飲んだくれの同居人 ※同居人との恋愛要素はありません   作:男子校生A

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第一話「置いてきぼりの夏輝」

「………????????????」

 

 

 

俺こと綾辻夏輝の隣には────────見知らぬ女が寝ていた。

 

 

 

家族に事情を聞こうとしてリビングに行ったが誰も居ない。

 

現在時刻は午前6時30分。普段なら兄貴と母が朝食を食べており、父はテレビを観ながら着替えているハズの時間なのに。

本気で怖くなってきたので見知らぬ女を起こそうと思い、自室に向かった。

 

 

 

 

 

「おはようございまーす、どなたか分かりませんが事情を説明してくださーい」

「…んぁ?ん、おぉ、ナツキくんじゃん。

久しぶり!お姉さんのこと分かる?」

「うわ酒臭っ……分かりません」

「んもー、意地悪しないでよー」

 

お姉さん??俺に姉貴なんて居たか??しかもこんな飲んだくれみたいな姉貴が??

居ないハズだよな、多分……

 

親父の隠し子がバレて一家離散したとか?

案外モテる親父なら有り得るかもしれない。

 

「名前を教えてください」

「…ホントに分からない?」

「残念ながら」

「はぁ…調子狂うなぁ…ま、いいや。よくぞ聞いてくれた!我こそは綾辻嗣波だ!!これで分かったろう?」

「嗣波……?嗣波…しな…?おおお!!!嗣波ねぇちゃん!!!久しぶり!!!」

「そうそう!そんな反応待ってたよ!!」

 

彼女こと綾辻嗣波は、俺の従姉妹である。

親父の兄貴の娘で、今は多分23歳だかそこら辺のハズで、小さい時から俺達とは仲が良く、姉貴が居ない俺は嗣波の事を「ねぇちゃん」と呼び、敬愛していた。

 

嗣波ねぇちゃんは成績優秀で容姿端麗、運動をさせれば全国クラスという表向きを見れば最強の人間だ。

しかし、酒癖が悪い上に自由奔放な性格で、しばしば大人を呆れさせるような事をやっていた。

 

例えば、俺が9歳で嗣波ねぇちゃんが16歳の時である。

彼女は木の棒に少量の爆薬を括りつけ、林に向かって投擲して遊んでおり、「これが自家製M24もとい小型ポテトマッシャーだ」と俺達兄弟に自慢していた。

その後彼女の父親にバレて大目玉を喰らっていた。

 

「んで、事情を説明してください嗣波さん」

「分かりましたよナツキさん。まず、叔父さん達は転勤で愛媛だったかどこかに生きました。親父に勘当されてほっつき歩いてた私は叔父さんに捕まり、叔父さん達が帰ってくるまでここでナツキさんの保護者となってくれ、と頼まれました。つまりそういう事です。」

「なるほど。つまり今日から嗣波さんは僕の家族というわけですね。」

「そうなりますね。」

「なんで????????」

「嫌…かな?」

「酒癖の悪さを直してくれれば嫌じゃないです。」

「それは難しいです。」

 

 

このように、俺からすれば恋愛対象でもただの従姉妹というわけでもなく、悪友というか友人というような認識だ。

ちなみに、彼女はDカップぐらいなののだが俺は大きい胸に興味はない。眼前に現れれば見るが、自分から好き好んで見ようとは思わない。それを彼女も知ってか、張り合いが無いと文句をブー垂れていた。

 

「というわけでこれからよろしくな!!」

「おう、よろしく!!……てか嗣波ねぇちゃんなんで勘当されたの?」

「いやさ、ほら、働けって言われたんだけどね?私もう宝くじで一山当てちゃってるからさ?働かないって行ったんだけど、それで口論になって勘当されたんだよね」

「ふーん、宝くじで一山……ええええ!?!?!?なんぼ当てたん??!?!」

「まぁ落ち着けよマイブラザー。エセ関西弁になってるぞ。そうさなぁ、当てれたら100万やろうかね?さぁ考えたまえ!」

「16歳に渡す金額じゃなくね??………まさかの1億?」

「残念!!10億です!!」

「はああああああああ!??!!!?!?」

 

 

10億ってウッソだろお前!サラリーマンが生涯に稼ぐ金額の10倍やん!…………とおっと、エセ関西弁が。

確かに10億円も当てたんだったら働かなくても良いような気がしてきた。

 

「学校は?」

 

………………あっ

 

 

そんな彼女の声で時計を見ると既に1時間が経過していた。遅刻するかしないかギリギリの時間帯なので俺は大急ぎで着替えながら、それを見てニヤニヤ笑っている彼女に恨み言を放つ。

 

「チキショー!!絶対分かっててここまで伸ばしたろ!!覚えとけよ!!」

「ハッハー!!気付かなかったナツキくんが悪いね!!ほら早くしないと遅刻するぞ~〜~????あ、ネクタイ曲がってるから直してやろうか?」

「そんなお節介要らねぇよバカヤロー!」

 

大急ぎで着替えた俺は脱兎のごとく家から逃げ出した。

 

「いってらっしゃーい!今日の晩ご飯は回らない寿司にでも行こうぜ!!!」

 

そんな魅力的な一言を最後に彼女の声は聞こえなくなった。

あれ?嗣波ねぇちゃんって家事できるのかな?昼ごはんどうするんだろ?

そんなお節介を考えながら全速力で学校へ向かった。

 

 

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