須賀京太郎は彼女が欲しい   作:ファンの人

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8 唐突な

さて、晩飯を食べ、カピバラと戯れ、風呂に入り、リビングにてくつろぎ、歯も磨き、あとは寝るだけとなった京太郎。

彼は親におやすみと声をかけ、自室に戻り、すぐに寝ようとするほど疲れてはいない。

彼はまだまだ15歳、11時は寝るには少し早いもよう。さてさてここで暇つぶしに何か読もうかと辺りを探す。

ふと目についたのは麻雀雑誌、そう、昨日のトラウマの元凶である。

改めてパラパラと開くと、やはり目に付くのは好きなタイプの質問。隅っこに書かれているのだがやけに目に付く。

 

『麻雀が強い人がいい』

 

何度見ても、どう見ても、逆さまにしても、やはり変わらない文字列。大半の麻雀少女はかく語りき。

 

__どう見てもそうだよなぁ

 

須賀京太郎、彼はとても素直なようだ。雑誌の端のコメントをも純粋に受け止める。

そんな彼は鈍感ではない、むしろ思春期なのだから敏感と言っても過言じゃない。

同じ部活の彼女らとは精神的にも身体的にも距離が近いことには気づいている。

 

__やっぱ、ただの友達として見られているのかな

 

だからこそ、ワンチャンあるかもと思い情報収集し始めたのだが、初っ端からこの有様。

ああ何故そんな信憑性の低いソースを信頼するのか、もっと身近なとこから聞いていけばいいのに。

 

__まあ、警戒されてるよりかは遥かにマシだな

 

これはポジティブを言うべきなのか、ネガティブと言うべきなのか。

 

__でも、彼女欲しいよなぁ

 

それでもこの男、彼女が欲しいらしい。身近な女性は脈無し濃厚と思いつつも、それでも彼女が欲しいらしい。

確かに華の高校生活、彼女と付き合い甘酸っぱい青春を送ってみたいと思うのは分かる。

彼はその幻想をかなぐり捨ててまで、麻雀に打ち込む覚悟は出来ていないらしい。

所詮、昨夜の決意もショックのあまりの自棄にすぎぬ。冷静になって考えてみるとそんな状態で麻雀だけに全てを捧げれるだろうか。

 

「はぁ…」

 

思わず溜息が漏れる。らしくない思考をしたからだろうか、疲労感がドッとのしかかる。

ささ、考えてもしょうがない、寝るかと思い、携帯を確認したその時、何やら一通のメッセージが。

 

__同じクラスの女子からだ

 

特に用件が思いつかない京太郎、何ぞやと思い内容を見てみると

 

『明日の朝、時間空いてますか?』

 

特に何も用事はない京太郎、とりあえず空いてる旨を伝えると

 

『旧校舎の裏に○時に来てくれませんか?』

 

京太郎、察する。

 

__え、ええ!?これって、もももしかしてそういう…?

 

十中八九そういうことだ京太郎、相手はクラスメイトの女子である。中々に活発的だが女性的な面もあり、とてもいい子である。

 

京太郎、無意識的にいいよと返事をし、オーバーヒートした頭でふらふらと自室を徘徊す。

 

そのままベッドにダイブして、布団に入り、気がついたら朝になり、飯を食って、いつの間にか校舎の前だ。

 

この間、ちゃんと八時間、されど体感一時間。ろくに考えもまとまらぬまま旧校舎裏にフラフラ向かう。

しかし京太郎、良かったではないか、念願の彼女が手に入るぞ、しかも相手はかわいいぞ。

だがこの男、その表情は決して明るいものではなく、顔には翳りが見える。

さあやってきました旧校舎裏、お相手はもう既に待っている、そわそわと何か落ち着かない様子である。

それに対して須賀京太郎、いつも通りの軽い感じで現れる。先ほどまでの翳りは見えない。

その女子生徒、一拍置いて決心したかのような顔をして、京太郎に対しこう発す。

 

「前から好きでした!付き合ってください!」

 

この女子生徒、なかなか男らしい告白をする、それも不器用な男子のような。

それに対して須賀京太郎、言葉も濁さずはっきり返す。

 

「ごめん、付き合えない」

 

その女子生徒、この言葉を聞き、なにやら諦めたような表情でこう言う。

 

「やっぱり、麻雀部の中に好きな人がいるの?」

どうやら元から玉砕覚悟だったらしい。溢れんばかりの想いを伝えるべくして告白したもよう。

 

「まあ、そんな感じなのかもしれない」

 

須賀京太郎、何やら曖昧な言葉を返す。

この女子生徒、そんな言葉で何かを察し、まあ良い子ばかりだもんね、と俯きながら呟く。

そしてパッと顔を上げて、これからも友達でいようね的なことを言い残し、サッと走ってどこかに消える。

残されたのは京太郎ただ一人、壁に寄りかかり、深呼吸して、心臓を落ち着かせ、大きなため息を一つ。

 

__そういうことなんだろうな

 

どういうことなのだろうか、知るのは本人だけである。

さて須賀京太郎、何やら決心したのだろうか、よしっ!っと勢いよく声を出し、校舎の方へと歩み始めた。

 

次に続く

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