須賀京太郎は彼女が欲しい   作:ファンの人

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3 部室にて

さてさて、ホームルームも終わり掃除当番でもないので部室に直行するのは須賀京太郎。今日は一段とやる気を出しているようだ。

 

__今日もネトマで特訓だ!この教本で学んだことを活かすぞ!

 

おやおやこの男、早速教本で学んだ成果を発揮しようとしてるらしい。しかしながら相手はネット。何故卓で打たないのだろうか?いや、打てないのだ。

彼が入って打つとなると周りは全員女子全国クラス、ぶっちゃけ男子インハイチャンプで漸くいい勝負になるレベル。しかし、周りも京太郎を虐殺して楽しむ鬼ではない、ある程度手加減はしてくれる。そのことが須賀京太郎を苦しめた。わざわざ手加減させるのが申し訳ないと思うのだ。別に彼女らはそんなの気にしないが、彼は中学校時代は体育会系だったのでそういう考えに至ってしまうのである。

 

__さてさて、今日こそは初段にあがるぞ!

 

そんなこんなで、彼はもう自分一人で練習する気満々だ。果たして彼が卓で打つようになるのはいつになるのか。そんなことを考えているうちに着いたのは部室前、その扉を勢いよく開けると

 

「おっ、おはようさん」

 

先にいたのは染谷まこ、二年生の広島弁メガネキンクリワカメっ娘である。彼女は中々に強かな女性であり、それでいて優しいというぐう聖っぷり。

 

「おはようございます!」

 

昼を過ぎてもおはようと言ってしまうこの現象、一体何なのだろうか?

さて、彼はそんな彼女に挨拶をして、パソコンに向かおうとするが…

 

「おう、もう練習し始めるのか?」

 

それを彼女に咎められる。いったい何だろうかと染谷の方を向くと、そこには美味しそうな饅頭とお茶がテーブルに乗せられていた。

 

「退屈な授業で疲れたじゃろ?とりあえず一緒に糖分補給をしようじゃないか」

 

この人、まさしく菩薩である。そんなこんなで意気揚々とテーブルに向かい、饅頭をかじる須賀京太郎。美味しい、と口に出し、そのままお茶をすする。そして一息ついてリラックス。そんな様子をみていた染谷まこ、我が子を見るかの如くの微笑みを浮かべている。ふと思い出したかのようにバッグをあさる京太郎、取り出したのは読んでいた教本、パラパラと開き読み始める。

そこにススっと近づく染谷まこ、なぜか隣に座る染谷まこ。それは近いぞ染谷まこ。

 

「ほう、麻雀の教本か」

 

そう耳元で呟かれる。

しかし彼は須賀京太郎、こんなシチュエーションは今朝体験したばかりである。さあさあ毅然とした態度で相槌を打ち、教本に集中するも

 

「おぬしはこのページとかを見た方がいいかもしれんな」

 

突然、グッと体を乗り出して、ペラっとページをめくる染谷まこ、少し密着する染谷まこ。こんなシチュエーションは経験していないが、ここは我らが京太郎、こんなものには何も動じず、さあさあ憮然とした態度で麻雀の教本を…

 

__や、やわらけぇ!これはもしや…!

 

なんということだ京太郎、染谷まこの控えめな胸部に反応して乱されてしまう。彼は巨乳好きではあるが、だからといって貧乳に興味がないわけではない、というかある。しかしだ、しかし!こんな少し触れたぐらいであわあわしているようではどうしようもない。

『そんな出来損ないのおもちに反応するなんて、失望したのです!』そんな声がどこからか聞こえてきそうだ。さてさて、そんな彼の心中を知ってるのか知らないのか、染谷まこはさらに身を寄せる。これには困った京太郎、しかし今の彼ならスッと忠告して麻雀にシフト…

 

__なんかいい匂いする…も、もうちょっとだけこの状態で、あと五分したら言おう。

 

しない!欲望に忠実である!

昨日の決心はどこに行ったのやら、煩悩まみれである。除夜の鐘はちゃんと聞いているのだろうか…。

さて、やや緑かかった髪が彼の首元をくすぐり、すこしこそばゆく感じる。それでも彼は忠告しない。それどころか、この髪を思い切りモフモフしたいとか考えはじめる始末。ふと彼女の方を見る京太郎、するとそっちを向いたのに気が付いたのか、目線をあわせ

 

「どうした?わしの顔になんかついとるか?」

 

少し上目づかいでこんなことを言ってくる、よくよく見れば見るほど端正な顔立ちだ、かわいい!彼の煩悩ゲージがマックスまで行こうとしている!いかん!このままでは告白してしまう!

 

__これ、行けるんじゃないか?

__いやでも、好きなタイプは『麻雀の強い人』

 

そうこう長考し始める須賀京太郎、そんなフリーズした彼を見て、不思議そうにコテンと顔を傾げる染谷まこ

 

__や、や、やってみるか?染谷先輩ならもしかしたら適当に答えただけってのもあるかも…

 

思い切って言葉を紡ごうかとした矢先!

ガチャリとドアが開く音!

 

「おっはようだじぇ!」

「おう、おはよう」

 

扉から飛び出してきたのはタコス、いやいや片岡優希である。

それに対し染谷まこ、すかさずドアの方に体をむけ、片岡優希に顔を見せてのご挨拶。

拍子抜けした京太郎、一拍置いてから挨拶しだす。

 

「おはよう」

 

この暴れん坊の片岡優希、京太郎とまこが密着しているのを目ざとく見つけては

 

「あー!なに密着しているんだじぇ!?そういうのはダメだじぇ!」

 

と言って、京太郎とまこの間にすかさずダイブ!これには両者ともに驚きを隠せない。

 

「私にも構ってダーリン☆」

 

艶っぽい声をだし、ウインクをしてアピールし始める片岡優希。そんな彼女に対し須賀京太郎

 

「誰がダーリンだ、ほらほら、どいたどいた」

 

一蹴である。それもそのはず、この片岡優希の日常的なスキンシップはこんなものである。ちぇー、と言いながら降りていく片岡優希。そんな彼女を見て元気じゃなと零し、饅頭をすすめる染谷まこ。

 

__さてはて、俺は一体なにをしようとしてたんだっけな?

 

なんということだ、鳩も驚くこの鳥頭、一歩も歩いていないのに大事なことを忘れてる。そんなモヤモヤ感をよそに、麻雀の教本を再び読み始める須賀京太郎。その横では片岡優希が興味深そうにこちらを見ていた。

 

次に続く

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