須賀京太郎は彼女が欲しい   作:ファンの人

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4 ソファーにて

さてさて、染谷まこは席を立ち、選手交代して片岡優希、火の玉ストレートが得意な速球派である。彼女はススっと体を寄せ、いや、抱きつき、彼の読んでいる本を覗こうとする。これに対し須賀京太郎、少しドキッとしつつもスッと見せてこう答える。

 

「麻雀の教本を読んでるんだ」

 

いたって普通の返答、そんな返答に対して片岡優希、こう答える。

 

「お、京太郎もやる気になったか!えらいえらい!」

 

返事自体はいつもの彼女とあまり変わらないが、付随する動作は一味違った。ナデナデである。このタコス娘、小さな体を必死によじり、なんとかして京太郎の頭に手を乗せ、撫でているではないか。それに対して京太郎、少し驚きつつも、どうだ凄いだろー、と適当に返して教本を読む。しかし止まらない頭の感触、小さな手が自分の頭を優しく撫でる。だんだんと意識がそっちに傾く。別に不快なわけではない、どちらかと言うと心地よい、いや心地よい。されど気恥ずかしさはある。

そう思った京太郎、思い切って声を出す。

 

「なんで頭をなでてるんだ?」

 

さあどう出る片岡優希、この純然たる質問に対し悪態をつくのか、はたまた…

 

「ん?京太郎が頑張っているから誉めてるだけだじぇ!」

 

「ほれほれ~、この片岡優希様のありがたいナデナデだじぇ!東場に強くなるぞ~!」

 

そう言ってナデナデをやめない、むしろヒートアップしている。スピードアップしている。こいつはまたからかっているのか…そう思いふと優希の方を見てみると、そこには純粋な笑顔。好意100%の笑顔。これには須賀京太郎も驚きを隠せない。いつもであればニヤニヤと笑っているのだが、今日ばかしは嬉しさがにじみ出たような笑顔。

 

「ほらほら、教本に集中できないからやめやめ」

 

「え~、つまんないじぇ」

 

そんな笑顔を見て逆に気恥ずかしさが増した京太郎、思わずナデナデを停止させる。これには片岡、落胆を隠せず、いじいじと饅頭を食べ始める。しかし、ここで終わるようでは清澄の先鋒は担えない、彼女はすぐさま次に移る。

 

「ん、そうだじぇ!一緒にこれで勉強するぞ京太郎!」

 

意地でも京太郎と絡みたいのか片岡優希、京太郎は教本を既に読んでるのだ、その提案はすこしおかしい。しかし彼はそんなことは気にもせず。

 

「おういいぜ」

 

という言葉と共に隣の少女にも見やすいように本を広げる。

このタコス、流石は清澄の先鋒、麻雀に関してはピカイチなもので、京太郎にあーだこーだ言って教えている。ただまあ、教え方が少し独特なので京太郎は困惑している。そんな様子の京太郎を見て必死に言葉を紡ぐ片岡優希、国語の勉強をしようと決心する。さてはて、そんなこんなで一つの教本を読みあう二人、はたから見るともはやカップル。知らぬは本人ただ二人、そんな二人を見つめる一人、染谷まこはここで動く。

 

「ほれ、そろそろ久たちも来るじゃろうし、準備するけぇ」

 

そう言って二人のお勉強を中断させ、卓を動かす準備をし始める。先輩にそう言われてたら拒否など出来ない、拒否する気は毛頭ない、動こうと二人とも立ち上がる。しかし不思議、あれ不思議、運動神経抜群であるはずの須賀京太郎、何かにひっかかりおっととよろめく。なにか掴むものはないかと右手を伸ばすがそこは虚空、ここまでかと諦める、しかし左手が何かに触れる。グッと引っ張られ、なんとかよろめく体を立て直す。ふと後ろを見るとなんとか引っ張っていたのであろう、少し後ろ体勢の片岡優希が

 

「だ、大丈夫か?」

 

心配したような表情でこちらを見ている。安否を確認する言葉も発している。

 

「ああ、大丈夫だ、ありがとう優希」

 

「良かったじぇ、京太郎が怪我したら私…」

 

すぐさま無事を伝える京太郎、片岡優希は安堵し少しうつむき何か言葉を紡ごうとする。

 

「…ま、無事でよかったんだじぇ!心配させやがって、このこの!」

 

しかしそれもすぐに飲み込み、いつものような明るい表情に早変わり。あの言葉の先はなんだったのだろうか。少し気になった京太郎、しかしわざわざ聞き返すほどではないと判断し、何事もなく準備を始める。しかしあの手の感覚、小さいながらも力いっぱい掴んでくれたあの感覚、その感覚に嬉しさを覚える京太郎。さてさて、ややしばらくして、部室に入ってくるは、我らが部長竹井久、魔王宮永咲、そしてアイドル原村和。ささ、今日も部活が始まる、そう思い気合を入れる京太郎。

 

__今日はいつもよりもいける気がする。

 

それは教本によるものか、はたまた少女のハンドパワーか、そんな予感が京太郎をつつみこむ。そんなこんなでパソコンに向かう京太郎、しかし後ろから声をかけられる。

 

「どこに行くんですか?須賀君はこっちですよ?」

 

振り向くと、エトペンを抱きしめた原村和が不思議そうな顔でそう言ってる。

 

__もしかして、卓で打てということなのだろうか?

 

京太郎、さあどうしようか。

 

次に続く

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