バカとお酒とダイビング   作:群武

34 / 35
お久しぶりです?
現実世界で色々騒がしいのでこちらの世界に逃げてきました。


33杯目

ー明久サイドー

ケバコ「ちょっと〜どこ行ったのよも〜!信じらんない!」

 

そう言いながら多種多様な化粧品で素顔を隠した女性が通り過ぎていく。

それを確認出来るまで伊織と耕平はスーパーボールすくいを、僕はヨーヨー釣りをして時間を潰す。

明久「せっかくの誘いを断っても良かったの?」

 

伊織「そうだぜ耕平。お前がリアルの女性に相手されるなんて奇跡だぜ?」

 

伊織の言い草は酷いがフォローする言葉が見つからない。

 

耕平「ああいう輩は苦手なんだ」

 

確かに耕平は女性全般苦手だよね。

最近やっと古手川さん姉妹と目を合わせて話せるようになってきたくらいだもんね。

それに見た目はかなりの美形である耕平は中身がヲタクで3次元の女性に幻滅してるみたいだし。

 

伊織「取り敢えず奴はどっか行ったから戻るとするか」

 

明久「そうだね。脅しに使えるようなネタは無かったけどティンカーベルにも面白い人が居ることは知れたもんね」

 

耕平「今のうちに平和な文化祭を楽しまないとな」

 

確かに入学してから授業以外の時間のほとんどが先輩たちと一緒に行動していた為、お酒・野球挙・お酒・ウォッカ・ウィスキー・スピリタスの割合でお酒を飲んでいたので服を着て素面で居れる今は平和と言って過言ではないよね。

 

伊織「たまにはこういう日もいいな」

 

伊織は先程すくったスーパーボールを10個ほどジャグリングして、耕平はららこたんのスーパーボールを覗いて癒されていた。

 

明久「まさか、お祭りでまともな格好して出歩けるとは思ってなかったよね」

 

耕平「お前のその格好はまともなのか?」

 

伊織「言ってやるな耕平。明久にとってはメイド姿が正装なんだから」

 

しまった!馴染みすぎていて忘れていたけど僕はずっとメイド姿なんだった!

いつになったら僕はまともな服を着れる日が来るのだろうか…

 

明久「それにしてもせんぱ…」

 

僕は言葉の途中で嫌な気配を感じた瞬間咄嗟に走り出す。

 

伊織「どうした明ひ…」

 

耕平「いきなり走り…」

 

2人の声を無視して僕は迫り来る絶望から逃げる。

 

時田「伊織に耕平じゃないか」

 

寿「いいところに来たな」

 

時田先輩と寿先輩の声が伊織達の所で止まる。

どうやら2人は逃げきれずに捕まったらしい。

僕は2人のおと…尊い犠牲を無駄にしない為に走り続ける。

友を犠牲に逃げるのは2年生の時に行った学力強化合宿依頼かな?

あの時は相手が鉄人を含めた先生達だったので最後に呼び出されたけど今回は逃げ切れるはず!

 

伊織「明久があっちに逃げました!」

 

耕平「奴は今メイド姿です!」

 

な!?

2人は自分達が逃げ出せないことを感じとるや否や僕が逃げ出した方向と姿を知らせ捕まえさせようとする。

しかし、この人混みの中これだけ距離を取れば逃げ切れる!

僕が文月学園で命を削って身につけた逃走術。

その経験と自信が一瞬の油断を招いてしまう。

視界の隅から僕の脚を狩るように肉の塊が飛んでくる。

僕は咄嗟に手を肉塊の背に着き飛び越える。

 

明久「何!?」

 

僕は飛んできた肉塊を確認するために振り返ろうとする。しかし、背筋が凍るような殺気を感じ取り着地の勢いを殺さずに右方向へ方向転換する。

その直後、僕がさっきまで立っていた場所にスーパーボールが着弾する。

先程の肉塊の中にスーパーボールが飛んでくると流石に逃げきれない。

僕は逃げ切れる方法を探す為に周囲へ視線を向けた瞬間驚愕する。

何故かと言うと、四方八方から先輩達に負けず劣らずの肉体を持った集団に囲まれていたからである。

 

明久「(伊織のスーパーボールはここへ誘き出す布石だったのか!)」

 

僕が伊織の作戦にまんまと嵌められた事に気づいた時には筋骨隆々でスキンヘッドの暑苦しそうな男性に羽交い締めにされていた。

その筋骨隆々のスキンヘッドに近づいてくる時田先輩。

 

時田「どうだ。うちの1年は?」

 

スキンヘッド「活きのいい奴らじゃねーか。ラグビー部に欲しいくらいだぜ」

 

どうやらこの筋骨隆々の方達はラグビー部で先輩の知り合いらしい。

どうりでさっきのタックルといい、いつの間にか囲まれていた連携といい納得が行く。

 

明久「って!納得出来ませんよ!一体僕になんの恨みがあってタックルされなきゃ行けないんですか!?」

 

スキンヘッド「?特に恨みはないが?」

 

何故この人は、僕にタックルを食らわしながら一切の罪悪感を感じていないんだ!?

しかもあんな事をしておきながら純新無垢な少年のような瞳で僕を見れるんだ?

 

伊織「まぁ、そんな怒るなよ明久」

 

耕平「そうだぞ。はい吉井」

 

明久「あっ、ありがとう」

 

時田先輩の後ろから近づいてきていた伊織と耕平からジョッキを手渡される。

ジョッキは丁寧に冷やされていた為かキンキンに冷えているが無駄な水分が着いていない。

準備段階からかなり気を使ってたのかな?

って!伊織と耕平は今の状況に馴染んでるの!?

僕が状況に混乱している間に先程まで何も入ってなかったジョッキには黄金比である液と泡が7:3で注がれている。

 

明久「って!何注いでるの!?」

 

伊織「見たら分かるだろ?ビールだよ」

 

さも当然と言いたげな表情で返す伊織。

 

明久「僕が聞きたいのはそういう事じゃなくて!」

 

伊織「せっかくのビールが温くなるぜ」

 

明久「あっ、そうだね」

 

僕は伊織に言われるがまま手に持ったジョッキを一瞬で空にする。

うーん!やっぱり運動後のビールは格別だね!

 

スキンヘッド「ほぅ、いい飲みっぷりじゃないか」

 

明久「ありがとうございます」

 

僕は痛いくらいの力で肩を叩いてくるスキンヘッド先輩に会釈をする。

 

スキンヘッド「その飲みっぷりを見た感じ結構いける口か?」

 

スキンヘッド先輩は嬉しそうな表情で僕と伊織の肩に手を置く。

やけに手に力が入ってる気がするけど気のせいかな?

 

伊織「そりゃ、あの先輩達と毎日飲み明かしてますからね」

 

明久「先輩達にだって負けませんよ」

 

未だに肩に置かれた手は気になるが、あえて無視をしながら話を続ける。

僕達は入学してから約1ヶ月間毎日先輩達と飲み明かしているのでそこいらの人には負ける気はしない。

それにしてもさっきからずっと気になってたんだよね。

それに対して同じ事を思ったのか僕が聞くよりも先に耕平が口を開く。

 

耕平「所でその樽は?」

 

スキンヘッド「ん?ああ、これは販売用にレンタルしたんだが手違いで少し数がズレてしまってな」

 

先輩の後ろには20Lは入ってそうな樽が10個並んでいた。

発注し過ぎたにも限度があるのでは?

僕はそう言いかけたが誰にでも間違いはあると思い口には出さなかった。

 

伊織「実際はどれくらい頼む予定だったんですか?」

 

スキンヘッド「ん?あー、20Lを クシュン じゅっ個発注する予定だったんだがな」

 

くしゃみで本当の数を聞きそびれてしまったがろくな数では無い事が分かったので僕は敢えて聞き直すことはしない。

 

伊織「それで先輩達は俺達を捕まえてどうしようと?」

 

そう僕達が本来聞きたかったのはこのことである。

一体どういう要件があって僕はタックルをされなくてはいけなかったのか。

納得のいく説明を貰わないと気が済まない。

 

スキンヘッド「発注し直した分が後で来るからこれは今のうちに飲んでおこうと思ってな」

 

明久・伊織・耕平「「解散!」」

 

納得のいく説明?そんなの僕達の平和に比べれば不純物でしかない!

僕と伊織は肩に手を置かれた状況から脱する為にお互いが交差する様に走り、拘束を外す。

その勢いのまま3人とも別方向へ逃げる。

 

時田・寿・スキンヘッド「「逃がさん!」」

 

僕達は幸せなを守るために決死の逃走劇を始めると同時に平和の終わりが刻一刻と近付いている事から目を逸らす。




最後まで読んで頂きありがとうございます。
ついでにコメントとかしてくれるとめっちゃ喜びます。
基本的に話が出来たら直ぐに投稿してるので矛盾があったりするかもしれないのでその時は報告して貰えると有難いです。

本作に出して欲しいキャラ※やってみたかったのでやってみます

  • 久保くん
  • 玉野さん
  • 根本くん
  • 清水さん
  • 鉄人又は高橋先生かババ長

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。