そんなファミレスの奥の方、まあまあ奥のすいてるところに黄金に輝く髪を揺らして談笑している二つの影。
「最近オープンしたみたいですね、気づかなかった…」
「あ、エビフライもある!」
やや大きめの体を椅子に預け、周りを見渡しそんなことを呟く男性。
その対面にはその小さな体をメニュー表に隠しつつ、喜色満面といったようにそう言っている少女。
そう、彼らは絶賛デート中のお二人、須賀京太郎と天江衣である。
彼女はエビフライにタルタルソースが付いているのを見つけたようで、その小さな足をパタパタさせている。
__かわいいなぁ
そんなことを思うは京太郎、決してロリコンに目覚めたわけではない。母性本能に近い何かを感じている。
彼は普段から部員のお世話をすることが多いのだ、迷子の幼なじみを探したり、タコス少女の餌を作ったり、わがまま部長の頼みを聞いたり…
あれ?彼は高校一年生のはずなんだが…どうしてだろうか、貫禄は最上級生のような感じもする。
ま、そんなこんなで彼がこんな感情を抱くのも当たり前ではあるのだろう、誰かのお世話をすることを楽しんでる節もある。
「京太郎は何にするんだ?」
「うーん、じゃあ、この生姜焼き定食にしますかね」
「じゃあ、呼ぶぞー!」
彼はどうやらリーズナブルなのを選んだようである。最近は財布も厳しいしね、良い選択だと思うよ。
ささ、彼女は小さな手で勢い良くボタンを叩き、どこからかピンポーンと音が鳴り、店員さんがやって来る。
彼女はもちろんエビフライ、なんといってもエビフライ、サクサク衣のエビフライ、それ以外は論外である。
彼はやはり生姜焼きにするようだ、豚肉って美味しいよね!
「ドリンクバーはいかがなさいますか?今なら開店キャンペーンでお安くなっています」
「お、ホントだ、じゃあ頼みますか!」
「うん!」
なんとまあ運がいいことよ、なんとワンコインプラスするだけでドリンクバーが付いてくるなんて。
これには二人も即断即決、文句なしでドリンクバーをつけることに。
さあさあドリンクバーを付けたとしたらやることは一つ、
「コーラと…メロンソーダは安パイだな」
「オレンジジュースにカルピスを混ぜて…」
混ぜ混ぜするしかないでしょう。衣はオレンジにほのかに白みがかったジュースを、京太郎はなんか暗くて変な色のジュースを生成し始める。
そんなオリジナルドリンクを持っていき、お互いに飲み始める。
彼女は彼の飲んでいる物の色を見てはぎょっとするも、彼は美味しそうに飲んでいるので奇々怪々だなぁと思うに留める。
そのまま他愛のない話をしていると
「お待たせしました」
ようやく料理が運ばれてきたではないか、エビフライは黄金の衣を身にまとい、揚げたての匂いがほのかに香る。タルタルソースはこれでもかと言わんばかりについている。
生姜焼きも出来立てほやほやであろう、湯気立ちつつ、肉汁たっぷりといった様子で運ばれてきた。
どちらにも山盛りの千切りキャベツがついている、どこぞのコロ助のように忘れていたりはしていない。
「いただきまーす!」
「いただきます!」
どうやら二人ともペコペコだったようだ、テーブルに料理が乗せられるとすぐさま箸を手に取って、まずはメインディッシュにかぶりつく。
一噛みするとサクサクの衣の下からプリプリの身が現れ、濃いエビの味がし始める。それらを一つにまとめるタルタルソースがなんともまあ、程よいアクセントになっていてとても美味しい。
そんなエビフライを目いっぱい頬張る少女、まさしく有頂天外といったようだ。そのままどこかに逝ってしまいそうな勢いである。
そんな彼女を見つつ、生姜焼きとご飯を頬張る京太郎、生姜焼きも美味しい、美味しいのだが…
__エビフライ美味しそうだなぁ…
実を言うと、彼の好物はエビである。寿司屋いったらとりあえずエビ、エビがあったらエビ、エビが大好きすぎて親にエビになってしまうのではと心配された程である。
そんな彼の前で、サクサク出来たてエビフライを頬張るなんて…鬼畜の所業である、許せん!
ん?そんなに言うなら頼めば良かったのではって…?悲しい哉、エビフライは割高なのである。
しかし!そんな彼の思いが届いたのか、拈華微笑というものなのだろうか、よく分からないが
この小さな彼女はそんな彼の目をじっと見つめ、
「京太郎、そっちの生姜焼きも美味しそうだな!衣のエビフライと交換しよう!」
「へ?」
なんということだ、あの衣が、天江衣が、エビフライで物々交換を頼んできたではないか!
大好物であるはずのエビフライ、それを生姜焼きと交換だなんて、普通は行われないはず。
しかしはっきりとそう仰った、その豚肉と、海老を交換しろと言ったのだ。
「え、いいんですか!?」
「うん!ほら、一匹やるぞ!」
そう言って、ポイっとエビフライを京太郎の皿に放り込む衣、なんの躊躇いもなく行われるその動作には止めるタイミングもなく、気がついたら一匹置いてある。
これには京太郎も大喜び、そりゃもう狂喜乱舞ですわ、この時ばかりは年相応の関係性である。
さ、喜びの舞をしていた京太郎、ふと思い出し、忘れてはいけないとすぐさま生姜焼きを彼女の器に献上する。
漸く、おねーさんすることが出来た衣、さあさあこっからは年上の色気を出して京太郎を…
「あ、衣さん、ほっぺにタルタルついてますよ、ほらほら」
「ん?んん…」
…なんて出来るわけないか、どうやらまだまだ子供の扱いなのは変わらなさそうである。
そんな感じで楽しいお食事はゆっくりと、食べ終わった後もドリンクバーからお茶を淹れて一息ついて、外はすっかり暗くなった。
ここで京太郎は、もういい時間だなと思い、こっそりハギヨシさんにラインを送り、そろそろデートを終わらせようとする。
「もう暗くなっちゃいましたし、今日はここら辺にしますか」
でも彼女は
「いや」
「行きたいところがある」
まだまだデートを終わらせたくないようである。
次に続く
やや短くなってしまったのは、長くなったのを二つに分割したからというあれそれ…
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京ちゃんがエビ好きっていう情報をどっかから入手したので使ってみた。
なんでも、食べてる描写でエビばっか食ってるだとか…