音もなくソファーに近づいた京太郎、五人で一体何をしているか気になるようだ。
その高身長を活かし、スッと上から覗いて見ると
息を乱し、服がはだけ、色っぽく上気している幼なじみの姿が!
これにはいくら幼なじみとはいえドキッとする京太郎。見てはいけないものを見た気分だ。
サッと目をそらそうとするが刹那、その幼なじみと目が合ってしまい
「きょ、京ちゃん?」
何ともまあ艶っぽい声色で名前を呼ぶではないか。
これには須賀京太郎といえども顔がかあっと熱くなる。
そんな声に反応した周りの四人、一斉にバッと顔を向ける。
「す、須賀君!これはですね…」
咲さんを抑え込みながら何か弁解をしようとする原村和。しかし京太郎、そんな言葉よりもあるものに意識が向く。
__うわ、おっぱいがグッと押しつけられてて…
そう、またもや胸である。原村和、宮永咲を抱きかかえるようにして抑え込んでいるのである。
故に必然的におもちが咲に押しつけられて、物凄く変形しているのである。
__咲!俺とそこを代われ!
ああ先ほどまでの感情はどこに、幼なじみと場所を代われと心の中で叫びだす始末、やはりおっぱいには勝てなかったよ。
「どこを見ているのかしら、須賀君?」
そこにヒヤリとする冷たい声が響く、ゾクリと背中が粟立つ京太郎。
ふと声のする方を見てみると、そこには目を細めてなにやら不満げにしている議会長が。
「まったく…おんしはまた」
「まーたのどちゃんのおっぱいに見とれていたのかこの犬は」
それに続いて呆れたような声が一つ、いつもよりも刺々しい声が一つ
ここで原村和、優希の言葉によりハッと気づいて慌てて胸を隠す。
原村和のにらみつける!須賀京太郎に効果はバツグンだ!たまらず彼は後ずさり。
おかしいな、いつの間にか四面楚歌である須賀京太郎、どうしてこうなった。
そんな彼に思いもよらぬ救いの手が
「きょ、京ちゃん、ちょっと手を引っ張ってもらってもいい?」
宮永咲である。彼女、どうやら腰が抜けて立てないもよう。
そんな彼女の頼みを聞き入れ、スッと彼女の手を取り、パッと引っ張り立ち上がらせる。
しかしどうやら歩けない様子の魔王、そんな彼女を見かねてか、須賀京太郎は抱きかかえるようにして小柄な彼女を連れ運ぶ。
そしてそのまま扉の方へ、ガチャリとドアを開き、廊下の方へと運び出す。再びガチャリと音がたつ。
さてさて残されたのは女子四人、ポカンとしながら扉を見つめる。
「…なんで外に出たのでしょうか?」
純粋な疑問を声に出す原村和、皆もそう思っていたのであろう、うーんと言って頭を捻る。
たしかにあの二人、ほぼほぼ声を交わさずにスッと外に出たのだ、何が起きたのか分からない。
「もしかして、デートに行ったんじゃ…」
ここでタコス、まさかの推測を打ち出す。普通の状態であれば一蹴されるようなトンデモ意見、しかし今は普通ではない。
「なっ!そ、そんなことありえません!」
「いやでもあの二人のことじゃしあり得るかも…」
「ええ、もしかしたら平然とどこかで…」
明らかに動揺する三人、あまりの出来事に混乱しているもよう。
やんややんやとあることないこと推測し、好き勝手言い合っていると
ガチャリ、またまた音が鳴る。
ドアからはお馴染みの二人、渦中の二人、宮永咲と須賀京太郎が姿を現す。
「何処に行ってたのかしら?」
その二人にすかさず言葉を投げつけるのは竹井久、先ほどまでの動揺は完璧に隠している。
「あ、えーと、その…」
「お手洗いに連れて行ってました」
「きょ、京ちゃん!」
言葉を濁す咲を横目に、はっきりと伝える京太郎。少し恥ずかしいのか、そんな京太郎に文句を言ってる宮永咲。
なるほど、トイレに行っていたのかと納得する四人組。そのまま話はお流れに、とはいかない
「あれ?どうして咲さんがお手洗いに行きたいことがわかったのでしょうか」
「たしかに、あの時咲ちゃんは一言もそんなこといってなかったじぇ!」
そう、思い返せば何も言葉を発さずに、スッと外に連れ出しているのだ。これには四人とも不思議に思う。
「ああ、なんというか、あの場面でわざわざ起こせと頼むなんて、そういうことかなって」
「ちょっと京ちゃん!もういいでしょ!」
なんとなんとこの須賀京太郎、長い付き合いもあってか、幼なじみの思考原理はマルっとズバッとお見通しという訳だ。
「ふーん、そうね」
「ほうほう、咲ちゃんの考えることはお見通しという訳か!」
「なるほど…そうですか」
「なんじゃ咲、普段からお手洗いに連れて行ってもらってるということか?」
そんな返事にどこか不満げな竹井久、感心する片岡優希、なにやら考え始める原村和、魔王をからかい始める染谷まこ。
そんなこんなでまたまた部室は騒がしくなり、卓を囲み始め、やれやれ日が暮れてしまった。もうすっかり辺りも暗い。
そろそろ皆も帰る頃、戸締りをして、忘れ物がないか確認して、それぞれ帰路につきはじめる。
皆がそれぞれ別れを告げて、別々の道を辿ってく。
さてさてこの男、須賀京太郎、自宅に着き、自室に入るや否や荷物を放り投げベッドにダイブ。
__今日も楽しかったな
どうやら一日の出来事を思い返しているもよう。
__なんだか役得な一日だったな
やれやれ、彼も健全な男子高校生、そう思うのは仕方がない。
さて、リビングからは飯が出来たと母親の呼び声が聞こえてきた、彼は勢いよくベッドから飛び降り自室を飛び出す。
彼の一日はまもなく終了するであろう。
次に続く