もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

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勘違いしないでよね!いや、本当にしないでください

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・んぐァ」

 

 

 

 

 

目を覚ます

 

 

 

酷く悪い気分での起床だ

 

 

 

なぜかというと俺は昨日羽沢さんに思いっきり恥ずかしいことを言ってしまってそれを思い出す度に羞恥に震えていたからだ

 

 

 

浅い睡眠を何度も繰り返したせいで頭が上手く回らない

 

 

 

「ははァァ、早いけどもう起きて支度するか」

 

 

 

寝癖の着いた頭をガシガシかきながら階段を降りてリビングに行く、すると

 

 

 

「あら、今日は早いのね。おはよう」

 

 

俺と同じ黒髪を背中まで真っ直ぐ伸ばした女性が椅子に座っていた

 

 

 

「あんた、ひどい顔よ。さっさと顔洗ってきな」

 

 

 

「自分の息子にひどい顔とか言わないでくんない?」

 

 

 

俺のオカンだ

 

 

俺が小さい頃の母親は世界を飛び回るジャーナリストだったらしい、異国の文化や宗教を取材して記事にまとめる仕事をしていたが今では完全に専業主婦になってそんな片鱗を一切見せなくなった

 

 

「うるさいわね、私の息子ならもっとマシな顔で起きなさいよ」

 

 

間違えた。俺のオカンじゃあなくてだだのひでえ人だ

 

 

オカンに言われた通りに洗面所で顔を洗ってついでに寝癖も直してまた戻ってくる、テレビの時刻表にはいつもより一時間ほど早い時間を示していた

 

 

「朝ごはん出来てるわよ」

 

 

「アザース、いただきます」

 

 

しっかりと両手を合わしいつもの挨拶をする

 

 

テレビでは朝のニュース番組が放送されていて俺はぼーっとしながら眺めていた

 

 

濃いめに入っていたコーヒーとトーストを目玉焼きと一緒に食べる

 

 

コーヒーのおかげで頭が活性化してきた

 

 

「ごちそうさま、オカン!弁当はぁ?」

 

 

「昨日の夕食をつめた箱なら冷蔵庫に入れてあるわ」

 

 

弁当を夕食をつめた箱って言うのをやめろ

 

 

いったん部屋に戻って制服に着替える、カバンに教科書とノートを詰めてまた部屋を出る

 

 

冷蔵庫にある箱を手に取ってカバンにしまって家を出ようとするすると、

 

 

 

「ねぇ!(いつき)!」

 

 

オカンが俺の名前を読んだ

 

 

「んー?なーにー?」

 

 

オカンは玄関まで来て俺に聞いた

 

 

「この前のお弁当どうだった?」

 

 

「この前っていつの事いってんの?」

 

 

「小さいハンバーグが入ってたときのことよ。どう?美味しかった?」

 

 

オカンはニヤニヤと気持ちの悪い顔で聞いてきた。なんなんだろう正直に嫌な感じしかしない

 

 

「ああ、美味かったけど。それが何?」

 

少しぶっきらぼうに答えるがオカンは不機嫌になりもせずむしろ驚いた表情を浮かべた

 

 

「あんた、聞いてないの?」

 

 

「何を?」

 

 

「はああーこの様子じゃあ日菜ちゃんちゃんと伝えて無いなぁ、せっかく頑張って作ってたのに

 

 

オカンは深い深いため息をついて何やらブツブツと言い出した

 

 

「なんだよ、それがどうかした?」

 

 

「いや、なんでもないわ。車に気を付けて行きなさいよ」

 

 

「良くわかんねぇな。分かったよ行ってきます」

 

 

ガチャといって扉が開く

 

 

俺はそのまま歩いて学校に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもなら人を避けるように歩くのだが朝早くに学校の通学路を歩くの人は居ないからこの道を占領している気分になるなぁ

 

 

そんな気分のまま真っ直ぐ学校に向かう

 

 

やはりいつも騒々しい学校の廊下も静かだった

 

 

朝の憂鬱も少しマシになった、たまには早起きするのもいいもんだ

 

 

 

 

ガララと音を立てて扉を開く

 

 

 

 

そこにも人はいなかった、特にやることも思いつかずに教室に入ったが何をしよう?

 

 

 

でもそこには一人の女の子が教科書とノートを広げて勉強していた

 

 

 

 

羽沢さんだ

 

 

 

 

先程の気分からまた打って変わって憂鬱に戻る

 

 

 

「あれ?ホクサイくんおはよう!今日は早いんだね!」

 

 

俺に気がついた羽沢さんが声を掛けてくれた

 

 

「お、お、おはよう」

 

 

 

どうすること出来ないのでとりあえず席に着く

 

 

 

あああぁぁぁー羽沢さん昨日の事どう思ってんだろ?

 

 

イタイ奴だって思ったかなぁ?思ったよなぁ絶対にそうだよなぁああどうしよう?

 

 

 

き、聞いてみるか?やっぱりやめとく?どうする?自分で傷を作りに行くか、傷を付けられるのを待つか?

 

 

 

究極の二択だ!!

 

 

 

 

俺がドキドキしていると、羽沢さんがこっちをじーっと見つめているのに気づいた

 

 

「な、な、何かな?」

 

 

 

「ああ、ゴメンね。この時間に人がいるのが珍しくて」

 

 

 

「へぇーそうなのか、皆来るのが遅いんだな」

 

 

 

ちょっと待て、今この人変なこと言わなかったか?

 

 

「も、もしかして羽沢さん毎朝この時間に来てるの?」

 

 

「え?そうだよ。いつもその日の授業の予習をしたいからこの時間に来てるよ」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・嘘だろ

 

 

 

まだ出席確認まで一時間以上あるんだぞ

 

 

 

それを毎朝、スゴすぎる。こんなに努力するなんてまるで“あの人”みたいだ

 

 

 

「ホクサイくんはどうして今日はこんなに早いの?いつもギリギリに来るよね」

 

 

「え?ああそれは・・・・・・・・・ちょっと早起きしたからかな?」

 

 

決して!そう決して!自身の黒歴史に悶えていた訳ではない!

 

 

羽沢さんは「そうなんだ!」と嬉しそうな顔で笑っていた

 

 

 

何だか強い罪悪感が込み上げる。うん、なんというかごめんなさい

 

 

 

いや!もしやこれはチャンスなんじゃないか?!ちょうど誰も居ないし昨日のことをどう思っているのか、聞いてみよう!

 

 

 

 

「羽沢さん!」

 

 

俺は立ち上がって力を込めて名前を呼ぶ

 

 

「は、はい!な、な、何かな?」

 

 

 

 

「羽沢さん昨日の事「おっはよぉぉぉー!!!!」

 

 

 

なんなんだよ!!だれた!邪魔しやがったのは!

 

 

扉を勢いよく開いた人はポメラニアンな人の上原ひまりさんだ

 

 

 

「おはようひまりちゃん!今日は早いね!」

 

 

「おはようつぐ!まぁね!今日はテニス部の朝練が急にやすみに・・・・・・・・・」

 

 

「どうしたの?ひまりちゃん?」

 

 

 

上原さんは口をポカンと開けて俺たちを見つめている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて今の上原さんのように客観的に俺達の状況を見てみよう

 

 

 

 

 

 

 

 

一、学校の教室に男女の二人っきり

 

 

 

二、男の俺が立ち上がって何かを告げようとしている

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、おわかりいただけただろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!あ!いや、その!ご、ごめんなさい!わ、私全然気づかなくて!ああいやそうじゃなくてその!ゴメンね!タイミング悪かったよね!そのすぐに出るから!その本当にごめんなさい!」

 

 

 

上原さんは顔を赤く染めて慌てて色々言ってから走って教室から出ていってしまった

 

 

 

って!ちょっと待て!ほんとに待って!

 

 

 

「上原さん!!誤解だ!違うんだ!ちょっと話を聞いてくれ!!」

 

 

俺も廊下を走って追いかける

 

 

上原さん足速い!!もしかしなくても運動部?!

 

 

 

おいおいおい!!勘弁してくれ!変な勘違いのまま走っていくな!!

 

 

 

ちっくしょう!!また高校生活がハードモードに突入しやがった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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