんだのどっちよ、いくらなんでもそれはおかしい。
「ちょちょちょちょっと待て!落ち着けのど」
「いいえ落ち着きません!さあ須賀君!いきますよ!」
「や、やめるんだじぇのどちゃん!」
「そうっす!そんなことはダメっす!」
完全に熱暴走しているのどっち、思考回路がおかしくなったのかやけにハイテンションでキスをしようと襲ってくる。
全力で抑えるは片岡優希と東横桃子、しかしそれでも完全には抑えきれない。おっぱいパワーは凄いぞ。
さてさて、ターゲットである須賀京太郎、二人がなんとか抑えているので逃げる余裕はあるものの、どうしたのやら動かない。
彼は何を考えているのか
__こ、このまま逃げなかったら、う、うまくいけば…
この思考である。まあ、和とキスできるチャンスとなって逃げる方がおかしいから仕方ないね。
口では嫌よ嫌よと言ってはいるが、内心ではこの有様、通りで全く動かない訳だ。
「離してください!須賀君!さあ、こっちに!」
「京太郎!早く逃げるんだじぇ!間に合わなくなっても知らんじぇ!」
「そうっす!このままだと襲われてしまうっす!」
「い、いやでも、もったいないというか…」
さて、この家には現在七人いるわけだ。そのうち四人はこの部屋にいる。
「ふん!」
「うわっ!」
「わわっ!」
残る三人はリビングに居る。
「ふふふ、捕まえましたよ須賀君」
「の、和、れれれ冷静になれ」
「私はいたって冷静です、ええ、では…」
が
「和ちゃん何しているのかな?」
「おう和、何をしとるんじゃ?」
「あら和、何してるの?」
そこでジッとしているとは限らない。
次に続く