須賀京太郎は彼女が欲しい   作:ファンの人

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38 七人目

「えっ…部屋は一つしか取れてなかったんですか?」

「そうなのよ、ホントにごめんなさい!」

 

とりあえず、偶然出会ってしまった他校は放っておいて、自分達の部屋に荷物を置こうとする彼女らであったが、どうしたのだろうか?何やら竹井久が謝っているではないか。

話によると、何かの手違いで部屋が一つしか取れてなかったようだ。唯一の男子である須賀京太郎はどうしたもんかと頭を悩ませている。

 

__流石に同室というわけには…

 

ま、思春期の男子である彼がこう思うのも当たり前である。というか誰だってそうなる。いくら仲が良いとはいえ、異性同士同じ部屋というのは厳しいものがある。

でも、ここまで来て帰るというのは論外…というか、彼が主役の合宿なのだ。彼がいなけりゃ意味がない。なんとか解決策はないものか…誰か名案を思い付けばいいのだが

 

「いやー、どうしましょうか?」

 

どうしようもないし何も思いつかないので、京太郎はあっけらかんとした感じでそう問いてみる。これで解決策が簡単に出てきてくれたら苦労しないのだが…

 

「え、同じ部屋に泊まるしかないでしょ?」

「は?」

 

__は?

 

解決策とは一体なんだったのか、そもそも問題すらなかったようだ。

…いやいやいや、それはおかしいぞ竹井久。思春期の男女が同じ部屋で寝泊まりするなんていかんでしょ。というか他の部員達がそれを…

 

「ま、それしかないのぅ」

「一緒にお泊りだね!」

「楽しみだじぇ!」

 

全会一致です、民主主義的に考えて同じ部屋に寝泊まりになるね!やったね京ちゃん、同じ部屋でイチャイチャできるよ!

と、いうように楽天的に考えられる彼ではない。着替えはどうすんだとか、なんとか反論を考えて、いざ

 

「いやいや、着替えとかどうするんですか?」

「いやまあ、京太郎が先に着替えてもらって、外で待ってもらう感じになるかのぅ」

「大丈夫だよ京ちゃん」

「細かいことは気にしなーい!」

 

反論したところでこんな感じにいなされる。こ、このままでは須賀京太郎がハーレム部屋を築き上げて…いや、どちらかというと彼は食われる側である。

このままでは、須賀京太郎が肉食獣ひしめく部屋に軟禁されてしまう!これが正しい表現であろう。因みに彼はその事実に気が付いてない。

さ、彼は頭を抱えて悩んでしまうが…そういえば一人だけ味方になりそうな部員がいるではないか。

そう!硬派なアイドル原村和である!彼女なら男女混合部屋なんて認めるはずもない、彼もそのことに気が付いたのだろう。すぐさま彼女に救難信号を

 

「和、流石にこれはマズいよな?」

「アリですね」

 

送った結果がこれだよ!何の役にも立たなかった、無表情で明後日の方向を見ながらそう呟くばかりである。

彼女の脳内では既に同じ部屋で一緒に彼と遊ぶ妄想が繰り広げられている。一応言っておくが麻雀合宿だぞ?

 

「さ、早く部屋にいきましょ!」

「っとと!急に引っ張らないでくださいよ」

 

そう言って竹井久は子供のような純粋無垢な笑顔で彼の腕を引きつつ我先にと部屋に向かって走り去る。

そんな二人を追いかけるのは四人の少女、それぞれ強い想いを胸に秘め、この合宿で何をしようとしているのだろうか。

この合宿、最初から波乱万丈の幕開けである。

 

~~~~~~

 

「おおっ!なかなかいい部屋だな!」

「かなり広いですね、六人でも十分ゆとりがありそうです」

「あ、仕切りを出せるから、これ使えば良さそうだね」

「そうじゃのぉ、とりあえず荷物をそれぞれまとめるけぇ」

「そうっすね」

「じゃ、わたしここねー!」

「じゃあ、俺はここにしますね」

「私はここにしようかな」

 

部屋に入るやいなや場所取りをし始める竹井、それにつられる形になって京太郎も場所を取る。この部長、彼が角を取るのを見越して先に角を取っておいたのだ。

その彼女の思惑通りに彼は隣の角を取り、空いてる隣を幼なじみがサラッと奪っていく。この二人、手が早い。しかしそうは問屋が卸さない。

 

「まて、折角じゃし、くじで決めようじゃないか」

「そうだそうだー!」

「そうっす!」

「そうですよ!早い者勝ちは不平等です!」

 

四人の少女の猛抗議、原村さんに至っては欲望がにじみ出てるというか…彼の隣がそんなに欲しいか。ま、ここまで言われると流石に妥協せざるを得ない。

民主主義的にも四対三で…あれ?いつから清澄高校麻雀部は七人になったんだ?少年が一人に少女が…六人?

 

「まったく、仕方ないわね」

「むー」

(和はそんなに咲の隣がいいのか)

 

そんな違和感に誰も気づかず、皆でせっせとクジを作り始める。京太郎は変な勘違いをしているが…彼女の夏の行動を鑑みると妥当な判断かもしれない。

というか、なぜ誰も気づかないのだ…そこに影薄めの少女が紛れ込んでるぞ!遂にこの少女もオカルトを利用して好き放題やり始めた!

頼みの原村和は…

 

(どうか、須賀君の隣になりますように…)

 

こんな感じ、くじに集中しすぎて周りが見えていないようだ。そんなお祈りしても確率は変わらないって分かっているのに、ついついしちゃうあたり可愛らしい。

そんなこんなで見事に潜伏しているステルス少女…でも何がしたいのだろうか?ちょっと内心を覗いてみよう。

 

__どのタイミングで連絡先を聞いたらいいっすかね…?

 

あらかわいい、ただ単に連絡先交換をしたかっただけらしい。てっきり寝込みを襲ったり、私物をこっそり拝借したりするのかと思ったが…そこらへんの良識はあったようだ。

とはいえ、何で部屋まで入っていったのだステルスモモよ。廊下で普通に声かけて、連絡先を交換すればよかったではないか。

 

__むむむ、楽しそうに話してて、声をかける隙がないっすね

 

もしかして、ずっとタイミングを計っていたのか?そしてそのままお部屋までついて行ってしまったのか?良くも悪くも彼女の特性だからこそ出来る芸当である。

確かに、誰かに声をかけるというのに慣れていないのであれば仕方ないかもしれないが…完全にストーカーである。自覚ないストーカーって一番タチが悪い。

っとと、そうこうしているうちにクジを引くようである。準備ができて、皆でクジを引き、そうして結果は…京太郎が角ではなくなったので、皆均等に近くなった。一番平和な結果である。

ささ、ひと段落したところで話しかけるチャンスがやってきたぞステルス少女よ、今にも肩に手をかけて話しかけようとするものの…

 

「あれ?どうして東横さんがいるのですか?」

 

通算二度目である。やはり天敵はこの少女、目的を達成しようとしているのにことごとく邪魔をしてくる。

 

「うおっ!?東横さんどうして…」

「むっ、モモって呼んでほしいっす!」

「あ、ああ、モモはどうしてここに…?」

 

まあ、そんな彼女の声によってすぐ隣に居た少女の存在に気付く京太郎、名字呼びを咎められ困惑しつつもそう問いかける。

周りの少女も彼女の存在に気付き、そのオカルトに軽く戦慄するも、すぐさま追い出そうと動き始める。

 

__えーい、こうなったらヤケっすよ!

 

しかしタダでは出ていかない、せっかくここまで接近しているのだ、どうせ追い出されるのなら好き放題してから出ていこう。

そんな発想に至ってしまった東横桃子、隣の彼に

 

「そ、その!連絡先教えてほしいっす!」

「え、ああ、いいぜ、ほい」

 

連絡先を秒速で教えてもらったのちに

 

「ありがとっす!」

 

欲望のままに思い切り抱きつく!その豊満な体を彼に摺り寄せ、超密着している。一ミリの隙間もない、なんなら足も絡めている。

欲望に溢れすぎだステルスモモよ!首筋に頭をうずめて匂いを嗅ぐな!完全に事案だぞ!

 

「」

「ちょ、ちょっとモモちゃん!京ちゃんから離れて!」

「そんなうらや…けしからんことはさせないじぇ!」

「東横さん、そこを代わってください!」

「和、心の声が漏れてるけぇ」

 

須賀京太郎、硬直。どうやら処理落ちしてしまったようである。やりたい放題しているモモのされるがままになっている。

おもちが胸板に押しつけられて変形していたり、なんか首筋に頭をうずめられてペロペロされたりしているが、彼にそれを認識することは出来ない。生ける屍と化している。

ま、記憶が残ってしまったら、それはそれで悶々としてしまって合宿どころではなくなってしまうので、これはこれでよかったのかもしれない。

 

「離れてください!またくすぐりますよ!」

「ひっ…いやー!」

 

そんな彼女をどうにか引き離そうとする四人、しかし脚も絡めてホールドしてしまっているので簡単に離れそうにもない。

原村和が脅してみるものの、効果がありすぎたようだ、レズッち事件を思い出し、さらに拘束が強まってしまった。

これではどうしようもない、誰か助っ人が

 

「こっちよ!」

「おい、モモ!こんなとこに居た…!?」

 

来た!保護者来た!これで勝つる!部長が連れてきた!流石だ部長!

やってきたのは加治木ゆみ、彼女の父親的存在だ。そんな彼女は失踪した東横桃子を探しに来たようであるが、ああなんということだ、可愛いモモがどこぞの馬の骨に抱きついているではないか。これはとても見過ごせない。

 

「ななな何をしてるんだ!さっさとモモから離れろ!」

「いや、東横さんをどうにかして引き離してください!」

「やだー!」

「ぐっ、どっからこんな力が出てるんだじぇ!?」

「ど、どうしよう…」

 

いや、なんというか、抱きつかれている方に離れろというのも酷な話ではないか?それと、そこの馬の骨は意識がないから何を言っても無駄だ。結局彼女が来たのはいいものの、特効薬というわけでもなく、力づくで離れさせることになってしまう。

流石に多勢に無勢、六人も入ればコアラのようにくっついている少女を離すことなど容易い、あれよあれよと引っぺがされてしまった。

 

「…は!?なんかいい夢見ていたような」

「お、意識が戻ったか」

 

お決まりのように意識の戻る京太郎、相変わらず何が起こったのかあまり覚えていない。モモが現れた近辺で記憶が途切れている。きょろきょろと辺りを見渡すと、おやおやもう一人お客様が増えているではないか。

さて、こちらは加治木ゆみ、そんな京太郎の様子を見て、モモに近づくなと一言ガツンとやってやろうと意気込むも

 

「加治木さんですよね?」

 

先に声をかけられる。これには少しばかり驚きつつも、冷静に対処して本題を伝えなければと心持ちを正すのは加治木ゆみ。

ささ、軽く返事をしてから警告しようとするも

 

「そうだ、す」

「あの!」

 

彼は彼女の言葉にかぶせるように

 

「俺に麻雀教えてください!」

 

こう言ってきた。

 

次に続く

 




いつもお気に入り登録等ありがとうございます!
感想も書いていただきありがとうございます!もっと書いて!

久々の更新になりました、最近忙しいので不定期更新になりますが、気長に待っていただけると嬉しいです!

普通に潜伏している東横桃子、オカルト勢の中でも何気に一番ヤバい気がする。
ゆみさんはカッコイイよね、そりゃ京太郎も憧れますわ。
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