須賀京太郎は彼女が欲しい   作:ファンの人

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5 卓にて

さてさてここは麻雀部、自動卓があるのは当たり前。

しかしこの男、須賀京太郎は卓では打たない。実力不足、そう思い自ら避けているのだ。

そんな男にこの女性、原村和は卓で打とうと誘っている。やれやれと思い、須賀京太郎はこう発す。

 

「いや、俺はまだまだ基礎基本が出来てないし、ネトマでしっかり修行してくるよ」

 

そう伝えいそいそとパソコンに向かうと、原村和は口を開く。

 

「何を言ってるんですか?須賀君は十分なくらい基礎基本は出来てきていますよ。」

 

「え?いやでもたまにミスしたり、それで和に注意されるじゃないか」

 

「最低限の牌効率を考えた打ち方は出来ているので、卓で打っても平気ですよ」

 

「むしろ、須賀君は卓で打つ経験がなさすぎるので、卓でしっかり打ちませんと」

 

須賀京太郎はすかさず反論したが、原村和はその二倍の正論をぶつけてくる。これには言葉に詰まる京太郎。

周りの部員も、さあさあ卓につけと命令してくる始末。京太郎、これには抗えず恐る恐る卓につく。

そんな彼に対し、原村和

 

「とりあえず、この半荘は私が後ろで見てあげますね」

 

そう言うと、イスを引っ張り、京太郎の真後ろに座るではないか。

フワッといい香りがする至近距離、これには須賀京太郎、ドキドキする。

悲しい哉、たとえどれだけ脈無しと頭ではわかっていようが、こんなにかわいい子が後ろにいるだけで興奮するのが男のサガ。

 

「む、京ちゃん、デレデレしてないで早くやるよ」

「してねーし!」

 

顔が緩んでいたのであろうか、対面の幼なじみに注意され、須賀京太郎は思わず否定する。

彼からは後ろのアイドルの顔は見えぬ、はてさてどんな表情をしていたのだろうか。

そんなこんなでサイコロ回り始まりました東一局。須賀京太郎の手牌、すでにイーシャンテンである。

これには須賀京太郎思わず笑みが零れる。数巡後、スッと引いたのは泣き所だったカンチャンの牌、意気揚々と牌を曲げようとしたその瞬間

 

「待ってください、ここではダマで待ちましょう」

 

突然、ポソリと耳元で囁く原村、その声色はまるで天使のような優しい音色。それに対し須賀は背筋がピンとなる。

 

__うわ、うわわわわ、あわわわわ!

 

この男、この時点でこのざまである。それも仕方ない、一目惚れした程の相手が真後ろでこんなことをしてくるのだ。

原村和、そんな彼の心中を知ってか知らぬか、引き続きぽしょぽしょと耳元で囁いてくる。

しかし須賀京太郎、本日の須賀京太郎は一味違う、様々な試練を乗り越えてきたのだ、こんなところで揺れ動くような精神ではない。

 

__いや、落ち着け、和は純粋に俺に教えてるだけだ。

__そういうことはない、勘違いするな。無心で打つんだ。

 

そう自分を律すると、ただ卓上の牌だけに集中が行き、あれよあれよと和了を連発。この男、やればできる子である。

これには卓上のタコス、魔王、ワカメは大層驚いてるもよう。そんなこんなでやってきました南四局、京太郎は現在トップ。

いつもの彼であれば緊張しているであろうが、今日の彼は集中力が違うし、何より天使が後ろについている。

…いや、この須賀京太郎、物凄い集中のあまり、現在トップにいることに気がついていないのである。ただ牌を効率よく切るマシーンと化してる。

さてさてオーラスの牌が配られ、手牌を確認する須賀京太郎、その手牌、なんと萬子が11枚。

これには後ろの天使も驚きを隠せない。しかし、当の本人の須賀京太郎は

 

__染め手は苦手なんだよなぁ…

 

なんということだ、彼は染め手における切り方が苦手なのである。そうして萬子が来るたびに苦しそうに悩む須賀京太郎。

そんな彼を見かねたのか、原村和、グイっと身を乗り出して

 

「これはですね…こういう分け方をすると~」

 

懇切丁寧にレクチャーし始める。彼女の説明は理路整然としていて分かりやすい。

さてさて須賀京太郎、そんな彼女の説明を受けて、スッと牌を…

 

__おおおお!大きなおもちがががが!!

 

切れない!この男、おっぱい星人である。大きなメロンが背中に押し付けられたらこうなる気持ちは分からなくもない。

 

__こ、このまま分からないフリをすれば…ずっとこのまま?

 

しかし彼はあろうことか、分からないフリをして背中の感触を長く楽しもうという魂胆なのだ!

やれやれ、そんなことをしていたら後ろの天使も流石にイラつきを…あれ?

 

「何をしとるんじゃ、はよ切りんさい」

 

ここで染谷まこのインターセプト、余りにも時間がかかりすぎて痺れを切らしたのか思わず口をはさんでしまう。

 

「そうだじぇ!のどちゃんも京太郎にくっつき過ぎだじぇ!」

「っ!、す、すみません!」

 

我も続くと片岡優希、密着している原村和を指摘する。これには原村和も思わず顔を赤くして離れる。

ああ寂しい、背中にあった感覚はどこに行ってしまったのか、そんなことを思う須賀京太郎。

そんな思いと共に、最適解である牌を切ってみるが

 

「カン」

 

対面の魔王、突然の死刑宣告

 

「ツモ、嶺上開花」

 

ああ何ということだ、せっかく一位だったのに、あれよあれよとラス転落。いつもの定位置に逆戻り。

京太郎、ここで今のいままでトップだったことに気がつき、イスの上で暴れ回る。

そんな様子を見た魔王、昼の仕返しを果たせたからか、それとも別の理由なのかは知らないが、大層いい笑顔で笑っている。

他の面子は、惜しかったなと声をかけなんとか励まそうとするが、須賀京太郎、ついには力尽き真っ白に。

それを見かねた原村和、耳元でごめんなさいと呟き、ベッドの方へと運んでいく。

須賀京太郎、隣の天使に連れ去られ、ベッドに転がりそのまま意識をいずこに飛ばす。

残されたのは女子五人、それぞれ京太郎をほおって麻雀に集中し始め…?

どうしたのだろうか、中々卓が埋まらない。

 

 

次に続く

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