群武です。
前回の投稿から約4年が経過し、オリンピック感覚で投稿することができました。
今回から台本調から小説を意識した書き方にはしましたが、読みにくければ戻します。
ー明久サイドー
僕と伊織と耕平の3人は先輩達との顔合わせという名の激闘を終え、屋台への帰路へ着いていた。
「何で俺たちだけ筋肉マッチョの先輩達とお酒を飲まなきゃいけないんだ」
身ぐるみを剥がされてパンツ1枚になった耕平は何故か未だに持ち続けているスーパーボール(ららこたん以外)を握りつぶす勢いで掌に力を入れる。
「珍しくその意見に同意だな。学園祭と言えば雰囲気とお酒に酔った可愛い女の子とお近づきになれるチャンスだっていうのに…」
伊織の言い分にウンウンと首を縦に振る耕平。僕は2人と違い高校2年生の時、お酒を飲んでしまった姫路さんと美波にやられた事を思い出し、少し体が震える。
「何だ明久?服を着てるくせに寒いのか?」
「体を温めるにはアルコールが1番だぞ」
僕が震えているのは気温のせいではないが、この2人にあの時の状況を説明すれば命はないだろう。そんな事を思いながら僕は耕平から差し出されたウォッカを受け取り、流れるように伊織の口に突っ込む。
「おい明久!何しやがる!」
「ついうっかり」
僕はお酒を持った手とは逆の方で「てへへ」と頬をかく。
その反応が気に食わなかったのか伊織は僕の手からお酒を奪おうと手を伸ばすが、奪われるより前に耕平の声で制止される。
「おいバカ2人。あれ」
そう言って指が刺された方を見ると僕たちの屋台が目に入る。店番をしているのは古手川さんと梓さんの美人2人組。客寄せの狙いもあったが見た感じお客さんは2人だけしかいない。
「あっ着いたんだね」
「違うバカ」
「ん?」
いきなりバカと言われムッとなるがよく見るとお客だと思っていた2人はやけに馴れ馴れしく話しかけていた。
「それでどう?」
「うちのテントに来ない?」
会話の内容が聞こえた瞬間、隣にいたはずの伊織と耕平の姿はなく眉間に皺を寄せ、こめかみには青い筋を浮べながら2人組の肩に手を置く。
出遅れた僕が合流した時には話し合い(?)が決着したのか耕平が盛大に塩を巻いていた。
「ところで何があったの?」
結局話の内容を聞き取れなかった僕は一体何があったのか伊織に聞く。
「ゲス野郎共が俺たちの夢を叶えようとしていただけだ」
伊織は面白くなさそうにペッと唾を吐く素振りを見せる。
「あんたそれで通じるわけ」
「古手川さんと梓さんをナンパするなんて万死に値する!」
「何で通じてるのよ…」
呆れたような表情をした古手川さんは休憩に入る為、エプロンの紐を緩める。
こうあれだよね。料理のできる女性がエプロンを脱ぐ仕草って何かいいよね。姫路さんはエプロンが良く似合う女の子なんだけど台所には立たせてあげられないので好きな人でこの光景を見ることは出来ないのが残念だけど。
「じゃあ、ちーちゃんは休憩入って伊織と明久クンは私と一緒に店番ね」
梓さんは古手川さんにそう言うと素早くこちらに近付いてくる。そして何か聞かれたくないのか伊織に小さな声で話しかける。
「耕平とどうなったのか教えてよ」
あ〜、そう言えば梓さんって伊織が耕平に好意を寄せているって勘違いしてるんだっけ。言われた伊織は白目を向いてダメージを受けているが身から出た錆だ。弁解は諦めて貰おう。
「そうそう。明久クンもね」
「僕ですか?」
いきなり話を振られ何が言いたいか理解が出来ない。姫路さんとの事だろうか?
「伊織と耕平のどっちが好きなの?それとも久保クン!?」
「!?」グハッ
しまった!僕も勘違いされてたんだった!
「いや…。僕は心に決めた人が…!」
このまま勘違いを放置している訳にはいかないので直ぐさま否定するために姫路さんのことを伝えようとするが…。
「玲に明久クンが不純異性交友をしないか監視するように言われてるからね。それで誰に決めたの!?」
「(嘘をついてもこの場に居る伊織と耕平じゃ直ぐにバレる!でも友達の久保君を売るなんてできない…。なら…)雄二だよ!」
まさか姉さんの監視が梓さんまで届いて居たなんて。危なかった。我ながらナイス判断だと思う。友達も売らず誰にも迷惑をかけてない最善の一手だ。
「…!!!そうだったんだね!でも良かったよ。玲から不純同性交友を勧めて欲しいって相談されてたから」
「な、なんだって!?」
このままじゃマズイ!誤解を解かなきゃ僕の平穏な日々が!
「ここは俺と千紗と明久の3人でやりますから梓さんは休憩どうぞ!」
僕が止めようとするよりも早くなぜか伊織が梓さんを休憩へと追いやってしまう。
「また誤解が広まってしまう…!」
「私ずっと店番してたんだけど」
梓さんを引き留める良い言い訳を考えていると古手川さんが疲れた顔で訴える。
「そうだよ伊織!古手川さんはずっと店番をしてるんだから僕たち3人でやるべきだよ!」
「頼む!俺を助けると思って!」
伊織は僕と古手川さんに小さな声でお願いをする。しかし、古手川さんが伊織を助ける義理はない気がする。僕もないし。
「なぁ千紗」
「何?」
伊織にしては珍しく真面目な表情で古手川さんの方を向く。本当に伊織って真剣な表情が似合わないな…。
「誰かを助けるのに理由が居るのか?」
そのセリフは助ける側が言うものだと思う。
「それ、そっちが言う台詞じゃないから」
ほらやっぱり。古手川さんも何言ってんだって顔してるじゃん。
「なぁ明久」
古手川さんが折れないと見るや今度は僕の方に向き直す。
「これ以上俺の誤解が広がらないように手伝ってくれないか」
「僕はそれどころじゃないんだ!早く僕の誤解を解かなくちゃ社会的信用が!」
「そんなのどうでもいいから助けてくれ。どうせ社会的信用なんで皆無だろ」
今こいつ僕の社会的信用をどうでもいいって言ったか?しかも皆無って。少しくらいはあるよ!それに助けを求めてきた者の言い方ではない気がする。
「悪いな2人とも」
「まつたく……」
「僕の誤解…」
あの後、気付いた時には梓さんは休憩に入って何処かに行ってしまった。そのため、誤解は解けずじまいで今に至る。
「なんで私に手伝わせたの?」
「あー、なんと言うかだな…。梓さんと一緒になるのを避けたいんだ」
伊織の性格上、美人の梓さんと一緒に居ることは大変喜ばしい事だと思うんだけどな。でも伊織のあの表情何処かで見たことあるような…。
「まぁ、梓さん美人だもんね」
古手川さんは手元のお好み焼きに視線を落としつつ呟く。横顔からは何を考えているかはわからないが声のトーン的に興味なさそうなのは分かる。
「は?」
伊織は何を言っているのかわからない。といった表情になるが当の古手川さんはその変化に気づかない。
「一緒だと緊張するんでしょ?」
もしかして、古手川さんは梓さんが美人だから伊織が緊張していると勘違いしてるのかな?
僕も伊織の事情は知らないが多分違うと思う。実際伊織は古手川さんと緊張せずに普通に会話しているわけだし…。
「それは違うと思うよ。それだと古手川さんにも緊張するはずだから」
「え?」
勘違いはすぐに訂正しておかないとね。
「あ、古手川さんお好み焼き2つ追加で」
「え?あ、うん」
何か反応がおかしいような気がするけど徐々に増えたお客さんをさばくのにこちらも手一杯でそれどころじゃない。
「それにしても忙しいね」
「まあな。ここを乗り越えれば落ち着くだろ」
常夏コンビの悪評も収まりつつあるのか時間の問題か客数が順調に伸びてきて3人でもかなりきつい。
今の役割分担は僕が接客、伊織と古手川さんが調理とお会に分かれている。お会計も僕がやる予定だったんだけど古手川さんの提案で
「そういえばミスコンは何時からなんだ?」
伊織はタネを鉄板の上に乗せて、生地の形を整えながら焼く。
「四時からで表彰式が明日の一時」
「なんだ、男コンとは違うんだな」
生地がふっくらとしたら古手川さんにパスし、受け取った古手川さんは慣れた手つきでソースをかけマヨネーズを網目状にふりかけ、青のりと鰹節をトッピング。出来上がったお好み焼きを均等に切り分けてパックに入れたら完成。
「そうなの」
「こっちは今晩やってその場で表彰式だ」
「なんでやり方が違うんだろう」
「夜のテンションでガーッとやっちまえって事だろ」
「投票もノリと勢いってことね」
「飛び入りもOKってくらいだからな」
古手川さんは出来上がったパックをお客さんへ渡してお代をいただく。
「「ありがとうございましたー」」
二人はそう言ってすぐに次の調理へと取り掛かる。
「(それにしても二人の合いようは凄いね。会話をしながら同時にお好み焼きを作ってる。しかも、伊織は古手川さんの調味料がなくなるタイミングで補充してるし古手川さんは伊織から投げられた調味料をノールックで受け取ってるし)」
そうこうしているうちにお昼時も過ぎておやつが食べたくなる時間に差し掛かる。
「そろそろ準備した方がいいんじゃないか」
伊織は校舎にかけられた大きな時計を見ながら気を遣う。
「確かにおめかしには時間かかるもんね」
「なんでお前が女子の身支度に時間がかかることを知っているんだ?」
「僕が知っていたらそんなにおかしい!?こう見えても僕は女の子について詳しいんだから!」
「流石、女装が趣味なだけあるな」
「趣味じゃないよ!…古手川さんも無言で距離を取らないで!」
「とまぁ冗談は置いといて店番は俺と明久に任せて着替えてきたらどうだ?」
「別にいい。私はこのまま出るつもりだし」
古手川さんはそう言ってTシャツにショートパンツといつも通りの服装に目を向ける。確かに今の服装もラフではあるが悪くないと思う。…でも古手川さんならもっとかわいい服も似合うと思うんだけどな。
とそんなことを考えていると二つの影が古手川さんの後ろから現れる。
「ダメよぉちーちゃん」
「っ!!?」
「可愛い千沙ちゃんを沢山の人に見て貰わなきゃね」
正体は休憩から戻ってきた梓さんと今日はグランブルーで店番をしているはずの奈々華さんだった。
「奈々華さん来てたんですね」
「ついさっきね。お店を抜けてきちゃった」
うふふといつもの笑顔を浮かべる奈々華さんの表情がなぜか僕に女装を迫る時の姫路さんとダブって見える。
「(あれは下心のある時の笑顔だ…)」
とそんなことを考えている合間に古手川さんは二人に両脇を抱えられて姿は見えなくなる。それと入れ替わる形で耕平と途中で合流したのか雄二達も一緒に帰ってくる。
「古手川はどこへ?」
本来いるはずの古手川さんの姿がないことに疑問を持った耕平に伊織は「ミスコンの為の化粧に行った」と回答。あれは行ったというより連行されたが正解だと思うが、そこは些細な問題だろう。可愛くなって帰ってくることには違いない。
「その次はお前もやってもらうのか?」
「お前はどこまで俺を辱める気なんだ」
冗談でも青筋を浮かべた伊織は本気の怒りを耕平にぶつける。
「そうだよ耕平。元々が残念な伊織じゃ化粧をしても大差ないよ」
下手な化粧をして出るより全く似合ってない女装のほうがダメージがない場合があるからね。
「なんだと明久!違和感なくメイド服を着こなすよりかはマシだ!」
「なんてことを言うんだ!せっかく僕がフォローしてやったと言うのに!」
僕は伊織と耕平の取っ組み合いに混ざる。人の優しさに気付けないなんて人でなし!
「おい明久」
ここまで無言だった雄二が不意に口を開く」
「ここまで何人からナンパされたか覚えているか?」
「ん~っと、雄二と居たときにナンパしてきた4人組以降だと20人くらいかな」
雄二と別行動をする前にナンパされた数を数えているように言われたから一応数えていたけどちょっと多すぎない?
「こいつ一体何人の男子生徒の性癖を壊せば気が済むんだ!?」
僕には非がないはずなのに何故か悪者にされた気がする…。
それもこれも雄二が着替えることを許してくれないから!
「まぁまぁな成果だな。じゃあお前ら準備するぞ」
「あ、千沙の応援だな」
あの二人の手によって古手川さんがどれだけ変身するか楽しみだね。
「場所は野音だっけ?」
「あ~。場所はそうなんだか明久は別行動だ」
「?」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、少しずつ書いていければなと思っているので気長に待っていただけると幸いです。
本作に出して欲しいキャラ※やってみたかったのでやってみます
-
久保くん
-
玉野さん
-
根本くん
-
清水さん
-
鉄人又は高橋先生かババ長