すべては彼女のせい   作:ちゃりんこ877

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タイトル考えるのって難しいですね。正直このタイトルで良いのか迷います。今回のサブタイトルだってただの場所です。……はい、話がオチません。

こちらはにじさんじさん、当時のにじさんじseedsさんによる声劇『憂う少女のアルカディア』の非公式二次創作となります。二次創作が苦手な方、また理解の無い方の閲覧は御遠慮ください。
原作の登場人物はほぼ全員出ますが、登場人物及び世界観の設定に大幅な追加、改変がされております。そちらも合わせてご了承ください。

『憂う少女のアルカディア』のネタバレを含んでおります。

過激な描写が予定されていますがVliverさんたちは「生きて」いますので、誹謗、中傷等には極力配慮していきたいと思います。しかし私自身のライバーさんたちへの解釈が入っているのでご注意ください。

この作品は過激な描写を含みます。苦手な方はご注意ください。


バーと農家と路地裏

 チャイカが経営しているバーではチャイカが店を開く準備をしている横で、社がパソコンを開いて情報収集をしていた。

 ゆずは腹が減ったといってどこかへ出かけ、アズマは面白そうだからとゆずと一緒に出ている。

 チャイカがグラスを拭く片手間に社に話しかけた。

 

「あんた、今日はもう休みじゃなかったの?」

「これも残業だよ。さっきいきなり舞い込んできた仕事だ」

「……割と本気で言うのだけれど、その会社とっとと辞めた方が良いんじゃない……?」

「まあ、いつもこんなかんじだ。チャイカの方こそ、そんなペースで開店には間に合うのか?」

 

 社の見た限り店内の掃除は済ませてあるようだが、酒類の補充やだべもの関連の下準備をしている様子が見られなかった。

 もうすぐ開店時間だというのにとても間に合うペースとは思えない。

 

「いいのよ。いつも忙しくはならない程度に繁盛してないし。それに最近できたライバル店の方にお客の何割か持ってかれちゃってるのよ」

「ああ。となりの通りに出来た店か」

「そう。特にこの店の熱心ではない若い子とかね」

 

 チャイカが軽くため息をつく。

 

「今ちょうどきりが良いとこだし、愚痴なら付き合うぞ?」

「……ま、愚痴って程でもないんだけどね」

 

 そう前置きした後、チャイカはカウンター裏に置いてあった椅子に腰かける。

 

「どうも聞いた話によると、新しいバーの店主が渋いおじさんらしくてね?そのおじさんの声がこれまた渋いイケおじボイスらしいのよ。それで女性客を取られてしまっているわけ」

「ふむ。しかしこの店の大方は男性客なんだろう?」

「そこなのよ。あの店の店員じゃなくてね。常連の女性客がいるらしいんだけどそれがかなりの美女らしくてね。まるで『女神』みたいだとか何だとか」

「男性客も取られてしまっているわけか」

「まあ別に?こっちの常連さんは相変わらずお店来てくれるし?むしろ暇になって裏家業に専念できるから良いんですけどねぇ?」

「つまり悔しいんだな?」

「……そうとも言えるわね。ごめんなさい。結局愚痴になってしまったわ」

 

 申し訳なさそうにしたチャイカを見て、社がフッと笑った。

 

「珍しいものを見れたから問題はないさ。……それよりチャイカ、うちの連中がやられた」

 

 社の言葉にチャイカの顔が険しいものに変わる。

 

「どこでやられたの?」

「おそらく教会方面に向かった組員だ。まさかとは思ったがあそこにも人を配置した成果はあったようだ」

「そこに出雲霞と卯月コウが?」

「連絡係の報告によれば偵察組は全員死亡してしまったらしいからな。情報はまったくない。だが他の場所に向かった偵察隊からはめぼしい情報はなかった。的は十中八九教会だ」

「なら、さっそくボスとアズマに連絡して教会に向かわないとね」

「死んでしまった奴らの仇も討たないとな」

「ええ。たっっっぷり、お礼しないとね」

 

 

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 一方そのころ、とある農家の家は屋根が吹っ飛んだ。

 

「あぁ!?俺の家がー!?」

 

 この家の主、舞元啓介はたった今起こったことに頭を抱えて叫んだ。

 夕飯の食材を買いに車を飛ばして一番近くのスーパーへ買い物をしてきた帰りだったのだが、家の屋根が見えてもうすぐ自宅に着くぞといったところで家の屋根が爆発したのだ。

 それはもう物凄い爆音と衝撃がやってきて、火山の大噴火の様に屋根が砕けて上方向に吹っ飛んでいった。

 粉々になった屋根の破片はもう空の彼方。

 家の柱とか壁とかよく無事だったものだ。

 屋根が吹っ飛んだ衝撃で一緒に崩れ去ってもおかしくなかった。

 

「家が……。俺の家が……」

 

 ちょっとの距離のお出かけでも我が家に帰るというのはホッとするものだ。

 すくなくとも舞元にとって自分の家とはそういう場所であったし、そういう場所にしようとそれなりの努力をしてきた。

 好きなスポーツ観戦のために少し高いテレビを買ったり、快適にゲームをするためにさまざまな機材を買ってきた。

 そんな!

 大切な!

 自宅が!

 

「爆☆砕!?」

 

 ああぁぁぁ!

 何ということだろう!

 自分の目の前で家の屋根が大きな爆音とともに大爆発したのだ!

 何でこんなことになってしまったのか。

 

「いや。何でこうなったかは分かり切っている……」

 

 急いで自宅に戻り、吹き飛んだ屋根の真下に位置する部屋に駆け上がる。

 

「おぉい!椎名唯華ァ!」

「あ、舞元さん!」

 

 舞元は諸悪の根源である人物、椎名唯華に詰め寄った。

 椎名唯華は霊媒師の高校生……らしい。

 最初はいきなり家を訪ねてきたのだがあまりにも怪しすぎて最初は門前で突っぱねた。

 そしたら次の日から家に居ついていた。

 何で?

 

「謝らないよ!」

「……まだ何も言っていない」

 

 ちなみに今まで屋根を壊された回数今回で3回、壁に穴をあけた回数7回、テレビの画面に傷をつけた回数4回、電子レンジが爆発した回数椎名がレンチンした回数の1/2回、勝手にお菓子を食べた回数108の二乗、その他やらかしn回……ets.

 やって来るたびに何かを巻き起こす災害のような少女なのだが、なぜか長い付き合いになっている。

 椎名の家に連絡するべきなのだろうが電話番号を知らない。

 なら警察に連絡をつけるのが普通なのかもしれないが、舞元はなぜだかこれまで警察に連絡してこなかった。

 というのも椎名の距離間のとり方が絶妙に上手い。

 居ついていると言っても居候というわけではなく、きちんと夕方には自分の家に帰っている。

 いつの間にかやって来るだけなのだ。

 舞元にとって本当に迷惑がかかるようなことはしてこない。

 女子高生が男の家に出入りしているなんて、近所で噂がたったら舞元にとってリスクにしかならないがどういう訳かそんな噂がたつこともない。

 どうやら誰にも見られずに舞元の家へ上がり込んでいるらしい。

 霊媒師というより妖怪みたいな不思議な少女だった。

 

「……とりあえずりりむちゃんはどこなんだ?一緒にいるんだろ?」

「あー、良く分かりましたね……」

「家が壊れるのは大抵りりむちゃんと一緒にいるときだろ」

 

 魔界ノりりむ。

 たまに椎名と一緒にやってくる悪魔の少女……、歳は8歳らしいので少女というより幼女だろうか。

 最初逢った時はいきなり悪魔だと名乗り、霊媒師よりも信憑性の無い話だと思ったのだが何度も魔法のような力を実演させられるうちに嫌でも理解した。

 そう、本当に嫌な実演だった。

 具体には今まで屋根を壊された回数今回で3回、壁に穴をあけた回数7回、テレビの画面に傷をつけた回数4回、電子レンジが爆発した回数椎名がレンチンした回数の1/2回、勝手にお菓子を食べた回数108の二乗、その他やらかしn回……ets.

 つまり舞元家の何かが壊れる時はこの二人がセットになった時なのだ。

 

「りぃりぃならほら、吹っ飛んだ家の縁に引っかかってます……」

「うきゅ~」

「うわっ!?大丈夫か……?」

 

 舞元が見上げると部屋の壁の上、本来は天井のすみがあるはずの壁の上に胴体を引っ掛けるようにしてりりむは伸びていた。

 白い髪に白い肌、目は赤く少しだけ光っていて普段はいかにも悪魔らしい妖しさと神秘さが合わさっているのだが、今の彼女は屋根を吹き飛ばした時に降りかかったのであろう木片や木屑が服や髪の毛についていて何だか悲惨な姿だった。

 

「とりあえず、こっちに降りて来れるかー?」

「うーん……こんくらい何ともないし……」

 

 りりむは頭を上げるとよろよろとしながらもゆっくり浮き上がり、目線の高さが舞元と同じになる所まで降りてきた。

 ……まあ、悪魔的には空を飛ぶなんて普通のことらしいのだが。

 それより最近は空中に浮くなんて非日常的なことにも徐々に慣れてしまっている自分が恐ろしい。

 

「最初はいちいち驚いていたんだけどなあ……。驚くにも疲れてしまった」

「ん?何か言った?」

「いや、何でもない。……それより早く屋根を元に戻してくれ」

「わかったー」

 

 舞元に頼まれたりりむは空に向かって指さすと「えいっ」と掛け声をかけた。

 それだけで空の彼方に吹っ飛んだはずの屋根が降ってきた。

 

「うわっ」

 

 ドシンッ、と大きな音を立てて屋根が家の上に乗っかった。

 へし折れていた柱の部分も気がつくと元通りに修復されている。

 ただ屋根を上に乗っけるのではなくて壊れた部分も元通りにくっついているところがやっぱり魔法か何かの類なんだなあと感心する。

 屋根が落っこちてきた衝撃で少しホコリが舞ってしまったのには少し顔をしかめてしまったが。

 

「よし。これで家も元通りになったことだし、もう日は暮れてきたし、二人は早く家に帰った方が良い」

「えー、何でですか!?来たばっかりなのに!」

「もう夕飯の時間だろ?今日買ってきた食材じゃ俺の一人分のメシしか作れねえよ。それに家の屋根が吹っ飛んだ衝撃で正直疲れた……」

「直ったじゃないですか。屋根」

「直ると分かっていても俺の心理的に悪いの!家の物が壊れたり吹っ飛んだりするのは何度やられても慣れねえんだよ!?」

 

 一度やられる身にもなって欲しい。

 そして反省してほしい。

 

「そうだよ。しぃしぃは迷惑しかかけてないんだから!屋根直したのも私だし!」

「えー、何でぇ?」

「とにかく帰るよー!」

 

 ぐちぐち言いながらも椎名はりりむに引きずられて行った。

 

「気を付けて帰れよー」

 

 舞元は一応玄関までは見送りに行く。

 

「舞元さん、じゃーねぇー!」

「舞元さんー!また明日来ますからー!」

「明日!?早いな……」

「物壊されても大丈夫なように心の準備しておいて下さーい!」

「出来るかー!」

 

 そんなやり取りをしながら椎名とりりむの二人が見えなくなるまで見送ると、舞元は夕食の準備を始めるべく台所へと向かった。

 

「ふぅ」

 

 ちょっとだけ疲れてしまって思わずため息が出てしまった。

 まあぶっちゃけてしまえば椎名とりりむの相手はおじさんには手に余るし疲れてしまうこともある。

 だが騒がしくも煩わしさはなく、どちらかというと一緒にいて楽しいと感じることの方が多い。

 何だかんだでこの関係が続いてしまっている理由の一つだと思う。

 今のところ唯一にして最大の問題はこの関係が周りにバレてしまうかどうかということなのだが。

 

「俺、捕まったりしねえよな?やましいことは何もないけど最近はこういうことに厳しいだろうし……」

 

 またため息が出てしまいそうになったその時、玄関のチャイムが鳴った。

 時間的にはもう夕方も過ぎ、空はすっかり暗くなったタイミングだった。

 

「ん?誰だこんな時間に?」

 

 こんな時間に農家へやって来るような人は普通はいない。

 椎名が何か忘れものでもしたのだろうかと思いながら舞元は玄関の扉を開けた。

 

「はーい。いったい誰でしょうか……あれ?」

 

 扉を開けても目の前にはいつもの玄関先の景色が広がっているだけで、誰もいなかった。

 

「おかしいな……」

「すみません。下です下」

「下?」

 

 舞元よりだいぶ低い位置から声が聞こえたと思って下を見てみるとなんとそこにいたのは一匹の柴犬だった。

 

「すみません。こんな夜更けに。実は私、少し困っていまして……」

「犬が……、しゃべった……」

「あ、そうなんですよ。しゃべるんです私。驚かせてしまうかもしれないですが。……あれ?でもあなたはそうでもないですね?普通の人はもっと飛び上がるくらいビックリしちゃうんですけど」

「いや、まあ……霊媒師や悪魔に比べたら犬がしゃべるのは大したことじゃないかな、と」

「?」

 

 どうやら思っていたより自分の人生は奇想天外らしい。

 しかし舞元はこれから夕食にしようとしていたが、この柴犬はちゃんと食べたのだろうか?

 

(結局俺以外の夕食を作らなきゃいけないのかな……。食材ないし、猫まんまでも作るか。猫まんまって犬が食うか知らないけど)

信じられないことを目の当たりにしている割にはどうでもいいことを考えている舞元だった。

 

 

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「その話をどこまで信頼すればいいんだ?」

 

 3人組の男のうち、一人の男がそう質問する。

 3人組はどこかの組織の人間なのかスーツ姿で並び立っていた。

 場所は薄暗い路地裏。

 日もすっかり暮れ、大通りの街灯がわずかに差し込むだけの中、相手の顔すらよく見えない状況で一人の女性が3人組の男と話している。

 女性の年齢は良く分からない。

 少なくとも3人組の男たちは女性の年齢が判別できなかった。

 少女のようでもあるしやたら大人びているような気もする。

 

「すべて。……すべてを信じて。私が話していることすべてがこれから起こることなんだから」

 

 傍目から見たら3人組の男たちが女性を脅しているように見えなくもない。

 だが、今この場は交渉の場だ。

 3人組と女性は対等の立場だった。

 

「だが、にわかには信じがたい」

 

 さっきとは違う男がそう言った。

 

「貴方の話には信憑性がない。確実性がないことに我々は動くことが出来ない。幹部より下の地位である我々がこの場に来ている点でもそれを理解してほしい」

「それはそうでしょうね。……何せ私はまだ力のほんのひと欠片しか見せていないのだし」

「……そうだな。あれで氷山の一角とは驚くばかりだが」

 

 少女は薄く笑う。

 妙に似合っているその笑い方は口元が三日月のような形になっていて、女性の冷たさと鋭さが笑顔を通して伝わってきそうだった。

 

「それにあの力は思う存分見てみたいでしょう?名前は……『もち』と言ったかしら?」

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